言葉の世界・伝言板 2002年8月



まちがい

massangeana (2002/08/31 17:15)

>最後の n が ng でないのも新しい特徴です
これは筆がすべりました。みなかったことにしてください :-)



Re: hとf(広東語、客家語)

massangeana (2002/08/31 17:13)

>なぜ中国語普通語で、h声母のものの一部が、広東語や客家語では、fになって
>いるのでしょう か?花華など。
「なぜ」というのは難しいですが, h が f になった, というよりは, h (および一部の k)
の後ろに u が続くときに, hu から f に変化した, というべきでしょうね。
アモイでは逆に f がなくて, 「飯」が huan になってしまいますが, f と hu の区別がない,
という意味では似ています。
とくに広東語は介母音が衰退していて, gw- と kw- の w を除くと全部ほかの音に変化して
しまっています。

>最も古い漢字特徴を保持している客家語

客家語がほかよりも古い, とはかならずしもいえないと思います。どの地方の言葉も, ある
点ではほかより古く, ある点では新しいものです。客家語の場合, 「国」の韻尾が k でなくて
guet になっているなどの特徴がありますし, 母音については「五」が ng になったり, 「池」
が「ツー」になったりするのは新しい特徴ですし, 声母についても「喜歓」が sifon になりま
す(日本語で「喜」はキですから, si になるのはむしろ今の北方語に近い特徴です fon の f に
ついては上に書いたとおりで, 最後の n が ng でないのも新しい特徴です)。



hとf(広東語、客家語)

辻本裕幸 (2002/08/31 13:43)

また質問なのですが、なぜ中国語普通語で、h声母のものの一部が、広東語や客家語では、fになっているのでしょうか?花華など。日本人には、この方が発音しやすいので良いのですが、どうしてこういうことになっているのか興味があります。元々、fだったものが、普通語でhになったのでしょうか?(しかし、日本語側の漢字音では、花は、カ。華もカと表記していることから、元々fだったとはちょっと考えにくいですが。)それとも、もともとhだったものが、広東語や客家語の中で独自に変化して、fに変化したのでしょうか?(こう考える方が妥当ですが、最も古い漢字特徴を保持している客家語でも、fと表記するのはなぜか?)教えてください。



はらとはる

佐藤和美 (2002/08/31 12:57)

「はら」と「はる」に関しては以下の書き込みがありましたので、読んでみてください。

「「原」を「ばる」と読む地名について」k.oyaさん (2001/09/26 15:18)
「原(バル)について」アリオーソさん (2001/09/26 23:31)
「Re: 「原」を「ばる」と読む地名について」UEJさん (2001/09/26 23:34)
「Re: 原(バル)について」UEJさん (2001/09/26 23:42)
「未然形の名詞化?」UEJさん (2001/09/26 23:53)
「ことばへの興味、疑問」アリオーソさん (2001/09/27 00:19)
「いろいろありがとうございました」k.oyaさん (2001/09/27 10:50)
「地名の分布に歴史を探ってみては」アリオーソさん (2001/09/27 23:01)
「ハルとハラ」UEJさん (2001/09/27 23:42)
「ハルとハラ」UEJさん (2001/09/28 04:00)
「とりいそぎ・・・。ハル地名について」アリオーソさん (2001/09/28 07:18)
「<原>雑感」アリオーソさん (2001/09/28 09:18)
「データミス」UEJさん (2001/09/28 10:13)
「氾濫原の開墾地」アリオーソさん (2001/09/28 18:16)
「「対馬の歴史」にこんな記事が」k.oyaさん (2001/09/29 06:50)
「Re: ハルとハラ」松茸@MMRさん (2001/09/29 13:55)
「はら」佐藤和美 (2001/09/30 12:15)
「Re: ハルとハラ」UEJさん (2001/10/01 08:32)
「Re^2:ハルとハラ」松茸さん (2001/10/01 22:54)
「Re^3:ハルとハラ」UEJさん (2001/10/02 08:36)



