豪傑カサノヴァ ★☆☆
(Casanova's Big Night)

1954 US
監督:ノーマン・Z・マクロード
出演:ボブ・ホープ、ジョーン・フォンテーン、ベイジル・ラスボーン、ヒュー・マーロー

左:ベイジル・ラスボーン、中:ジョーン・フォンテーン、右:ボブ・ホープ

ボブ・ホープ+ジョーン・フォンテーンという組み合わせはどう考えてもマッチしそうにありませんが、まあジェリー・ルイス+ジョーン・フォンテーンよりはましだろうと思いながら見たところ、これが意外に悪くありません。それよりも、ボブ・ホープのカサノバ(というよりも贋カサノバですが、本物のカサノバはカメオ出演のビンセント・プライスが演じており、どっちもどっちという気がします)という点が、いかにも奇妙に感じられます。とはいえ、この作品の良い点は、何と言ってもカラフルな室内/屋外セットであり、上映時間が90分にも満たないボブ・ホープコメディであるにもかかわらず絢爛豪華な映像が極めて印象的な作品です。当時のカラー映画は、コメディであっても色彩感に優れた作品があったということがこれでよく分かります。またボブ・ホープ+ジョーン・フォンテーンというミスマッチも、わざと狙ったかと思わせる程に、ミスマッチ的にマッチしています。さすがにここでは、ジョーン・フォンテーンがボブ・ホープに調子を合わせていますが、女装したボブ・ホープと男装したジョーン・フォンテーンのカップルはなかなか見ものです。しかし残念ながら、ラストが全てを台無しにしてしまうのです。どういうことかと言うと、悪漢どもに囲まれたボブ・ホープがまさに首チョンパされんとするラストシーンで、当のボブ・ホープが突如ナレーションモードになり、今のシーンは映画会社が希望したラストだが、それよりもこちらの方がベターではなかろうかと宣言した後に、数シーン前まで戻って今度は追いつめられたはずのボブ・ホープの方が悪漢をバッタバッタとなぎ倒すシーンに切り替わります。そもそも、ボブ・ホープ映画を楽しんで見ているオーディエンスは、最後に彼の首が飛ぶような映画がこの世に存在するなどとは間違っても思っていないはずであり、このようなわけの分からない展開にする理由がどこにあったのか不思議で仕方がないところです。気のきいた洒落のつもりだったのかもしれませんが、もともと拡散傾向にあったストーリーの終わらせ方がどうにも分からなかったので、「ボブ・ホープのコメディだからこれでもいいじゃん」と考えて、無理矢理ねじ伏せたかのような印象すら個人的には受けます。個人的にはビデオでしか見たことがありませんが、劇場公開時もこのようなエンドだったのかなと思わず首を傾げたくなる程、とってつけたような印象があります。ラストシーン直前まではそれなりに楽しめる映画ですが、最後でガクッとさせられるのが何とも残念なところです。


2002/08/09 by 雷小僧
(2008/10/07 revised by Hiroshi Iruma)
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