言葉の世界・伝言板 2002年12月



辻本さん

zoー (2002/12/31 01:07)

まず、台湾へ船へという話ですが、確か沖縄からは船が出ているという話は聞いたことがありますが、本州、九州あたりはどうでしょうね?私も知りません。

オランダ時代の地名、聞いたことはないんですが。

民族籍というのが、どういうものなのか、恥ずかしながらどういうものなのか、分からないのですが、台湾では少数民族は父系で認定していて、幾つかの保護的な措置は採られているようです(例えば、教育などでは不利な点や普及の違いの問題があるので、など大学入試に下駄をはかせるとか)。



zoさんへ

辻本裕幸 (2002/12/30 22:50)

その台湾の地名はみんな日本人が命名したっぽい地名ばかりですね。オランダ人が名づけた地名とかもまだ台湾には残っているでしょうか?台湾にも大陸のような民族籍は有りますか?まさか、日本政府がアイヌ民族の存在を認めないように、中華民国政府も先住民族を認めていないというような事は無いと思いますが。2月に機会があれば一度、台湾に行ってみたいと思います。全然話が関係なくて恐縮ですが、台湾まで、船で行けるのでしょうか?(大陸にも韓国にも船で行ったので。)



台湾の地名

zo- (2002/12/30 19:47)

数日前の話題ですが、台湾の地名について、訓読み(といっても、台湾と関係のある日本人や日本語の出来る台湾の人がどう呼んでいるか、ですが)の地名を紹介します。高雄以外にも結構あります。

数年前の地震で被害の大きかった「豊原」(とよはら)
台北市郊外の「三重」(みえ)「板橋」(いたばし)

たぶん、これらを「ふうげん」「さんちょう」「はんきょう」と呼んでいる日本語話者はあまりいないと思います。他にも「美濃」など、日本っぽい地名が幾つかあります。



日本以外に住むアイヌ民族

辻本裕幸 (2002/12/27 15:33)

今、西安です。ちょっと本の名前が出てこなくて恐縮ですが、私の地元四日市市図書館にあったサハリン州の歴史について書かれた本があります。帰国後1月末、すぐ書物の名前をこの掲示板で紹介したいと思いますが。その本によれば、戦後、サハリンがソビエトに譲渡されたのち、推定600人のアイヌ民族が漁業コルホーズに入ったとの記述がありました。それから60年近く立っている。亡くなった人もいるが、新しく生まれた二世を考えれば、1000人という数は言い過ぎではないでしょう。poronupさんのおっしゃる通り、一般にはサハリン州でアイヌという登録をしている人はごくわずかだとはされています。しかし旧ソ連から引き継ぐロシアの民族統計もろもろは実に眉唾物なのです。ユダヤ人もウクライナ人もいないという地区にいって見たら、ユダヤ人やウクライナ人だらけだったという報告はよくある話です。他にも明らかに別系統の民族同士が一つの民族に分類されていたり。私は恐らく、サハリンにいるアイヌ人はロシア人として登録されているか、あるいは、他のニブヒ人やウイルタ人として登録されている可能性もある。なぜアイヌと名乗れないかは、想像に難くない。かつてソ連と戦争をした日本に、大部分がいる民族だからです。監獄島時代のソ連から今日にいたるまで、おいそれとアイヌ民族であると主張できたでしょうか?無理もありません。不可能な話です。あるいは一般に言われているように、戦後当時2000人はいたとされるサハリンのアイヌ人が一挙に日本にひきあげてくるなんて事が本当に可能だったでしょうか?半分くらいは地元に残ったと考える方が自然ではないでしょうか?もっとも私自身サハリンにはまだ行った事はないので、見てきた話ではありません。でも普通に考えたら、今もサハリンにはアイヌ民族が居ると考えた方が自然です。かつアイヌのいるいないにかかわらず、サハリン島南部がアイヌモシリである事には違いが無いでしょう。千島のことは全く分かりません。中国についてですが、サハリンから黒竜江にいたる地域のツングース系民族には、アイヌが直径子孫である事を自称する支族がいるというのを聞いた事があります。ポーランドはporonupさんがおっしゃる通りです。



参考までに

poronup (2002/12/27 03:26)

アイヌ語のrの音価は、日本語とほぼ同じ弾き音です。
(特に、北海道アイヌ語はそうです。ただし、過去に流音のlで発音する人がいたという記録がありますし、樺太の場合は破裂が強くdまたはtに聞こえることがあるようです。)
英語や北京語のrとは相当違います。

参考までに白老のアイヌ民族博物館のサイト(↓)で実際の音を聞いてみてください。
「ウエペケレ」のところを開いてみて下さい。
http://www.ainu-museum.or.jp/



アイヌ語の音節末のrについて

poronup (2002/12/27 03:13)

アイヌ語の音節末子音のrの非常に興味深い問題だと思います。
結論から言うと、本来は母音があったのが脱落したわけではなく、あくまで音声上、母音が添付されているということだと思います。

rの音価は、歴史的な分析より、まずは音声学的な現象として考えた方がいいと思います。
sir・pirkaなど、iのあとに来るrはほとんどの場合「リ」で発音されるようです。
しかしほかの母音のあとに来るrの場合は、その前の母音の音色で現れることが多いですが、地方・話者によって異なります。
たとえばpuyar(窓)を「プヤラ(近似値)」ではなく、「プヤル」と発音する人も結構います。
ikorは「イコロ」でもいいですが、「イコル」と発音する人もいます。

たとえば、kor(持つ)+rusuy(したい)は、kon-rusuyと発音されますし、ku=kor(私の)totto(母親)は、「クコットット(ku=kot totto)」という発音になります。
sir(大地)+anpa(を持つ)+kamuy(神)は、シランパカムイと発音されます(これは樹木のことです)。
もし、sirがsiriだとしたら、「シランパカムイ」という発音にはなりません。
こういった発音の法則から考えて、母音があるかのように思えるラ行音は、音節末子音rとしてみなされています。

それからrにアクセントは来ません。
(ただし、歌謡の場合は、例外が多いので難しい問題があります。)

有名な「ピリカ ピリカ」の歌は、どうやら和人の音楽家が編曲したものが普及しているようで、私が聞いた胆振の古老による原曲は、かなり違います。

pirka pirka pirka pirka
tanto sirpirka
inan kur pirka
a=numke kusu ne

pirkaのところは、「ピーリカ」と「ピ」を伸ばして歌っていました。sirpirkaも「シ」を伸ばします。
「ヌーンケ」のところは、正しくはa=numkeです。
聞き取った人が、人称接辞のa=(我々が)を聞き逃したようです。



Re:キルギス

松茸 (2002/12/27 01:46)

 相当ひさしぶりに投稿します。

 現在のキルギス語でのキリル文字表記は"Кыргыз"のようです:
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=%D0%9A%D0%AB%D0%A0%D0%93%D0%AB%D0%97&lr=
 周知のように、近代ロシア語では原則としてк, гの後にыは来ませんから、文字の転写ではない、語の借用としては、"Киргиз"の形に変えてとりいれるのが自然でしょう。
 なお、日本語でも「クルグス」と表記する事例があります。

 ひとつ気になったのですが、ある言語の音韻/音声について論じるのに、《通用の文字表記を取り上げ、その文字体系を主にもちいている言語(たとえば、キリル文字に対するロシア語)の知識を持ち出して説明する》というのは、(古代語など、直接の調査が出来ない場合は別として)非学問的ではないでしょうか?



Kyrgyzはクルグスか

高駒麗人KOMA (2002/12/27 00:25)

訂正です
キルギスKyrgyz の漢語名:「吉利吉思」Jilijisi、「乞儿吉思」Ge'erjisi

Massangeanaさんへ。キルギスと茶に関して貴重な情報頂き、感謝はむにだ。
なるほど、キルギスは Kyrgyzと綴られますから ラテン文字のyがロシア文字の Ы(平唇のウ)だと假定すると、全体として
КЫРГЫЗになり、平唇の「クルグス」になるでしょう。
漢語ではロシア語 ы (ローマ字y)をeiで取り入れます。
Chernomyrdinは「切尓諾梅尓金」Qie'ernuomei'erjinになり、
Chernobylは「切切尓諾貝利」Qie'ernuobeili(軟音のLがliになっている)
Kyrgyzを「乞儿吉思」Ge'erjisiで取り入れるのもこれと似たようなものでしょう。

しかし、Solzhenitsynは「索尓仁尼琴」Suo'errenniqinであり、zh(Жジ)がrに、y(Ы平唇ウ)がiになっていますから、Kyrgyz →「吉利吉思」Jilijisiつまりy(Ы)>iもありうるのでしょう。

不思議な事に、ロシア語では КИРГИЗ(Kirgiz)即ち「キルギス」です。トルコ語では平唇の「クルグス」でロシア訛りが「キルギス」なのでしょうか?ロシア語の ы はトルコ式綴りでは点無しのi即ちıであり、kına(クナー、木の皮で作った染料)のıです。「キルギス」はトルコ語では Kirgiz(КИРГИЗ)なのか Kırgız(КЫРГЫЗ)なのかわかりません。どなたかご教授願いたいです。
http://web.ttnet.net.tr/users/ayhane/photos9.htm(クナーについて)
http://hb6.seikyou.ne.jp/home/iura/mesim3.htm
http://www2.nsknet.or.jp/~yanyan/index.html(トルコ語関係)
http://202.84.17.83/(新華社日本語新聞)←たまには見ましょう
http://www.xinhuanet.com/home.htm(新華社)

余談ですが私の筆名「高駒麗人」の「駒」に馬をつけているのは「こま(高麗)」と掛けているからです。
http://www.tcat.ne.jp/~jh1eda/komajinnjya.html


↓「漂亮媽媽」関係
http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=%a1%d6%c9%ba%ce%bc%d5%c0%d5%c0%a1%d7&hc=0&hs=0



漢字音変遷&比較Site案内

高駒麗人KOMA (2002/12/26 23:39)

http://www.sf.airnet.ne.jp/~ts/language/homophone.html(同音異議語への異議)
巧匠 (北)qiao3jiang4(廣)haau2jeung6 (朝)kyocang (日)かうしゃう
甲匠 (北)jia3jiang4 (廣)gaap3jeung6 (朝)kapcang (日)かふしゃう
考証 (北)kao3zheng4 (廣)haau2jing3 (朝)koceng (日)かうしゃう
「日本語の発音の単純さに愕然とする。同音異義語が多いのは、漢字を使うからというより漢字の発音を単純化し過ぎてしまったからだと分かる。恨むなら、漢字を発明した古代中国人ではなく、単純な発音を好んだ昔の日本人を恨むべきだろう。」

Massangeanaさんの文の「仏語」は当然佛教の言葉でしょうね。フランス語ではないでしょう。Francaisを「佛語」「法語」で現すと紛らわしいです。
中国北方でも日本でも茶の語頭子音は破裂音tdから破擦音 ts や
t∫に移ったので、現代北京語&廣東語「茶」Chaと日本語チャが類似音になったが、問題は、破裂>破擦の変化が中国から日本語に入る前に起きたのか後で起きたのかという事でしょう。豊臣秀吉は、当時夢見た朝鮮と明を支配して漢人を召し使いにする日に備えて、扇子に「拿茶来」と書いて「なさらい」と振りがなを振っていたようです。

朝chaoは朝鮮語でcho(スの下に亠)で、日本語でも「チョウ」です。しかし、chaoが「チョウ」になったのではないようで、chaoは日本語音旧かなで「チャウ」かと思うと、どうも「テウ」のようで日本語で
teu>tjo:>t∫o:、中国でもdeuかteuの様な音がchaoになったようです。

余談ですが、中国の某都市では「潮州」料理の英語名綴りが、某外資系ホテルの案内冊子でTeochew([門虫]方言音?)、その同じホテル内のレストランのメニューでは北京語ピンインの Chao Zhou、同市内の他の外資系ホテルでは 廣東語らしい Chiuchowです。

日本と中国で同じ種類の変化が起きて、結果として偶然似てしまったということでしょう。「三」の音読みサンも北京語sanが日本語に入ったのではなく、古代漢語音samが「サム」samuとして日本語に入って、日本語で「サン」saNになり、北中国でもsam>sanと変化した。これらと似ています。

「音の分類 来夢来人 歯茎音 投稿者:高駒麗人投稿日:12月21日(土)」で言及した電影「漂亮媽媽」は音声学的に興味深いので、是非、皆さんにお勧めします(特に冒頭のシーンは有気音の練習そのまま)。聾者の発声練習は外語学習と似ています。
http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=%a1%d6%c9%ba%ce%bc%d5%c0%d5%c0%a1%d7&hc=0&hs=0

辻本さんへ、中国の漢字が入力しづらいならハイパー漢字検索からコピーすることをお勧めします。「セッ江省」(浙江省)とか「イ爾」(イ尓)とか見ていてわからない人もいるでしょうから。
http://www2.theta.co.jp/kanji/index.html

↓「同音異義語への異議」address
http://www.sf.airnet.ne.jp/~ts/language/homophone.html



「茶チャ」つづき

massangeana (2002/12/26 08:30)

アイヌ語でもりあがっているところすみませんが, 日本に一時帰国して本が手にはいるように
なったので追加報告。高松政雄『日本漢字音の研究』(風間書房1982)の慣用音のところ
で, 「茶チャ・打ダ・話ワ」について考察しています。おおまかに言うと

1. わが国は「茶」は平安初期から記録があるが, 当時の読みは不明。色葉字
  類抄(院政期)「茶チヤ」をはじめとして, それ以降例が多くなるが, その
  読みはチヤで安定。中国では同音だが仏語の「荼」はダ・タで安定。

2. 訓点資料としては『略出経延久点』(1074)に「荼チア」, 『高山寺蔵恵果
  和尚之碑文古点』(11世紀後半)に「茶蓼チヤレウ」がある。

3. 法華経読誦音を伝え, 呉音資料として重要な『法華経単字』では澄母は約
  半分が清音。

4. 麻韻二等でふつうに使われる字は「茶」以外少ない。庚韻二等にも拗音が
  出るが, これは舌上音に限らないので茶の場合とは異なる。他の二等韻で
  は拗音にはならない。

5. 舌上音の音価には諸説あるが, 舌面音だったと考え, また日本語のタ行も
  舌面音だったと考える。澄母が濁音だった時代の中国語音を反映したのが
  ダ, それが清音化した段階を反映したのがタ, さらに破擦音化した段階を
  反映したのがチヤ, そり舌音化した段階を反映したのがサであり, チヤは
  唐音の一段階前にあたる。

1-4 まではそのとおりでしょうが, 5 はどうも納得がいきません。私は, タも
チャももとの中国語の音は同じであって, 日本語でサ行タ行の直音と拗音が発
音上あまり区別されなかった時代に拗音で読んだのが定着した例外的な音がチャ
じゃないかと思うのですが。

なお, 前に麻は直拗・開合で 4種類に分かれると言いましたが, 3種類のまち
がいでした。訂正します。



Re: キルギス

massangeana (2002/12/26 08:24)

中国のキルギス族がどう自称しているかは知りませんが, キルギススタンではむしろ
「クルグズ」に近い音だとききました。それを反映しているのではないでしょうか。



訂正

高駒麗人 (2002/12/26 04:55)

日本語の「知る」shiruの発音は shir に近い時もありますが、終止連体形としては shiru と書きます。
ロシア語名の音譯では「符拉迪沃斯托克」Fuladiwosituoke或いは「符拉迪傲ao斯托克」

そそっかしくてすみません。
http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/danjo.htm



「彼男」「男也」「男尓」「貴男」は何故ないか

高駒麗人 KOMA (2002/12/26 04:17)

中国ではLadies&Gentlemenは「女士們、先生們」です。

複数の人は男だけだと「彼ら」「他們」、
女だけだと「彼女たち」「女也們」、男女が混ざると「彼ら」「他們」ですが、男女混合でも「彼女たち」と言ってもいいと思います。
http://kan-chan.stbbs.net/cgi/board/mibbs.cgi?mo=p&fo=language&tn=0018&rn=50
(嫉妬は差別にならないか)
http://kan-chan.stbbs.net/cgi/board/mibbs.cgi?mo=p&fo=language&tn=0020&rn=50
(差別と区別って…)
http://homepage1.nifty.com/forty-sixer/danjo.htm
(「男流文学」という言葉はなぜ無いのか?)
http://www.d6.dion.ne.jp/~ukipon/cd2.htm粤語曲・國語曲対応リスト
歌では[イ尓]の他に[女尓]も使われます。
[他]は本来男女両方をあらわす筈で、
[女也]の他に[男也]という字を設けるのが合理的です。日本語で「彼」が男で「彼女」が女なのも変。男女いずれも「彼」でよく、「彼男(かのだん)」という詞を設けて「彼女」と対応させるのが筋です。
漢語でも[イ尓][女尓]はあっても[男尓]はありません。日本語で「貴方」に対して「貴女」はあっても「貴男」はありかと思ったらありました。
http://www.kaihatu.com/raimuraito/fuwu.htm(来夢来人「ドキドキしながら貴男との出会いを楽しみにしています」)
英語はmanが本来「人」で、wifman(wife+man)のiがwの影響でo[u]になってwoman(女の人)になっています。manが「人(男or女)」と「男」を兼ねるのは変で、husbandmanとでもすべきものです。

http://plaza22.mbn.or.jp/~gthmhk/riismoj.html(ESPERANTO女性形の問題点)
http://www.sf.airnet.ne.jp/~ts/language/nonsexist.html(日本語平等化計画)
「エスペラント語は人工言語であり、よく考えられた語彙体系を持つが、ヨーロッパ語を背景に誕生したため、一部の語彙で男性形を標準とし女性形を女性化接尾辞 -in を用いて派生するという過ちを犯した。」
ロシア語で「教師」uchitel'は男性教師で、女性が「私は教師です」と言う時は女性形を使って“Ya uchitelnitsa.”と言うらしい。「教師」や「医者」まで、男性形と女性形を区別する欧州語は面倒です(英語とロシア語は欧州の言語です)。その点、Esperantoは不便で、所詮は欧州語と思いました。
中国では欧州語の男性名詞を「陽名詞」yang mingci、女性名声を「陰名詞」yin mingciと呼び、必ずしも男女で分類する必要はないとわかります。
中国の大連市は、パンフ等のガイドでは代名詞として
[女也]や sheで表現されます。大連が服装の町で女性のイメージなのでしょう。
「新世紀Evangelion」では、葛城ミサトと渚カヲルが、いずれもロボットであるEvaを「彼女」と呼んでいました。女のロボットということでしょう。