はらとはる

博次 (2002/08/30 23:13)

友人が九州で「原」はら・・を はる と発言するのは、言葉が訛っているからだと
言いますが、本当でしょうか?
私は はら よりも はる のほうが古い形のような気がしますが
どなたかご存知の方は教えてください



トイトイ

犬の糞 (2002/08/27 17:39)

「トイ」と「トイトイ」には、どのような違いがあるのでしょうか。
また、使い分けは、どのようにすればよいのでしょうか。



トイトイ

佐藤和美 (2002/08/27 16:55)

「トイトイ」ですが、アイヌ語辞典を三つ見てみました。

田村辞書
土、泥、地面

中川辞書


萱野辞書
地面、土、土の塊



ディズニー

佐藤和美 (2002/08/27 16:54)

いばらさん、情報ありがとうございます。
次回のバージョンアップのときに、参考にさせていただきたいと思います。



今回もアイヌ語

LOVIN☆ (2002/08/27 09:22)

こんにちは。
ここの掲示板では何か国の言葉について話をしているんですか?

質問します。

アイヌ語で「ワッカ」は‘水’って意味ですよね。
じゃあ、「トイトイ」ってなんて言う意味ですか??

ありがとうございました〜。←先に言っときます。



(無題)

いばら (2002/08/26 02:58)

佐藤さん、お久しぶりです。
『人名の世界地図』批判、拝読しましたがひとつ気になったことがありまして。

P150
11刷「ウォルト・ディズニーの本名ウォルター・イライラス・ディズニー
Walter Elias Disneyは、…(中略)…ディズニーという姓はフランスの
カルヴァドス県のイズグニー(イジーナの地所)出身という意味だからだ。」

はて、なぜ「イズグニー出身」が「ディズニー」なのかな?とちょっと疑問に思ったのですが、
もしかしてこのイズグニーってIsignyのことなのではと思います。
だとしたら発音は「イズニー」になります。
フランス語のgnはnの右に長いしっぽの付いたような発音記号で表される音ですので。
イズニー出身の(d'Isigny)で発音はディズニー。これならなるほど、と思うのですが。
執筆した方は自分で書いていて「?」と思わなかったのでしょうか…



人名の世界地図

佐藤和美 (2002/08/24 18:55)

『人名の世界地図』は1刷しか持ってなかったんですが、本屋で11刷を見つけたんで買ってしまいました。
この掲示板で書き込んだこと、けっこう直ってますね。
柳田理科雄と違ってちゃんと修正してますね。
21世紀研究会はエライですね。(笑)

1刷「ちなみに、ラッセルの正式な名称は、バートランド・アーサー・ウィリアム三世・アール・ラッセル Bertrand Arthur William 3rd Earl Russel である。」

11刷「ちなみに、ラッセルの正式な名称は、Bertrand Arthur William 3rd Earl Russell である。」

こういう変更も経過を知ってないと意味がわかりませんね。

ということで、

ブロンテ三姉妹の長女は誰?
エラリー・クイーンの二人の本名は?
モーセは口に割礼してた?

さあ、行ってみましょう!!

『人名の世界地図』批判 Ver.0.90

(Ver.1.00って言えるほどの内容じゃないもんで、Ver.0.90ってしました。)



Re: 粤

massangeana (2002/08/24 15:43)

>どちらもこの趙佗の南越または南粤に由来
これは, ちょっといい加減だったかもしれません。漢書は春秋時代の越の国も粤と書いて
います。越(ないし粤)は南方のやたら広いいろいろな地域を指したようですが, いま広東
に粤字を使うのは, ひとつには越だと浙江省の方をイメージすることと, もう一つには漢
書地理志の記述から来ているのではないでしょうか。後者では粤は今の蒼梧・鬱林・合浦・
交阯・九真・南海・日南に当たるとあり, このうち交阯・九真・日南はベトナム, 残りは
広東か広西に当たるようです。



