伝言板沖縄関係集




西表島

佐藤和美 (98/06/09 20:20)

 「西表島」は「いりおもてじま」と読みます。沖縄県の最も西のほうにあり、有名な山猫のいる島です。「西」を「いり」と読んでいるわけですが、なぜなんでしょう。

 これは琉球方言になるわけですが、答えは簡単です。それは「東」をなんと言っているかです。「東」は「あがり」なんですね。「東」が「あがり」で、「西」が「いり」。そう、太陽が基準だったんですね。



はじめまして

二重異邦人 (98/07/30 23:46)

はじめまして。今日はじめてきました。おもしろいですねえ。
現在京都で哲学を学ぶ大学生です。
ハンドルネームの「二重異邦人」の由来ですが、わたしは沖縄人と大和人の間の子供です。そのため、沖縄と日本どちらも故郷でもあり、また異郷でもあるということです。
私は、落ち着く場所に行きたいと思っているのですが・・・。
こういう事を考えていると、言葉の壁を痛感するんですよね。
私は日本語〔大和方言〕と琉球語(沖縄方言)を使いますが、
これはナショナリズムと絡んできて、重要なことです。
一人でいろいろ書いてしまいましたが・・・。



沖縄

佐藤和美 (98/07/31 12:04)

 私は日本語と、日本語を取りまく言葉に興味があるもので、中国語と日本語の関係、アイヌ語、沖縄方言等を趣味で勉強しているわけです。

 沖縄方言の話されている地域が、かつての琉球王国の範囲だというのもおもしろいですね。1609年に薩摩軍が琉球を侵略し、そのときに奄美諸島は薩摩領になり、琉球王国も植民地化されたわけですが、このあたりは陳舜臣「琉球の風」に詳しいですね。「琉球の風」はNHKの大河ドラマでやってましたけど、沖縄県ではかなりの視聴率だったそうです。奄美諸島が沖縄方言を使ってるというのが、おもしろいですね。

 本土方言でも薩摩方言とか津軽方言とかありますが、琉球方言でも奄美方言とか与那国方言とかいろいろあります。このへんのことも、そのうちやってみたいですね。

 沖縄には3度行きました。印象深いのはやはり西表島でしょうか。それと首里で聞いたと思うのですが、首里には昭和20年より前のものは(戦火で焼けて)なにも残ってない、というのがおどろきでした。

 沖縄のことはそれほど多くあつかっていませんが、これからも見にきてくださいね。



ぐすく

佐藤和美 (98/08/04 12:07)

 沖縄では「城」は「ぐすく」と読みますね。

 以前、甲子園に出場していたチームで「豊見城」という高校がありましたが、これは「とみしろ」と読んでいました。本当は「とみぐすく」なはずですが、「本土方言」流に「とみしろ」と読まれてしまっているようです。

 沖縄出身のKiroroという音楽の二人組のグループがいますが、「玉城」(たましろ)さんと、「金城」(きんじょう)さんのこの二人は本当は何と読むのでしょうか。「たまぐすく」さんと「かなぐすく」さんだと思うのですが、どうなんでしょうか。

 沖縄の人が本土に来て、「城」を「ぐすく」と読むのを避けるのには、何かわけがあるんでしょうか。ただたんに、本土の人が読めないからだけなんでしょうか。



“飲む(nomu)”について

レオ29 (98/09/13 00:32)

こんなにすごい伝言板があったとは。感激です!
当方、外国語や語源に人一倍興味をもつ、万年青年のオジです。
どうか、よろしく。
さて、日本語の語源には中国語もさりながら、南方から来たものもずいぶん多いと思っています。
これは以前、インドネシアやフィリピンに行った時、自らの体験として出会ったものの一つ。

インドネシア語(&マレー語)“minum”   ミヌム
タガログ語          “inum”   イヌム
沖縄方言(古代日本語)     “num”?   ヌム?
現代日本語           “nom(u)” ノム
これで良いでしょうか。沖縄<U>→大和<O>と、書いておられましたので。

他にも“potong”(ポトン→『〔切って〕落とす』)や
“suka”(スカ→『好き』)
“anda”(アンダ→『あなた』)等、いっぱいありそうです。



飲む

佐藤和美 (98/09/13 17:10)

 「飲む」ですが、
村山七郎「ことばの考古学」(朝日出版社)には次のように書かれています。
「飲む 原南洋語inum(飲む)に対応。タガログ語inom(飲む)参照。」
(inumは推定形)

これが正しいのかどうか、私には何ともいえませんが、定説にはなっていないと思います。

この本で他に原南洋語と対応するとしているのは、
網、烏賊、青、白、ハネ
等、いろいろあります。

なお「飲む」は沖縄方言では「ヌムン」になります。沖縄方言では動詞の語尾には「ン」がつきます。「書く」が「カチュン」で、「読む」が「ユムン」、等です。



“まかな(賄)う、まかない”について

レオ29 (98/09/14 23:34)

沖縄方言では「飲む」は「ヌムン」だったのですね。これでつながりました。有難うございます。
今度は、「食べる」方の(飲食ばかりですみません)南洋語で、やはり印尼語では動詞:makan(マカン:食べる)→名詞:makanan(マカナン:食べ物)
と言いますが(タガログ語は不明)、これが日本語での「まかなう」「まかない」(意味は、ずれますが…)の語源のように思えて仕方がありません。

飲むとか食う(こっちの方が一般的か?)といった言葉は、おいそれとは変化しにくいのでは?との勝手な思い込みからです。何か分かれば、また、教えて下さい。



食べる

佐藤和美 (98/09/15 19:32)

