語源・思いつくままに(日本語編)
縁起が悪いのはやだ!
佐藤和美 (98/06/01 22:00)
縁起が悪いとかわっていくという話です。
植物の葦(あし)ですが、これは「悪し」(あし)と発音が同じですね。ということでこの植物は「良し」と同じ発音の「葭」(よし)にかえられてしまいました。葦と葭は同じ植物なんですね。
梨も「ありの実」と言いますよね。
スルメも「スル」と言うのが良くない、たちまち貧乏になりそうな名前だというので、なんと「アタリ」メという言葉がでてきました。飲み屋に行くとアタリメっていいますよね。
コチカメ(こちら葛飾区亀有公園前派出所)で有名になった「亀有」ですが、これはなんと「亀梨」(かめなし)という地名だったんですね。
縁起が悪いとかえられていくという話でした。
背広
佐藤和美 (98/05/30 16:00)
藤井さんから質問のあった、背広の語源をまだやってなかったですね。
背広の語源説は二つあって、
1.「平服」を意味する英語の「civil clothes」の前半がなまった。
2.ロンドンの洋服屋の名「Savile Row」がなまった。
この二つです。
サントリー、ニッカ
佐藤和美 (98/05/31 17:00)
今月から酒税が変更になって、ウィスキーが値下げ、焼酎が値上げされました。ということで、今日はちょっとかわって会社名の語源をやります。
まずはサントリーですが、創業者が鳥井と言う人で「サン」SUNに栄光というような意味を持たせて、「サン」+「鳥井」=「サントリー」としたそうです。
次はニッカですが、ニッカはリンゴジュースの販売から仕事を始めたのですが、会社名を大日本果汁と言いました。これが省略されて、「日果」、「ニッカ」ですね。
電通、小田急
佐藤和美 (98/11/26 12:08)
以前、会社名の語源をやりましたけど、
今日は広告代理店で有名な「電通」の語源をやります。
「電通」はもともとは「電報通信社」といっていた会社です。
で、略して、「電通」です。
といっても「電電公社/NTT」とはなんの関係もありませんので。
そういえば「小田急」も「小田原急行」でしたね。
会社名
Nao (2000/03/03 23:40)
ブリジストン=石橋会長さん、
ブリッジストーンだと聞いたことがあります。
サントリーもニッカも安直ですが、なんだかかわいいですよね。
会社名
佐藤和美 (2000/03/05 16:16)
私も会社名の語源をやったことがあります。
「サントリー、ニッカ」(98/05/31)
「電通、小田急」(98/11/26)
会社名の語源はこちらのHPがいいでしょう。
「語源探偵団」
http://www.wind.ne.jp/sennen/gogen.html
サントリーの語源
ビーバ (2000/03/06 14:21)
どこかで聞いたのですが、「サントリー」の語源の俗説で次のようなものが
あります。
「酒」という字を分解すると、「さんずい」に「酉」。
「さんずい」に「とり」で「サントリー」。
合成地名
佐藤和美 (98/06/02 20:00)
今日は合成地名の話です。
東京の大田区は大森区と蒲田区が合併する時に、両方の一字をとってつけられました。「大」森+蒲「田」=「大田」というわけです。
東京の国立市(くにたち)も両隣の一字ずつをとってつけられました。「国」分寺+「立」川=「国立」です。
東京足立区の梅島もそうです。(ローカルな話題ですいません。私が前に勤めてた所なもんで。)隣の「梅」田+「島」根=「梅島」です。
千葉県習志野市の津田沼は三つの地名の合成地名です。
谷「津」+久久「田」+鷺「沼」=「津田沼」です。
これは大田区と同じように、町村合併でできたものです。
今日は合成地名の話でした。
竹の塚
佐藤和美 (98/10/06 12:02)
「竹の塚」(東京都足立区)はなんと読むのでしょうか。
フジTVの「スマスマ」では「たけのづか」と言っているようですが、ただしくは「たけのつか」です。
本来、「塚」は「づか」とは読みません。これが「づか」と濁音になるのは連濁という現象です。(「日本語とその周辺」の「連濁」を参考のこと)
「鳩」は「はと」と読みますが「ばと」とは読みません。
「山鳩」は「やまばと」と読みますが、これが連濁です。