女優さんは「幅廣い役を演じられる女優になりたい」というように自らを「女優」と表現しますが、男優は「幅廣い役を演じられる男優になりたい」とはあまり言わないで「…俳優になりたい」と言う事が多いようです。これは変だなあ。皆さんどう思いますか。「女医さん」はよく使われるが「男医さん」はあまり言いません。
http://kan-chan.stbbs.net/cgi/board/mibbs.cgi?mo=p&fo=language&tn=0020&rn=50



高雄などの漢字について

高駒麗人 KOMA (2002/12/26 03:20)

辻本裕幸さんへ

高尾の名Takaoの語源Takauについては「東方」誌に載っていました。Net上では以下の通りです。
http://www.jal.co.jp/weather/ja/docs/KHH.html(高雄KAOHSIUNG)
http://travel.mimo.com/w/info/as/tw1/kao/(高雄カオション)
http://www.geocities.co.jp/Athlete-Acropolis/8410/a-log.html(台湾旅行)
http://www13.big.or.jp/~msk/tisen/70/70254.html
「台湾第二の都市《高雄:カオシュン》市は本来は《打狗:タカオ》という町だったが、植民地時代に(大和系の)日本人が勝手に『高雄』と言う漢字に変えてしまった。その後、植民地でなくなったあと、本当ならば元の漢字に戻せばいいのに、漢字はそのままで読みを台湾での読み方《高雄:カオシュン》に変えた。間違った日本語読みにした方が本来の地名になってしまう。」

>タカオも、他化於にするとか
「打狗」Dagou(「犬を殴る」とは可哀相?)よりは別の漢字がいいでしょうが、「他化於」ではTahuayuになります。原音に近い名なら「他高」Tagaoがいいかもしれません。

>キルギスKyrgyz →「吉利吉思」Ji'erjisi、「乞児吉思」Ge'erjisi
北京語ではgiがjiになったので外来語のky[ki]をjiにするかgeにするか2通りの方法があります。
日本語で tiを「チ」t∫iにするか「テ」teにするかという問題と似ています。
http://www.seinan-gu.ac.jp/~jingxu/(中国朝鮮族)
http://www.china.org.cn/ri-shaoshu/keerkezi.htm(中国の少数民族:キルギス族)

(Hindi語 karhi>)curry>ロ加ロ厘gali
(Arab語 qahwah>)coffee>ロ加ロ非kafei(珈琲)
注:在詞源方面、如果有錯誤、請教我。謝謝合作。
Canada>加拿大Jianada、Singapore>新加坡Xinjiapo、Ghali>加利Jiali
おっしゃるとおり「加」jiaの使用は廣東語音gaに基づく物でしょう。

Turk(ey)にしても「土其古」と「突蕨」が有り、日本語でも「トルコ(葡萄牙語Turco)」と「チュルク(Turk)」があります。Russiaも日本語では「ロシア」ですが中国内の俄羅斯族は「オロス族」と呼ぶようです。こういう揺れはよくあることです。
http://www1.odn.ne.jp/aaj25640/tokketsu.htm突蕨(トッケツ)とニッポン人のルーツ

ロシア語のvladi(占領、征服する)も、場合によって漢字が変わります。
Vladivostok(東を支配する)は本来清国領だったので傳統的中文名は「海参威」Haishenweiですが(「威」の上に「山」を書く場合も)、ロシア語名の音譯では「符拉迪沃斯託克」Fuladiwosituoke或いは「符拉迪傲ao斯託克」になります。
http://61.132.0.8/sgs/port.htm(Vladivostok)
一方、Vladimir(世界の支配者:Mirは「世界」「平和」)は「弗拉基米尓」Fulajimi'erです。
http://news.sina.com.cn/world/putin/(Vladimir Putin>弗拉基米尓普京Fulajimi'er Pujing)
Jordanにしても中東の国名は「約丹」Yuedan、バスケの選手は「喬丹」Qiaodanで、イタリア名Giordanoは「左丹奴」Zuodannu、日本語でも「ヨルダン」「ジョーダン」「ジョルダーノ」。
原語が同系だとしても音譯語を統一する必要は無いのでしょう。

>大和族は本当に東アジアの地名トラブルメーカーだ!
そう感情的になる必要もないと思いますが……。
倭人(大和族)と漢人の間では「漢字が共通」としてOsaka(大阪)をDaban、Chongqing(重慶)をJukeiと呼んでもOKですが、その間に挟まれたアイヌ、高山(高砂)、モンゴル、満州等の民族の名は本来漢字とは無関係の筈です。
http://www.shimpu.co.jp/shuppan/shuppantoshoannai/senso/kakkon.htm
http://www3.ocn.ne.jp/~mustang7/history4.htm
↑満州の「葛根廟Gegenmiao事件」が起こったこの地名もモンゴル語のGegeen(明るい)のようで、これを日本人が「カッコンビョー」Kakkombyo等と読むのは、地名を軽視した行いです(田中克彦氏「名前と人間」)。
「フフホト」はモンゴル語「青い城」を示すHohhotです。漢語で「乎和浩特」Huhehaoteだからといって我々はこれを「コワコートク」等と読むようなことはしませんが、「ゲゲンミアオ」ではそれが行われているのです。



ローマ字表記について続き

高駒麗人 KOMA (2002/12/26 00:17)

続きです。
欧州語の感覚では、yukr、prkaのようにrの前後に母音がなくなるとrは1音節になります。
yukarやpirkaのように母音の次にrが来たらkarで1音節。pirで1音節と考える人が普通でしょう。
しかしアジア語に欧州語の常識はあてはまらない。
北京語「孤儿」gu'erは2音節ですが「儿(兒)」 erはrだけの音節でgu-rと考えていいでしょう。一方、「棍儿」gurはこれ全体で1音節で、rは唯の音節末子音です。中国の歌では「孤儿」は2音符、「棍儿」は1音符。
アングロサクソンがアイヌ語を発音したら shir(シル:様子)は英語の sheerみたいになり、yukarは、“you,car”のようになり、pir'ka は pearseのsを省いてkaをつけたように聞こえるでしょう(それでPirで1音節、kaで1音節になるでしょう)西洋人にyukarをユーカラと発音してもらうには、yukaraだと説明するしかないでしょう。

yukarがユーカラyukaraに聞こえるのはrに曖昧母音がついているせいでしょう。
添加されるのは子音の前の母音と同じで、salad>サラダ[sarada]、cake[keik]>ケーキ[ke:ki]という例もあります。英語のCreoleでbigがbigiになる物があります(岩波新書「言語と社会」)
音韻史的にはyukara>yukar、shiri>shirでしょうか。それとも逆でしょうか?

子音に母音がついているように聞こえるのは、母音の消滅か、或いは「サラダ」のような異民族による訛りかいずれかです。

モンゴル語で馬はморь(mor')であり、rは舌面口蓋化していて、母音iはついていないのですが、カナ表記は「モリ」です。мори[mori]のiが弱まったのでしょう。
活用語尾がつくとмориоор(morioorモリオール「馬で」)になり、i(イ)が復活します。
http://homepage1.nifty.com/asimura/teyin.html
有名なゴビgobi(砂漠)も本来гоби(gobi)だったでしょうが今のKhalkha語(蒙古本国)ではговь(goβ')になっています。
ロシア語の固有名詞:
Ельцин(Yel'tsin)>エリツィン“Elitsin"、
Чернобыль(Chernobyl')>チェルノブイリ“Cherunobuili”も似たようなものです。
カタカナの次の“Elitsin"、“Cherunobuili”は日本語の発音を羅馬字化した物です。しかし英語表記では Yelitsin,Chernobyliと書くことはありません。
英語人がChernobylを発音したら
[t∫enoubl]になって「チェノウボー」に聞こえるでしょう。

ロシアの作家ゴーリキГорькийは英語でGor'kyですが、英国人が発音するとゴーキになります。(同様に「ハルビン」Harbinもハービンになる)
ロシア語・英語共二音節。日本語では[r']を「リ」[ri]にして「ゴーリキ」go:rikiで3音節(「ゴー」を2拍とすると4拍)です。
http://www5d.biglobe.ne.jp/~simpli/02-1-4-1Gorky.htm
漢語では高尓基Gao'erjiで3音節になります。軟音r'を「利」liや「日」riにはしません。
中国の某都市にある「高尓基路」Gao'erjiluは「ゴーリキ」に因んだ道であり、市内の展示場事務所が作ったパンフの日本語では「ゴーリキ路」。故に英語名は“Gorky Road”の筈ですが、道の道路名表記では漢字「高尓基路」の下に「GAOERJI ROAD」とあります。
英語の中にGAOERJIとGorkyが混在することになり、これはロシア語を粗末に扱っているのでは?

言葉は使用者が増えると良くも悪くも「手垢がつく」ものです。倭人(大和民族)は当初、倭語(日本語)が乱されるのを恐れてアイヌに倭語を教えなかったそうです。私の研究不足は恥ずかしい限りですが、アイヌ語に関して誤りも多様な解釋も一切許さないなら、いっそ倭人にもアイヌにも外国人にもアイヌ語使用を禁止して、辞書やテイプに保存しておく以外手はないでしょう。
http://search.yahoo.co.jp/bin/search?p=%A5%A2%A5%A4%A5%CC%B8%EC



発音表記は文法・歴史的な理由か

高駒麗人 (2002/12/25 23:49)

poronupさんへ
>『アイヌ語会話イラスト辞典』(蝸牛社)の著者は知里真志保の姪の知里むつみさん。
小生の記憶が不正確でした。対不起。いやいやいけれ。

>siriは、sirの所属形で「様子」。siruは、「〜をこする」という動詞。
勉強になりました。いっそ、(辻本さんではないけど)カタカナよりロシア文字で書く方がいいかもしれません。
「様子」sir「シリ」はсирь(sir')で、所属形はсири(siri)
「こする」はсиру(siru)でしょうか。

アイヌ語の表記は発音より意味や文法的な区別を重視した書き方でしょうか。
日本語の「知る」shiruの発音は shir 近い時もありますが、終止連体形としては shiru と書きます。shir 唯の語幹で、Shiranai(知らない)、shiritai(知りたい)と同様rの後に語尾がついた活用形と考えるべきだからです。

pirkaが「ピリカ」に聞こえるとすると、пирь-ка(pir'ka)と解釋できるでしょう。
ピリカ(ピルカ)が pir'kaなら追う二音節の筈ですが、「ピリカ、ピリカ…ヌンケクスネ」という歌では「ピー・リ・カ」で「リ」に音符がついてました。(しかし「ヌン」nunは1音節でした)yu-karやpir'-kaのr'が音節主音というのは珍しいです。
表記は子音だけで発音は母音をつけて1拍。少し納得いきませんが、これがアイヌ語の慣用でしょう。



お恥ずかしい限りです

poronup (2002/12/25 18:56)

sirは「シ」、pirkaは「ピカ」…

です。そそっかしくて申し訳ありません。



訂正

poronup (2002/12/25 18:55)

>sirは「おはよう!!」、pirkaは
>「ピカ」しかし、こう書くと…

誤記でした。訂正して、

sirは「ピカ」、pirkaは「ピカ」です。しかし、こう書くと…

とします。タグの練習用ページの例文を間違って貼ってしまいました。



アイヌ語の表記について

poronup (2002/12/25 18:51)

高句麗人 様

直接レスをお書きするのははじめてですね。
はじめまして。

>sir(或いはshir)を「シリ」siriにするか「シル」siruにするかは、
>本来ない母音をつけるわけでどちらも似たようなものでしょう。

残念ながら「似たようなもの」とは言えません。
sirをsiriとかsiruと書いてしまうと別の単語になります。siriは、sirの所属形で、同じく「様子」と訳せますが用法が違います。発音も違います。
siruは、「〜をこする」という意味の動詞です。
『アイヌ語イラスト辞典』のshir(こする)は誤記です。正しくはs(h)iruです。

sirの実際の発音は日本語の「シリ」に聞こえます。しかしこれをsiriとは書かないのが、知里幸恵以降のアイヌ語の表記法の鉄則です。
これはrの前の母音のiの影響であると説明されていますが、sirをsiriとは書きません。

また、yukarもrの前の母音aの影響で「ユカラ」に聞こえますが、yukaraとは書きません。
こちらは、「ユカル」という発音になることもあります。
(ただし樺太アイヌ語の場合は違います。)

アイヌ語のカタカナ表記いろいろ難しい問題をはらんでいますが、母音のついていないrを知里真志保は「」と統一的に表記しています。sirは「おはよう!!」、pirkaは「ピカ」しかし、こう書くと実際の発音からかけ離れてしまうので、「シ」などと書く方法が1980年代以降普及しました。つまり、rを実際の発音に近づけて「ラリルレロ」と書き分けるわけです。

北海道ウタリ協会が各地のアイヌ語教室で使うために作成したアイヌ語の教本『AKOR ITAK』(1995年)ではその表記を採用していまして、現在はこの表記にのっとった書き方が一番普及しています。
ただ、いくつかの問題点もあるので、違う表記を使用している人もいます。

『アイヌ語会話イラスト辞典』(蝸牛社)の著者は、知里真志保のめいの知里むつみさんです。


濁音については、実際の発音では濁って発音されることがあるので、アイヌ語にも濁音は「ない」わけではありません、
しかし、音素としては清濁の対立はないので、現在のローマ字表記法では基本的に清音で統一して書きます。
これは個人差があるようですが、鼻音のあとの子音は有声化しやすいようです。知里幸恵のみならず和人が聞き取ったアイヌ語の記録を見ると、濁音がごまんとあります。欧米人の記録でもそうです。
特にポーランド人のピウスツキの記録のみ濁音が多いということはありません。



北京語の当て字について

辻本裕幸 (2002/12/25 18:17)

質問です。北京語には、珈琲などに使う、珈という、ka、gaと発音する漢字があるのに、なぜわざわざ、シンガポールxin jia poとか、カナダjia na taとか、加jiaという漢字を使って人名や地名に使うのでしょうか?ひょっとして、広東語に気を使っているとか?広東語では加はgaですからね。あるいは、キルギスタンは国の名前では吉と、キ>jiという発音の当て字(子音より、母音優先)をしているのに、中華人民共和国の民族名のキルギス族では、なぜ、キ>geという当て字(母音より子音優先)をしているのでしょうか?不思議です。



地名について

辻本裕幸 (2002/12/25 13:33)

高雄の由来を聞いて驚きました!どうして中国の地名はみんな音読みなのに、台湾のあの町だけ、訓読みにするのか不思議でしたが、原住民諸族の言葉だったのですね!大和族は本当に東アジアの地名トラブルメーカーだ!せめて、漢字の音読みと訓読みの区別さえできる民族だったらこういう事も少しは防げたはず。クナシリもせめて、九那師利にするとか。タカオも、他化於にするとか。非漢語地名に、漢字を当てるのは、中国人、日本人問わず、いけないことだと思います。(サッポロ、ワッカナイ(北海道)アオモリ、ヨコハマ、ナゴヤ、オオサカ、ヒロシマ、(本州)タカマツ マツヤマ(四国)ナガサキ、カゴシマ(九州)コザ(沖縄)ハルピン、ウルムチ、フフホト、ラサ、(大陸)タカオ(台湾)、ソウル漢城(韓国))そのなかでも、漢字の訓読みを地名に当てるのは最悪だ。原音が跡形もなく消し飛んでしまいますからね。南北朝鮮の大部分の地名と、越南の大部分の地名。大陸、台湾の漢族地区地名。日本の北海道、仙台、東京、京都、高知、佐賀などの音読地名はなんとか、漢字圏でも使いまわせるでしょうが。基本の発音は同じですから、後は訛りの違いということになります。



アイヌ語

サトウ (2002/12/25 11:03)

アイヌ語の地名で「雨紛」の意味を教えて頂けないでしょうか?



可哀相な固有名詞

高駒麗人KOMA (2002/12/25 03:25)

旅順にある某ゴルフ場は、日本人「梅山昌章」氏が設計したらしい。それを紹介するパンフの英文を見て少し驚きました。
“General designer Mr.梅山昌章.Tutored by the pioneer of Japanese golf profession Mr.浅見禄蔵、Mr.梅山昌章 studied golf course design in his yearly years.”“After thet he joined-Desing set up by japanese professional golf Mr.青木功 from then about on 1992,Mr.梅山昌章 became a free-lance designer.”

