出版社からのコメント
音大教授・ヴァイオリニストによる、ヴァイオリンの練習法や演奏法などのお悩み解決書。音色や音程の悩みから腕の動かし方や久しぶりに演奏する際の悩みまで具体的に回答。初心者、子どもから年配の方まで幅広く対応している。
ヴァイオリン専門誌で大好評だった連載をまとめたヴァイオリン上達のための指南書。個人でヴァイオリンレッスンに通っている人、大学オケやアマチュアオケでヴァイオリンを演奏している人、クヮルテットなどでアンサンブルをやっている人、それぞれが陥りやすい失敗点、また悩んでしまう点を「楽譜は読めなくていい!」「不要な音に気づいていこう!」「もう一度、弓との対話を確認!」「腕の形を作るための一つの考え方」など具体的に解決方法を説明している。ピアノに次いで習っている人が多いと言われるヴァイオリン。ヴァイオリンを演奏する人々が共通して抱える悩みを、著名オーケストラのコンサートマスターとして活躍し、現在は音楽大学でプロ奏者の育成に情熱を燃やす著者による、具体的な悩みを解決する方法が満載。
著者からのコメント
かつて「ストリング」という弦楽専門誌がありました。本書(第2巻)は、その「ストリング」に12年2ヶ月にわたって連載してきた「目からウロコのポイントチェック」の中から、2003年の1月号から2005年12月号までの3年間をまとめたものです。
第1巻目と同様、興味を感じるコーナーから読んでいただけるように作ってあります。回を重ね、毎月取材し、原稿を書いているうちに、何度も似たようなパターンに出くわしました。しかし、これはあくまでも“似たような……”であり、決して“同じ……”
ではありません。以前と重なってくる症例でも、受講者の性別、年齢、環境、人柄、などは千差万別で、毎回、光を当てるアングルを変えることによって、それぞれに理解を深めてもらいました。場合によっては同じ到達点を目指しながら、人により、逆のことを提示することがあるほどです。しかし、その都度、私は最後に一つ、様々なパターンでも必ず共通していることを、その時の状況にうまく適応する形になるよう表現を変えて伝えるようになってきていたことに気づきました。
そのテーマは、「ヴァイオリンと意思の疎通を図ろう」というものです。弓の動きを感じ、弓と会話をする。そして、楽器から出てくる音をよく聴く。こんな音を出してみたいと思い、弾いてみると楽器からは違った答えが出てきたりして、そこで、やり取りが始まるのです。
冷静に考えれば、ヴァイオリン自体に自主性があるわけではなく、全ては演奏者から端を発していますが、いわば使っている道具がベストパートナーになっていくことが、スキルアップの秘訣の一つですから、手にしたものを擬人化する考え方は、大切な感覚ではないかと思います。
言うまでもなく、ヴァイオリンは魅力的な楽器です。そして演奏の上達は長い道のりです。しかし、この不可思議な者…と付き合うことによって、生きて行く上で、思わぬメッセージをもらうこともある。そんな付加価値がこの楽器には潜んでいるのです。
本書を読み、実践してみて「やっぱり、やってて良かった!」と思っていただけたら大変幸せです。
版元から一言
東フィルをはじめとする、多くのオーケストラでコンサートマスターを務めてきた著者による、ヴァイオリン上達のための問題解決法が載っています。例えば、「多彩な音色と豊かな音量を出すために」「弦楽合奏のトレーニングより」「小指の上げ下げする筋肉を知っているか?」「チェンジ・ポジションは立体的に」「人差し指の役割を認識しよう!」「左の指は上のほうから!」「オーケストラ弦セクションのトレーニング」「弓に気持ちで負けないこと」「大きな筋肉を意識しよう」といった、誰でもかかえている悩み、中には、いまさら聞くに聞けないという悩みに具体的に回答しています。中には、しばらくヴァイオリンから遠ざかっていた人に向けた「体力減退=テクニック見直しのチャンス!」といった項目も。
また、長年のコンサートマスター経験や、数多くのマチュアオーケストラ指導の経験からのエピソードや、アマチュアオーケストラの楽しみ方、様々なレベルの奏者がいる悩み、長続きさせる秘訣なども紹介されています。
「自分の知っていることは何でも教えます」と言う著者の深山先生。オーケストラの指導をはじめると、音大のオーケストラでも音色が突然変わってくると言われるほどです。その指導の中身がぎゅっと詰まった本の第2弾です。
なお本書には、目的別の索引と作品別索引がついています。
2020年1月 深山尚久
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