「山の鳩」は「やまのはと」で、「やまのばと」とは読みません。
連濁にならないのは「の」があるからです。
「竹の塚」の場合も「の」があるので、連濁にはなりようがないのです。
ちなみに町名は「竹の塚」ですが、駅名は「竹ノ塚」になっています。
蜃気楼、麒麟、虹
佐藤和美 (98/06/10 21:00)
今日は漢字で書かれた伝説の動物をやります。
蜃気楼は「蜃」(大はまぐり)が「気」を吐いて出現させた「楼」閣をいいます。古代の人には蜃気楼はふしぎな現象だったでしょうね。(現在でもふしぎですが。)
次は麒麟です。オスは「麒」で、メスが「麟」です。両方あわせて「麒麟」です。
「虹」は「虫」(へび)+「工」(つらぬく)です。虹は「虫」が空を「つらぬ」いている姿です。「虫」(へび)といっても竜のような動物を考えていたようです。「にじ」にもオス・メスがあって、「虹」はオスです。メスは「霓」の字を使います。(「霓」以外にも、「睨む」(にらむ)の目へんを虫へんにかえた字も使います。これはJISコードにはないようですね。)
「ら」抜きの法則
佐藤和美 (98/06/15 20:00)
「ら」抜き言葉というのがあります。例えば「食べれる」はまちがいで、正しいのは「食べられる」ですね。
これくらいだったらいいのですが、では「見る」は「見れる」、「見られる」どちらが正しいのでしょうか。判断に迷います。
実は簡単に判断する方法があるのです。(仮に「ら」抜きの法則とでも呼びましょうか。)「見る」の活用を考えます。「見る」は上一段活用です。よって、「ら」は必要で、「見られる」が正しいのです。実は、五段活用以外は「ら」が必要なんですね。これで簡単に「ら」がいるのか、いらないのか判断がつきます。
鉄道車輌の略号
佐藤和美 (98/06/17 20:00)
今日はちょっとかわったところで、鉄道車輌の略号というのをやります。
駅で電車の車輌を見ると、カタカナと数字の略号が書いてあるのがわかるかと思います。このカタカナには意味があります。それをいくつかひろってみましょう。
ク:駆動車(制御車)
モ:モーター車
ロ:グリーン車
ハ:普通車
実際はこれらを組合わせて使います。「モハ」、「クモハ」のようにです。
車輌の等級はかつては、一等車、二等車、三等車があって、それぞれの略号が「イ」、「ロ」、「ハ」でした。この内、一等車がなくなり、二等車がグリーン車に、三等車が普通車になり、略号の「ロ」と「ハ」が残ったというわけです。
ところで、略号「ネ」はなんの略号だと思いますか? 答えはあしたにします。一日考えてみてください。
鉄道車輌の略号
佐藤和美 (98/06/18 20:00)
きのうの答えです。鉄道車輌の略号「ネ」はなにか、というのが問題でした。答えは「寝台車」です。簡単だったかな?
誤読
佐藤和美 (98/06/20 11:00)
「凡例」をなんと読むでしょうか。これはわりと有名なまちがえやすい字です。答えは「はんれい」です。
私は高校時代に「五十歩百歩」を「ごじゅっぽひゃっぽ」で辞書をひいて、出てこなかった経験があります。出てくるわけないですね。正しくは「ごじっぽひゃっぽ」ですから。
「早急」はなんと読むでしょうか。答えは「さっきゅう」です。「そうきゅう」という読み方は本来はまちがいですが、「そうきゅう」と読む人がだんだん増えて、それでとおるようになってしまいました。こういうのを慣用読みといいます。
枕詞
佐藤和美 (98/06/23 22:00)
「飛鳥」は「あすか」と読みます。なんで「飛鳥」が「あすか」なんでしょうか。実は「飛鳥」は「明日香」の枕詞なんです。「母」だったら「垂乳根の」が枕詞ですが、「明日香」は「飛鳥の明日香」なんですね。それでいつのまにか「飛鳥」で「あすか」と読むようになったわけです。
「長谷」も枕詞です。この場合は「長谷の初瀬」でした。それで「長谷」で「はせ」と読むようになったのでした。
「午前」、「午後」、「正午」
佐藤和美 (98/06/25 12/48)
十二支を午前0時から2時間おきにわりふっていくと昼の12時が午になります。「午前」、「午後」はこれの前後ということでいいのですが、「正しい午」とはどういうことなんでしょうか。実は「正」には「ちょうど」の意味もあるのです。「正午」は「ちょうど午」で、12時ちょうどですよ、ということなんですね。
連濁