このようにAlphabetの中で、日本人名だけが漢字です。
勿論、これは、恐らく、中国人が中文「梅山昌章早年師承日本高尓夫球界的前輩浅見禄蔵先生專門学習高尓夫球場設計…之后参加了日本著名職業高尓夫選手青木功組織的青木企画設計所…」を英譯した物で、「梅山昌章」、「青木功」等の英語綴り(原語の羅馬字表記:Umeyama Masaaki、Aoki Isao)を知らず、漢字を混ぜたのでこうなったのでしょう。青木選手をMr.Qingmu等と書かなかっただけましでした。
しかし、中国人がこの「漢字混じり英文」を朗読したら「梅山昌章」は Meishan Changzhangとなり、「青木功」は Qingmu Gongになり、日本人や西洋人が聞いたらまず、少なくとも「チンムー」がゴルフのアオキ(青木)さんだとはわからないでしょう。
http://wa2.e-golf.co.jp/gp/rp/cb/cb149.htm(浅見禄蔵)
http://www.plus-web.co.jp/cgi-bin/lyout/golf.cgi?a=6346(梅山昌章)
http://big5.xinhuanet.com/gate/big5/www.dl.xinhua.org/htm1/20020910/091036.htm

また、大連の外資系某一流ホテルのパンフレットの文で、中文が
「2002年12月3日、遼寧省委常委、副省長夏徳仁在大連×××酒店会見了日本CSK公司總裁青田雅弘先生一行」で、英文譯がパンフ制作段階では
“On 3 December2002,Mr.Xia De Ren, Vice Governor and Member of Liao Ning Province Standing Committee,met with President of CSK Japan,Mr.Qing Tian Ya Hong in XXX Hotel Dalian”になっていました。Japanの次の人名を見て一瞬面食らいました。

「青田雅弘」さんの名が英文でMr.Qing Tian Ya Hong になっています。もちろん誤りで、Mr.Aota Masahiroが正しい。おそらく、漢人が漢語文を英文に譯した時「青田雅弘」を日本語で何と読むか確認せず、北京語音をそのままローマ字で書いてしまったのでしょう。(職務怠慢じゃ)日本人がQingtianを見てもわからないでしょう。

では日本人が日本語の「遼寧省の夏徳仁副省長がCSK社の青田雅弘総裁と会見」という文を英語に譯したらどうなるか。「遼寧省」は Liaoning Province だが、日本人がこれを知らずに、日本語名の「りょうねいしょう」をローマ字にして Ryoneisho 等と譯したり、「夏徳仁」(Xia Deren)を Ka Tokujin 等と誤記する恐れあり。これでは中国人が見た場合わからない。
ちなみに「夏徳仁」はロシア文字では、Ся Дэ-жэньになります。
「遼寧」はЛяо-нинです。
(nはнь[n’]で、ngはн[n])

日本の講談社International社が編集した英日2言語による日本史の本で、「旅順」の英語名が “Port Arther(Ryojun)”になっていました。英文紙やガイドブックで慣用の Lushunという綴りくらい載せないようでは、出版社が恥をかくでしょう。

http://kan-chan.stbbs.net/cgi/board/mibbs.cgi?mo=p&fo=manga&tn=0020&rn=50(ハットリ君などについて)
http://kan-chan.stbbs.net/cgi/board/mibbs.cgi?mo=p&fo=language&tn=0055(日本語の中の外来語について中国人が困っている話)

ウドンの英語表記は udon でしょうが、中国人が英文でメニューを書くとWudongとかUondongとか、色々あって見ていて楽しいです。
http://kan-chan.stbbs.net/cgi/board/mibbs.cgi?mo=p&fo=language&tn=0055



粗末に扱われているアイヌ語に関して

高駒麗人KOMA (2002/12/25 01:46)

「鈴木」は本来「すすき」のようで、すると漢人が鈴木をLingmu等と読む(呼ぶ)のは日本語を粗末に扱っていることになり、「斯子基」とでも書いてsizijiと読ませる方が良いかもしれません。しかしそれは漢人のせいだけでなく、スズキを中国文字で「鈴木」と書いた和人(倭人、大和民族)のせいでもあります。
台湾の高雄は高山族の呼び方Takauからのようですが、これを和人が「高雄」と書いた為、漢人がGaoxiongと発音し、Wade式Kauhsiungが世界的に廣まってしまいました。これでタカウの音は破壊されてしまった。

同様に、札幌Sapporoはアイヌ語でSatporoのようで「乾いていて大きい」なのか「軽くて大きい」かはともかく、「フダ」や「ホロ」とは関係ないのに倭人が「札幌」と書いた。漢人がこれをZhahuangと読み、アイヌ語の名は破壊されてしまっています。中国人の話を聞いたとき、「日本的“Zhahuang”好不好?」と言われて一瞬聞き取れませんでした。しかし、漢土ではビールの「サッポロ」はカタカナであるのが幸いして漢語名は「三宝楽」Sanbaoleで、Sapporoに近い音が保たれています。
同様の例として、「忍者ハットリ君」は本当は「服部」君なのに、漢語版で「哈突利」になり、原音Hattoriに近い音Hatuliで呼ばれるようになっています。
国後、歯舞、擇捉、色丹などを漢字でどう書くかが日本語の教養になっているのは馬鹿げています。「アイヌ語会話イラスト辞典」による Kunnne(夜)Shir(状態、こする)、Hapo(母)may(星)、Etu(嘴)rup(氷)、Sak(夏)kotan(村)という語源解釋が正しいかどうかは別として、重要なのは「国の後ろ」「歯が踊る」「選擇する」「捉」「色」「丹」等とは無関係であること。それに無意味な漢字をつけて、Kunashiri(Kunneshir?)を蓁語(Chinese)でGuohou等と呼ぶのは大間違いだということです。
倭人とロシア人の間でアイヌモシリの一部たるクリル所有を争うのは、ロシアとドイツがポーランドを取り合うようなものです。(中露間に挟まれた黒龍江内の島や沿海州にしても本来はTungusの土地で中原の漢人と東欧のロシア人が取り合うのはずるい)

もっと言うと「北方領土」という言い方も(高麗半島人が日本海を東海と呼ぶように)御都合主義的な気がする。南千島とでも言う方がいい。



ロシア語による漢語等の表記について

高駒麗人KOMA (2002/12/25 00:52)

http://plaza.harmonix.ne.jp/~iishi/sbu/index.cgi?v=P_POYAPONSKI(ロシア文字日本語表記)
http://202.84.17.73/russian/(新華社ロシア語ニュース)
Цзян Цзэминь(江澤民)、Пекин(北京)、Харбин(哈尓濱)、Тяньцзинь(天津)、Сиань(西安)、Чэнду(成都)、Чунцин(重慶)、Куньмин(昆明)、Нанкин(南京)、Шанхай(上海)、Ухань(武漢)、Ханчжоу(杭州)、Гуанчжоу(廣州)、Тайбэй(台北)、Сянган(香港)、Аомэнь(澳門)

ちなみに高麗語の어(口の大きいオ)は方言的に曖昧母音や[Λ]になり、エに近く聞こえることもあるので、
盧武鉉(ノムヒョン노무현)氏の名はロシア語で
Нo My Xэн[nomuhjen]ノムヒェンのようです。
Seoulは Ceyл[seul]になります。
http://www.seibunsha.net/essay/essaytkuno.html(アムール地名考)
http://hpmboard1.nifty.com/cgi-bin/thread.cgi?user_id=ANA15167&disp_no=2594&log_no=2594&msg_per_page=10&def=10



事はアイヌ語だけではない

高駒麗人KOMA (2002/12/25 00:26)

語源解釋は百家争鳴諸説紛粉、アイヌ語については自分も研究をしていくつもりですが、「完璧に知らないと発言できない」なら、永遠に誰も何も言えなくなります。
西洋語專門家がアジア語について記述しているのを見ると間違いや説明不足が見つかります。
某氏の書いたローマ字で満州語を覚える本で日本語のhaha(母)が「かか」kaka(「かあさん」の「かあ」)の訛りでk→hの例だと書いてありましたがこれも誤りで、日本語のhahaの古代音はpapa(父でなく母)です。

英和辞典でKoreaの語源について「中国語『高麗』Kaoliから」とあったり(直接的には朝鮮語の「高麗」Koryeo고려より、ひどいのになるとKoraiと書いてあったりする)、Japanについても「『日本』の中国語音Jihpunが語源」とあります。JihpunはOxford辞典に載っていた綴りです。しかし、英語の專門家(シナChina語が專門外)とはいえ、ピンインのRibenやWade式のJipenくらい調べて併記してもよさそうな物です。
英語のtofu(豆腐=bean curd)は、
日本語「トーフ」to:Φuから入った筈ですが、中国人が作った英漢詞典では漢語の「豆腐」doufuだとしています。
北海道の地名にしても知床は「とがった部分」のことだと説明するTVもあったりして、「国後」は夜だか黒だかということは私もよくわかりません。
しかし安易に扱われているのはアイヌ語だけではありません。表記法の誤りを言うなら英語やアイヌ語やフランス語をカタカナであらわした時点で誤りです。「英語のサーロインは『肉の好きな伯爵』ではなく、フランス語のシュルロンジュ(腰の上)から」等と書くのは大間違いで「Sirloinはsurlongeから」と表記すべきです。

私はフランス語については独学する気もなく、專門でもないので勝手に解釋しようが綴りを間違えようがカタカナで書こうが気にしないことにしています。
http://www.ne.jp/asahi/nama-nama/uruma/language.htm(沖縄、京都、アイヌ語)
知床(しれとこ) シルエトク 大地が突き出た先 、国後(くなしり) クンナシリ 黒い島

http://www.iris.dti.ne.jp/~muken/timei02.htm#1 北海道の地名ーアイヌ語源ばかりではないー国後(くなしり)島の「くなしり」は、「キナ・シリ(草の島)」

どれが正しいんだか。日本語の返事「はい」が廣東語「係」だという説もVolksetymologie民間語源論みたいで信じられませんが。

http://202.84.17.73/russian/



北京語の俄羅斯文字表記について

高駒麗人 (2002/12/23 00:34)

辻本さんへ
si=sz、shi=shrという私の説明が、お役に立てて光栄です。

「傳」chuan、zhuanはキリル文字では чуань、чжуаньになります。
чваньですと、в[v]による逆行有声化が生じて
ч[t∫](チ)が дж[dろ](ヂ)になる恐れがあります。
「床」chuangですとчуанになります。
またь(mjaghkij znak軟音記号)は先行する子音を口蓋化する補助記号でそれ自体音価はなく、
angを現す場合、aьのようにьだけでngを現すのは少々無理があります。
anはaнь(aと軟音のn)で、
angはaн(aと硬音のn)です。
北京語ロシア文字表記では音節末nとngの内、ьがつくのはngでなくてnのほうです。
http://www.xinhuanet.com/home.htm(新華社)
http://202.84.17.83/(新華社日本語版)http://202.84.17.73/russian/(新華社ロシア語)
新華社の新華XinhuaはСиньхуаです。



清音、濁音

辻本裕幸 (2002/12/22 21:23)

しかしアイヌ語にしても中国語、韓国語にしても、濁音と清音に区別がないという事と、濁音そのものが無いという事は、別問題でしょう。またある民族は清音のつもりで発音していても、異民族には濁音に聞こえるという事も有りそうです。私が西安で頼まれて日本語講師をした時、五十音表の清音を読み上げている時に、生徒たちから、「先に清音の方を読んでください」といわれた。つまり、彼らは私の発音した清音を、無気音ととらえ、さらに無気音を濁音ととらえたのだろう。これを説明するために、私は五十音の前に、先に万国発音記号を教えるはめになった。面倒くせぇ奴等だぜ。



音の分類 来夢来人 歯茎音

高駒麗人 (2002/12/21 01:23)

辻本さん、ManiacCさんへ。こまぷすむにだ。
cuisineとpret-a-porterの語源については勉強になりました。
確かに英語の中の外来語の氾濫や日本語の中の漢語詞の氾濫を問題視しない「外来語氾濫批判」は矛盾していますね。

来夢来人のサイトですが、私がいいたいのは、Limelightでなくraimuraitoという綴りが使われていることと、「ビル」「シッバス」という誤記(BierやChivasの原語音でなく日本語の慣用「ビール」「シーバス」から見て誤った表記)が堂々と見直し訂正もされず網上にあるということです。しかし簡単に誤りと決め付けていいのか…?皆さんはどうお考えでしょう。
池田文春氏の漫画「BAR来夢来人」もカクテルの事(ManhattanやFour Rosesの名の由来等)が多く載っていて面白いですよ。

日本語に無声摩擦音はいくつあるか。ファ、サ、シャ、ヒャ、ハをΦa、sa、∫a、c,a、haと書くと子音は5つで母音はaだけ1種類ですが、hwa、sa、sja、hja、haと書けば、無声摩擦音はhとsだけになります。朝鮮文字でかけば、화사샤햐하で、子音は、호[h]ㅅ[s]の2種で、母音はㅏ[a]、ㅑ[ja]、ㅘ[wa]の3種類。
アフリカや豪州の言語を記述する言語学者はこういう問題とつきあっているでしょう。

歯茎音は難しく、映画「漂亮媽媽」(英語名はBreaking the Silence)を見ると聾の少年が「色」seや「謝」xieをうまく発音できず、ge(個)のように発音していました、「流血」liuxueは youyueになり(声母lを発音できない)、また、「雨」yuは wu(午)になり(唇を丸めることはできるが舌を前に出すことができない)、「花」huaを fa(發)と発音したりしていました(これは漢語南方方言で御なじみ)。
ハワイ語にsがないのでMerry ChristmasがMeli Kelikimakaのようになりますが、これもそれほど不思議ではないようです。sがhになる変化は日本語西部方言でも御なじみですし。

人名地名に関してまた興味深い例を見つけました。中国人が中文を英文に訳した時、文中に登場する日本人名の「青山」をMr Qingtianのように北京語音のピンインで書いてしまったということで、勿論Mr.Aoyamaとすべきですが、別の機会に詳しく解説しましょう。
http://hpmboard1.nifty.com/cgi-bin/thread.cgi?user_id=ANA15167&disp_no=2698&log_no=2698&msg_per_page=10&def=10



Re: 類型論

massangeana (2002/12/21 00:22)

Maniac C. さん:
>上代日本語の甲乙の使い分けでは、種々の説が在る中で、その中の或る説を否定する論拠とし
>て、 世界的な視点として見た場合、狭くも広くも無い母音にだけ集中する体系はおかしい
類型論的な観点というものですね。おかしい, というか, 実際の現在の言語では母音は音響的に
特徴の強い a i u がもっとも多く使われ, たとえば e だけあって i のない言語はない(んでしたっ
け?) といった話ですね。印欧祖語の子音体系が p b bh のように無声帯気音がなくて有声帯気音
だけあるのも類型論的に不自然なので, まちがっているんじゃないか, というような議論もよく
なされます。
イ・エの乙類がでてくる頻度はそれほど高くないので, 中舌だったとしても類型論的に問題になる
かどうかは難しいところだと思います。そういう不安定な母音だったためにその後消滅したとも考
えられます。

昔, 上代日本語五母音説で有名な松本克己氏の類型論の講義に出たことがあります。私はオ乙類
の母音を [@] (schwa) と考えてはどうかと質問してみたのですが, それに対する答えは, [@]
は中舌だがなぜか類型論的には無標である(安定している)。森博達(ヒロタツといってました。
正しくはヒロミチ)の説もそうである。しかし安定した音であるため, その後急速に消滅した
理由が説明しにくい, ということでした。

そり舌音についてはどうなんでしょうね。j/z/zh の三項対立といっても, じっさいには
ほかの方もおっしゃるように j は後続する母音が異なるので z/zh の二項対立にすぎないわけ
ですし。そり舌についてはインドの方がもっと細かい区別をすると思います。テルグ語(だっ
たと思う)では R が 3種類あって, そのほかに L もあるのだそうで, その 4つをネイティブ
の人が発音しわけるのを聞いたことがあるのですが, どこがどう違うのかさっぱりわかりま
せんでした ^^;



アイヤー 愛やー

辻本裕幸 (2002/12/20 23:39)

ちょっと、高句麗人さん、あなたが紹介してくれた来夢来人ってサイト、ムンムンじゃないですか。勘弁して下さいよ、本当。僕はあんまり女性に免疫がありませんから。あんな店に行くほどの人民元ももっていませんし。参ったなこりゃ。



Re: 暫の読み

massangeana (2002/12/20 23:28)

「暫」ですが, 歴史的な変化として規則的なのは zan の方です。zhan という音の起源は
たぶん「斬」につられたもの(百姓読み)でしょうが, すでに定着した音なので, 大陸で規範と
して zan を選んだのは多少疑問です(洗滌をセンデキと読め, のような)。「漢語方音字彙」と
いう各地の漢字音を表にした本がありますが, そこでは「暫」の北京方言音は zhan になって
います。



中国語の子音

辻本裕幸 (2002/12/20 14:30)

高句麗人さんありがとうございました。
 またひとつ、なぞが解けた!shiはshr siはsz とでもすべき音なのですね!
前も言いましたが、おそらくx、j、qはs、z、cに介母音i、ウムラウトuを付けたものだと解釈できそうです。ピンインの上で両者は補い合って分布していますから。もし、すべて一律s、z、c、で統一すると、ローマ字を3つ使わないでいいので省略できますが、その代わり今度は、xiとsi。suとxuを区別する手段を失う。(まあそれこそウムラウト記号を使えばいいですが、)でもs、z、cとx、j、qを分けて表記しておけば、ローマ字を3つ余分に使わなければいけない反面、二種類のi、uとウムラウトuの区別ができるので、この点では有利です。どっちもどっちですね。生と姓は一方は介母音が無い(sheng)、一方は介母音が有る(xing)が同じ子音を持つという意味でしょうか?



