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バール・アイブス演ずる魔法使いが、呼ばれて飛び出て壷の中から出現するケッタイな映画です。あの体躯で小さな壷の中に３０００年間も閉じ込められていたなどとは、とてもあり得ることではないなどと、全く正当な指摘はしないようにしましょう。そのような現代に甦るアラビアンナイトの魔法使いを呼び出す御主人様を演じているのは、トニー・ランダールであり、彼の持ついかにも小市民的なキャラクターが相変わらずここでも絶好調です。何しろ、呼び出した魔法使いが魔法でどこからともなく黄金を出現させても見向きもしないのです。また、巨漢のバール・アイブスと痩せっぽちのトニー・ランダールが並んで言い合っている様子は、まるで漫才コンビのように見え、実に可笑しいものがあります。勿論、映画としての深みなど限りなくゼロに近く、というよりもむしろマイナスですらある作品であるとはいえ、この手の９０分程度と上映時間が短いながらそこそこ愉快に楽しめる映画は、それなりに重宝するところがあります。何しろ、夜の１１時頃、へとへとくたくたになって帰宅しても、さらなる疲労を加えることなくお気楽に見ることができるからです。ある意味で極めてくだらない作品であるとはいえ、バール・アイブス＆トニー・ランダールという二人の個性派俳優に加えて、バーバラ・イーデン、エドワード・アンドリュース、カマラ・デヴィなどが出演し、それなりの役者が揃っている点も嬉しいところです。殊にバーバラ・イーデンは、余程壷の中が魅力的に見えたか、当作品へ出演した後、テレビシリーズ「かわいい魔女ジニー」で、今度は自から壷の中に入ってしまったようです。