カレードマン・大胆不敵 ★★☆
(Kaleidoscope)

1966 US
監督:ジャック・スマイト
出演:ウォーレン・ビーティ、スザンナ・ヨーク、クライブ・レビル、エリック・ポーター

左:スザンナ・ヨーク、右:ウォーレン・ビーティ

前半では、一種のカジノ泥棒が繰り広げられますが、アイデアがなかなか秀逸です。ウォーレン・ビーティ演ずるカジノ泥棒のバーニーは、直接カジノを襲うのではなく、カジノで使用されるカードを製造する工場にまず忍び込んでカードにある細工をします。その細工とは、裏面の装飾模様をカード毎に微妙に変え、特殊なメガネ(上掲画像参照)をかけてそれを見ると、カードの種類が直ちに分かるというものです。つまり、この魔法のメガネをかけてさえいれば、カジノでは向かうところ敵なしなのです。しかしながら、世の中それほど甘くはないもので、彼に近付いてきた娘(スザンナ・ヨーク)のおやじさんが実はスコットランドヤードの警部(クライブ・レビル)で、カードに細工したことが彼にバレてしまうのです。けれども、この老獪な警部もさるもの、イカサマに目を瞑る代わりに、バーニーのアイデアを利用して、どうしても悪行の尻尾を押さえられない悪漢(エリック・ポーター)を破滅させる為に、高額を賭けたポーカーの勝負が行われる彼の屋敷にバーニーを送り込みます。この後は、バーニーがいかに悪漢を出し抜くかにストーリーの焦点が移動し、トーンがサスペンス調に変わります。「カレードマン・大胆不敵」は、かくして前半と後半で趣が異なり、捻りの効いたプロット展開がオーディエンスを飽きさせません。また、クライブ・レビルのいかにもイギリス的なとぼけたユーモアもこの作品の大きなウリの1つです。殊に、彼が演ずる警部が、くだんのメガネをかけて部下とマッチ棒をかけたポーカーの勝負をし、それでも負けてしまうシーンは傑作です。加えて、クライブ・レビルとスザンナ・ヨークの父娘というミスマッチも愉快です。また、ウォーレン・ビーティとエリック・ポーターがポーカーの勝負をするシーン、殊に後者が倉庫に眠っていた古いカードを取り出した為に魔法のメガネの神通力が通用しなくなった後のシーンは、それまでのコメディ調とは打って変わって、極めてサスペンスフルな展開になります。基本的にはウォーレン・ビーティとスザンナ・ヨークのロマコメとも見なせる作品で、実際にそのように評されることもあるようですが、個人的にはむしろ凝ったプロット展開を持つコメディ&サスペンスとして見た方が面白いのではないかと思っています。


2001/06/23 by 雷小僧
(2008/10/31 revised by Hiroshi Iruma)
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