 「食べる」ですが、沖縄方言では「カムン」になります。

 で、前回引用した村山七郎「ことばの考古学」(朝日出版社)には次のように書かれています。
「かむ(噛む) 九州・琉球方言でカムは「食べる」。カは原南洋語ka(食物。食べる)に対応。ムは活用語尾。」
(kaは推定形)

 インドネシア語では「makan」だそうですが、ここに書いてある「ka」と関連があるとすれば、いろいろ見えてきそうですね。



O→Uか、U→Oか

佐藤和美 (98/10/01 12:03)

 「心」を本土方言で「こころ」、琉球方言で「くくる」と言います。
このあたりは「ウチナーグチ 沖縄の言葉」でもふれました。
ではOがUにかわったのでしょうか、UがOにかわったのでしょうか。

「雲」は本土方言で「くも」、琉球方言で「くむ」と言います。
このことから、OがUにかわったのがわかります。

なぜなら、UがOにかわったのなら、本土方言では「こも」になっているはずだからです。



沖縄の方言について

NIKI  (99/04/20 00:12)

沖縄にて、沖縄方言についての情報を入手したのでお知らせします。
いわく「以外に沖縄と日本の言葉ってにているんだよ」
とのことで以下の例を教えていただけました。
沖縄方言で「あなた」のことを「うんじゅ-」といいますが、これは雲上(うんじょう)が訛った言葉だそうです。あなたのことを「雲の上の方」と表現するなんて、とても素敵なお国言葉ですね。
また、「いらっしゃいませ」を「めんそ-れ-」といいますが、これは「面会相来」(めんかいそうらい)がなまった言葉だそうです。
言葉の成り立ちっておもしろいですね。
わたしが教えていただいたのはこれだけですが、他にご存知の方いらっしゃいますか?
興味があるので教えてください。



沖縄方言

佐藤和美 (99/04/20 08:48)

 沖縄方言に関してはとりあえず「日本語とその周辺」の「ウチナーグチ 沖縄の言葉」に目を通してみてください。

伝言板にも書きこみがあります。
以下の日付を見てみてください。
98/06/09 西表島
98/07/30 はじめまして
98/07/31 沖縄
98/08/04 ぐすく
98/09/13 “飲む(nomu)”について
98/09/13 飲む
98/09/14 “まかな(賄)う、まかない”について
98/09/15 食べる
98/10/01 O→Uか、U→Oか

これ以外になにか質問があるのなら、具体的に書きこんでもらえばいいかと思います。



ふむふむなるほど

NIKI (99/04/20 23:48)

さっそくいろいろと伝言を読ませていただきました。そして佐藤さんの伝言をもとにもう一度日本語の周辺「ウチナ-グチ」を読ませていただき さらに納得。今日のお昼もこの話題で盛りあがったのですが、東京から距離が遠くなるほど、歴史のある言葉を使っているのかも なんて意見もでました。話はかわるのですが、先週、沖縄の水納島という本土から高速艇で15分のところへいってきました。そこの島民の方が言うには水納島の目の前にある伊江島は(高速艇で5分くらい)いまだに互いの島の方言が通じないそうです。
昔は手こぎしか 行く手段が無く、言葉がどんどんかわっていったのだとのことです。
しかし、こうやって佐藤さんのhpを読んでいると、言葉の分化のル-ツがつかめ
さらにふむふむなるほど と勉強することができます
どうもありがとうございました。



方言周圏論

佐藤和美 (99/04/21 08:54)

NIKIさんwrote
>東京から距離が遠くなるほど、歴史のある言葉を使っているのかも なんて意見もでました。

このことに関しては文庫で次の二冊があります。
柳田国男「蝸牛考」(岩波文庫)
松本修「全国アホ・バカ分布考」(新潮文庫)

「全国アホ・バカ分布考」はなかなかおもしろい一冊でした。
「アホ・バカ」を意味する言葉の全国分布を調べると、
畿内が新しい言葉を使っていて、畿内から離れれば離れるほど古い言葉になる。
そのいうことを調査した本です。

「蝸牛考」は「カタツムリ」を意味する言葉を調査した本です。
日本で最初に方言周圏論(言語地理学)を提唱した本です。



どうしてなんだろう

ルーカス (99/08/05 20:49)

佐藤さん、
沖縄方言についていろいろ勉強になりました。僕は、宮古の伊良部島出身ですがどうしても理解できないのが、小さな伊良部島に大きく分けて2つの方言に分かれていることです。北部落の佐良浜部落は、H音が良く使われ、北部落の伊良部部落は、F音が良く使われます。それに、イントネーションとかぜんぜん違います。部落の間は約4キロしか離れていないのにいつもどうしてだろうと思っています。
アロハ フロム ハワイ



琉球方言の宮古方言

佐藤和美 (99/08/07 11:37)

ルーカスさん、はじめまして
最近では私のHPの中では「ウチナーグチ 沖縄の言葉」が一番アクセスされてるようで、うれしく思っていたところです。

琉球方言を分類すると以下のようになります。

琉球方言 奄美・沖縄方言 奄美方言 奄美大島方言
喜界島方言
徳之島方言
沖永良部島方言
与論島方言
沖縄方言 沖縄北部方言
沖縄南部方言
宮古・八重山方言 宮古方言 宮古島方言
伊良部島方言
多良間島方言
八重山方言 石垣島方言
竹富島方言
小浜島方言
新城島方言
波照間島方言
西表島方言
鳩間島方言
黒島島方言
与那国方言    