佐藤和美 (98/06/29 12/04)
「日本語とその周辺」に「連濁」を追加しました。
これは「日本語における語と語の接続について」の「その二」にあたります。(その一は「連声」です。)連濁は語が接続した時に本来は清音なのが、濁音になることをいいます。そもそも「連声」を「れんじょう」と読むのも連濁ですね。音読の連濁のパターンについて説明していますので、読んでみてください。
「日本語における語と語の接続について・その三」は「上」(うえ)が「上役」、「上手」では「うわ」に変化します。というような、ことをやるつもりです。時期は未定です。気長に待っててください。
ここでちょっと問題を。「上」(うえ)は「うわ」と変化しますが、「声」(こえ)はどう変化するでしょうか。その使用例もあげてください。答えはそのうち発表します。
声
佐藤和美 (98/07/04 11:51)
月曜日(6/29)に出した問題の答えです。
「上」(うえ)は「うわ」に変化するが、「声」(こえ)はどう変化するかというのが問題でした。答えは「こわ」です。使用例は「声色」(こわいろ)です。
ヒゲ
佐藤和美 (98/07/05 11:40)
ヒゲにもいろいろあって、漢字ではヒゲの生える場所によって字が違います。
髭(くちひげ)
鬚(あごひげ)
髯(ほおひげ)三国志の関羽はこのヒゲですね。関羽は「美髯公」とも呼ばれていました。
ヒゲを漢字で書こうとしたら、どこに生えているかわからないと書けないんですね。
佐幕
佐藤和美 (98/07/06 07:59)
今NHKの大河ドラマでは「徳川慶喜」をやってます。幕末といえば、勤王・佐幕にわかれて戦ったわけですが、それでは佐幕とはどういう意味なんでしょうか。
「佐」の訓読は「たすける」です。「佐幕」とは「幕府をたすける」という意味なんですね。
はかる
佐藤和美 (98/07/16 12:07)
同じ訓でも字はいろいろ違います。「つくる」は「作る」、「創る」、「造る」とあります。
私が一番多そうだな、と思うのは「はかる」です。
図る(解決を図る)
計る(時間を計る)
測る(距離を測る)
量る(容積を量る)
謀る(暗殺を謀る)
諮る(会議に諮る)
皆さん、使い分けできますか?(私はできそうもありません)
人名による駅名
佐藤和美 (98/07/27 10:14)
司馬遼太郎の代表作の一つに「峠」というのがあります。越後長岡藩の河井継之助を主人公にした幕末物です。
この作品の中で一点気になる所があります。それは伯備線の方谷駅ですが、この駅名は河井継之助の師匠のような人(山田方谷)にちなむのですが、司馬遼太郎は人名による駅名は全国でもこれくらいだろうとしています。
ところが、他にも人名による駅名があるんですね。それは鶴見線の安善駅です。この駅名は安田財閥の創立者である安田善次郎にちなむ駅名なんです。
私が思いつくのはこれくらいですが、他にも人名による駅名ってあるんでしょうか?
人名駅について
佐藤義昭 (99/01/13 12:46)
以前人名駅が話題になった事がありましたが、今月11日に開通した井原鉄道に人名駅があります。
吉備真備(きびのまきび)という駅で岡山県にあります。
これで岡山県では宮本武蔵(智頭急行)についで二駅目になります。共に第三セクター鉄道にある駅です。岡山県は人名駅を作るのが好きなのかな。
ちなみに、手塚治虫の火の鳥(鳳凰編)に吉備真備は登場します。
左党の語源
さば (98/09/14 17:19)
酒飲みのことを「左党」といいますが
なんでなんでしょう・・・・
気になって夜も眠れません
ご存じの方、教えてください!
左党
佐藤和美 (98/09/15 08:05)
石工などが鑿(のみ)を持つ方の左手を「鑿手」(=飲み手)と言ったところからだそうです。
(岩波漢語辞典)
日本ライン
佐藤和美 (98/10/07 12:10)
私は、「日本ライン」の「ライン」って、鉄道の路線も「ライン」っていうし、川が線みたいだから、line(線)の意味かと思ってたんですが、違ったんですねぇ。
この「ライン」は「ライン川」の「ライン」だったんですねえ。ライン川に似ているということでつけられた名だそうです。日本アルプスと同じような命名のしかたでしょうか。
なにが語源かって、ほんとに難しいですね。
霞ヶ関のケは漢字???
