御岩山の代表的なフリー・クライミングのルートを紹介します。どのルートもトップ・ロープで練習できるルートです。プロテクションもペツルやRCC型ボルトに打ち換えてあります。思い切りリードもできるルートを紹介します。
鷲どまり上部岩壁
1 志賀ハング 5.10+ 15m ボルト(B)2本
初登者:志賀靖夫(水戸葵山岳会)
(トップ・ロープ) 左側の道を登り,岩の上にでることができる。3mほど降りたところに,ペツルのボルトが2本ある。ボルトの上のピナクルを使ってもトップロープの支点にできる。(志賀ハングの場合,ピナクルの方がよい。)長めのスリングが3本くらいあると便利である。
・オリジナル・ルートは,右側である。核心部は3mと短いが,傾斜の強いハングをパワーで越えるルートである。左手のアンダークリングで立ち上がり,右手を斜めのホールドに伸ばして体を引き上げる。左手をハングの左縁に持ち替え,右手をポケットホールドにランジしてハングを越える。
・左のルートは、ハングの先端のクラックにフィンガージャムをきめ,右手でハングの縁をピンチクリップし,ハングの左側の回り込みながら越える。(佐藤敏雄がオリジナルラインを知らないで登ったライン。)
2 田尻ハング 5.10 15m B1本
初登者:田尻信広(水戸葵山岳会)
・両手のアンダークリングからハングの縁を左手でつかみ,ハングを越えるのが核心部である。(レイバックやクロスムーブなどいろいろな登り方がある。)
逆層ハング
9 逆層ハング・ノーマル 5.10+ 8m B4本
初登者:細谷克則(笠間ボルダーを発表した茨城の巨人
:オリジナルラインと異なるかもしれない)
(トップロープ) 左側から回り込んでピナクルにセットできる。2mくらいの長めのスリングが必要である。
・壁の真ん中にある小さな縦ホールドを左手のサイドプルでとり,体を右側に振りがら右手を伸ばしてホールドを取りに行くところが核心部である。後はハングの縁をつかみながら,レイバックを交えて登るパワー・ルートである。
・限定ルートは上部のカンテを使わず,10のラインで壁の中にホールド・スタンスを拾って登る。(5.11−)
10 逆層ハング・ダイレクト 未登
・ノーマル・ルートに合流するまでの下部が絶望的である。左側に逃げず,下部のクラックから真っ直ぐに登る。
鷲どまり下部岩壁
12 田中ルート・左 5.10− 15m B7本
初登者:高森利光(水戸葵山岳会)
(トップロープ) 逆層ハングのピナクルからさらに左に進み,2m下ったところにペツル・ボルトが2本ある。これを支点にして,5mくらいスリングを延ばしてロープをセットする。
・核心部は、中間部の小ハングをアンダークリングで左上し,垂壁へと越えるところ。左手のアンダークリングで体を引きつけ,右手で垂壁のホールドをとる。一気に両足を上げるところがきつい。
13 田中ルート・右 5.9 15m B7本
初登者:故 田中和成(水戸葵山岳会)
・12より手前で小ハングを越える。ペツルのボルトの下にあるポケットホールドを右手でとり1歩上がる。左手は,12の右手でとったホールドをとる。
・ボルトの間隔が短いので,思い切ってオンサイトをねらえるルートである。NO.29のA字ハングやNO.32やNO.33の将棋の駒のルートがリードできるようになったら,是非トライしてほしいルートである。
鷲どまり下部岩壁
15 鎌ハング 5.10− 8m B2本
(トップ・ロープ) 田中ルートのビレーポイントから懸垂下降し,鎌ハングの終了点にロープをセットする。
・細かいフェース・クライムからレイバック,最後にマントリングと多彩なムーブで登るルートである。核心部は最後のマントリング。ホールドが見えず,手探りで探すので難しい。
将棋の駒
32 将棋の駒・ノーマルルート 5.8 6m B3本
(トップロープ) 岩の左側から登り,ペツルのボルトが2本あるところに,長めのスリングを使ってロープをセットする。
・フェース・クライミングの基本的なホールドの持ち方(クリングやサイドプル,持ち替えなど),フットワーク(エッジングやスメアリング)を練習するのに最適なルートである。
・核心部は、1本目のRCC型ボルトの左にあるホールドを左手でとり,右足を思い切り上げ,ハイステップで立ち込み,斜めのホールドを右手でとるところ。
33 将棋の駒・肩のねんざルート 5.9 6m B3本
・核心部は、右側にトラバースし,右手と右足のレイバックから2本目のボルトの下にあるホールドに左足で立ち込むところ。左手は水平クラックの下の小さいホールドをつかむ。(限定ルート)
天狗ののぞき・大ハングのルート(人工ルートのフリー化):冬も登れる。
34 斉藤ルート 5.10− 10m B4本
初登者:斎藤芳昭
(トップロープ) 左側の縦走路を岩の上まで歩き,ペツルのボルト2本を支点にして懸垂下降し,ルートの終了点にロープをセットする。または,38のルートを途中まで登り,終了点までトラバースしてロープをセットする。
・大ハング最初のフリー化ルート。壁の弱点をついたラインでバランスとパワーが要求される。
・核心部は、2本目のボルトまで登ったところから右側のフェースに移るところとハングを右側から越えるところ。ホールドは大きいが離れているので,身長が低い人には,きついムーブが続く。
37 細谷ルート(トラバースルート) 5.10− 10m B3本
初登者:細谷克則
・核心部は,1本目のボルトの右側から左のフェースへトラバースするところ。右手の親指全体を使ってピンチクリップでホールドをつかみ,右足は穴の中にトゥーフックをきめ,体が振られないようにする。思い切り左手をクラックの中に伸ばし,親指と人差し指でフィンガージャムを決める。体を左へ移動し,右手をクラックに入れ,レイバックの体勢を作る。
36 センタークラック・ダイレクト 5.10+ 10m B3本
・下部の核心部は,1本目のボルトの下にあるホールドを右手のサイドプルでつかみ,左手を斎藤ルートの横ホールドに伸ばして体を引き上げる。右手をクラックに入れ,レイバックの体勢で体を引き上げる。
・センタークラックに左手のハンドジャムをきめ,ハングを越える。ハンドジャムをきめてから,体を横に振って右手でガバホールドをとるところが第2の核心部である。34と37のスタンスは使わない。
35 センタークラック・左 5.10+ 10m B3本
・アンダークリングからフィンガージャム,ヒィールフック,ハイステップと多彩なムーブでハングを越える。
・ハング下を左にトラバースし,センタークラック下部のV字に切れたところで左手から右手にアンダークリングで持ち替る。左手でハング左側奥のガバホールドをとり,右手をクラックに入れフィンガージャムをきかせて,右足で立ち上がる。左足を左手のガバホールドにヒィールフックし,一気に左足で立ち込みハングを越える。
梵天岩(御神酒岩):1年中登れる。冬がベストシーズン
43 月桂冠ルート 5.11− 6m B3本
初登者:細谷克則
(トップロープ) 右側の道を歩いて岩の上に登る。ピナクルを支点にし,懸垂下降し,終了点にロープをセットする。
・緩い前傾壁で,細かいホールドが多く,ランジからアンダークリング,レイバック,パーミングと多彩なムーブで登るテクニカルなルートである。御岩山で一番おもしろいルートである。