またまた文字化けです

高駒麗人 (2002/12/20 01:58)

すみません。漢語のshiを閉鎖音節と考えるのは英語のfur(毛皮)をfrと解釈して閉音節とみなすようなものでしょう。ユーカラはアイヌ語yukarですが日本語の発音をローマ字で書くとyukaraでしょう。limelight[laimlait]に対してraimuraito(来夢来人)というサイト名もあります。
http://www.kaihatu.com/raimuraito/中国人が日本語を書いたので「ビール」が「ビル」、「シーバス」が「シッバス」になっています。



siとshiは閉音節?

高駒麗人(こま) (2002/12/20 01:02)

辻本さん、zo-さん、massangeanaさん、ご教授かたじけない。まとめて感謝はむにだ。
北京語の四と十を閉音節とするのは少々無理があると思います。

北京語Shi(十)のiは口の上下の幅が狭い巻舌母音rですからshrと解釈してかまいません。
「是阿」が shi-raになったり、「十五」shiwuが shiruに聞こえることがあり、これはそのためです。
北京語Si(四)のiは摩擦音zの摩擦を弱めたものなので「四十」sishiはszshrと書いてもいいでしょう。しかしそうすると狭い母音はすべて子音になり、蘇suも閉音節swで、西xiも閉音節になります。

漢語音韻ではshiとsiの母音は舌先を上に上げて発音する舌尖母音(元音)で、一般のaiueo&umlaut-uは舌面母音として区別しています。fu(父、服)のuは上の歯と舌の唇をつけてuを発音するもので、vの摩擦が弱まったυです。上海語「対勿起」teve'tc'iはテワチのように聞こえます。このυはオランダ語にもあります。

中国人がsとshを同音と思うのは、舌先音(s思、sh是)対舌面音(x西「シ」)というふうに、下の調音位置による音の区別に敏感で、一方、歯茎前部(s思)と後部(sh是、x西)という上の調音位置の区別による音の違いを聞き取れないからでしょう。日本人はこれが逆になっているので、上の調音位置による音質の区別を聞き取り、x(舌面「シ」)とshを同音に思うのです。

「暫」zanが台湾国語でzhanというのは初めて知りました。両方あって当然です。
標準語は人工的に作られた混成方言であり、山にsanとshanの二種があるのを普通話でshanを採用したが「三」では(「三」の語末mをnにする北方方言音の内)shanが外されてsanが採用されたというだけの話です。「詩」の場合は shiが標準でsiが訛りであり、「寺」では逆にsiが標準でshiが訛りですが、その必然性はありません。たまたま近代中国の教育部がそう決めただけです。
さらに「山」shanと「仙」xian、「生」shengと「姓」「性」xingのように中国人にとってもxはshやsに近い音らしいことを思わせる例もあります。

zo-さんは一ヶ月ほどパソコンから離れるとのことですが、ネットカフェなどでアクセスする機会はあるかと思います。そのへんどうでしょう。

http://www.sinsekai.com/kankyo/menu/Menu_10.htm



いろいろ

zo- (2002/12/19 20:49)

辻本さんへ

 台湾にいる人も華僑になっちゃうんですか?うーん、最初は変だと思ったんですが、最近「域外華文小説選」みたいな本に、マレーシア、シンガポールとならんで台湾の小説が入ってること多いしねー。その場合は香港もはいっている場合が多いですが。

ところで、massangeanaさんも帰ってこられて、これから勉強するぞと思っていたのですが、私も、約1ヶ月、コンピュータとお別れの生活です。もしかしたら時々覗けるかもしれません。ではみなさん、よいお年を。



そりした音

辻本裕幸 (2002/12/19 14:02)

情報ありがとうございます。台湾の回族に興味を持ったのは、青海省の回族友人が台湾にも居ると言っていたからです。すると在外架橋にも回族が結構含まれているとか。
 shiとsiは日本人、韓国人にはシ、スとちがう音に聞こえる。しかし、中国人には同じ音に聞こえる。なぜか?わたしは両者が実は閉音節だからではないかと思うのですが。中華民国時代の発音記号では四、思、子、は子音一個の記号で表され、母音は付いていない。一応、万国発音記号ではshとsの後ろに、代わった母音の記号がついていますが、(英語のシャの発音記号を左右逆にした記号。Jを逆にしてさらに反対にした記号。)これらは、子音を発音したときに自然に出てくる音声で、sの変わりに別の子音k等をつけてクーとか言う事はできないでしょう。つまり中国人にとってはshiはsh子音一個。siはs子音一個でなされた音節だと解釈している。だから、中国人は両者は子音の違いであって母音の違いだとは思っていない。shとsを区別しない人は無論shiとsiの区別もしないのです。一方、日本人は普通、外来語のsh,chなどの閉音節はチ、シ等とイの母音を付けて発音する。(クラッチ、ブリッジ、ブラシ)sやtsの閉音節はス、ツなどとウ母音を付けて発音する。(イッツ プラス)。だから中国語のshiとsiを違う音だと解釈する。一方日本人、韓国人はshiとxiを同じ音節だとみなしますが、この場合、子音が違っていることのみならず、母音まで違っている。shの次にくるiは自然母音だが、x(実はs)の後ろに来るiははっきり(i)と発音されている。我是日本人をwo xi libenlenと発音する日本人の中国語は子音のミスのみならず、母音でもミスしている。さらに他是日本人を ta si dzi(あるいはer)bendzenと発音する西安人を間違いだと言って、馬鹿にするが自分達の方が、百倍ミスしていることにも気づいていない。だめだこいつら



いろいろ

Maniac C. (2002/12/19 02:13)

massangeanaさんへ

 再び詳しい解説、有難う存じます。
 私にとっては、『漢語と日本語』が唯一の参考書ですので、そんなに種々の説があるとは存じませんでした。深く不勉強を恥ぢました。中でも反切下字の使い分けについては、新鮮でした。
 ところで、世界的な視点として見た場合、体系的には中国語のそり舌音はどうなんでしょう。
 例えば、上代日本語の甲乙の使い分けでは、種々の説が在る中で、その中の或る説を否定する論拠として、世界的な視点として見た場合、狭くも広くも無い母音にだけ集中する体系はおかしい、というような説を、昔の『言語』で読んだ気がします。
 t の変種だけで三種を区別するような言語というのは、他に存在する/したのでしょうか。
 ちなみに、バスク語でも「ス」と「シュ」とそり舌の「シュ」の三種は区別しますし、韓国・朝鮮語も、確か s だけで濃音・激音・硬音の三種を区別したはずですし、アラビア語では s に対応する文字が四種もありますから、そんな言語があったらおかしい、ということにはならないと思いますが。

高駒麗人고마さんへ

>フランス語は勉強していないのでさっぱりわかりません。
 フランス語では、e[ə]とè,ê[ɛ]とé[e]で発音が違ってくるので、アクセント記号は綴りの一部であり、大文字でない限りは省略不可です。
 勉強すると、英語の知識の幅が広がりますよ。

>cuisine
 は、ラテン語 coquīnam(女性名詞・対格)から多分 coecinaを経て変化したもので、実は英語も、この単語から cocīna>cyċene>kitchen と変化しています。これは動詞 coquere の名詞形で、cookも、この動詞の別な名詞coquus(男性名詞・主格)に由来しています(動詞は、名詞から転成)。

>prêt-à-porter
 は、文字通りはready to wearの意味です。他の英単語と密接な関係がすぐに見つからないので、説明は省きます。

>英語の中の外来語の氾濫に怒る人を見掛けないのは不思議。
 英語は、ゲルマン語とラテン語(の子孫であるフランス語)との混血のようなものです。英語の中のフランス語は、日本語の中の漢語のようなものですから、私は何の不思議も無いと思います。だって、日本語の中の「外来語の氾濫に怒る人」も、漢語の氾濫に怒る人はいませんよね? それと同じで、馴染みすぎてしまって、怒れない・怒っても仕様がないのです。

>どうやったら国際音声記号&補助記号付きローマ字を打てるのですか?
ツールバーのIMEパッドで、文字一覧のUnicodeの中から、IPA拡張(国際音声記号)とかラテン拡張(補助記号付きローマ字)とかから探します。

みなさんへ
 明日から1ヶ月ほどパソコンから離れます。折角ここを訪れるのが日課になってきたのに、とても残念です。1ヵ月後に復帰したときに過去ログを読むのを楽しみにして、明朝たびだちます。



発音

zoー (2002/12/19 01:30)

四川でも、そうなんですか。台湾でもshiがsiでなくて、xiのような発音をする人が結構います。よく台湾国語では十と四は声調は違うけど、発音は同じになっていると言います。そうなんですが、本当に訛っている人はxiです。xiの子音は北京のxiの発音と違うような気がしますが、よく分かりません。

ところで、暫時の暫は中国ではzan4だったと思うんですが、台湾ではzhan4が教育部公認の音です。どっちが「正統」なんでしょうかね?



いろいろ

zoー (2002/12/19 01:18)

”給”のgei3の発音は”帰”とか”{食貴}”ではなかっただしたっけ?あれって、ビン南語とかでは使わないんですよね。百姓読みというより、訓読みたいなもんではないでしょうか。今方言の表記によく使われているような。ji3は確か規則的な変化だったような。(横からくちだしてすいません)

ところで、この使い分けなんですが、中国でも人によって違ったりしませんか?”給予”とか、皆さんはどっちの発音で聞くことが多いですか?

アイヌ語の会話集って結構たくさん出ているんでしょうか?以前、講演会で、もう実質的にはアイヌ語を母語とはいえないような世代の人が、アイヌ語の講習会でアイヌ語を覚えて来て、家でお婆さんと話したりすると、「そんな言葉は自分たちの言葉ではない」と言われてしまう、という話を聞きました。アイヌ語には標準語みたいなものがもともとなく、今も各地のアイヌ語を結集して力を集めて、伝えて行こうという方向にもなっておらず、標準語化してしまって自分たちの言葉と違ったものを伝えていこうという気は余りないと聞きました。これはもう7、8年前に聞いた話ですが、現状ではどうなんでしょうか。ご存知の方がいらしたら、是非教えてください。



sとsh

高駒麗人 (2002/12/19 00:43)

辻本裕幸様

>四川省出身の人で意思をyishi。三をshan
すると四川の人は故郷をShichuanと言っているのでしょうか?四川の英語名にはSichuanの他にSzechwan、Szechuanもありますが、Szeは何だかよくわかりません。
ある中国北方人は「寺」siをshiだと記憶していました。「詩」「時」はshiですし。
sとshを区別できない人にとってsとshは一つの音であり、自分がどちらを発音しているか自覚していない事が多いのでしょう。故にsとshを区別できない人は「sは發音できるがshは無理」だけでなく「shはできるがsは無理」という人、不規則にsとshが頻出する人など色々いるでしょう。
例えば同じ人が「四川省」Si-chuan-shengをSi-chuan-shengと言ったり、Shi-cuan-sengと言ったりするような物です。
大連のある中国人老師は「四字詞」siziciをshizhichiと言っていました。また言うまでもなく過剰訂正もあるっでしょう。shをsにするのは恥ずかしいと思って「三山島」「山三島」を両方Shan-shan-daoと言ってしまうとか。

廣東語の三sam等のsは中国人語言学家の記述では∫ですが、私にはただのsに聞こえます。
http://homepage2.nifty.com/chai-cafe~1995/top.html(Chaiという喫茶店)
http://www.urasenke.or.jp/textb/beginer/iroiro.html(茶の種類)
http://www.tea-jp.com/tea/6-tea/index.html(中国茶いろいろ)
http://www.bitex-cn.com/(ハングルも大陸簡体字も使える掲示板)



漢語音韻等について

高駒麗人고마 (2002/12/19 00:13)

massangeanaさんへ
「告」等の音韻について参考になりました。漢語音韻には興味はありますが、これ以上高級なのは私の手に負えません。「廣韻」についてもあまり詳しくありませんし。私がまた学研に寄信するのも手間がかかります。massangeanaさん御自身が学研辞書編集部の専門家の方と書簡で論議なさるのが手っ取り早いと存じます。

ManiacCさんへ
>綴りは thé だと思います。
ありがとうございます。フランス語は勉強していないのでさっぱりわかりません。英語の中でフランス語の単語が多い(特に料理cuisine・服装pret-a-portet業界)のでやむなく辞書は買いました。日本語の中の外来語の氾濫を嘆く人はいますが、英語の中の外来語の氾狽ノ怒る人を見掛けないのは不思議。

>「ă」は[æ]を表しているらしいです。
学研からの信(てがみ)でもそういう説明でした。どうやったら国際音声記号&補助記号付きローマ字を打てるのですか?

現代北京語で「給」にはgeiとjiの二種の發音がありますが、私はgei>gi>jiだと思っていました。geiが当て字の読み方というのは「合」he,geから類推した百姓読みということでしょうか?
古代漢語で「合」は h^ep(h^は有声)、「給」は kiep(eは曖昧母音)ですから、「給」は「合」を声符とする形声文字だとも考えています。geiの読みもkiepが変わったji[tci]と無関係ではないと私は思います。

http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=%c3%ce%ce%a4+%a5%a2%a5%a4%a5%cc%b8%ec+%a5%a4%a5%e9%a5%b9%a5%c8&hc=0&hs=0://



台湾の回族

zo- (2002/12/18 19:23)

いるという話は聞いたことがあります。国民党が台湾に来た時に、いろいろな大陸の人が来てるので。清真寺もあります(ただのイスラム寺院かもしれませんが。)。が、回族の人たちがどういう生活をしているのかは、全く聞いたことがありません。ただ、いるとはいっても、一つの言語集団を作れるほどの数はいないと思います。よければどうしてそのことに興味を持たれたのか、お伺いしたいんですが。


massangeanaさん

uanじゃなくて、onだったというの、勉強になりました。みんなに教えてあげなくては。ところで董同[龠禾]『漢語音韻学』、懐かしい…。



zoさんへ

辻本裕幸 (2002/12/18 14:38)

zoさんへ
 台湾にも回族がいるといううわさを聞いたのですが、本当ですか?台湾にも清真レストランとかありますか?漢族いるところ、必ず、回族あり。ありえそうです。もしいるのなら、彼らも、ビン南語しゃべるのでしょうか?



Re: 舌上音はそり舌音か

massangeana (2002/12/18 02:26)

Maniac C. さん (12/12):
>中古・中世の子音は捲舌音です

藤堂氏は舌上音をそり舌と考えてるようですが, これがなかなか難しいです。
6/28 に私が書いた(過去ログみてください)とおり, 現在も説が割れています。
おおまかに言って, 口蓋化した t, そり舌の t, その中間 :-) などの説があ
ります。

サンスクリットの字母を漢字で書いたり, インドの言葉を音訳したりするとき
に, 舌上音がそり舌音にあてられていることが多いことは, すでに羅常培の
「知徹澄娘音値考」(1931) で言われています。水谷眞成氏によると, サンス
クリットの字母のそり舌音を漢字で写す場合, 7 世紀のはじめまでは舌上音と
舌頭音を区別せず, その区別は韻によって行っていた。玄奘以降そり舌音に舌
上音の字をあてるようになったとのこと。

しかしだから舌上音がそり舌音だったかというと, なかなかそうも言えないの
です。もしインドの言葉にそり舌のt と口蓋化した t の両方があって, 舌上
音がそり舌の方にだけ使われていたのなら舌上音がそり舌だったと言えますが,
そうではないので, 口蓋化した t をインドのそり舌音にあてた, という解釈
も依然として残ってしまうからです。

李栄『切韻研究』は, 舌上音をそり舌と考えると, 直音と拗音の両方に出てく
るのが説明しがたいなどの理由から, [∫] と同じ調音位置を持つ閉鎖音と考
えています。

董同[龠禾]『漢語音韻学』(もと『中国語音史』)では現代方言で舌上音が口蓋
音的な照三(章昌船書常)と合流し, よりそり舌音的な照二(荘初崇生俟)とは別
になっているものがあることから, 舌上音を口蓋化した t と考えます。

さて韻書の反切下字は韻の部分だけに意味があると考えられがちですが, じっ
さいには反切下字の声母と反切のつけられた字(帰字)の声母の間に関連がある
ことが知られています。この使いわけの研究によって, 章昌船書常と荘初崇生
俟は別々のグループに属することがわかっていますが, 舌上音については, 両
者の中間状態を示しています。この現象は解釈が難しいのですが, 私が中国語
音韻論を習ったときには, 舌上音は口蓋化した /tj/ なのだが, あまりはっき
り口蓋化すると破擦音になってしまって章昌船書常と区別がつかなくなってし
まうので, j があまりはっきり出ないように注意した結果, このように中間的
な反切になったのだと考えれば理解できる, とききました。(朝鮮漢字音では
もっとはっきり章昌船書常のグループに近いらしいですが確認してません)

毎度長文で申し訳ありません。



cancerのお礼

足立公子 (2002/12/17 17:16)

未菜実さん、Maniac C さま

cancerの語源有難うございました。友達に早速伝えました。とても喜んでお礼を伝えて欲しい
との事でした。二人でひょっとして,堅い「こおら」なのかなどと,話していましたが,蟹の脚でしたか。 それもヒポクラテスとか。驚きました。知識をしるのもネットワークの力ですね。
有難うございました。癌,細胞実際に見たことがありますが、周りの組織と違う白いぶつぶつ
の堅い塊でした。



Re: 暖簾(のれん)

massangeana (2002/12/17 15:38)

ずっと前の記事(11/15)に対するものです。

貴さん:
>基本的な中国語を習うと「暖」は「ヌァン(nuan)」であることに
>気づくのです。「簾」は「リェン(lian)」であるのでこれがなまれば
>「のれん」になりうる。おぉそういうことかと思った次第です。