斎藤 (99/02/01 13:00)
最近、外国人に霞ヶ関のケは漢字なのか、カタカナなのか質問され、
まわりにいた日本人は誰も正確に答えられませんでした。
どなたか教えて下さい。
(無題)
UEJ (99/02/02 00:23)
語源オタクのUEJです。
佐藤さん、こちらこそよろしくお願いします。
中国語で物を数えるときの単位は、日本語のように物によって変化するのですが、
日本語の「個」にあたるものに「个(ガ)」があります。
一ヶ二ヶなどのヶはこの「个」が誤って「ケ」と書かれたものである、という説を
どこかで読んだことがあります。他にも説があったような気がしますが忘れました。
「霞ヶ関」と関係がある"かも"しれません(いいかげん(^^ゞ)。
「霞ヶ関」の「ヶ」
佐藤和美 (99/02/02 08:26)
岩波国語辞典には次のように書いてあります。
箇 カ・コ
1.物事を一つ一つさし示すのに用いる。「箇条・箇所」
2.物を数えるとき、数詞につける語。「つ」に当たる。「十二箇月」
・「个」は同字、「ヶ」と書くのは「个」の代用。
また、岩波漢語辞典には次のように書いてあります。
个 カ・コ
ものを数える語。 箇・個。「一个」
もと、|部2画。
「箇」の竹かんむりの一方をとった略字。漢代以後に用いられ、現在も中国ではこの字体を用いる。日本で「一ヶ」「3ヶ月」などと書く「ヶ」もこれに由来する。
身近の辞書で「箇」や「个」を調べてみると、他にもいろいろ出ているかも知れませんね。
因
佐藤和美 (99/02/10 08:36)
音読みは誰でも読めるのに、訓読みはちょっと読めないという字はいろいろあります。
「因」の音読みは「イン」というのは、ほとんどの人が読めるでしょう.
でも、訓読みの
「因む」
「因り」
あなたは読めますか?
因
佐藤和美 (99/02/19 12:)
「因」の読みかたは
「因む」 「ちなむ」
「因り」 「より」
です。
読めましたか?
茶色は、緑色?チョコレート色?
小笠原 茂宏 (99/02/15 16:23)
初めまして、こんな質問を伝言板に書いて良い物やら・・・?
と思いつつも、わらにもすがる思いで投稿いたします。
何かしらのポインタでもよいので、助言等していただければ幸いです。
さて、質問というのは他ならない、日本語でよく使われる
色についてなのです。
知り合いのアメリカ人に問いかけられました
「日本人の飲んでいるお茶は(Green)緑色なのに
何故、日本人はBrownもしくはChocolateの色を
茶色と言うのか? 不自然ではないか?
日本人はおかしいとは思わないのか?」と・・・。 (^^;;
今まで考えたこともない事でしたので面食らってしまいました
確かに、日本語の色を現す言葉には「藍色」や「山吹色」の様に
物自体色をそのままの表現として使用していることがよくあります。
「赤」や「青」自体は、物理的な実体を持っていないのですが
「藍」や「山吹」の様に実体を持っている物の仲間として
「茶」という物が存在する。 という前提を持てば
前述のように、何故に「緑色」の物がBrownもしくはChocolate色
を表現するのかという、ジレンマに陥ってしまいます。
もしかしたら、私のイニシャルアプローチに問題があるのかも
しれませんが、これらに関しての知識のある方がいらっしゃいましたら
よろしくお願いします。
日本人として他国の方に、語源をストレートに説明できないことに
焦ってしまいました。 皆さん、そんな経験は有りませんか?
茶色
UEJ (99/02/16 23:35)
UEJです。
>小笠原さんへ
「茶色」は中国語でも「茶色」と言います。
中国では緑茶よりも烏龍茶などの半発酵茶がメジャーなので茶色=brownと言うのは肯けますね。
この言葉がそのまま輸入されたのでは無いでしょうか?
あるいは日本の緑茶も保存が今ほど良くなかった時代にはもっと茶色に近かったのかもしれません。
英語のbrownの語源ははっきりはしていないようですが、websterによると「カエル」に由来するのだとか。
偶然ですがカエルも緑にも茶色にもなり得ますね ^_^;
茶色
ビーバ (99/02/17 18:54)
小笠原さん。
茶色という言葉がどこから来ているかということですが、
茶色は「茶染め」の色からではないでしょうか。
藍と同じく、茶も染料として広く使われていたと思います。
茶色
佐藤和美 (99/02/18 08:38)
私にゃぜんぜんわかりません。
以前、陳舜臣の「茶事遍路」とかいう本も読んだのですが、もう全然覚えてません。
お茶の歴史でも調べてみないと答えがでないかな?