Re: ベトナム語漢字音について

massangeana (2002/08/24 13:42)

>今在中国ですので、詳しい資料がないので、とても助かりました。
こちらは在米国です :-) 中国にいらっしゃるのなら, 王力の「漢越語研究」
(龍蟲並雕齋文集第2冊(中華書局)所収) がこの方面の古典的な研究書です。

>ベトナム語漢字音と比較するとしたら、どこの方言が一番よいでしょうか?
>やっぱり、一番距離的に近い、広東語がいいでしょうか?
私の印象ですが, あまり広東語とは似ていないように思います。ベトナム漢字音はおそらく
体系的に借用されたものなので, 当時(10cごろ)の標準的な(北方の)言葉を元にしていると
考えた方がいいのではないでしょうか。

>越南の越(yue)とエツ(yue)方言のエツは同じ意味ですか?

秦の時代に趙佗が立てて, 漢の武帝に滅ぼされた南越国を史記では南越,
漢書では南粤と書いています。この国は広東・広西・ハノイ一帯を支配して
いたようです。ベトナムが越南と呼ばれるようになったのは 19世紀以降,
粤の字が広東の専用字になったのもそれほど古くないと思いますが, おそ
らくどちらもこの趙佗の南越または南粤に由来するのだと思います。



イワノヴォについて

楡ノ家楠丸 (2002/08/24 09:09)

イワノヴォ (Иваново) について、文法的な説明を少々。
 ロシア語では所有関係を表すのに 「生格」 という格を使います。これは、英語の所有格、ドイツ語の2格と同等のもので、ドイツ語同様に所有する対象の名詞のあとに置きます。
 そのいっぽうで、使われることは稀ですが、名詞・固有名詞からは 「〜の」 という意味を持つ 「物主形容詞」 というものをつくることができます。大雑把に言うと、語尾に、男性名詞なら -ov を、女性名詞なら -a を -in に変えることでできます。ロシア人の姓の大半を占める、-ov, -in に終わるものは、まさしくこれです。
 イワノヴォ (イヴァーナヴァのほうが原音に近い) は、イワン4世(雷帝)が、妻の弟に下賜した土地ということで、そのことを銘記するために、「イワンのもの」 を意味する、名詞化した物主形容詞 Ivanovo の名をつけたのだと思います。Ivanovo は Ivanov という物主形容詞の中性形ですが、これはイワノヴォがもともと 「村」 だったからです。村はロシア語で selo (село) という中性名詞なので、地名も中性なのです。ロシア語では、しばしば、省略されている名詞の性が、名詞化された形容詞の性を決定することがあります。

おまけですが、韓国で im となる姓は、「林」 と 「任」 の2つです。



ミセス・イム

佐藤和美 (2002/08/23 17:11)

司馬遼太郎の『街道をゆく・韓のくに紀行』に現地でのガイドでミセス・イムっていう人が出てきたと思いますが、「イム」さんって「林」さんですよね。



帰ってきた『地名の世界地図』(第三話)

松茸 (2002/08/23 13:12)

* 「イワン大帝」
 あわてて参考書を確認したところ、イヴァン三世は"Иван Великий"(英訳は"Ivan the Great")と確かに呼ばれていますが、この人は正式には「ツァーリ」を名乗らなかった(ルーシの君主ではじめて「ツァーリ」を公式の称号にしたのはイヴァン四世)ので、「大*帝*」とはいえない、ということらしいです。
# ではなんと呼ぶべきか? (^^;

PS.イヴァノヴォについてのページを発見:
http://www.museum.ru/museum/Ivanovo/ivnv1_I.htm
| Ivanovo is first mentioned in the chronicles in 1561.
[snip]
| The village was in possession of tsar Ivan Grozny (the Terrible).
……イヴァン三世とは関係が薄そうです。
# 「イワン雷帝の町」といえるかはまた別の問題ですが。