次に宮古方言です。
「宮古方言は、宮古島とその離島の伊良部島、池間島、大神島、来間島、多良間島、水納島に行なわれている。この方言は、大きく宮古島方言と伊良部島方言と多良間島方言に分かれるが、池間島、大神島も特徴的な面をもっている。多良間島方言は、島がある時期に八重山に服属した時代があったので、より八重山方言に通じる面をもっている。そのほか、組踊と呼ばれる劇文学の中で文語的な首里方言を伝えているのも一つの特徴である。宮古島の中心地である平良で使われる平良方言が宮古方言の標準語であるが、平良方言の通ずるのは宮古島、池間島、大神島、来間島くらいまでで、伊良部島、多良間島になるとほとんど通じにくい。」

(外間守善「沖縄の言葉」を参考にしました)

伊良部島の中で、方言差があるとのことですが、
海などの自然の障害物があるわけでもないし、
一度、伊良部島の歴史を調べてみるとおもしろい発見があるかもしれませんね。
多良間島方言も八重山に服属した時期があるため、ちょっと宮古方言と差があるようなので、伊良部島の歴史でもなにかあるかもしれませんね。



教えてください

きっく (99/09/10 10:07)

沖縄の方言だと思います。
“クムイウタ”
“クワァームイ”
“ヤミー”
知っているかたいらっしゃいましたら、教えてください。
それから、ウージってさとうきびだと思うんですが、風に揺れるとき普通の草とおなじよう
にざわざわ揺れるだけですよね。
特別な音色なんてだしたりするのでしょうか????



RE:教えてください

佐藤和美 (99/09/11 07:17)

手元に国立国語研究所編「沖縄語辞典」があるので、
この本からひろってみました。
(ちなみにこの辞典は首里方言の辞典です。)

「クムイウタ」は出てないです。
近そうなのでは
「クムイ」池・沼、曇
「クムイバタ」池の端
「ウタ」歌

「クワァームイ」も出てないです。
「クワー」は過(過ぎる、「過」の音読みの旧かなは「クワ」)、桑。
「ムイ」は丘・山。接尾辞で様・殿。

「ヤミー」は二日酔い。

「ウージ」は「サトウキビ」でいいですね。

サトウキビの音?
森山良子の歌「サトウキビ畑」の一節では、サトウキビ畑の音を「ザワワザワワ」って、擬音で表してましたよね?



ありがとうございました

きっく (99/09/14 12:07)

佐藤さん、ありがとうございました。
いきなり、あのようなぶしつけな質問を書き込んでしまい、申し訳ありません。

あの分からない言葉は、沖縄出身の歌手が作った歌を聴いていましたときに、出てきたもの
でした。 さとうきびの音は普通で考えれば、多分ざわざわでいいと思いましたが、ひょっ
として、沖縄のかたはさとうきびの音を違う意味で捉えているのではと疑問が生じまして、
あのような質問になってしまったわけです。

かくもくだくだしい言い訳となってしまいました。
かさねがさね申し訳ありません、本当にありがとうございました。
これからも多彩なホームページ楽しく拝見させていただきます。



はじめまして

南の島の男 (2001/02/24 06:01)

はじめまして、たまたま見かけました。
クムイウタ、
クワァームイ、
ヤミーの意味はですね
1、クムイウタ=子守歌
2、クワァームイ=子守り
3.ヤミー=痛い  と言う意味になります。
3のヤミーですがヤミー=ヤムンとも言います。
かなり前の伝言板に書いてありましたが、もし必要無ければ削除お願いします。



沖縄方言の動詞の語尾

佐藤和美 (99/09/24 09:39)

沖縄方言の動詞の語尾には「ン」がつきます。
読む ユムン
書く カチュン
この「ン」はなんなのか?
動詞の語尾には「居る」がついて、
「読む」が「読み・居る」で、「ユムン」
「書く」が「書き・居る」で、「カチュン」

そういうことだそうです。



古典語の残存について

佐藤由美 (99/10/20 02:08)

私は卒業論文である特殊な動詞について勉強しているのですが
その動詞が古典語で、助動詞を使い分けているというデータがあります
例 降る→降りつ
  経る→経ぬ こちらのタイプの動詞 非対格動詞といいます

「つ」と「ぬ」の使い分けが行われているわけですが、現在でも、このような
助動詞が、方言のなかに残っているかどうかという可能性を、探りたいわけです
(あくまで動詞を調べているのですが)
もし残っているとすれば、『は』行のことでもそうですが、(そうでしたよね?)
本土から分断されている沖縄地方とか庄内地方などに限定されるのでは
と思っているのですが、そういう方言を探すのはちょっと大変です
心当たりがありましたら教えていただけないでしょうか
(説明が下手で申し訳ないです・・・)また書きこむかもしれません



沖縄方言

佐藤和美 (99/10/22 12:35)

佐藤由美さんwrote
>もし残っているとすれば、『は』行のことでもそうですが、(そうでしたよね?)
>本土から分断されている沖縄地方とか庄内地方などに限定されるのでは
>と思っているのですが、そういう方言を探すのはちょっと大変です
>心当たりがありましたら教えていただけないでしょうか

直接のこころあたりはありません。
沖縄方言は本土方言でなくなったものがけっこう残ってます。
場所によってはハ行音の子音として「p」が残ってたりします。
(本土方言では万葉時代には「p」ではなかったというのに)
一口に沖縄方言といっても実際はかなり細かく分化してます。
それこそ、島ごとに方言があるといえるかもしれません。
やはり遠い八重山あたりに古いものが残ってるような気がします。
方言周圏論の考えからいっても、最も古いのが残ってそうなのは、畿内から最も離れてる八重山ですよね。
ところで、私は八重山方言・与那国方言の資料は全然持ってません。
このあたりのことを調べようとしたら、かなり大きな図書館とか(国立国会図書館みたいな)、言語専門の古書店とかにでも行かないと資料がないかもしれませんね。
それとも大学の図書館にありそうですか?



