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いい年をしたビンセント・プライスとボリス・カーロフが、前者が緑の光線を発すれば、後者は青い光線を発するという具合にマジな顔をして魔法合戦を繰り広げる何ともケッタイな作品です。最近、「ロード・オブ・ザ・リング」（２００１）で、クリストファー・リーとイアン・マッケランがあの年でようやるわいと思わせる気合十分の格闘シーンを演じていましたが、それを見て思わず「忍者と悪女」のビンセント・プライスとボリス・カーロフを思い出しました。「忍者と悪女」は、ポーの短編小説が原作であるとはいえ、恐らく原作には全く忠実ではないのでしょう。いずれにしても、ビンセント・プライス、ボリス・カーロフ、ピーター・ローレというホラー御三家とも称すべき面子が揃いながら、ホラーよりもコメディに強調点が置かれている作品です。殊に、前述の魔法合戦シーンを見逃す手はないでしょう。不敵な笑いを浮かべた（ようにどうしても見える）若いジャック・ニコルソンが、ピーター・ローレの息子の役で出演しており、この当時からジャック・ニコルソンはジャック・ニコルソンであったことを窺うことができます。同年度の作品に、「The Commedy of Terrors」（１９６３）があり、こちらもビンセント・プライス、ボリス・カーロフ、ピーター・ローレが登場するホラー仕立てコメディであり、あちらではかなり好評を博しているようです。但し、個人的には、「忍者と悪女」の方が遥かに面白いように思われます。日本語タイトルについてですが、「忍者と悪女」の忍者とはいったいどこから出てきたのでしょう。悪女はビンセント・プライスの奥さんながらボリス・カーロフに寝返るおばちゃん（ヘイゼル・コート）のことであるとすぐに分かりますが、魔法使いは明らかに忍者ではないので忍者の方は出所不明ということになります。ビデオタイトルは「大鴉」であり、その方がまだましですが、ボリス・カーロフの魔法によって変身させられる烏（ピーター・ローレ）はどう見ても新宿中央公園の中を我が物顔で飛びまくっているレギュラーサイズの烏と同じであるようにしか見えませんが？？？？