茶色
佐藤和美 (99/02/21 17:56)
平凡社の「世界大百科事典」に次のような文章がありました。
「飲用以外の茶の用途
(4)染物に用いる。茶汁でもめん、絹布を煮て染める。渋いよい茶色に染まる。」
どうやら「茶色」の語源は、ビーバさんの書込みのとおり、染物の色によるようですね。
げっ歯目、両生類
佐藤和美 (99/02/27 19:21)
「げっ歯目」(げっしもく)は漢字では「齧歯目」と書きます。ネズミやリスの仲間ですね。「齧る」は「かじる」です。「げっ歯目」と書いたのではもとの意味がわからなくなりますね。また「げっぱもく」とまちがって読んでしまいそうです。
(「貧歯目」は「齧歯目」と違い歯が貧しい仲間です。アリクイ等。)
両生類もかつては「両棲類」と書いてたのが、いつのまにか「両生類」になってしまっています。
常用漢字にないという理由でどんどん表記が変更されていくんでしょうか。
仰げば尊し
佐藤和美 (99/03/12 08:16)
卒業シーズンですね。
私の娘も中学校卒業です.
「仰げば尊し」という歌があります。
その中の一節にこういうのがあります。
「おもえば いととし このとしつき」
この「いととし」ってなんでしょうか。
「おととし」ならわかるんですが、「いととし」はちょっとわからない?(^^;
この「いととし」を漢字で書くと「いと疾し」です。
これならわかりますね。
「いと疾し」は「たいへん速い」ですね。(文語・古文ですね)
「おもえば いととし このとしつき」は
「思えば いと疾し この年月」だったという次第です。
「仰げば尊し」の係り結び
佐藤和美 (99/03/14 19:00)
引き続き、「仰げば尊し」の話です。
「仰げば尊し」の一節に
「いまこそ わかれめ」というのがあります。
この意味ですが、
「わかれめ」って「別れ目」で、「別れる時」って意味?
「め」を古語辞典で調べてみると、
「む」(「ん」)の已然形とありました。
よく見れば、「わかれめ」の前は「いまこそ」ですよね。
ちゃんと、係り結びになってるじゃありませんか!!
(「ぞ、なむ、か、や」が「連体形」で、
「こそ」が已然形になる、でしたね。)
「いまこそ わかれめ」は係り結びをはずすと、
「いま わかれむ(わかれん)」、
「今、別れよう」で、
決意の言葉だったのでした。
「いまこそ わかれめ いざ さらば」っていうのも、
また、違ってみえてきますね。
それにしても、歌詞の意味がわからないんじゃ感情の込めようがない?
漢字は象形文字
佐藤和美 (99/03/24 12:05)
やっぱり、漢字は象形文字だと思った瞬間があります。
それは「亀」の旧字を見たときです。
「亀」の旧字はこんな字です。
龜
頭が上で、しっぽが下。左が足で、右がこうら。
ね、漢字は象形文字だと思うでしょう?
象形文字は面白い
フミ (99/03/24 17:46)
はじめまして。漢字はすばらしい象形文字だとおもいます。アルファベットも元は何かの形を
模しているという話は聞いたことがありますが、アルファベットはたとえば「亀」のように
文字そのもので形の元になっている物事を表すことはできないですよね。ところでこの漢字と
いうもの外国人にはどのように見えるのかと思い英会話学校の先生に聞いてみたところ
「開」という文字は、扉の向こうにテーブルが置いてあると見えたそうです。またテレビで
金田一先生が言っていましたが「映」という文字は、外国人にはスコップを持って何かを
掘っている人にみえるそうです。象形文字ならではの認識のずれで面白いですね。
金田一春彦「日本語」
佐藤和美 (99/03/25 08:28)
金田一春彦「日本語」(下)岩波新書P15に以下の文章があります。
「これは、いつか『週刊朝日』に出ていたことであるが、欧米人にとっては、「東」という字は、音楽家の用いる譜面台に見えるそうだ。「合」の字は、掲示板の向こうに富士山がそびえている形に見え、「映」という字に至っては、人がストーブにシャベルで石炭か何かを入れている形に見えるそうであるが、これはおもしろい。」
漢字を見なれない人には奇妙な字に見えるのでしょうね.
魚
佐藤和美 (99/04/01 12:50)
先週、「亀」という字は亀が上を向いている象形文字だと書きました.
ところで、「魚」という字も上を向いている字です。
「ク」のようなのが頭で、点四つが尾ひれですね。
おもしろいことに、魚の縞模様(しまもよう)の横じま、縦じまというのも魚が上を向いているときのしまの向きだそうです。
泳いでいるときの姿勢ではないんですね。
これは偶然の一致なのでしょうか? それとも……?