八重山でしょうかね・・・

佐藤由美   (99/10/22 22:56)

お返事ありがとうございました
難しい質問に答えていただいて、恐縮です
八重山ですか・・・
聞いた所によると、琉球大学の宮良信詳教授が、八重山の方言について本を
お書きになられたそうですのでそこらへんもあたって調べてみようかと思っています
私は言語学をやっていて、とてもおもしろい学問なのですが、
文献が日本では限られるのでちょっと苦労しそうです
英語の論文ならたくさんあるんですが 
では



沖縄の言語について

スズキ (99/12/04 23:43)

はじめまして。とても面白いHPで、あちこち拝見していたらだいぶ時間がたってしまいました。

さて、無知をさらけ出すようですが、沖縄の言語について、一つ基本的な質問させていただきます。
沖縄の言語は解説されていた様に、表現や発音がいわゆる標準語とは多分に違うようです。(沖縄の話し言葉をひらがな、もしくはカタカナで書かれたものをみると、どうも私のなじんでいる日本語とはかけ離れて見えるときもあります。)
沖縄の言語が本土の言語から独立したものになっていった過程で、沖縄独自の文字や表記法というものは生まれなかったのでしょうか?古代からの沖縄の文献において使われていた言語は、同じ時代に本土の文献に使われていた言語と同じだったのでしょうか…表記は同じだが発音の異なる、北京語と広東語の関係のように?

…突然やってきて、長々と書いてしまってすみません。もしよろしければご返答お願いします。



沖縄の文字

佐藤和美 (99/12/07 12:31)

沖縄の文字ですが、細かいことを除けば、
本土と同じ漢字と仮名です。
(一部にはインカみたいな縄での情報伝達とか、
絵文字みたいなのもあったようですが)



奄美の言葉

s.k (2000/01/07 14:19)

私の祖母は徳之島に住んでいます。
小さいときからよく遊びに行っていて、生まれ育ったわけではないですが
故郷のようなところです。
今、出版社に働いています。
大好きな奄美の本をいつか作りたいなあ、と思っています。
ところで、奄美の言葉って、とても丁寧で、
高校時代に勉強した古典の万葉言葉に似ているような気がします。



沖縄方言の中の古語

佐藤和美 (2000/01/11 12:35)

s.kさんwrote
>私の祖母は徳之島に住んでいます。
徳之島方言は琉球方言の奄美・沖縄方言の奄美方言に属しますね。

>ところで、奄美の言葉って、とても丁寧で、
>高校時代に勉強した古典の万葉言葉に似ているような気がします。

このHPで琉球方言に古語が残っているという話は何回か書いたことがあると思いますが、具体的な単語を挙げたことはなかったかな?

で、具体的に単語の話をしてみましょう。

沖縄の挨拶で「チャービラ」というのがあります。
沖縄方言で「キ」は「チ」になります。(例、「アキ」(秋)→「アチ」)
「エ」は「イ」になります。(例、「アメ」(雨)→「アミ」)
それで、「チャービラ」の語源ですが、
「来侍ら」だというんですね。
「きはべら」が「ちはびら」になり、「チャービラ」になったというわけです。
「侍る」って、本土方言では古文の時間に出てくるだけですよね。



教えてくださいな。

N先生 (2000/01/21 11:22)

はじめまして、小学校の社会で沖縄のことを学習していて、このページを見ました。岐阜県の小学校です。沖縄の方言について、児童からの質問に答えていただきたいのですが・・・
質問その1 おはよう こんにちわ さようならなどのあいさつを教えてください
なかなか子供にわかりやすい資料がなくて困っています。お願いします。



沖縄のあいさつ言葉

佐藤和美 (2000/01/24 09:23)

>沖縄の方言について、児童からの質問に答えていただきたいのですが・・・
>おはよう こんにちわ さようならなどのあいさつを教えてください

国立国語研究所編「沖縄語辞典」からあいさつの言葉をひろってみました。
(この辞典は首里方言の辞典です)

ハジミティ     はじめまして(目下へ)
デエビル      はじめまして(目上へ)
チュウ       こんにちは(目下へ)
ウガナビラ     こんにちは(目上へ)
アッチュミ     元気か(目下へ)
ワアチミセエビイミ 元気ですか(目上へ)
ブリイ       失礼
グブリイ      失礼(ブリイの敬語)
ウブクイ ミセエビイティイ お元気でいらっしゃいましたか
ウブクイガナシイ ワアミセエビイミ 御機嫌よろしゅういらっしゃいますか(貴族へ)



ありがとう さとうかずみさん

かおり ゆうみ (2000/01/27 14:36)

 あいさつの言葉をとてもよくわかる文章で教えてくれてありがとうございました。 かおり
 また教えてほしいときがあったら、また教えてください。 ゆうみ

 子ども達大変喜んでくれました。ありがとうございました。また何かありましたらよろしくお願いします。
    さおり先生



おもろさうし

佐藤和美 (2000/03/24 12:39)

岩波文庫で「おもろさうし」(上)がでました。(全二巻の予定)
沖縄と琉球方言に関心のある方は是非手にとってみてください。
「沖縄・奄美の島々に伝わる古謡ウムイを、首里王府が、十六世紀から十七世紀にかけて採録、 形式を整えて編集した歌謡集。古事記・万葉集・祝詞を合わせたものにあたる沖縄最大の古典。 オモロはウムイ(思ひ)が語形変化したもの。」



沖縄語の入門

佐藤和美 (2000/06/02 12:53)

白水社といえば「エクスプレスXXX語」シリーズなどを出してる出版社ですが、
その白水社からついに出ました。

西岡敏・仲原穣「沖縄語の入門」

今まで、沖縄の言葉を勉強しようとしても、手ごろな本がなかったんですが、
ウチナーグチ(沖縄口)の第一歩はこの本からってとこでしょうか。

イタリア人がフランス語を勉強するように、
ヤマトゥンチュ(大和人)もウチナーグチ勉強してみましょうね。



沖縄の励ましの言葉は?

