![]() |
イギリス映画の中には、途方もなく馬鹿馬鹿しく、またブラックなユーモアに溢れた作品がありますが、「The Bliss of Mrs.Blossom」も確実にその範疇に入ります。そのことは、同じ英語を話すアメリカ人であっても同様に感じているらしく、あるアメリカ人の当作品の評に、イギリス人でなければとても作れるはずはなかろうなどというコメントがありました。そのようなわけで、この手の作品は、確かに万人向けとはとても言えないのは確かであるとしても、波長が合うオーディエンスには極上の作品であるように思われるかもしれません。何しろ、シャーリー・マクレーン演ずる主人公は、既に旦那(リチャード・アッテンボロ)がいるに関わらず、天井裏に愛人(ジェームズ・ブース)を隠して住まわせているのです。そのようなとんでもないストーリーに加えて、ビジュアル面でも、たとえば、空気圧で自在に大きさを調節できるブラジャーを胸につけた各国代表の美女たちが、ブラジャーのコントロールがきかなくなり胸が膨らみすぎて空中をプカプカ漂いはじめるなどという、とてもイギリス人でなければ思い付きそうもないケッタイなシーンがそこかしこに散りばめられています。というよりも、他国であれば、誰かが思い付いたとしても、アホらしくてわざわざ撮影したりはしないでしょう。ということで、イギリス流のブラックユーモアの良き理解者であることを自認する人にはお薦めの作品です。いずれにしても、とてもイギリス的であるようには見えないシャーリー・マクレーンが、このような典型的にイギリス的な作品に出演している事実を知るだけでも価値があるかもしれません。