* ネタ追加
p.86:
「ポルトガル人は、さらに南への航海を続けた。それと同時にアフリカ西海岸沿いに北上してくる海流や風から逃れて帰還する航路探しに躍起になった。」
[強調は引用者による]
……文脈上、この「アフリカ西海岸」とはギニア湾以北らしいが、ここでは「海流や風」は南下している。

p.208:
「古代史のなかで、もっとも沙漠にかかわった人びとはイスラエル人だろう。
 「旧約聖書」にあるように、エジプトから脱出して約束の土地をめざした契約の民は、モーゼとともにシナイ半島の荒地からネゲブ沙漠に迷い込み、四十年もの間、彷徨い続けることになった。まずそのシナイは、古代メソポタミア語のシン shin (月)に由来する。[後略]」
……
1) 「古代史のなかで」「沙漠にかかわった人びと」はいくらでもあるのに、たった「四十年」さまよっただけ(^^;のイスラエル人を「もっとも沙漠にかかわった」とするのはなぜか。
2) 「古代メソポタミア語」とは何か? 「古代メソポタミア」で用いられた主要な(文字)言語として、シュメール語と「アッカド語」(アッシリア語とバビロニア語)という、系統的に全く異なるものがあったことは、常識だろう。
3) バビロニアの月の神「シン」は"Sin"である。
http://dictionary.goo.ne.jp/cgi-bin/dict_search.cgi?MT=%A5%B7%A5%F3&search=%B8%A1%A1%A1%BA%F7&sw=2



Re: mとnについて

massangeana (2002/08/23 08:04)

>ところで、日本語でも、昔は、林を、リム と読んでいたのでしょうか?

そのようです。このへんのことは国語史を扱った本ならたいていかいてあると思います。
「日本の漢字」は現在中公文庫にはいっていて入手しやすいです。その中の第5章「日本の
漢字音」(林史典)が m/n についても話題にしています。



Re: -ng のパッチムについて

massangeana (2002/08/23 07:43)

明示的にかいたものとしてはここがありました。

 http://paranse.cool.ne.jp/radio/8808.html#NG

教科書に例が少ないのは, 仮名で書きづらいためかもしれません。



Re: 半田付けの語源は?

かん (2002/08/21 19:46)

> Solderingを日本語で半田といいますよね。何故、ハンダ?それも半田という漢字?二十年くらい
悩んでいます。

広辞苑第四版から
「(現在の福島県北部にあった半田銀山の産であるからとも、
 マレー諸島中のバンダ島の名に因むともいう)錫と鉛を主成分とする(以下略)」

ってことなので産地の地名みたいですね



半田付けの語源は?

あのその (2002/08/21 18:43)

Solderingを日本語で半田といいますよね。何故、ハンダ?それも半田という漢字?二十年くらい悩んでいます。



イワン

佐藤和美 (2002/08/21 13:53)

チョー・カメレス。

「またまた『地名の世界地図』」松茸さん 2001/06/24 wrote
>p.196
> 「イワノボ(ロシア)「イワン大帝の町」。」
>……「イワン大帝」って誰? 「イワン雷帝」なら有名ですが。

イワン3世が大帝で、イワン4世が雷帝のようですね。
ただ「イワノボ」がどっちのイワンに由来するのかはわかりませんが。

イワン3世
http://www.britannica.co.jp/search/item?m=0+1+0&rgid=009278004523
イワン4世
http://www.britannica.co.jp/search/item?m=0+1+0&rgid=009282009872



ベトナム語漢字音について

辻本裕幸 (2002/08/21 10:30)

本当にご返事ありがとうございます。今在中国ですので、詳しい資料がないので、とても助かりました。帰国次第、ベトナム語漢字音の比較もはじめたいと思います。ベトナム語漢字音と比較するとしたら、どこの方言が一番よいでしょうか?やっぱり、一番距離的に近い、広東語がいいでしょうか?越南の越(yue)とエツ(yue)方言のエツは同じ意味ですか?