福島春人 (2000/06/09 10:36)

はじめまして。実は,私の応援するサッカーチームに沖縄出身の若者がいるので,
励ましの言葉を添えた横断幕を作りたいのですが,どんな言葉がよいでしょうか,
どなたかアドバイスお願いします。私が知っているのは『チバリヨー』くらいなの
ですが・・・
 どなたかアドバイスのメール下さい。宜しくお願いします。



RE:沖縄の励ましの言葉は?

佐藤和美 (2000/06/12 12:49)

福島さん
>実は,私の応援するサッカーチームに沖縄出身の若者がいるので,
>励ましの言葉を添えた横断幕を作りたいのですが,どんな言葉がよいでしょうか,
>どなたかアドバイスお願いします。私が知っているのは『チバリヨー』くらいなの
>ですが・・・

「チバリヨー」は「キバレヨー」で、「ガンガレヨ」ってことですね。
ところで、サッカーってなんて言って応援するんでしょう?
思いつかない。(^^);



よくある励ましの言葉は・・・

福島春人 (2000/06/13 18:05)

レスいただきありがとうございます。
サッカーの横断幕にある励ましの言葉は
多くが4文字熟語です。疾風迅雷とか難攻不落
といった具合に。
我那覇選手は攻撃の選手なのでそれに合ったも
のが良いと思っています。それに熟語ではなく
「それいけ!」とか「攻めろ!」といった意味
のものがあればうれしいのですが。



シミリヨー

佐藤和美 (2000/06/22 12:47)

すっかり遅くなってしまいました。

>「それいけ!」とか「攻めろ!」といった意味
>のものがあればうれしいのですが。

あたり前のことですが、辞典には終止形しか載ってません。
命令形を調べるのって、なかなか難しいですね。
買ったばかりの「沖縄語の入門」で活用を勉強して
命令形を調べました。

「攻める」が「シミユン」
これは辞典で簡単にわかりました。
(以下、全て首里方言での話です。)

「見せる」は「ミシユン」
「沖縄語の入門」には「見せろ」は「ミシリ」だとあります。

これから考えると、「攻めろ」は「シミリ」のようですね。
これに「ヨー」をつければ、
「攻めろよ」→「シミリヨー」ということになります。



こんにちは...

ゆうすけ (2000/09/05 10:18)

ハイサイ、チューガナビラ。滋賀県在住のゆうすけです。
年末に沖縄に引越すことになり、娘が言葉に感心を持つようになりました。そんな中で佐藤さんのサイトに辿り着いたのです。古い掲示板の話題ですが「グスク」と伊良部島の事で参考になればと思い投稿します。
「城」という字を「グスク」と読むのは、ケースバイケースで、特に人名では「シロ」と呼ぶ場合が多いらしいですよ。城跡の地名などでは「グスク」が一般的ですが、例の豊見城も村名では「トミシロ」で、城跡は「グスク」と呼んでます。人名では「ジョウ」や「シロ」と呼ぶことが多いと聞きますが、ちなみに有名な沖縄映画「ナビィの恋」の主人公は「東金城」とかいて「アガリカナグスク」と呼んでました... 。
伊良部島の件ですが、北部集落は漁業中心で池間島からの移住者、南部は農業中心で宮古島の野崎村の移住者が集落を育てたそうです。僕も実際に行ってみましたが、同じ島内とはいえ、別世界でした。



沖縄の地名・人名

佐藤和美 (2000/09/07 12:45)

「沖縄語の入門」(白水社)に沖縄の地名・人名の沖縄方言での発音が出てるのでその一部を紹介します。
興味深いですね。

金城 カナグシク
玉城 タマグシク
島袋 シマブク
外間 フカマ

那覇 ナーファ
知念 チニン
豊見城 ティミグシク
名護 ナグ
今帰仁 ナチジン
首里 スイ
嘉手納 カディナー
渡嘉敷 トゥカシチ
竹富 ダキドゥン
八重山 エェーマ



太陽の子(てだのふあ)

佐藤和美 (2000/10/02 12:41)

「太陽の子」っていう小説があります。
冒頭に「太陽の子」を沖縄方言で言うと「てだのふあ」って言うというようなことが書いてあります。
でもまてよ。沖縄方言では「e」とか「o」はないはずだけど、「てだ」の「て」とか「の」ってなに?
実は「てだ」はマチガイです。正しくは「ティーダ」です。
「の」も正しくは「ヌ」
「ふあ」はなにかよくわかりません。
「子」は「ック」だけど、「ック」を「ふあ」にまちがえた?
「てだのふあ」は正しくは「ティーダヌック」だということになりますね。

沖縄方言の「ティ」、「ディ」、「トゥ」、「ドゥ」などは「テ」、「デ」、「ト」、「ド」と書かれてしまうことがあるので注意が必要です。



おしえて!!