辞典を見ると, 過去に暖簾は「のれん」の他に「のうれん・のんれん」という
読みもあり, そちらの方が「のれん」よりいささか古かったようです(記録と
しては 15世紀からある)。おそらく日本において「のんれん」が「のうれん」
になり(判官ホウガンなどと同じ現象?), それがさらに縮んで「のれん」になっ
たものでしょう。

暖を「のん」と読むのは, 緞子(どんす)・胡乱(うろん)と同様で, これらの字
の韻が当時の中国語では -uan でなく -on のような音だったからと考えられ
ます。



「チャ」はチャイ圏

Maniac C. (2002/12/17 02:55)

 「チャイ圏」の特徴は、古い・陸路・煮出し式・そり舌音(広東起源)。
 「ティー圏」の特徴は、新しい・海路・淹茶式・非そり舌音(福建起源)。
 日本の「チャ」は前者でしょう。
 但し、古い煮出し式は平安時代の貴族のものとして廃れてしまい、後の鎌倉時代に伝わった淹茶式が茶道と共に庶民に広がったので、我々にとって馴染み深いのは「ティー圏」の方のお茶ですが。

 「荼」…説明として「にがな」と書いてあるので、苦い汁かもしれませんね。
ま、元は薬として採り入れられていたので、「良薬口に苦し」だったのかもしれませんが。
タンニンの渋味かもしれませんね。

 「曼荼羅」…おおそうか! 「曼陀羅」しか思いつきませんでした。
これも梵語は mandala で、やはりnとdの下に・がついていました。





zoー (2002/12/17 01:16)

荼を使う言葉で、一番なじみがあるのは曼荼羅ですよね。



おちゃ

zo- (2002/12/17 01:08)

荼のことは、私も少し知ってました(ちょっとうれしい)。何かの本に苦い汁と書いてあったような気がします(記憶が何から何まで曖昧で…)。

ところで、中国語の音韻史にお詳しいお二人が「ちゃ」はかなり古い時期の伝来の音だと見なしていらっしゃるということは、福建の禅宗云々は問題外としても、日本語のお茶は「ちゃ」だから北方のチャイとかと同じ系統というのは、全く成り立たないということですか?(お茶の流入経路とか、文化的な面は別として)



Re2: 茶と荼

Maniac C. (2002/12/16 22:53)

massangeanaさん
 詳しい解説有難う存じました。

「茗」の字は『経国集』(天長四・827年)にでてきます。(http://www.ochakaido.com/rekisi/chareki/syo-3.htm)

> インドの言葉の音訳に出てくる「荼」
というのは、「軍荼利夜叉」とかのことですね。
広辞苑で見ると、梵語の Kundali もnとdの下に・がありますから、
やはり捲舌音なのですね。

 まだ行っていませんが、「オンライン廣韻」、じっくりと楽しんで見てみます。
実は中国語は専門ではないので、これからも宜しくお願いいたします。



cancer癌の語源

Maniac C. (2002/12/16 22:31)

 未菜実さんの回答とほぼ同じなのですが、研究社の『英語語源辞典』には以下のように書いてあります。
 ME cancer □ L cancer crab(異化) ←*carcro- ←IE *kar- 'HARD'(Gk karkinos crab). ◇chancre と二重語. 「癌」の意は, 病変したその付近の血管や組織をカニの脚にたとえたもの.」
 ついでに漢字の「嵒」が「いわ・いわお」の意味だっていうのは、ご存知でした?



re;cancer癌の語源

未菜実 (2002/12/16 21:07)

★病気の癌は英語でcancer、大文字で書くとCancer、十二星座の蟹座です。
この言葉はサンスクリットのkarkata(蟹)からラテン語になった言葉です。
癌をこう呼ぶのは、癌のふくれた血管が蟹の脚に似ていたからだそうです。
紀元前五世紀から四世紀の古代ギリシアの医者、ヒポクラテスが名付けたとか。



cancer癌の語源

足立公子 (2002/12/16 20:56)

自分で調べたのですが検索できません。友達が医学療養士の訓練校で英語を教えているのですが
癌になぜcancer(かに)という単語を使うのか語源を生徒に話したいと言うのですが
分かるでしょうか。もとのラテン語?
御願いします。
足立公子



Re: 茶と荼

massangeana (2002/12/16 16:53)

高駒麗人さん:
チャイが「茶葉」から来た, という説は私も聞いたことがあります。たしか村
山七郎氏がそう主張していたと思います。私にはそれが正しいともまちがって
いるとも判断できませんが。

Maniac C. さん:
>荼
この文字の話は長くなるので避けようと思っていたのですが ^^; そうもいか
ないようですね。

茶のことは古くは「茗」とか「荈」(草冠に舛)とかいろいろに呼ばれていた
ようです。ただ『三国志』の呉志韋曜伝に, 韋曜は孫皓のお気にいりだったの
で, 孫皓が臣下に酒を強制するときにも韋曜だけはかわりに茶を飲んでいいこ
とになっていた, という話で「以茶当酒」が見えます。中唐以前に「茶」字が
なかったとすると, ここは本来どう書いてあったのか気になります。「荼」だ
ったのでしょうか。

「荼」は詩経に出てきますが, 当時は茶ではない別の草を指していたらしいで
す。上古音はたぶん dag のような音だったでしょうが, (最後の g について
はあまり話に関係ないので省略) 上古から中古にかけて規則的に a が o に変
化したので, 7世紀には do のような音になっていたでしょう。これを漢音で
ト, 現代中国で tu2 と読んでいるのは, 規則的です。

しかし, なぜか知りませんが「荼」には少しちがう読みもあったようで(意味
も違ったかどうかは不明), こちらは中古に至っても母音は a のままで, その
かわり子音が舌上音になりました。インドの言葉の音訳に出てくる「荼」を日
本(呉音) でダと読んでいるのはこちらに由来するようです。そしてこれが規
則的に変化すると現代中国音では「茶」と同じ cha2 になっているはずです
(じっさいには tu2 に統一されてしまっていますが)。

さて飲み物のチャですが, たしかに古く同音の「荼」を使った(語源が関係す
るかどうかはちょっとわかりません) ことはあるようです。王韻には「茶」は
ありませんが, 木へんに荼の字があって(荼と同音), これがチャを意味するよ
うです。広韻では「茶」をこの木へんに荼の字の俗字としています。確かに
>把“荼”字減去一画
なのかもしれませんが, あるいは「嶋」と「島」のように, 木へんを組み入れ
た字なのかもしれません。

ようやくチャの読みの話になりました。タ行音であることから, わたしも鎌倉
よりはずっと前の時代の読みなのだろうと思います。Maniac C. さんのおっしゃ
るとおり平安の初めなのかもしれません。ただそれよりさらに古いかもしれま
せん。上の王韻は 7世紀のものであり, その本に「茶」はなくとも木へんに荼
の字はあったわけですから。また聖武天皇の時代に茶会を催したと書かれた文
献もあるらしいです。
 http://www.kawadashokai.co.jp/tea/tearoom/te_history.html

>手軽に反切が調べられる辞典等
『広韻』そのものはどうでしょうか。台湾の藝文印書館から索引と校正つきの
ものがでていて, 安いし便利です。オンラインのものとしては, 高崎一郎氏の
「オンライン廣韻」がかなり以前からあります。どの程度信頼できるか私は知
りませんが。
  http://www.vector.co.jp/soft/data/writing/se043429.html



感謝

zo- (2002/12/16 15:52)

Maniac C.さん
 pekoeが白毫ですか。ありがとうございます。

ところで門に虫(ビン)の字、わたしのコンピューターだと問題なく出るんですが、昨日違うのを使って文字化けする場合もあることを知りました。失礼しました。

カムイ伝、わたしも好きでした。



アイヌ人の命名について

辻本裕幸 (2002/12/15 19:45)

今、昔の投稿を拝見しました。そうか、カムイ伝、ストーリーが変更しちゃったんですね。残念。「アイヌ語をフィールドワークする」という中川裕 氏の本によると、あるアイヌの人のお父さんがアイヌラックルという(英雄)の名前を持っていたという。そしたら、早死にしたとか。アイヌの伝統では、美しい名前を持っている人は神に気に入られ、そのまま、神の住む国(つまりあの世)へ連れて行かれる。それで、わざと、神が汚いなと思う名前を付けるのだそうです。トゥルシノ(垢だらけ)とか。  やはり、カムイなんて名前を子どもや自分に付けるのは、和人の発想でアイヌの発想ではありませんね。事実、カムイ伝では早くも第一巻で、カムイの双子の兄は、斬首刑に処されましたし。



カムイ伝

辻本裕幸 (2002/12/15 19:35)

カムイ伝を読んだのはもう8年も前で記憶が定かではありません。やはり、カムイ伝にアイヌ民族の偉大な叙事詩が出ているのでしょうか?帰国したらまた読み返します。カムイ伝は時代劇なのに、チャンスですぞ。とか、Uターンしなされとかいうセリフがあったのを覚えています。とてもユーモアも感じました。



カムイ伝

佐藤和美 (2002/12/15 16:50)

辻本さん
>ところで、カムイ伝には一人もアイヌ人が出てこないのに、どうして、あんなタイトルがついているのですか?

白土三平「カムイ伝」(1998/11/18 12:13)を読んでみてください。



Re:アイヌの言葉を名前に

佐藤和美 (2002/12/15 16:50)

みずさん
>たとえば、拓く、創る、元気な、健康な、たくましい、などの
>言葉はアイヌ語ではなんというのでしょうか?

『萱野茂のアイヌ語辞典』(三省堂)に日本語索引があるので、関係ありそうなものをひろってみました。

カラ kar
1.作る.こしらえる.直す.

カラパ kar-pa
作る[複].

エカラカラ e-kar-kar
作る.言葉を授ける.

ニサシヌ nisasnu
健康だ.元気だ.丈夫だ.

エニワシヌ eniwasnu
頑張る.一生懸命に努力する.張り切る.元気が満ち満ちている.こまめによく働く.大儀がらずによく気がつく.

この索引でいろいろな単語を引いてみるとおもしろいかもしれませんね。



「茶」再び

Maniac C. (2002/12/15 04:07)

messangeanaさん:
>全濁声母をもつ字が呉音で清音になっている例はかなりたくさんあり, これらはかならずしも平安以降の音とはいいきれないのではないかと思います。
 おっしゃるとおりです。ご指摘ありがとう存じました。念のため、『漢字海』でタ・ダを読みとする漢字を全て調べてみましたが、私の説では声母が次清音「透」でタと受容されるはずの「唾」や「蛇」が、呉音で逆に「ダ」となっていたり、声母が全濁音「定」でダと受容されるはずの「侘」が、呉音も「タ」となっていたりすることが確認できました(「打」を「ダ」と読むのが唐宋音と知って、びっくりもしましたが)。潔く誤りと認め、この説明は放棄します。
 が、やはり、奈良末〜平安初ではないか、という別な理由を述べます。
 『漢字海』によれば、「茶」の本字は「荼(ト)」であり、「先秦(センシン)時代までは『茶』字はなく『荼(ト)』と書いていたが、中唐以降に『茶』となった」とあります。『小学館新選漢和辞典』にも「艸が形を表し、余(よ)が音を示す。古い形では荼(と)で……後世、タの音を生じ、茶の字もできた。」とあります。
 更にhttp://www.yujitea.com.cn/cha1.htmにも「在古代史料中,茶的名称很多,但“茶”則是正名,“茶”字在中唐之前一般都写作“荼”字。“荼”字有一字多義的性質,表示茶葉,是其中一項。由于茶葉生産的発展,飲茶的普及程度越来越高,茶的文字的使用頻率也越来越高,因此,民間的書写者,為了将茶的意義表達得更加清楚、直観,于是,就把“荼”字減去一画,成了現在我們看到的“茶”字。  “茶”字従“荼”中簡化出来的萌芽,始発于漢代,古漢印中,有些“荼”字已減去一筆,成為“茶”字之形了。不僅字形,“茶”的読音在西漢已経確立。如現在湖南省的茶陵,西漢時曽是劉欣的領地,俗称“荼”王城,是当時長沙国13個属県之一,称為“荼”陵県。在《漢書•地理志》中,“荼” 陵的“荼”,顔師古注為: 音弋奢反,又音丈加反。這個反切注音,就是現在“茶”字的読音。従這個現象看,“茶”字読音的確立,要早于“茶”字字形的確立。」とあります。
 「中唐」というのは、徳宗が即位した766年から文宗が即位する827年までの期間です。これはちょうど奈良末〜平安初に当たります。また、日本最古の茶の記録であると言われる『日本後記』に「茶」の字が登場するのは815年。ちょうどこの期間です。
 従って、「茶」の字自体が存在しない以上、これ以前の時期ではあり得ないし、zo-さんが気に懸けていた鎌倉時代でもないと考えます。いかがでしょう。

>〉反切が「澄麻」
>これは反切じゃなくて三十六字母と広韻の韻目ですね(反切は宅加)。漢辞海が
>こういう書き方をしていますが, 麻韻は実は直拗・開合の別により 4種類の異
>なる音からなっているので, この表記だと困ることがあります。
 これもおっしゃるとおりです。他の漢和辞典だと『詩韻』の韻目は載っていても声母は載っていないし、『漢字海』のそれには一応、他の辞典より細かい『広韻』の韻目が載っていたので引用しました。実は私も、これより細かい音が判らず困っています。やはり諸橋さんの『大漢和』を調べなければ駄目でしょうか。手軽に反切が調べられる辞典等があれば教えてください。インターネットで調べられるのなら最高なのですが。

高駒麗人KOMAさん:
> フランス語thee
 綴りは the だと思います。
> 同じ人の本でも記述が違うこともあるのでしょう。
 あの綴りは私家版です。藤堂氏の記述は、以前引用した「tia」「t∫a」となっています。
 ついでに「ă」は、「英語の cat のヤ」と説明がありますので、[a]を表しているらしいです。
 あと、文字化けして送れなかったのは、zo-さんに、英語で紅茶の種類を表すペコー(pekoe)は厦門方言の「白毫」に由来するんだよ、というのをお知らせしたかったのです。原因はわかりません。



Re: 倩

massangeana (2002/12/15 03:15)

つづきです。

>上古における「合韻」の一例であって

桑柔四章の「東」については現在でも -ng で終わっており, 詩経でもほかに
東部(段の九部)内で押韻している例がいくらでもあるので, 合韻といって構わ
ないと思います。奇数句の押韻なので, 偶数句より韻が広かったとも考えられ
ます。しかし, 「倩」にはそのようなことがないので, 現代では合韻とは考え
がたいと思います。段玉裁が倩を耕(十一)部と考える根拠は:

 1. 諧声符が「青」である
 2. 切韻系韻書で倩字が霰韻(倉甸切)のほかに勁韻(七政切)にも見える

の 2点だと思いますが, 1. については段玉裁は上古音を考える上で諧声符に
頼りすぎであり, 「倩」(説文段注8上6)のみならず, どう考えても -ng で終
わっていそうにない「猜」(10上30)までも「古在十一部」と言っています。詩
経に合韻を認めるのであれば, 諧声符にも異る部の間の通用を認めた方がいい
でしょう。段はそうしなかったために「茜」(1下20)のように, 茜と蒨(草冠
に倩)が同字であることを認めながら, 茜を十三部, 蒨を十一部と考えるとい
った無理をおかす必要が生じました。なお青に従いかつ -n を韻尾にもつ字
は倩のみならず, 上の蒨や輤(車へんに青)などいくつかの字があります。

また, 韻書の七政切については, 意味が「假倩」(かりる)となっており, 詩経
での意味とまったく異りますから, 無視して構わないでしょう。



再び、官話方言について

辻本裕幸 (2002/12/14 19:45)

最近疑問に思ったのですが、zh,ch,shがz、c、sになるのは有名ですが、中国語でz,c,sを逆にzh,ch,shで発音する方言もあるのではないでしょうか?四川省出身の人で意思をyishi。三をshanと言っているのを聞いたことがあります。でもそりじた音みたいな感じではなかったので、日本語や広東語のシャ見たいな音価かもしれませんが。



アイヌ語名

辻本裕幸 (2002/12/14 13:47)

でも、アイヌ民族の習慣では美しい名前を子供につけると、早死にするという伝統があるので、カムイとかピリカはちょっと、まずいんじゃ?まあ、あれは古代の習慣(迷信)なので、現代はあまり気にしなくてもよいかもしれませんが。ちなみにアイヌ民族には本名は元来ないそうで、ときと場合におおじて改名も度々行われると聞きました。
 ところで、カムイ伝には一人もアイヌ人が出てこないのに、どうして、あんなタイトルがついているのですか?僕は愛蔵版全15巻を読んでさすがにしばらく、漫画が読めませんでした。(笑)いつ、アイヌの話が出てくるのか、楽しみにしていたのに、最後まで、確か出てこなかったような。でも同和問題に関してはとても勉強になりました。わけのわからん漫画をアニメ化するより、ああいう良い作品をテレビアニメにして、もっと国民に知らしめるべき。
 私はram tuy aynuというアイヌ語名を持っています。しかし、中国語名、慈吉莫図の方が通り名になってしまっているので、アイヌ語名を使う機会はありません。いや、アイヌ語名はあまりむやみに人に教えるべき物ではないとも、本で習いました。



Re: 告

massangeana (2002/12/14 08:35)

高駒麗人さんわざわざ学研まで問いあわせてくださってありがとうございました。
とりあえず, 「告」の方のみ。
>上古の時代、「告」は一時でkok(告/コク)とkog(誥/コウ)
kok が「告」で kog が「誥」という認識自体に問題があると私は思いますが, それは
さておき, かりに
>現代中国語のgao4なる語形は音変化の流れから言うと、ここで指摘されているようにkog
>(誥)の流れをくむものと理解した方がよいと思われます。しかし、現在の語は古代の
>ように両者を別語として区別しておりません。
が正しいと仮定しても, kog > kau の意味がひろがったわけで, kok > kau になった
わけではないわけですから, 依然として「>」で結ぶのはいささかおかしいのではない
かと思います。たとえば「給」字には ji3 と, おそらく本来はあて字であった gei3 が
ありますが, 現在は本来 ji3 であるべき「供給」なども gonggei と発音するのが普通
です。これは gei3 の用法がひろがったわけで, たとえ「供給」の「給」がむかし kiep
今 gei であったとしても kiep > gei と書くのは問題があるのと同じことです。こう
いうときのために学研の辞典には「>」でなくて「…」で結ぶという方法があるのでは
ありませんでしたっけ?