子曰く
フミ (99/04/09 00:52)
ちょっと流れからはずれますが・・・
子曰くの(曰)の漢字を中日辞典でみると音は(yue)です。
日本語の「言う」に似ているのは偶然なのでしょうか
それとも同じ言葉なのでしょうか。
また英語の「SO」と日本語の「そう」にも同じ疑問をもっています。
ごく初歩的な疑問ですみません。新参者ゆえお許しください。
Soですね?
UEJ (99/04/09 02:20)
「so」と「そう」に関係があるかどうかは知りませんが
日本人が英語を喋る時はついつい「so」を多用してしまいますね。
音が似ていることに加えて「not so ...」などと言えば日本人の好きな婉曲表現になりますし ^^;
また、日本人がフランス語を喋ると、「ne pas(ネパ)」を多用するそうです。
「C'est bon, ne pas?(セボン、ネパ?=これいいでしょう?)」と付加疑問の形にすれば
やはり婉曲な表現になるし、日本語の確認を求める助詞「ね」と通じるものがあるので使いやすいようです。
http://www.grad.math.uwaterloo.ca/~kueda/kotoba/
曰く、言う
佐藤和美 (99/04/09 09:41)
「曰く」(いわく)、「言う」(いう)などは訓読みですね。
中国語と比較していいのは、音読みだけなので、
「いわく」、「いう」は中国語とは無関係だと思います。
「so」etc
佐藤和美 (99/04/09 09:44)
全然、関係のない言語でもたまたま似てします単語があります。
「so」はその例ですね。
中学に入学した頃、「名前」と「name」(ネイム)がよく似ていると思ったものでした。
(ドイツ語では「Name」(ナーメ)で、もっと似てますね。)
アラビア語では「あなた」を「アンタ」というと書いてある文章を読んだ記憶もあります。
大野晋という人がいます。
この人は日本語のルーツがインドのドラビダ語だと言っているようですが、
言語学者からは無視されています。
それはこの人のやっていることが「似ている単語を並べる」というレベルだからのようです。
日本語の「h」はXX語では「f」に対応する、ということが言えて初めて同じ系統と言えます。
それが大野晋ではできてないわけです。
日本語 h と英語の f
ビーバ (99/04/09 14:22)
実は、日本語の h (p) と英語の f が対応します。
次に、いくつか例を挙げます。
降るhuru − fall 晴れhare − fair はるかharuka − far
太huto − fat 下手heta − fault 姫hime − female
畑hata − field ひどいhidoi − fiend ひりひりhiri − fiery
浸るhitaru − fill 火hi − fire ぴったりpittari − fit
平たいhiratai − flat へつらうheturau − flatter 蠅hae − fly
ほこりhokori − fog ひだhida − fold …へhe − for
……というのは冗談です(すみません)。
似ている言葉を探すというのであれば、適当に言語を2つ取り出して
みれば、かなりの似た言葉が見つかるはずです。たとえば、
英語のbad(悪い)とアラビア語のbad(悪い)
イタリア語のciaoチャオ(こんにちは)とベトナム語のchao(こんにちは)
朝鮮語のmani(多い)と英語のmany(多い)
日本語の「ありがとう」とイタリア語のobbligato(ありがとう)
などがあります。
このような対応は、言葉遊びとしてはとても面白いのですが、これを
おなじ語源などといってしまうと、真実を見誤ることになります。私は
日本語の語源に関する本を読むときには、特に気をつけます。
「言う」の語源は?
ビーバ (99/04/09 17:24)
「言う」(古い発音は ipu)については、
朝鮮語の ip(くち)と同源という説があります。
それなら「申す」は mouth(くち)と同源でも?
まんま
UEJ (99/04/09 22:16)
母親を表す単語は「ま」で始まるものが多いです。
媽媽(中国語)、mom(英語)、mere(フランス語)など。(下のページに例が沢山あります)
これは「ま」が赤ちゃんが最初に発音できる音だからと説明されています。
でも日本語の場合は「まんま」と言えばご飯ですね。
http://www.geocities.com/CapeCanaveral/Hangar/7534/custom.html
他人の空似
フミ (99/04/10 02:05)
いろいろなご返答ありがとうございました。
似ているだけで2つの言語を結びつける危険性を
半ば怒りながら述べていた安本美典氏の著書もありましたが、
推理することの面白さに負けないように注意します。
「似ている」ことと「同一」であることの間には
大きな壁があるのですね。
岩波古語辞典
佐藤和美 (99/04/10 16:55)
岩波から出ている古語辞典には、語源が朝鮮語である単語について記載があるそうです。
これで語源が朝鮮語のものもばっちり?