おさる (2000/10/17 05:07)

江戸時代からあるじゃんけんを今も沖縄で使っていると聞きました.「かえる」「へび」「なめくじ」の三つを使ったじゃんけんの掛け声をぜひ教えてください。お願いします。



虫拳

佐藤和美 (2000/10/18 12:39)

まずは「大辞林」からです。
むしけん【虫拳】
拳の一種。親指を蛙(かえる)、人差し指を蛇、小指を蛞蝓(なめくじ)とし、蛙は蛇に、蛇は蛞蝓に、蛞蝓は蛙にそれぞれ負けるという決まりで勝負を争う。

次は国立国語研究所編「沖縄語辞典」からです。
ブーサー
じゃんけんの一種。虫けん。日本本土の虫けんとは逆で、親指は人さし指に、人さし指は小指に、小指は親指に勝つ。子供は一本勝負、おとなは二本勝負で事を決する場合が多い。酒宴などで興を増すために行ない、負けた者が酒を飲まされたりする。ブーサーガナシー(菩薩)が、親指・人さし指・小指の三本を出しているので、それに由来する語だという説がある。

掛け声はわかりませんでした。



虫拳

おさる (2000/10/18 22:19)

佐藤さんありがとうございました。
「ブーサー」ということが分かって,また,一歩前進しました.
 「虫拳」の三すくみの関係で,なぜ,なめくじがへびに勝って,へびが,かえるに勝って,かえるがなめくじに勝つのか分かりません。もし、その理由をどなたかご存知でしたら,これについても教えてください。



ブーサー

佐藤和美 (2000/10/19 20:56)

ブーサーの掛け声を見つけました。
半田一郎編著「琉球語辞典」大学書林
(¥3万円+税!)
「ブーサー」の項で見つけました。
「ブーサー(ッ)シ!」
でした。



Re:ブーサー

おさる (2000/10/20 04:11)

ありがとうございます!!うれしいーーーーーーーー!
どうしても,この掛け声を知りたかったのです.よく調べてくださいました.本屋さんか図書館で見てくださったのですか?気にかけていただいてありがとうございました.
これで,沖縄のじゃんけんが楽しめそうです!!(とっても、高いお値段ですが,まさか自分持ちではないですよね?・・・)



虫拳と三竦み

佐藤和美 (2000/10/23 08:21)

「虫拳」は当然「三竦み」と関係あるんでしょうが、三竦みのルーツとなると「?」ですね。
蛇がナメグジを嫌いだというのは俗説だと思うんですがこれもよくわかりません。

「大辞林」から。
さんすくみ【三竦み】
(1)蛙(かえる)は蛇を、蛇はナメクジを、ナメクジは蛙を、それぞれ恐れてすくむこと。
(2)三者が互いに牽制(けんせい)しあって、だれも動き出せないこと。「―の状態」



Re:虫拳と三竦み

のんきぃ (2000/10/23 17:16)

じゃんけんについての考察はこのサイトに詳しいです。
http://www.netlaputa.ne.jp/~tokyo3/

三竦みについての起源も調べてあって面白いですよ。



Re:Re:虫拳と三竦み

のんきぃ (2000/10/23 17:18)

すいません。一文入れ忘れました。
下に記したサイトの「じゃんけん」を見てください。



三すくみについて・・・。

おさる (2000/10/25 23:00)

虫拳については、本当の三すくみの理由は,はっきりとはまだわかっていません.《のんきぃさん,あのサイト私も見ました.おもしろいですよね。)
ただ、お年を召した方に尋ねると、「蛇は,絶対になめくじが歩いた後は,通りたがらない。」と言われるのです.へびは、体のうろこで歩いているので,なめくじが通ったあとにできるあのぬるぬるの上を滑って通れないと言われるのです。さすが,昔の人!!
 皆さんのおかげで色々なことが分かりました.ありがとうございました.
 佐藤さんは,本当に色々な言葉に詳しいですね。



Re:三すくみについて・・・。

松茸 (2000/10/27 10:57)

To Mr."おさる":
 三すくみの起源について:
http://www.benkei.com/aigonokai/yasugiken.html
なるページを検索しました。
 しかし「紀元前400年〜前200年頃中国の寓話」と言われても、沢山ありますね……。



沖縄の言葉と歴史

佐藤和美 (2000/10/24 11:17)

中公文庫の新刊です。
「沖縄の言葉と歴史」

先月「日本語の世界」シリーズが中公文庫で文庫化されてることを書きましたが、この本は「日本語の世界9・沖縄の言葉」を改題して文庫化したものです。沖縄方言に興味のある人は是非どうぞ、



タンメーについて

償 (2000/12/13 13:06)

沖縄のある地方では村の古老(男)のことを
タンメーというそうですが、それって中国語でしょうか
どなたか教えて下さい
 私としては、タンメーのタンが読谷(ユンタン)のタンや、北谷(チャタン)のタン
につながればおもしろいと思っています。



RE:タンメーについて

佐藤和美 (2000/12/14 12:39)

まずは琉球大学の「琉球語音声データベース」
http://ryukyu-lang.lib.u-ryukyu.ac.jp/
の「首里・那覇方言」から。
タンメー (名詞) 士族の祖父。また、士族の老翁。おじいさん。平民の祖父はウスメー usjumee 『 [御主前] という。』

次は西岡敏・仲原穣「沖縄語の入門」白水社から。
父:ターリーtaarii……中国語の「大人(ターレン)」からの転化。
祖父:タンメーtaNmee……ターリーに尊敬の意を表わすメーmee(前)がついた「ターリーメー」からの転化。

>私としては、タンメーのタンが読谷(ユンタン)のタンや、北谷(チャタン)のタン
>につながればおもしろいと思っています。
その「タン」は「谷(タニ)」なので、「タンメー」の「タン」とは無関係ですね。