>日本語のコクという漢字音は中古以来の読み方(kok系)を今に傳える物で、何も特殊な
>物とは言えません。
前にも書きましたが, 特殊な読みでなかったら, 経典釈文の「告如字, 又古毒反」をうまく
解釈することができなくなると思います。

ついでにほかの辞典の記述も調べてみました(といっても米国では見られる本が限られますが)。
角川新字源では「つげる・請う・うったえる」および「誥」の意味ではコクを慣用音とし,
漢音カウ・呉音コウです。コクと読むのは「会って告げる・のべる・罪をただす」という
せまい意味に限っています。
また, 漢辞海ではやはりコクを慣用音とし漢音・呉音はカウ。コクと読むのは「告
朔」の場合に限っています(これはこれでちとやりすぎのように思いますが)。



アイヌ語 元気

高駒麗人KOMA (2002/12/14 00:48)

http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/(アイヌ語資料)
http://ramat.ram.ne.jp/itak/aisatu.htm(0から始めるアイヌ語入門)
お元気ですか?  Eiwanke ya? えぃわんけ やー?
元気ですよ  Kuiwanke wa! くぃわんけ わー!
http://www.stv.ne.jp/radio/ainugo0104/lesson5.html(アイヌ語ラヂオ講座)
http://www.stv.ne.jp/radio/ainugo0010/index.html(アイヌ語ラヂオ講座)
2.イワンケノ アン ナ。iwankeno an na.元気良く いる 〜よ

●イランカラプテ[挨拶の言葉] ●イワンケノ[健康で、元気良く]
●アン[いる、生活している(単数)] ●ランマカ[変わりなく、相変わらず]
●タント[今日] ●シリピリカ[天気が良い]●ワ[〜よ、〜ね]●エカシ[お爺さん]●オカイ[いる、生活している(複数)]●ピリカ [良い、美しい]. ●ノンノ [花],●カル(kar)[作る]
アイヌ語「元気」については他にも詞があるかもしれません。
http://club.pep.ne.jp/~shigmats/utusback/ainu.htm

1998年伝言板アイヌ語関係集
http://www.asahi-net.or.jp/~hi5k-stu/aynu/bbsaynu98.htm
女の子にアイヌ語の名をつけるなら「ノンノ(花)」がよいでしょうか。
男の子なら「カムイ」もかっこいいかも。(「忍風カムイ外傳」もう一回見たい。)
http://plaza.rakuten.co.jp/tenki516/013009

http://www.jtb.co.jp/media/osaka/html/kouyou/hokkaido-siretoko.html
JTB旅行案内より。知床の語源は大地の尽きるところという意味のアイヌ語「シリエトク」。
蝸牛社から出たアイヌ語イラスト会話辞典ではアイヌ語で「美しい」が「シレトク」のような詞で、私は「シレトコ(知床)」は「美しい」だと思っていました。

幼少のころ母親が「♪ピリカピリカ…ヌンケクスネ」という歌を歌うのを聞いたことがあります。「冒険コロボックル」というアニメも昔あったようです。(主題歌の入ったテイプをよく聞いています)
また、昔のテレビのCMで、雨の日に傘のないおじいさんに2人くらいのコロボックルがフキの葉をあげて、「そのフキの葉はコロポックルたちの大切なおうちだったのです」というナレーションが入るのを見たことがあります。ご存知のかたいますか?

余計かもしれませんが、「シリ」は日本語の「尻」のようで、「ピリカ」についても幼児語で下痢を「ピリコ」と言ったりするので、名前には少しまずいかもしれません。女性で「池尻」や「川尻」が苗字の人はあまり、姓を名乗らず、明子とか清見とか個人名で通しているのが多いようです。しかし、アイヌ語の名前をつけるのはとてもいいことです。
http://www.sanseido-publ.co.jp/publ/generic.html

http://websearch.yahoo.co.jp/bin/query?p=%b8%b5%b5%a4+%a5%a2%a5%a4%a5%cc%b8%ec&hc=0&hs=0



「倩」「告」「茶」について

高駒麗人KOMA (2002/12/14 00:01)

massangeanaさんへ&zo-さんへ。お久しぶりです。
「倩」の音韻についてと「告」は何故コウでなくコクかについて、学研辞書編集部から説明をいただきました。詳しくは11月26日付「倩の音韻について」「「告」は何故コウでなくコクか」をご覧ください。此処で要旨だけ書きます。

詩経「碩人」の引用「倩」が韻を踏んでいるのは
「盻」でなくて「[目分]」。これは音符「分」からも判るように-n音尾の字でが、この押韻は、上古における「合韻」」(本来の韻とは別の韻として押韻された物)の一例であって、-ng系韻の「倩」が-n系韻に合韻させられた物。

「『[一]kok>kok>今は消滅』でないとおかしい」について
上古の時代、「告」は一時でkok(告/コク)とkog(誥/コウ)という別音、別儀(類義ではあるが)の二語の表記としても用いられていた。学研漢和大字典p29の記載、[一]kok>kok>kau>kau(gao)[二]kog>kau>kau>kau(gao)自体を誤りとする必要はないとのことです。

お茶の歴史http://www.ohtori.com/page1new.html
ティーロードhttp://www.ochakaido.com/rekisi/chareki/chkigen.htm
早速拝見しました。参考になります。

ロシア語chay(чай)について、北京語「茶叶(葉)」chayeから来たのだと教わった記憶があります。
モンゴル語 tsay(цай)もそうでしょう。ヒンディー語では、cay(またはChaiチャイ)のようですが、インドの甘いお茶で「チャーエ」(chaeと綴るのでしょうか)というのもあるようです。以下のサイトもご覧ください。
http://homepage2.nifty.com/chai-cafe~1995/top.html(Chaiという喫茶店)
http://www.urasenke.or.jp/textb/beginer/iroiro.html(茶の種類)
http://www.tea-jp.com/tea/6-tea/index.html(中国茶いろいろ)
http://www.bitex-cn.com/(ハングルも大陸簡体字も使える掲示板)

http://www3.ocn.ne.jp/~m27/koma01.htm



はんそく(Re:熟語の略語)

佐藤和美 (2002/12/13 20:52)

「はんそく」という言葉を聞いたとき、思わず「反則」を連想してしまいました。

『大辞林』
はんそく【販促】
〔「販売促進」の略〕

『大辞林』にも立項されてるほど、定着した言葉なんですね。



Re:出版します!

佐藤和美 (2002/12/13 20:49)

UEJさん、おめでとうございます。
研究社からですか。すごいですね。
オンライン書店で購入させていただきます。



お久しぶりです

zo- (2002/12/13 17:27)

皆さん、お久しぶりです。お待ちしてました。それから「茶」に関するご説明ありがとうございます。massangeanaさんのご説明、とても分かりやすいです。これから、お茶マニアになろうかと思っています(笑)。飲むほう専門ですが。



アイヌの言葉を名前に

みず (2002/12/13 15:37)

はじめまして。
アイヌの言葉を探して流れ着きました。

現在妊娠9ヶ月。来月に出産を控えています。
北海道が大好きで雄大で伸びやかな子に育ってほしいとの願いを込めて、
アイヌ語を名付けの参考にしたいと思っています。
たとえば、拓く、創る、元気な、健康な、たくましい、などの
言葉はアイヌ語ではなんというのでしょうか?

よろしくお願いします



出版します!

UEJ (2002/12/13 13:23)

佐藤さんご無沙汰しています。
この度、「コトバ雑記」を単行本として出版することになりました。
宣伝させてください。

ワールド・ワード・ウェブ ― ことばの雑学コレクション
研究社 / 本体1,200円
四六判 / 並製 / 192頁
ISBN 4-327-37688-4
詳細はこちら→ http://wedder.net/kotoba/misc/publish.html

本日発刊です。
お目通し頂ければ幸いです m(_"_)m
http://wedder.net/kotoba/



Re: 茶

massangeana (2002/12/13 05:27)

すみません。しばらくキーボード配列変更プログラムつくりにかまけていて, こっちは
ごぶさたでした。管理者の佐藤さんもでてこられたようでありがたいことです。

ちょっとメッセージが多すぎて対応できませんが, とりあえず「茶」についてのみ。

zo- さん:
〉禅宗は福建で広まったもの
黄檗宗とかは福建から伝わったものでしょうが, 鎌倉時代の日本人が禅を学ん
だ南宋の禅の中心は今の杭州や寧波が中心だったようです。これらの地の当時
の発音はあまりよくわかりませんが, 今では杭州が官話系の飛び地, 寧波が呉
語です。だから「チャ」の音を考える上で福建はあまり関係ないのではないで
しょうか。

〉「古無舌上音」とビン語
ビン語の te/ta ですが, かならずしも上古音に由来すると考える必要はない
のではないかと思います。舌上音が舌頭音と分化したあと, 歯上音と合流する
前の段階に由来する可能性もあります。

〉「茶」の慣用音が室町以降のものであること
『日本国語大辞典』を見ただけですが, 「ちゃ」と書かれた例は 13世紀には
すでにあるようです。なお喫茶の習慣が日本で本格的に広まったのは鎌倉以降
でしょうが, 茶の発音が当時の中国語音に由来するとはいえないでしょう(そ
れ以前の漢字音をそのまま使った可能性もある)。

〉呉音とか漢音とか言うのは複数あるものなんでしょうか
複数ある場合もあります。しかし前にも少し書きましたが, 漢和辞典に書いて
ある呉音・漢音というのはあてにならないことが多く, 疑ってかかった方がい
いと思います。とくに日常生活で聞いたこともないような音が呉音・漢音とし
て載っている場合は, 韻書の反切から辞書編者が勝手にでっちあげた音である
可能性があります。

Maniac C. さん:
〉奈良以前なら、他の舌上音同様、濁音として受容したはず
ごもっともですが, 全濁声母をもつ字が呉音で清音になっている例はかなりた
くさんあり, これらはかならずしも平安以降の音とはいいきれないのではない
かと思います。たとえば「平」が「平等」ではビャウなのに「平仄」ではヒャ
ウだとか(漢音はヘイ)。

〉反切が「澄麻」
これは反切じゃなくて三十六字母と広韻の韻目ですね(反切は宅加)。漢辞海が
こういう書き方をしていますが, 麻韻は実は直拗・開合の別により 4種類の異
なる音からなっているので, この表記だと困ることがあります。

辻本さん:
〉チャやチャイはそりじた音をへた北方中国語chaに由来
チャならいいのですが, チャイの「イ」が何に由来するのかが実はけっこう難
しい問題だったりします。むかし『言語』で 3つぐらいの異なる説が載ったこ
とがあります。



「茶」の発音比較。訂正

高駒麗人KOMA (2002/12/13 01:06)

訂正です。失礼しました。

tで始まるA群オランダ語thee、英語tea、ドイツ語Tee、フランス語thee、ハンガリー語teaと
tsで始まるB群
ロシア語chay(чай)、
モンゴル語 tsay(цай)、ルーマニア語ceai、トルコ語cay、ペルシャ語chay、アラビア語shay(いずれも北京語「茶葉」chayeより)に別れる。台湾、海南、福建に見られるta、te、die、deとかが一番古い形で、[門の中に虫]南語と呼ばれる。長江下流一体にはzo、dzoといった濁った形がある。これが呉語。ts'aと発音しているのは客家(ハッカ)語。

高麗人参茶は英語でKorean ginseng teaですがこれも漢語「高麗人参茶」の英語訛りだったわけです。朝鮮語音では Koryo Insamch'a。

ManiacCさんへ。中国語のフォントを混ぜたりしていませんか?この傳言板では、そうすると文字化けするようです。
マージャンは本当は麻雀Maqueでなく麻将Majiangで、英語mahjongは麻将の廣東音Mazhongからでしょう。
北京BeijingはBeiging(もっと前はBekgingか)の訛りです。Pekingeseの他にPekineseもあり、Sinanthropus Pekinensis(北京原人 Pekinは北京)もあります。
ロシア語では「北京」は
Пекин[p'ek'in]即ちPekinです。
http://202.84.17.73/russian/



橋本萬太郎氏の「茶」言語学紹介

高駒麗人KOMA (2002/12/13 00:49)

「茶」の語頭子音のt系列とts系列は漢語の方言に共存し、日本語内、朝鮮語内に混在し、欧州語同士でも同じで、これが漢語音韻史を示しています。
「さ」は「左」zuo[tsuo]の草書体ですから日本語のsは昔はtsだったと言えるでしょう。

諏訪哲郎編「現代中国の構図」(古今書院89)82頁「民族と言語/橋本萬太郎」によると
tで始まるA群オランダ語thee英語teaドイツ語Teeフランス語theeハンガリー語teaとtsで始まるB群ロシア語chay(чай)、ルーマニア語ceai、トルコ語cay、ペルシャ語chay、アラビア語shay(茶葉chayeより)に別れ、る。台湾、海南、福建に見られるta、te、die、deとかが一番古い家たちで、[門の中に虫]南語と呼ばれる。長江下流一体にはzo、dzoといった濁った形がある。これが呉呉。ts'aと発音しているのは客家(ハッカ)語。
t∫'aと発音するのは粤語(廣東語)。
日本語ではお茶、茶臼、茶屋ではチャ、喫茶、茶菓、茶道、日常茶飯事ではサ。有坂秀世氏によるとサは
t∫aの変化。
朝鮮語では喫茶店をタバン(茶房다방)といい、茶はタ(다)であるが、喫茶の茶はtsaである。
高麗人参茶はコリョインサムチャで、「茶」は
チャ(차) t∫'aである。

オランダ語、英語等西欧語と[門虫]南語は語頭子音tで共通しており、ロシア語、ルーマニア語、トルコ語など東欧、中東の言語と北方漢語は語頭tsで共通。
紀元前後には draのような発音だったと推測される。七世紀頃には da(dはそり舌音)になり、十世紀頃 ts'a(tsはそり舌音)ないし tsa'になっている。



茶と饅頭について

高駒麗人 (2002/12/13 00:28)

ManiacCさんの説明の巻き舌tは英語try[trai]、treat[tri:t]などのtrに当たります。

zo-さんの文「日本語の中の閩語」の「閩」は何でしょう?点にしか見えませんが。

>王 朝(区分) 中国音(呼び名) 日本音 時代
六 朝(上古)  dĭa (呉音)   ダ  奈良以前
 唐 (中古)  tĭa (漢音)   タ  奈良末〜平安初
宋・元(中世)  cha (唐音)   サ  鎌倉・室町
※ ĭは弱い介音を表しています。中古・中世の子音は捲舌音です。
藤堂明保編「学研漢和大字典」では「茶」の音韻史は
dag> da> ts'a> ts'a でした。音読みは呉ヂャ漢タ唐サ慣チャ、唐宋サはts'をまねたものだそうです。同じ人の本でも記述が違うこともあるのでしょう。
このうちdag> daのaの上にはUがあり、da> ts'a> ts'aのdtsは巻き舌らしく、辞書では下に・(点)がついていました。
tの下端の「し」型の尻尾をつけると巻舌音で、「J」型の尻尾をるけるとtj(舌面音)になります。

日本語のマンジュウは、中国漢語では「豆沙餡xian的包子」でしょうか。叉焼包chashaobao/chasiubouは「チャーシューまん」ですし、英語で餃子はdumpingですが、これはプリンpuddingやマンジュウやチマキ(粽)も含まれます。
中国でいう饅頭mantouは中身がないのが普通でしょう。
日本で麺というとウドンや蕎麦のように紐状の物ですが、中国人が言う「面(麺)食」とは包子のことで、ワンタン([食昆]飩)も含めた小麦を練った食べ物です。
メニューに「意太利面(麺)」と書いてあってスパゲッティかと思って注文したらマカロニだったということがあります。
饂飩(ウドン)は[食昆]飩の江南地方中世音の真似だそうで、始めは紐状でなく団子のような面食だったようです。こう考えると朝鮮で餃子を饅頭(マンドゥ)と呼ぶのも納得できます。



お待たせしました。

Maniac C. (2002/12/12 23:17)

 まず、「豚の尻尾」は日本語の「シ」の子音を表す発音記号です。中国語の拼音ではxで表される音です。
 それから捲舌音tの発音ですが、ウオホン。説明を試みましょう。まず、日本語で「ティ」を発音してください。舌先が歯茎の辺り、上顎の硬い部分(硬口蓋)に一瞬くっついて、破裂と共に離れるはずです。舌先をその位置につけたまま、徐々に後ろ、つまり喉の方へ向かって、舌先を移動させてください。口の天頂近く、柔らかい肉が感じられる辺り(軟口蓋)まで舌先が行くと、それまでの表側に代わって、舌先の裏側が上顎にくっつくようになります。そこで舌を止めてください。その位置で舌をなるたけ動かさないように努めながら「ティ」と発音してください。そう。その音が中古の舌上音です。

