放射能X ★★☆
(Them!)

1954 US
監督:ゴードン・ダグラス
出演:ジェームズ・ホイットモア、エドマンド・グエン、ジョーン・ウエルドン、ジェームズ・アーネス

上:放射能汚染による突然変異で巨大化した蟻さん

核実験の結果生じた放射能汚染に触発されて発生した突然変異の為に巨大化した蟻さん達が、人間を襲うというワクワクするようなSF映画です。この作品以後、似た趣向の映画がちらほらと製作されるようになったので、この手の映画のはしり的な存在であったと見なして良いかもしれません。SFファンやSF映画ファンにはマゾヒストが多いのか、明るい未来を描いたSF作品などまず存在しないどころか、人間が窮地に追い込まれたり、パニックに陥ったり、巨大化した生物にパクリと食べられたりするのをワクワクしながら嬉々として鑑賞する、或いは読むのが好きなようで、「放射能X」は、そのようなオーディエンスには格好の作品でしょう。さすがにコンピュターグラフィックなどとは全く縁のない時代の産物なので、人間を襲う蟻さん達はどうみても恐ろしいというようりもケッタイでユーモラス(上掲画像参照)なシロモノですが、それでもなかなか楽しめる映画です。特に個人的に気に入っているのが、巨大化した蟻さん達がヒュッヒュッヒュッヒュッというような蟻というよりはセミの一種のような音をたてながら出現するところで、この音は次のシーンではきっと誰かが襲われるぞという予兆として機能しているのですね。どう考えても、蟻さんを何万何十万倍にしてもそのような音を立てるはずはないように思われますが、案に反してこれが実に効果的で、見る者の緊張感を誘います。また、当然予想されるように、この作品には、核実験による環境破壊に対する警告メッセージが含まれていると捉えることも可能でしょう。いずれにしても、現在ではカルト的に見えざるを得ないとしても、1950年代当時にあってはなかなかよく出来たSF映画であったのではないかと想像されます。ところで、この作品は子供の頃TV放映で見て以来長く見ていませんでしたが、最近ようやくDVDプロダクトをAmazonから取り寄せました。この映画は2003/10月現在まだDVDでは国内では発売されていないようですが(※)、朗報があり海外で発売されている当DVDタイトルには日本語字幕も含まれています。しかもWarnerの古い映画のDVDプロダクトは、どうやら多くはリージョンフリーのようであり(不思議なことにDVDのディスク上にははっきりとRegion1と記述されています)、従って国内発売のDVDと全く同じ状態のものを海外から購入出来ます。面白いのはリージョン=2のDVDプレイヤーでこのDVDを再生させると、自動的に日本語字幕がデフォルト選択されることで、いったいどのようなメカニズムになっているのか興味がそそられます。多くはありませんが、このように日本語字幕を含む海外DVDタイトルは他にも存在し、リージョンコードさえ合えばわざわざ国内での発売を待つことなく、しかも恐らくは国内で購入するよりは安く手に入るので、お買い得と言えるかもしれません。

※2006年に日本国内でもDVD版が発売されました。


2003/11/01 by 雷小僧
(2008/10/07 revised by Hiroshi Iruma)
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