佐藤さんありがとうございました。

償 (2000/12/14 14:44)

もっと調べる努力をしてから
質問します。



チュラサン

佐藤和美 (2001/01/27 08:25)

四月からのNHKの朝の連ドラの題名は「ちゅらさん」
沖縄方言で「美しい。きれいである。」
今度の舞台は沖縄ですか。



ちゅらさん

佐藤和美 (2001/04/19 21:10)

「チュラサン」(2001/01/27 08:25)佐藤和美wrote
>四月からのNHKの朝の連ドラの題名は「ちゅらさん」
>沖縄方言で「美しい。きれいである。」
>今度の舞台は沖縄ですか。

「ちゅらさん」ですが、
西岡敏・仲原穣「沖縄語の入門」(白水社)で以下の記述を見つけました。

代表的な沖縄語のひとつ、「チュラサ」(終止形はチュラサン)は<美しい>という意味で、ヤマトの「清(きよ)らさ」とつながっています。三母音の原則からすると、「きよらさkiyorasa」はキユラサとなるはずですが、実際にはチュラサchurasaですし、また「時toki」もトゥチtuchiになっています。このように、ヤマトのkにchが対応している例はたくさんあります。これは、沖縄語とヤマトの言葉との歴史的な関係を反映しているらしいのです。沖縄語ではかなり昔にケがキに変化したと考えられるのですが(エ→イの母音変化)、そうなると、ケから変化したキと、もともとのキとが一緒になってしまいます。これを避けるために、もともとのキの子音kがchに変わったのではないかと推定されるのです。
 このように母音iの前後で子音が変化することを「口蓋化」といいます。kがchになる以外では、gがj、tがch、dがjになります。
 クギkugi<釘>→クジkuji
 シタshita<下>→シチャshicha
 アシダ'ashida<足駄、下駄のこと>→アシジャ'ashija



マヤイルルス・イリオモテンシス

佐藤和美 (2001/03/06 12:48)

「マヤイルルス・イリオモテンシス」(Mayailurus iriomotensis)
「西表山猫」の学名です。
「マヤイルルス」の意味ですが、
マヤーは琉球方言で猫という意味です。
琉球方言が使われてるのがいいですね。

イルルスもギリシア語かラテン語で「猫」か「山猫」だったと思うんですが、
どうも確認できませんでした。
情報ある方、いらっしゃるでしょうか?



アイルルス

坂梨 (2001/03/06 16:14)

>>佐藤さん
英語で「猫」を表す連結形はailur(o)-, ailour(o)-, aelur(o)-
ですが、Chambers Dictionaryの語源欄に<ギリシャ語「猫」ailouros>
とありました。イルルスではなくアイルルス=猫と考えた方がいいかもしれ
ません。



ラテン語で「猫」は?

田邉露影 (2001/03/07 00:29)

>佐藤さん
坂梨さんのおっしゃる通り、
猫はラテン語で“aelurus”(o語幹)です。



教えて下さい

湖乃ほとり (2001/03/18 00:00)

沖縄の言語で「ティーダ」と「ユウナ」ってどういう意味を持つんですか?
http://www.jttk.zaq.ne.jp/hotori/tukimatikou.html



RE:教えて下さい

佐藤和美 (2001/03/20 08:44)

湖乃ほとりさん
>沖縄の言語で「ティーダ」と「ユウナ」ってどういう意味を持つんですか?

国立国語研究所「沖縄語辞典」(大蔵省印刷局)からです。

tiida 太陽。お日さま。日輪。
'juuna 植物名。はまぼう。おおはまぼう。しまはまぼう。黄槿。あおい科の灌木。花は黄色、葉は円形で厚く、農村で食物をのせたり、ちりがみの代用にしたりする。

「?」声門破裂音伴う
「'」声門破裂音伴わない
長母音は母音を重ねて表記する



子守唄

島村 冬子 (2001/05/29 03:36)

はじめまして。
こちらのホームページを拝見させていただきまして、
新鮮な知識の刺激で目が覚める思いです。
沖縄の方言のページは大変興味ぶかいです。
だいぶ前のかきこみで、
クムイウタがこもりうたとなっているのを読みましてなるほどと思いました。
o→u となり、
首里をスイと発音することから、
りの子音は脱落するのかなと勝手に仮説を立ててみたのです。
komoriuta→kumuiuta
言葉を考えるというのは本当に奥深く面白いことですね。
これからもよく勉強していきたいと思います。



沖縄方言の「リ」

佐藤和美 (2001/05/30 12:05)

島村さん、はじめまして。

沖縄方言の「リ」ですが、
西岡敏・仲原穣「沖縄語の入門」(白水社)
に、次のように書いてあります。
「沖縄語ではヤマトのレreがリriになり、リriがイiになります。ri→iの変化は(中略)もともとの「リ」と、「レ」から変化してできた新しい「リ」とを区別しようとする力が働いてrの脱落が起こったと考えられます。
  トリ(鳥)→トゥイtui
  アリ(蟻)→アイ'ai
  クダリ(下り)→クダイkudai
  オドリ(踊り)→ウゥドゥイwudui
*ただし、riの前の母音がiのときはrは脱落しません。(キリ(霧)→チリchiri)」



これであってますかぁ?

みお (2001/06/25 06:45)

はじめまして。みおと申しますぅ。
『美海』ちゅらうみ。。。これは、美しい海、綺麗な海という意味であってますかぁ?
また。。。『海人』うみんちゅ。。。これは、どー理解すればいいのでしょうかぁ?
また、沖縄のどの地域の子駑馬なのか。。。教えてくださぃ。よろしくぅ(^o^)/



RE:これであってますかぁ?