 舌上音に属する三十六字母は、知(t)・徹(th)・澄(d)・娘(n)で、『広韻』の主な反切上字は、陟竹知張(t)・丑敕(th)・直除丈(d)・女尼(n)です。
まず字の説明だけさせていただきますと、「竹」は清音ですが、「直」は「茶」と同じ濁音で、呉音「ヂキ」漢音「チョク」です。同じ濁音に属する「除」は呉音「ヂョ」漢音「チョ」、「丈」は呉音「ジャウ」、漢音「チャウ」です。「卓」の反切は「知覚」とありますから、「竹」と同じ清音で、呉音・漢音ともに「タク」です。
 「茶」の読みがタ行(チャ)からサ行(サ)へ変わったのは何故か、というご質問だと解釈しましたが、舌上音が明白に区別されたのは唐末までで、宋・元時代には正歯音に合流したから、というのがその答えです。「竹」も「竹箆(シッペイ)」と「シッ」になりますし、「知」も「知客(シカ)」と「シ」になりますし、「卓」も「卓袱(シッポク)」と「シッ」になります。
 で、ようやく本題の「慣用音」ですが。結論から先に言ってしまえば、伝来時期はある意味、つまり、zoーさんの求める点では、明確です。平安時代です。従って、回答を先に述べておけば、tĭa系の反映、ということになります。
 ここからは、「慣用音」とは何か、という説明に移ります。遣隋使・遣唐使が長安から漢音を持ち込んだときには、呉音は相当に定着していました。792年には、仏教経典を漢音で読め、という勅令が出たほどです。お蔭で漢籍は、ほぼ漢音に統一されました。江戸時代には、字書は意識的に漢音で書かれるまでになりました。しかし、今朝も書き込みましたように、古くから庶民の生活に密着した文物に関しては、漢音・呉音が渾然一体と使われていました。大正時代になって、漢和辞典を編纂するに当たって、中国の反切資料に合わない読みを、仏典資料などで検証することをせず、一括りに「慣用音」と記載したのです。
従って、「茶」を「チャ」と読むのは、反切から推定される呉音「ダ」「ヂャ」とも漢音「タ」とも異なるのだが、裏付けるべき資料が見当たらない、古くから伝わる読み方=「慣用音」だ、ということになるのです。
 最後に、平安時代であると推定できる理由に移ります。もし、奈良以前なら、他の舌上音同様、濁音として受容したはずです。しかし、清音として受容されているのですから、清濁の区別が曖昧になった時代=中古漢語の発音と考えられます。さらに、上述のように、タ行音として受容され、まだ正歯音(サ行音)と合流していない時代=近世漢語以前、ということになりますから、隋・唐の時代、日本では奈良末〜平安初ということになるのです。
歴史上初めて「茶」の文字が、最澄や空海の書簡に登場する、という史実とも符合します。

 尚、茶について新しいサイトを発見しました。(http://www.ochakaido.com/rekisi/chareki/chkigen.htm)
こちらの「ティーロード」を見ると、線は広東は通っているものの、微妙に福建は外れているように見えます。



いろいろ

zo- (2002/12/12 17:58)

辻本さんへ
 広東人もそうなんですか。香港人とかだったら広東語ばかりでいけるのでしょうか。

慣用音のこと
 「茶」の「ちゃ」という音のことを私なりにいろいろ考えてみたんですが、そもそも慣用音であるということは(今後の研究によって変わるのかもしれませんが)、直接の中国原音を持たない音であるということを前提とすれば、そもそも伝来の時期に拘ってもしょうがなく、また「ちゃ」だから広東系の発音であるということの証拠にも成らないような気がしてきました。



zoさんへ

辻本裕幸 (2002/12/12 14:00)

なるほど、台湾人も身近でない単語を発音するときは普通語になるんですね。広東人も内モンゴルの地名とかはさすがに、普通語で言っていました。広東語発音に訳して言ったりしていませんでしたね



Maniac C.師匠

zo- (2002/12/12 11:43)

今晩、楽しみにしています。音韻の授業、昔、勉強してた時は、嫌々だったんですが、手取り足取り教えていただくと、面白いですね。



本当にありがとうございます

zo- (2002/12/12 11:32)

Maniac C.さん

どうもありがとうございます。
書き込みをしてから、「茶」というものが日本で広まったのがそんなに古くない以上、漢音も呉音も、実際の発音(文献に記録されているものも含めて)というより法則で当てはめたんだろうなあとも思ったりしていました。

中古音の舌上音は、私が見た資料では豚の尻尾みたいなのだったんですが、いろいろ説はあるんでしょう。tĭaは「ティア」に近い捲舌音ということですが、うーん、難しいです。IPAを見てもすぐに音が思い浮かばないので…。こればっかりは説明して!、と言えないですが(笑)。

舌上音の漢字はほとんど「竹」とか「直」とかで、「チ」「チョ」などがほとんどなんですが、どうして漢音は「ちゃ」じゃないんでしょうね…。他に「卓」なども違うみたいですが。

それで私が一番最初に書いた疑問の本題に戻るんですが、慣用恩の「ちゃ」はtĭa系の反映なのか、cha系の反映なのか…です。「ち」の音は鎌倉室町を境に変わっているということですが、福建系の言葉では舌頭音を残していて、広東、北京では変化している、それで、日本語の現代の発音は広東系のものに似ているが、これは少なくとも「茶」の慣用音が室町以降のものであることが証明されなければならないのではないか、鎌倉以前であれば、福建系の可能性もあるのではないか、ということです。この点いかがでしょうか。



赤保内

シキ (2002/12/12 11:02)

はじめまして。「種市」のアイヌ語説を探してここまでやってきました。
「種市」は分かりましたが、あと、種市町のとなりの階上町(ハシカミチョウ)という所の
「赤保内(アカボナイ)」「耳ヶ吠(ミミガホイ)」「鳥屋部(トヤベ)」がアイヌ語かどうか知りたいのですが…。
「ミミガホイ」は「ミムノカポイ」だとか聞いた事があります。(昔の事なのでうろ覚えですが)
どうぞよろしくお願いします。



おはようございます。

Maniac C. (2002/12/12 08:09)

 早起きですね。
あまり時間が無いので手短に書きます(見直したらそうでもないか)。

 中古の子音の発音記号は、Unicode0x0288(IPA拡張)のtの縦棒を長くしたヤツです(IMEパッドの文字一覧で探してください)。無声・捲舌・破裂音です。もしかしたらまだ有声で、dとjの左右反転したものとを合わせた0x0256だったかもしれませんが。「豚の尻尾のようにくるっと巻いているやつ」というのは、今の拼音の j や q を表すときに t と一緒に出てくる0x0255のことでしょうか。こちらは無声・歯茎硬口蓋・摩擦音です。tĭaは「ティア」に近い音、chaは「チャ」に近い音を想定しています。但し、反切字母の「澄」は単なる「濁音」で、「次清音」の「徹」ではないので、現代北京語とは違い、まだ無気音だった(今の拼音ならchaではなくzha)と思います。どの時代に有気音になったかは手許の資料では判りません。

 呉音・漢音というのは、本当は日本では渾然一体として使用されているものなのです(日常生活を考えれば解りますよね)。それを反切資料や日本の仏典を使って、一定の原則で推定・分類するのです。従って、原典とする資料が異なったり、編者の考えが異なったりすれば、漢和辞典によって記述が違うこともありえます。それに、元々は外国語なのですから、日本語の中でも表記に揺れがあったはずです。同じ英語のgloveにしても「グローブ」「グラブ」の違いがあるように。そんなわけで、複数あることもあるわけです。

 では、続きはまた今晩。



たびたびどうもすいません

zo- (2002/12/12 04:51)

ありがとうございます。

たぶん、また頓珍漢なことを質問していると思うんですが、もしよろしければご教示ください。

唐(中古)のtĭaが捲舌音ということは、tは下が豚の尻尾のようにくるっと巻いているやつのことですか?もしそうなら唐のtĭaと宋・元のchaはどう違うんですか?

それと関係があるんですが、下に書いたもともとの疑問は漢の時代の音を漢音、唐宋の時代の音を唐宋音と思っているわけではなくて、唐代長安には舌音が分化していたとご教示あったので、てっきり、「茶」の唐代長安の発音は現代の北京語と同じようなものかと思い、それなら漢音で「タ」とか「ダ」とするのとどう関係があるのだろうと思った、ということなんです。

それから「茶」の日本漢字音は今すぐ手元にあるのが『新漢和辞典』しかないんですが、「サ」、「ジャ」と慣用音の「チャ」しか出ていません。辻本さんの紹介では呉音が「ヂャ」で漢音が「ダ」ということだったと思いますが。呉音とか漢音とか言うのは複数あるものなんでしょうか?

「さ」の変化、すっかり忘れていいました。そうなんですか。

それから日本語の中の閩語のことですが、近世唐音のものが語彙として日本語に残っているというのはとても興味があります。閩語起源だと特定できている語彙があったとは知りませんでした。唐音語の資料でもそういう指摘は見たことがないのですが、もう一度当たってみます。ただ黄檗宗の読経音に福州などの影響が現れることがあるというのは聞いたことがあります。ただそれらは読経音なので、日本語の語彙とは違うものだと思いますが。それから長崎の唐通事の資料で福州語の会話の資料があるとも聞いたことがあります。

『漢語と日本語』私も読んでみます。



zoーさんへ

Maniac C. (2002/12/12 02:50)

 やはり、音韻史の知識に関して混乱が見られるようですね。
 「茶」の発音について以下に、大雑把に整理してみました。

王 朝(区分) 中国音(呼び名) 日本音 時代
六 朝(上古)  dĭa (呉音)   ダ  奈良以前
 唐 (中古)  tĭa (漢音)   タ  奈良末〜平安初
宋・元(中世)  cha (唐音)   サ  鎌倉・室町
※ ĭは弱い介音を表しています。中古・中世の子音は捲舌音です。

 注意点は、王朝名の「漢」「唐」と、音名の「漢音」「唐音」とは一致しない、ということです。

 また、日本語音韻史ですが、「サ」には変化があります。
 上代(奈良以前)には tsa と発音されたのではないかと有坂秀世の考証があります。ですから、この説を踏まえて、だいぶ昔のCMですが、「ちゃっぷいちゃっぷいドントぽっちい」という流行語が生まれたわけです。
 そして、中古(平安時代)には sha と発音されていました。
 現代語と同じ sa となるのは中世(鎌倉・室町)以降です。

 ついでに、『漢語と日本語』にこんな記述を見つけました。「江戸時代には長崎を通じて、おもに福建あたりの中国商人との取引が行われた。そのころに輸入された漢語も多少はあるが、いずれも特殊なもので、取り上げて論ずるほどのことはない。」やっぱり閩語は少数ながら日本語になっているみたいですよ。残念ながらそれが何かはこの書物からはわかりませんが。



マンドゥ

zo- (2002/12/12 01:42)

マンドゥは饅頭だったんですか!私は韓国に友人が何人かいるので、時々行きますが、あれが「饅頭」の韓国語読みだとは知りませんでした。勉強になりました。



Maniac C.さんへ

zo- (2002/12/12 01:35)

音韻史のこと、ありがとうございます。なにぶん10年も前に習ったことなので、記憶の曖昧のまま書いていました。お恥ずかしいです。

ということは、中国原音がchaの音であっても、漢音では「ダ」(da)と訳していたと考えるべきだということでしょうか?確か漢音は唐代長安あたりの北方の言葉を反映していると思うんですが(これも10年前のままなので、記憶違いかも…)、唐代既に舌音の分化が起こっているとすれば、中国原音ではchaだと思うんですが、それを漢音で「だ」?そして中国では漢音のころも、唐宋音のころもchaのような発音なのに、一方は「だ」で一方は「さ」…?日本語音韻史で「だ」「さ」に大きな変化はないし…。Maniac C.さん、よろしければもう少しヒントを与えてやってください。

「幕末」のこと、そういうことがあったら面白いですよね。以前、琉球語の歴史的な研究をされている方の講演で、ある文献(聖書だったかも)に出てくる幾つかの言葉がどうしても不明で、もしかしたら西洋の概念を福建の言葉に訳して、それをそのまま琉球語で使ったのではないかとねらいをつけているという話を伺ったことがあります。通訳というのは、ちょっと状況的に難しいのではとも思ったりしますが、興味深いです。

ところで、英語語源辞典…、そうですよね、普通辞書は禁帯出ですね。実はこれについて知りたいというわけではないんです。私はビン語マニアなので(実用面では挨拶程度)、琉球語の中のビン語(主に福州)、マレー、インドネシア語の中のビン語(主にアモイや泉州など)、タイ語の中のビン語(ほとんど潮州)というのは、資料があって集めたのですが、欧米語の中のというのはほとんど気にもしていなかったので、どうなんだろうと思っただけなんです。

「豪州」の発音なんでしょうね。私も知りません。台湾の人と接することは多いのですが、聞いたことがありません。どうして聞いたことがないのか、と考えてみると、もちろん私のレベルの問題も大きいですが、台湾の人が台湾語で会話する時、余り日常的でない言葉は中国語の単語をそのまま使っちゃってるんですよね。たぶん、例えば今の学生の世代で、全部台湾語で会話しようと思っても、かなりしんどいんじゃないかと思います。中国語の上手くない田舎のおばちゃんとかにとっては「豪州」という言葉はそんなに身近じゃないと思うので、やっぱり中国語の発音を使うんじゃないでしょうか。たぶん台湾では「豪州」をすぐに言える人は日ごろから意識して鍛えてるんだと思いますが。



饅頭

Maniac C. (2002/12/12 01:17)

辻本さんへ

 何にでも食い付いて恐縮です。

 検索エンジンで「饅頭 包子」と入力してあちこちを眺めた結果、面白いことが判りましたので、お知らせします。

 まずはhttp://woman.inn-info.co.jp/top/asia/backnum/021028.htmlによれば、「饅頭は地方によって色々な呼び名があります。例えば河北縣・易縣では包子、西安・済南ではモウモウ、蘇州では大包子饅頭、温州では実心包と呼びます。」とあり、zoーさんのおっしゃるように、「饅頭(餡なし)」と「包子(餡あり)」を区別しない地域もあるようです。

 また、http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/choes/etc/chuka.htmlによれば、「ギョーザも韓国ではとてもポピュラーな食品で、今や中華料理屋以外のあちこちで食べることができる。ギョーザは韓国ではマンドゥ≪만두≫と呼ばれているが、これは漢字で書くと『饅頭』である。ギョーザなのに『まんじゅう』とはこれいかに?さっそく事実関係を確かめるべく、中国語辞典(現代中国語辞典、光生館)を引いてみると『饅頭 = マントウ;一種の蒸しパン。コムギ粉を蒸して作る食物。普通上が丸く下が平らで、'餡児'[あん] が入ってない。[注] 南方ではあん入りのもの(='包子')も指す』とある。これを見る限りにおいては、韓国での『マンドゥ』は本義を離れているように見える。どうやら、本来は中華まんのたぐいを指していたようだが、広くギョーザ類をも指すようになったらしい。」とあります。餃子も饅頭も、小麦粉の皮(麺)で餡を包む点は共通です。

 大体、どこのサイトでも饅頭の起源を『三国志』に置いていて、それは人身御供の代わりに、牛肉をまるめて小麦粉で包んだ人頭に似せたものを川へ投げ入れたのが始まり、としているから、元々は、日本の「まんぢう」(中でも肉まん)のように、中国の「マントウ」も、具が入ったものだったと考えられます。ここら辺はhttp://www.johos.com/joho/report/0033.htmlが面白く読めます。

 更に、http://www001.upp.so-net.ne.jp/eiyutan-3594/setuwa/mantou.htmによれば、「現在、包子の天辺には丸く襞がつけられているが、これは当時、人の頭に似せようとしてつけた髷の名残りなのである。」と、成程な〜と思わせる記述もあります。

 どうも、宋のあたりで、生々しい「蛮頭」との連想を避けてか、肉の餡を皮で包むという特徴から「包子」と呼ぶようになって以降、現代北京語のように、「饅頭」「包子」の言い分けが成立したみたいです。つまり、「包子」という新語が出来た中国の方が、中身が(意味も)変わったようです。古い形・古い意味が周辺(日本や韓国)に残る”方言周圏論”がここでも証明されるわけです。こうなってくるとモンゴル語やヴェトナム語での「饅頭」がどういう意味になっているか、俄然、興味が湧いてくるところですね。

 尚、日本の饅頭の歴史についてはhttp://homepage2.nifty.com/harry3/kenkyu/manjyu/
が一番詳しく、また一番面白く読めると思います。

 ついでに、「頭」の字を「チウ」と読む言葉には他に「塔頭(タッチュウ)」があります。辻本さんのおっしゃるとおり、唐宋音です。林浄因説が史実とすれば、「まんじゅう」は、元末の杭州の発音ということになりますね。



まんじゅう

辻本裕幸 (2002/12/11 23:38)

まんじゅうというのは唐宋音でしょう。不思議なのは饅は(唐時代の発音を反映している)日本語でマン。(現代音の)北京語でもman 。頭は日本語でトウ、北京語でもtou、とほとんど同じ発音なのに、なぜか、唐時代と現代音の中間にあたる唐宋音ではまんじゅうと全然違う発音になっていること。ということはおそらく、まんじゅうとは西安とか、北京とかの、北方の発音ではないのではないでしょうか?多分、(現代でも)饅頭と包子を区別しない地方の発音とか?



