 |
|
ローレンス・ダレルの映画化ということですが、映画としては失敗作でしょう。正直云ってイマイチ内容が分かりません。しかしながら、それでも一度は見るだけの価値があるように思わせる理由が２つあります。１つは、キャストの豪華さです。アヌーク・エーメ、アンナ・カリーナの２人の女優さんは、国際スターであるとはいえ英語作品への出演はあまり多くはなく、その意味でも貴重です。他にもダーク・ボガード、マイケル・ヨーク、ロバート・フォスター、フィリップ・ノワレ、マイケル・ダンなどの性格俳優（マイケル・ヨークのみはやや異なりますが）が続々と出演しており、名前を見ただけで一度は見なければならないような気になります。女装したフィリップ・ノワレなどという、他では見られないとんでもない代物まで登場します。また、「アレキサンドリア物語」は恐らく邦題通りエジプトにあるアレキサンドリアで撮影されたのではないかと思われ（因みにアレキサンダー大王の占領地には同名の都市が少なからずあるばかりか、その偉大な名前にあやかってかアメリカにすらアレキサンドリアという名の都市が数箇所存在します）、エキゾチックな風景が実に素晴らしいことが挙げられます。しかしながら、内容面が伴っておらず、そのような表面的なことに感心しなければならないのは残念なことであり、ビリー・ワイルダー、オットー・プレミンジャー、スタンリー・クレイマーなどの巨匠達が７０年前後からイマイチになったのと同様に、「ジョージ・キューカーよお前もか」と言いたくなるのは時代の為せるわざということでしょうか。