ティン・カップ ★★★
(Tin Cup)

1996 US
監督:ロン・シェルトン
出演:ケビン・コスナー、レネ・ルッソ、ドン・ジョンソン

手前:ケビン・コスナー

正直に言えば私目は、あまりゴルフというスポーツに良い印象を持っていないのですね(そもそもゴルフはスポーツというよりも社交ゲームであるという印象が私目にはあります)。まあ、マイクロソフト社のリンクスで遊ぶのならまだしも、あれだけ一個人あたりに換算した場合の土地占有面積を必要とするスポーツはないのではないでしょうか。アメリカのように広い国土を有する国ならば別かもしれませんが、日本のような狭い国土の中でゴルフ場を乱開発すればこれは即環境破壊の問題にも関連するわけです。またゴルフにおけるハンディなる制度の存在(ハンディという概念が存在するのは他には競馬くらいのものでしょう)やマナーの強調であるとか、少なくとも私目にはどうも好きになれない要素がゴルフにはいくつかあるのですね。大袈裟な言い方をすると、貴族階級が制度的には存在しなくなった現代において、平民が貴族階級的雰囲気に浸るための手段ではないのかとすら思えてしまうのです(要するに階級意識を無意識的にクリエートする装置のように思えてしまうということです)。しかしながら、この「ティン・カップ」という映画は、そのような少なくとも私目が持つゴルフに対するマイナスの印象をある程度払拭してくれるなかなか素晴らしい作品であると言えます。そもそもこの作品以前にゴルフがテーマとして扱われる映画は、少なくと私目は聞いたことがありません。野球、サッカー、ボクシング、或いは乗馬のようなマイナーなスポーツに関する映画すらあってもゴルフに関する映画がなかったのは、ゴルフというスポーツの流れそのものが、映画にマッチしない程スローであったからということなのかもしれません。それに対してこの「ティン・カップ」という映画が素晴らしいのは、ゴルフの細かい側面にはあまり立ち入らずに全体的に健康且つ明るいイメージをうまく捉えている点にあります。すなわち全体的に見た場合の雰囲気が実に素晴らしいのですね。たとえば、この映画のトーナメントシーンは全て快晴の空の下に撮られており、それがビューティフルな芝コースの風景と見事にマッチしています。またこの映画は、ラブ・ストーリーであると共にコメディでもあり、ロマンティック・コメディ的な風味で味付けされている点もプラス要因であると言えます。最後のケビン・コスナーが池越えを狙って何度も何度もショットを繰り返すシーンはいくらなんんでもそれはなかろうと思ってしまうのですが、ケビン・コスナー演ずるそのような強情なキャラクターとレネ・ルッソ演ずるインテリジェントではあるけれどもどこか滑稽なところのあるキャラクターのインタラクションも、ロマンティック・コメディ的な雰囲気と実によくマッチしていて効果的です。私目はこのレネ・ルッソという女優さんはモデルあがりであった若い頃(と言っても彼女はかなり遅い年齢で映画デビューしていますが)よりも、40を越えてからの頃の方が妙な魅力を発揮し始めたように思え、最近の女優さんの中では好きな女優さんの一人になっています。このタイトルは最近1500円シリーズのDVDで発売されていますが、さすがにDVDだけあって画質がなかなか良く(この映画は画像クオリティが大きなポイントになることに間違いがありません)1500円であれば絶対的に買ってお得なタイトルであると言えるでしょう。


2003/10/04 by 雷小僧
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