佐藤和美 (2001/06/25 12:05)

琉球大学・琉球語音声データベース
http://ryukyu-lang.lib.u-ryukyu.ac.jp/

↑これの「首里・那覇方言音声データベース」で検索してみました。

ウミンチュー
漁師。漁夫。海の人の意。

チュラ
(接頭辞) 美しい・盛大な・立派ななどの意を表す。チュラジン curaziN (美しい着物)、チュラヲィナグ curawinagu(美女)、チュラウダビ curaudabi(盛大な葬式)など。

ウミ
(名詞) 海。ウミ アッチュン。umi aQcuN。海を行く。航海する。また、船乗りを業とする。また、漁師をする。



教えてください。

kumanesir (2001/07/12 12:13)

kumanesirと申します。
最近、沖縄語を学習しているのですが、わからないことがあります。

「大隅風土記」にある、ただ一つの意味が明らかな、隼人(はやと)の言語の単語、「海中之州」を表す「必至」なる単語が、琉球諸方言に広く分布しているラグーンをとりまく珊瑚礁を意味する単語hwisi(首里方言)に対応すると言語学大辞典にありますが、浅学の私には意味がよくわかりません。どなか、わかりやすく教えてもらえますか?「海中之州」や「必至」もどう読みのか、わかりません。



RE:教えてください。

佐藤和美 (2001/07/12 13:02)

Web上には琉球語の辞典が存在します。
琉球大学の「琉球語音声データベース」
http://ryukyu-lang.lib.u-ryukyu.ac.jp/
です。
その「首里・那覇方言」で調べてみました。

琉球語での「hwisi」の仮名表記は「フィシ」です。
「フィシ」で検索すると、以下のとおりでした。

フィシ
(名詞) 満潮の時は隠れ、干潮になると現れる岩礁や州。大隅風土記の「海中之州者隼人俗語云必至」の「必至(ひっし) と比較される。フィシニ ヲゥル トゥイヤ ミチス ウラミユイ、ワミヤ アカチチヌ トゥイドゥ ウラミユル。Hwisini 'uru tuija micisju uramijui、'wamija akaCicinu tuidu uramijuru.[干潮に居る鳥や 満潮恨みゆい 我身や暁の 鳥ど恨みゆる] 沖の岩礁にいる鳥は満潮を恨むが、わたしは恋人との別れを知らせるあかつきの鳥が恨めしい。



必至

poronup (2001/07/12 13:26)

「海中之州」は「かいちゅうのす」じゃないでしょうか。
川にある、砂が堆積してできた島のような陸地を「中州(なかす)」と言いますよね?
その「州」は、日本語の古語で、海や川の中にあるような陸地のことを言うようです。

そして、海にある「州」を、隼人は「必至」と読んでいた、ということです。実際の発音は、おそらく「フィ(ッ)シ」もしくは「ピ(ッ)シ」と聞こえたのでしょう。その音に漢字を当てはめて「必至」と書いているのだと思います。

珊瑚礁って、海中にある陸地のようなものですから、意味的に近いですよね?

ちなみに知里真志保は『アイヌ語地名小辞典』のpisの項に、このpsiがこの「必至」と関連の可能性を指摘しています。どうなんでしょうね。



岩礁?珊瑚礁?

poronup (2001/07/12 13:44)

投稿したら佐藤さんの投稿がありました。^^

kumanesirさん、言語学大辞典、私も確認してみますが、「フィシ」は、首里方言でも「珊瑚礁」の意味だと書いてましたか?佐藤さんの紹介されてるデータベースの記述とは異なるようです。
確認が必要ですね。

そういえば、フィシはヤマト語の「干瀬」と同根であるとの記述を見たことあります。



hwisi

kumanesir (2001/07/13 00:59)

kumanesirです。

佐藤さん、poronupさん、さっそくのご返事感謝します。

私も、少し調べました。
言語学大辞典ですが、以下のように総説の5ページ目の右に
あります。
「大隅風土記」の逸文によって知られる、ただ一つの意味が明らかな隼人(はやと)の
言語の単語、「海中之州」を表す「必至」なる単語が、琉球諸方言に広く分布している
ラグーンをとりまく珊瑚礁を意味する単語hwisi(首里方言)に対応することは確実で
ある。なお、この単語が「干瀬」、すなわち「干る」という動詞の語根と岩を意味する
「瀬」との複合である可能性は小さくないが、そうであると確定することもできない。

一方、沖縄語辞典をみると、ご指摘になった「干瀬」という風に書いてありますね。
説明は、ネット上のものと同じです。

(すいません、~は、弓形でsの上に付く符号です。)
琉球語辞典を見ると、fis~i(フィシ)「干瀬」という風に書いてあって、干潮時
に現れる州、礁原とあって、珊瑚礁とはありません。ただし、cf.とあって、
Jeebis~i(イェエビシ)というところを見ると、固有名詞で、「八重干瀬」、
池間島北方の珊瑚礁原とありました。
それと、「海中之州」は、海ノ中ノ州(ス)、「必至」は、(ヒシ)と
書いてあって、cf.として、万葉集の「比自(ヒジ)」とありました。
浅学の私には、なぜ万葉集の「比自(ヒジ)」なのか、意味がよくわ
かりませんが。。。

http://www2u.biglobe.ne.jp/~HEL/jp/prago/pragooki.htm



訂正

kumanesir (2001/07/13 02:19)

言語学大辞典の記述で、首里方言のところは、首里と書いているだけです。
訂正します。





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