ただし、編者の一人があの「大野晋」なのでお気をつけて。
(大野晋を知らない人はきのうの書き込みを見てくださいね)
連用形、連体形
佐藤和美 (99/04/29 12:47)
「連用形」、「連体形」の語源です。
「連」は「つらなる」、
「用」は「用言」、
「体」は「体言」です。
で、
「連用形」は用言が連なる形、
「連体形」は体言が連なる形ということになります。
「話す」で確認してみましょう。
連用形は「話し/た」で、「用言が連なる形」になってますね。
連体形は「話す/時」で、「体言が連なる形」になってますね。
ペルセ (99/05/03 14:25)
連用形、連体形というのを習ったのは中学校の国語だったでしょうか。日本語のことなのに普段は気にしないので、すっかり忘れていますね。
緯度、経度
佐藤和美 (99/05/11 12:33)
緯度、経度の意味です。
緯は「よこいと」、方向では東西方向です、
経は「たていと」、方向では南北方向です。
緯度、経度の意味が見えてきますね。
クリントン・ヒラリー
佐藤和美 (98/06/12 23:00)
日本ではローマ字で書くとき、よく「サトウ・カズミ」を「Kazumi Satou」などと書いたりしますね。考えてみると、これはふしぎな習慣ですね。いつから始まったのかよく知りませんが、「ヒラリー・クリントン」を日本で「クリントン・ヒラリー」というでしょうか。こんな習慣はやめにしてもらいたいものです。私は中学校で、英語では姓名をひっくりかえすんだと教わったような気がします。今の学校ではどうなってるんでしょうかね。
もっとも日本は名前を大事にしない伝統があるのかも知れません。昔、藤原のなんとかいう人が中国へ行くとき(遣唐使かなんかで)、中国は一字姓だから、姓は「藤」ということにしたとかいう話を読んだことがあります。最近では韓国・朝鮮の姓名の読み方の問題がありましたね。抗議がきて現地読みにしたわけですが。自分の姓名を大事にしないのだから、他人の姓名を大事にするわけがないですね。
そういえばこんなことをするのは世界で日本人だけかと思っていたら、最近講談社文庫から出た「ワイルド・スワン」の作者は「ユン・チアン」ですが、漢字は「張戎」です。これも姓名が逆になってますね。
氏名
がめら (99/05/14 01:08)
アメリカのCNNでは、北京を「Beijing」と発音している様です。
そのうち香港も「Xianggang」と発音するようになるのでしょうか?
CNNやBBCでは
中国人や韓国人の名前を
毛沢東「Mao Zedong」と氏ー名の順で呼んでいますが、
なぜ、日本人に対しては、
「Keizou-Obuti」と名ー氏の順なのでしょうか?
名前のアルファベット表記
ビーバ (99/05/14 22:13)
がめらさんの書き込みの中に、「Keizou-Obuti」という表記があったのですが、
「Keizo Obuchi」ではないでしょうか。というのは、パスポートに記載する日本
人のアルファベット表記は、ヘボン式(ただし長音符なし)と決まっているから
です。多くの場合には、パスポートの表記を踏襲することになると思うのです。
これと同じ理由で、「姓・名」という順番でアルファベット表記するのには、
一定の制限を伴います。私としては、名前のアルファベット表記はその人が自由
に決められるべきだと思うのですが。
アルファベット表記 = 英語?
ペルセ (99/05/14 23:47)
アルファベット表記における、日本人名の姓名の逆転には素朴な疑問を感じますが、
かと言って日本語どおり姓−名の順にするのも、実際には混乱が起きるのではないか
と思います。
単純に、日本語のアルファベット表記なら姓、名順が正しいですが、日本人名を「英語」
として使っているからこそ、逆転させるのでしょう。
それは、英語と同様に、名−姓順になる欧米人との会話で、いらぬ誤解をまねかないため、
あるいは英語が国際語であるとの考えから来ているのでしょう。
(ドイツ語表記やフランス語表記だと綴りが変わる場合もある。)
もちろん、アルファベット表記でも日本人名は姓−名の順とする、ということを世界的に
認めさせることができれば一番良いですが。実際にはむずかしいし、過渡期の混乱も
ありますし。
ところで、チンギス・ハーンとかフビライ・ハーンは名ー姓順?
