『広辞苑第六版』の手塚治虫


佐藤和美


 『広辞苑』が十年ぶりに改定されて発行されました。第六版です。『広辞苑第六版』のキャンペーンの統一テーマは「ことばには、意味がある。」だそうで、広告用ポスターに登場する八人はそれぞれのキーワードの言葉と共に登場、太田光は「笑い」、黒柳徹子は「命」、吉田美和は「愛」、などなど。そして手塚治虫は「夢」です。
 さて『広辞苑』で手塚治虫はどのように書かれているのでしょうか。「手塚治虫」という項目はすでに第五版にあり、このように書かれています。(第六版の内容も同じです。)

手塚治虫
漫画家。本名、治。大阪生まれ。大阪大付属医学専門部卒。映画的手法を駆使し、ストーリー漫画を芸術の域に高めた。アニメーションも制作。作「ジャングル大帝」「鉄腕アトム」「火の鳥」など。(一九二八 一九八九)

「ストーリー漫画を芸術の域に高めた」という好意的な記述になっています。
 第六版では新たに一万項目ほど追加されているそうです。その項目は、いけ面、めっちゃ、食玩、メタボリック症候群、準惑星、ローリングストーンズ、などなど。そんな新たに追加された項目の中に「鉄腕アトム」があります。

鉄腕アトム
少年ロボットの活躍を描いた手塚治虫作の漫画。一九五一年から六八年まで月刊誌「少年」に連載(初めは「アトム大使」)。また、初の国産連続テレビ-アニメとして六三年に放送開始。

百科事典ではなくただの辞典なのだから、「少年ロボットの活躍を描いた手塚治虫作の漫画」程度の記述で我慢すべきなのでしょうね。「初めは「アトム大使」」というのも、筆者の人勉強してるな、と、なぜかうれしくなります。なにより、「鉄腕アトム」という項目が立てられたのは、記念すべきことのように思います。

「手塚ファンmagazine」vol.208(2008年2月29日発行) 掲載
(2008・1・20)




Copyright(C) 2008 Satou Kazumi

BACK