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個人的には、殊にディーン・マーティンとのコンビを解消してからのジェリー・ルイスの主演作品は見る気にすらなれない方ですが、その中で比較的気に入っているのが「底抜け00の男」です。監督しているのは、この手のコメディでは定評のあるフランク・タシュリンであり、ジェリー・ルイス一人が独り善がりのギャグを飛ばしているようにそれほど見えないところが好感の持てる理由かもしれません。勿論、ルイスお得意のフィジカルギャグもあるとはいえ、奇妙奇天烈な変装をしたり、珍妙な表情をしたり、奇声を発したりといったルイスお得意の捻くれた手段に訴えることなく、ストレートなギャグが多いところは、通常は彼の特異なパフォーマンスに顔をしかめざるを得ないオーディエンスにも受け入れられるはず。たとえば、スパゲッティが腕に絡み付いてしまうシーン、包帯をグルグル巻きにされた患者が坂道をゴロゴロ転がっていくシーンなどは、馬鹿馬鹿しいのは分かっていても、それでも結構笑えます。個人的に最も好きなシーンは、アリス・ピアース演ずる患者が、自分の内臓がいかに弱いかを微に入り細を穿って話しているのをジェリー・ルイス演ずる付き人が悶絶しながら聞いているシーンです。また、笑いだけではなく、それなりにドラマ的な要素もあり、単純にルイスのギャグだけが取り柄の作品には終わっていない点は評価されるべきでしょう。サミー・デービス・ジュニアが歌っているのではないかと思われますが、主題歌が乙です。この手の作品に関してコメントすることはそれ程ありませんが、それにしても「底抜け00の男」という邦題は頂けません。00とはいったい何のことでしょう。この邦題を見ただけで、小生など見る気が失せます。尚、上掲画像左の女優さんは、カレン・シャープ(・クレイマー)であり、年齢が随分違いますが、かのスタンリー・クレイマーの奥さんになる人です。