Toyama
UEJ (99/05/15 03:44)
ビーバさん> パスポートに記載する日本人のアルファベット表記は、
ビーバさん> ヘボン式(ただし長音符なし)と決まっているから…
そうだったんですか、知らなかった。
でも長音符なしだと誤解を生むことがあるような。
「Toyama」と書いても「遠山(とおやま)」なのか「東山(とうやま)」なのか
はたまた「富山(とやま)」なのか分からない!?(^^;
それにしてもヘボン式という時点で「アルファベット表記=英語」ですね。
ほとんどの日本人が第一外国語として英語を勉強している状況では無理もないですが。
ヘボン式って…
ペルセ (99/05/16 00:34)
日本語のローマ字表記の方法はいろいろあるんですね。
http://www.asahi-net.or.jp/~EZ3K-MSYM/charsets/roma-j.htm
によれば、1.ヘボン式 (標準式) 2.日本式 3.訓令式 4.新日本式
等です。
>「Toyama」と書いても「遠山(とおやま)」なのか「東山(とうやま)」なのか
>はたまた「富山(とやま)」なのか分からない!?(^^;
欧米人は発音で区別できないから、表記も区別しないで良いという考えなのでしょう。
ヘボン式は、欧米人のための表記法だと割り切ってしまう必要がありますね。
ピンインみたいに、日本語を正確に表記できる新方式を考案せず、「欧米人向け」
表記法をパスポートに採用してしまう。久しぶりに「欧米コンプレックス」と
いう言葉を思い出しました。
転嫁
岩崎 (99/06/06 08:32)
こんにちは。以前、同目の語源でお世話になりました岩崎です。
今回も疑問なのですが責任転嫁の転嫁は何故、嫁と言う言葉が
使われているのでしょうか?
嫁を調べてもお嫁さんの意味しか載っていません。
語源をご教示戴きたく何卒宜しく御願いします。
転嫁
佐藤和美 (99/06/07 08:25)
「転嫁」ですが、岩波国語辞典には次のようにありますけど。
転嫁
罪・責任などを他人になすりつけること。
再度の嫁入りの意から。
転嫁
岩崎 (99/06/07 16:19)
こんにちは。早速のレス、恐縮です。
>再度の嫁入りの意から。
お嫁さんに責任を次の嫁ぎ先で再度負わせるという事から
来ているのでしょうか?
嫁という字があまり良い意味で使われていない気がします。
どうもご教示有り難うございました。
おしえてください
風な受け巣 (99/06/07 16:48)
ちゃんこ鍋の語源を教えてくださいませ
ちゃんこ
佐藤和美 (99/06/08 08:23)
「ちゃんこ」の意味は広辞苑に次のようにでています。
「「ちゃんこ」は「おっさん」などの意で相撲部屋の料理人。」
「ちゃんこ」がつくるから「ちゃんこなべ」ですね。
七夕
佐藤和美 (99/07/07 08:23)
今日は、七夕ですね。
陰陽五行説はいろいろな五つのものに五行を結びつけています。
(この辺は「ヨーロッパの言葉」の「暦と星」を読んでみてください。)
七夕は五節句の一つです。
五節句とは
1月7日 (特に有名な名はない。「人日」なんて聞いたことないですよね。)
3月3日 雛祭(桃の節句)
5月5日 端午の節句
7月7日 七夕
9月9日 重陽(菊の節句)
です。
奇数の月が並んでいて、1月を除いて、
ゾロメ(月と日が同じ)になっているのがおもしろいですね。
暑中
佐藤和美 (99/07/23 12:45)
日本で季節といえば、普通は四季ですが、
陰陽五行説では五季(春、夏、秋、冬、土用)です。
土用は春、夏、秋、冬の後に四等分して配分されています。
夏と秋の間の土用は、今年は7月20日からです。
そして、秋の始まる日(立秋)の前の日まで続きます.
この期間が暑中です。
この期間に出す見舞いが、暑中見舞いですね。
立秋を過ぎると秋ですから、このときの見舞いは残暑見舞いになります。
土用の丑の日
佐藤和美 (98/07/29 21:19)
今日は土用の丑の日ということなので、この日はどういう日かということですが。
まず土用はどういうことかですが、
季節は普通「春、夏、秋、冬」ですが、これを陰陽五行説で五つに分けると「春、夏、秋、冬、土用」になります。一年を五つに分け、土用をさらに四つにわけそれぞれの季節の最後におきます。「春、夏、秋、冬」はそれぞれ「立春、立夏、立秋、立冬」から始まるので、この四つの「立X」の直前に土用が入ります。夏の土用は立秋の前に入ることになります。
十二支は「年」に使いますが、「日」にも使います。土用の期間で丑になった日が「土用の丑の日」というわけです。
「土用の丑の日」にウナギを食べるのは、平賀源内がウナギ屋さんのために宣伝したのが始まりだそうです。
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