続・zoーさんへ

Maniac C. (2002/12/11 22:58)

 お茶の歴史なら以下のサイトが良いと思います。http://www.ohtori.com/page1new.html
ここによれば、最古の記録は延暦24年(805年)、平安時代初期ということになります。

 『英語語源辞典』…残念ながら、借りることもできないと思います。『広辞苑』よりはやや薄いんですが、奥行は同じくらいで、高さは3pくらい高いんです。多分、たいていの図書館で参考図書扱いになっていて、禁帯出になっていると思います。もしお調べになりたい単語があれば、この伝言板を通じて私にお申し付けください。代わりに調べて差し上げましょう。

 瑣末なことですが、時代区分が曖昧なように見受けられますので、整理しておきます。「舌上音」「歯上音」「正歯音」それに喩母の無かった上古漢語は、周・秦・漢の時代です。また、『広韻』の成立自体は近世に属する北宋の時代(1008年)ですが、これは隋の時代(601年)に成立した『切韻』の系統を受け継いで増補したものですから、そこに現れる発音は、六朝・隋・唐のもの、即ち中古漢語と考えた方がよろしいかと思います。従って、『広韻』『切韻』ともに「舌上音」の分化は既にあり、もちろん唐代には(少なくとも唐都長安では)「舌上音」の分化があったことになります。「軽唇音」が現れるのは唐末五代の「三十六字母」からですし、清濁の区別がなくなったのも、同じ近世漢語の特徴の一つです。

 「幕末」と書いたのは、江戸時代唯一の海外への窓口だった出島には、地理的に近い台湾や福建から来た中国人もいて、オランダ人との通訳をしていたのではないか、などと想像したからなのでした。オランダ人と接したのは日本人の和蘭通詞だけではなかったと思うのですよね。筆談なら日本人も閩人(こういう言い方があるのか存じませんが)もほぼ意思疎通ができたでしょうが、音訳した外国語には当然方言の影響が現れたに違いないからです。
 以前このサイトで話題に上った「豪洲」の発音は閩語ではどうでしたっけ?



まんとう

zo- (2002/12/11 13:31)

辻本さん

北方では包んであるものを包子、何も包んでいないものを饅頭といいますが、南方の幾つかの地域では、区別しないで両方とも饅頭というと聞きました。はっきり覚えていなくて申し訳ないですが。





zo (2002/12/11 02:51)

Maniac Cさんご紹介ありがとうございます。

音韻の変化のことですが、たぶんこれは清濁の区別の他に、上古では「古無舌上音」といわれる現象が、宋代『広韻』等での半切では既にその分化が確認できるということだと思います(唐代ではもう分化している地域もあったかもしれませんが、忘れてしまいました)。ビン語では「古無軽唇音」とともに上古の特色を残しているので、ビン語では今でもお茶を「テー」とか「ター」というということだと思います。

それで、呉音「ヂャ」は辻本さんが指摘のように「diya」のつもりで「ヂャ」、慣用音の「ちゃ」は清濁の区別だけではなく、もしこれが鎌倉以前に入ったものであれば「tiya」のつもりだし、室町以降に入ったものなら「cha」のつもりだ、ということです。仮に鎌倉以前に福建から「テー」「ター」のような発音が入っていたとすれば、「tiya」のつもりで「ちゃ」と訳し、その後は日本語の内部変化で「cha」となったという可能性もあるのではないか、と思ったんですが…。

それから南北と書いてしまったのは迂闊でした。広東語でも「ちゃ」だというのは知っていましたので。南北改め、福建起源か、広東起源かということで言えば、広東起源の根拠の一つは発音だと思いますが、とすると「ちゃ(cha)」という言葉自身は室町以降に伝来した(鎌倉までではありえない)、それ以降は福建の禅宗とともに広まったということになるのかなあ?

お茶が日本へ入ってきた文献的な歴史が、わからないので、なんともいえませんが。ご紹介のHPが完成するのを楽しみにしています。

ところで『英語語源辞典』そんなに高いんですか。図書館で借りることにします。

幕末という可能性はひくいんじゃないかと思いますが、日本語の「どんす」「こたつ」「かばん」「のれん」「まんじゅう」「いす」等いわゆる唐音語の中には、ビン語から来たものも含まれているのかもしれません。厳密に地域を特定することはたぶんできないでしょうが。それから琉球語の中には明らかに福州あたりからの外来語が見られるそうです。



zoーさんへ

Maniac C. (2002/12/11 01:37)

zoーさん、下記のサイトもゼヒ覗いてみてください。私の書き込みよりも詳しいことが書いてあると思います(方言の南北差では無いようです)。
 http://www.asahi-net.or.jp/~RU4K-HRT/tea/chinatea/joy005-1.html

 それから、「その本」が『英語語源辞典』のことでしたら、買われるよりも、図書館でご覧になることをお勧めします。何せ、初版(1997年)当初で、25,000円+税、という代物ですから。どうしても手に入れたい、ということであれば、同書の前身である『英語語源小辞典』を買われてはいかがでしょう(このサイトの過去ログにもありましたが)。こちらなら、
3,107円+税と、ある程度廉価版になっておりますので(収録語数は2000語余りですが)。

 また、「茶」の隋唐時代の発音も別に調べてみました。
反切が「澄麻」となっていますので、声母は d のそり舌音で、韻母は (i)a だったはずです。なので、漢和辞典の「呉音」には「ダ」とか「ヂャ」とかとなっているのでしょう。
 (参考までに同じ声母の漢字を挙げておきます: 直除丈宅持柱池遅治場佇馳。)
それが、宋・元の時代になると、清音と濁音の区別がなくなるので、現代のように cha となるようです。

 日本で売られる(広い意味での)「中国語」教材は、やはり消費者のニーズに応えていて、観光や商取引に多く使われる方言が多く出版され、そうでないもの(研究者とか趣味人とか向け)は、なかなか日の目を見ないのでしょう。
 でも、将来、研究が進むと、もしかすると、幕末に入ってきた漢訳外来語が、閩南語の発音だった、とかいうこともあるかもしれませんね。



饅頭 まんじゅうとmantou

辻本裕幸 (2002/12/11 01:18)

また飲食物ネタ。日本語では饅頭まんじゅうは中身がある。中国語では饅頭mantouは中身が無い。日本のまんじゅうのように、中身があるものは中国語では包子ですよね。どうして同じ漢字を使っているのに違いが出たのでしょうか?



zo

Maniac C. (2002/12/11 00:29)

http://www.asahi-net.or.jp/~RU4K-HRT/tea/chinatea/joy005-1.html



RE: アルマゲドン

Maniac C. (2002/12/11 00:21)

 佐藤和美さんへ

 英和辞典によれば、Armageddon は「最後の大決戦」という意味らしいです。
もちろん、聖書の意味(地名)も載っています。

 それから、名付け親(?)は http://www.net24.ne.jp/~f10623/simpson-bruckheimer/armageddonproduction1.htm によれば、ディズニーの会長の
Joe Roth氏のようです。



アルマゲドン

佐藤和美 (2002/12/10 22:09)

山本弘さんのサイト(http://homepage3.nifty.com/hirorin/)で映画「アルマゲドン」のことやってますけど、「言葉の世界」やってる私にとっての疑問はこの映画の題名がなぜ「アルマゲドン」なのかですね。
この題名決めたのは脚本家なのかな?
それでもって「アルマゲドン」は「世界の最後」っていう意味だとでも思ってるのかな?
そうすると脚本家はやっぱり「頭悪い」ということになるけど。



レヤン

佐藤和美 (2002/12/10 22:05)

ありかさん
>「レヤン」ってアイヌ語ですかね?
>もし分かるなら、意味を教えていただけませんか?
>昔いた、アイヌ人の国会議員 萱野茂 という人がアイヌ語で演説したなかに、
>使われたらしいのですが。
>検索しても、出てこなくて…。

いくつかのアイヌ語辞典を調べても「レヤン」は載ってなかったですね。

草風館の萱野茂さんの『アイヌ語が国会に響く』には、萱野さんの国会での発言が収録されているようなので、確認してみるといいでしょう。



広西人

辻本裕幸 (2002/12/10 15:17)

なお広西のひとはさらに不思議です。広東出身の大学生たちはここ西安において、他の学生が分かろうと分かろまいと、広東人同士で広東語で喋り捲り、他地方出身者から煙たがれられいることは前にも書きました。(マジ関西人そっくり)彼らは、広東人同士で普通語で話す方がかえって恥ずかしいと感じるのでしょう。だから広東語で話す。しかし彼らも自分の田舎の方言でしゃべっているわけではなく、広東語共通語とも言える、広州語を元にした言葉を喋っているのです。(これも三重県人と奈良県人が喋るときは自然と大阪弁を基準にした言葉で喋っているのと似ている。)そこで話は戻りますが、広西人です。広西南部出身のある学生(漢族)は母語はエツ方言のようですが、それもそのまま喋ったのでは、広東人とコミュニケーションを取れないらしく、やはり広州語を基準としたもので話をするようです。しかし別の省の出身なので広東人連中ほど言葉に対する団結心はなく、同じ人がその時々におうじて普通語で喋ったり、広州語で喋ったりしているのです。話し掛けられた広東人もなお不思議なことに、話し掛けられた時によってちゃんと普通語と、広州語を言い分けて返事をしている。さらにその広西の女の子は自分がさっき、どの言葉で相手と話していたかを意識もしていないようなのです。中国人て本当不思議。



Maniac C.さん

zo- (2002/12/10 13:57)

情報ありがとうございます。

以前よく書き込みをされていた中国語の音韻に詳しい方が来られなくなってしまったんですが、その方が現れてくだされば、と思っているんですが。中国語の音韻の変化や南北の差と、日本語の音韻の変化が交差してるってことでしょうか。

ヨーロッパ諸語の中にも厦門方言多いんですか!私も早速その本買ってみます。東南アジアの言葉にも厦門方言などのビン南語の方言はかなりたくさんあります。日本ではどういうわけか中国語の方言を勉強するとなると、広東語が一番で、東南アジアの華人社会でも通じると言われますが、東南アジアの華人社会では広東語系の人たちよりもビン南語系の人のほうがかなり多く、実際にシンガポールなどでは結構通じます。もちろん広東語の方がよく通じるところもよくありますが。ビン南語が日本でももっと広まって、いい教材が出版されるようになるといいなあと思っています。



茶 tea について

Maniac C. (2002/12/09 23:17)

 辻本さん・zoーさんへ
 私も混ぜて下さいな。

 藤堂明保著『漢語と日本語』(秀英出版)のp.221には、次のように書いてあります。
「唐代には、茶はtia(破裂音)であったから日本ではチヤと音訳したが、宋以後にはtʃa(破擦音)となったので、それを日本のサ行に訳してサと言うようになったのだ。」
 ※ʃは、sが縦に引き伸ばされた発音記号です。
ちなみに、この本のこれより前の部分に、唐代の発音が、奈良朝の末から平安朝にかけて伝えられたのが「漢音」で、宋や元の発音が、鎌倉・室町のころ伝えられた「唐宋音」である、という説明があります。

 辻本さんやzoーさんのおっしゃるとおり、日本語のチがti→chiになるのは室町時代ころと推定されていますから、鎌倉時代にはsaの方が近く聞こえたのでしょうね。

 ついでに、英語のteaについては、研究社の『英語語源辞典』には以下の記述があります。
「◆(古形)tay,tey,tea□Du.tee□Chin.(福建方言)te=ch‘a(茶):cf. It. tè / Sp. té / F thé / G Tee / Dan. & Swed. te. ◇1599年ポルトガル人によってヨーロッパにはじめて導入された名称はcha. このPort. cha は英語では16C 末の文献に chaa (1598) として, フランス語では1607年に chia, tcha として借入されたが, フランス語ではまもなく英語と同様 Malay 経由の thé を用いるようになった. また Russ. chaĭ は直接中国標準語から借入したものである。ヨーロッパ諸語に多い厦門方言形は, 最初その貿易をほとんど一手に引き受けていた東インド会社などのオランダ人を通じたものと考えられる。17-18Cの英語に見られる, té, thé, tay /téi/ などは F thé の影響を示している(Pope, The Rape of the Lock では away, obey と押韻している). 」
 ご存知かもしれませんが、参考までに。



失礼しました

zo- (2002/12/09 20:13)

「さ」は唐宋音でしたか。「喫茶去」という禅語は「きっさこ」と読むので少しは気になったのですが。言い分けです。失礼しました。

文化としては福建、禅宗と決して切り離すことはできないので、私はお茶そのものや、喫茶の文化はやはり福建から(辻本さんのおっしゃる「ティー圏」)から来たのではないかと思います。

「ちゃ」の音、辻本さんのご指摘を参考にすると2つ可能性があるような気がします。私自身の前の書き込みは少し勘違いがありました。

一つは中国の原音がchaのような発音であった場合、「ち」「つ」がti、tuだった鎌倉時代には、「ちゃ」とするわけにはいかず「さ」とした(唐宋音)。それで室町以降「ち」が現代と同じ発音になってからは、中国原音は変化っしていないが「ちゃ」と訳した。

もう一つの可能性は「ちゃ」の音はもともと辻本さんのいう「ティー圏」(中国原音がビン南語の「テー」のような発音)から伝わったものだったが、鎌倉以前に伝わったので「tiya」のつもりで「ちゃ」と訳した。その後、日本語の音韻に変化が起こって「cha」になった。

どうでしょうか。



続、茶について

辻本裕幸 (2002/12/09 19:06)

私も気になって又調べましたが、茶は呉音ヂャ 漢音タ 唐宋音サ 慣用音チャ のようです。ということは、ヂャは呉音が来た奈良時代は音価はdiyaだったはずですし、漢音の頃の、taを考えに入れてもやはり、ティー圏の発音に似ている。しかしおもうに、漢字はティー圏の音として入ったが、お茶自体はチャイ圏の音チャとゆう、固有名詞外来語として伝わったのでしょう。慣用音の頃のちゃはもうchaの音価だったはずですし。



すいません

zoー (2002/12/08 15:56)

下の投稿、どういう分けか部分的に二重投稿になっています。すいません古い方、削除してください。

ところで、下の書き込み内容も少し、補足があります。
室町期の部分ですが、

「た行」音「ち」と「つ」は、室町期のキリシタン資料からは現代日本語と同じ音になっていることが分かるということです。ローマ字資料で「ち」「つ」という表記では意味不明でした。すいません。





zoー (2002/12/08 15:49)

辻本さんこんにちは。

お茶、ビン南語では「お茶を飲む」を「リム テー」と言ったりします。「ヤムチャ」というので広東語では「チャ」なんでしょうか?とすると、必ずしも北方方言によるものが「チャー」系だとも言えないような気がしますが。

ところで、「茶」は本来漢音では喫茶店や茶道のように「さ」で、「ちゃ」は慣用音です。唐宋音といってしまっていいものかは、分かりませんが、伝わった時代はそんなに古いものではないようです。室町時代の日本語のキリシタン資料(ローマ字資料)では既に現代と同じ「ち」「つ」と表記されています。ですから、当時新しく取り入れた中国音であったとしても「ちゃ」であってもおかしくはないのではないかと思います。

ただ日本のお茶は禅宗と関係が深いこと、禅宗は福建で広まったものなのに、どうして日本語は福建の音と違うのか、やはり私も不思議です。

実は日本語の「ちゃ」の発音も由来ははっきりしていなくて、そのために一般的には唐宋音ではなく、慣用音と見なされているのかも知れません。



茶について

辻本裕幸 (2002/12/08 15:09)

茶の起源。お茶の事をチャ、とかチャイと発音するのは陸上ルートで伝わった国。(インド、ロシアとか)なぜならチャやチャイはそりじた音をへた北方中国語chaに由来するから。
一方、お茶をティーとか発音する国は海上ルートでお茶を取り入れた国(英国とか)。そりじた音を経なかった福建省あたりの音teに由来するから。そう習いました。日本語の茶の発音はチャだから、前者だな。ってちょっと待った!
日本語のチャの音価は今でこそ、chaだが、漢字音が伝わったぐらいのころの日本語のチヤの音価はtiyaだったはずです。とすると、福建省あたりのteとかに近い気がする。すると日本語のお茶も本来は英語などと同じ、ティー圏であって、チャイ圏ではないような気がします。どっちなんでしょう?



初めまして!

ありか (2002/12/08 14:17)

えっと、聞きたいことがあります。
「レヤン」ってアイヌ語ですかね?
もし分かるなら、意味を教えていただけませんか?
昔いた、アイヌ人の国会議員 萱野茂 という人がアイヌ語で演説したなかに、
使われたらしいのですが。
検索しても、出てこなくて…。
お願いします。



「カミオカンデ」の語源

Maniac C. (2002/12/08 13:06)

佐藤和美さんへ
初めまして。

スーパーカミオカンデ公式ホームページ(http://www-sk.icrr.u-okyo.ac.jp/doc/kam/kamiokande_j.html)によれば、
カミオカンデ=Kamioka Nucleon Decay Experimet
スーパーカミオカンデ=Super-Kamioka Neutrino Detection Experiment
とありますよ。



「カミオカンデ」の語源

佐藤和美 (2002/12/07 16:33)

もうすぐ、ノーベル賞の授賞式ですね。

さて「カミオカンデ」の語源は?

小柴昌俊『ニュートリノ天体物理学入門』講談社ブルーバックス
「カミオカンデ(KamiokaNDE)というのは神岡 NDEのことで、NDEは本来、核子崩壊実験(Nucleon Decay Experiment)を意味したのですが、その後ニュートリノ検出実験(Neutrino Detection Experiment)と解釈する人も増えています。」



RE:熟語の略語

未菜実 (2002/12/04 09:10)

パソコンに搭載されている辞書で「略称」などで検索すればたくさん出てきますよ。

http://www.geocities.co.jp/Bookend/4373



熟語の略語

achara (2002/12/03 20:01)

 漢字熟語の略語の例を集めていますが、教えていただけませんか。
 例えば、国際連合⇒国連 など どなたか他の例がわかったらおしえてください。多ければ多いほどいいです。 よろしくお願いします。



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