-ng のパッチムについて

楡ノ家楠丸 (2002/08/21 01:16)

massangeana さん、ありがとうございます。わたしも、キム・ジョキ゜ルだと思うのですが、わたしの知りたかったのは、なぜ、韓国語・朝鮮語の入門書は、揃いも揃って、連音を起こすパッチムの中から、ことさら、-ng をオミットしているのか?ということだったのです。それが、ものすごく不思議で。



さえ

ムラサキ (2002/08/20 23:08)

いつもお世話になっております。
さっそくですが、「先生でさえわからない言葉がある」と「先生さえわからない言葉がある」とまったく同じ意味になるのですか?
このさえの前に付く「で」の使い方、つまり「で」の品詞は何でしょうか?
その違いを教えて頂きたいです。どうぞよろしくお願いします。



Re”選り取りみどり”のみどりとは?

MISO (2002/08/20 18:41)

おおッ!ありがとうございます。
つまらない質問で申し訳ないです。



mとnについて。

辻本裕幸 (2002/08/20 18:16)

しょうも無い質問ですが、昔の漫画の、うる星やつらの主人公ラムの名前の由来は、アグネスラムからでしょうか?もしそうなら、ラムは林と書くのでしょうね。アグネスラムの父親は広東系華僑で、アグネスラムのラムは、林の広東語読みだそうですから。広東語、ベトナム語、韓国語などでは、まだ、m鼻音尾が残っているのですね。ところで、日本語でも、昔は、林を、リムと読んでいたのでしょうか?そしていつ、今の、リンになったのでしょう?北方中国語が、mとnを合流させてから、日本に漢字が入ってきたとはちょっと考えにくいので。



Re: ”選り取りみどり”のみどりとは?

かん (2002/08/20 17:36)

> ”選り取りみどり”のみどりってどのような意味があるのでしょうか?

幾つかの辞書の表記を総合すると
「選り取り見取り」:好きに選んで見つけて取ること
なんで、「見取り」=「見つけて取る」ですかね



”選り取りみどり”のみどりとは?

MISO (2002/08/20 16:56)

始めましてMISOと申します。
ちょっと気になったんで質問させてください。
”選り取りみどり”のみどりってどのような意味があるのでしょうか?
ちなみに”緑”は古くは、緑色から青色に至る広い範囲の色をさした。とありましたが、関係あるのでしょうか?



Re: ng のパッチムについて

massangeana (2002/08/20 16:53)

>Korean のネイティヴ・スピーカー
はあまり見ていないようなので...
>「後続の母音と連音を起こすパッチム(音節末の子音)」 に -ng をあげているものが1冊も
>ありません。
「連音を起こさない」と書いてあるのでない限り連音するのだと考えればいいのでは
ないでしょうか。金日成がキミルソン, 金正日がキムジョギルなのは当然だと思ってま
した。



あれれ?

massangeana (2002/08/20 16:31)

下の私の記事, 一部の字が抜けてますね。a の後ろにバッククオートをつけた字 (à の代用)
が全部化けたようです。この掲示板の仕様でしょうか? 適当に補って読んでください。



Re: ベトナム語漢字音に声調は反映されているか?

massangeana (2002/08/20 16:20)

>ベトナム語漢字音には、声調の区別があるのでしょうか
あります。
ベトナム語のローマ字(クォック・グー, 国語)は日本語の掲示板では書きにくいので, 以下
VIQR という方法で ASCII に変換して書きますが, ベトナム語には声調が 6つあります。それ
ぞれの高さは(ハノイ方言の場合)
 a(中平), (低), a' (高昇), a. (低降), a~ (低平→昇), a? (降→昇)
です。中国語でいうところの入声(内破音で終わる音節)には a' と a. のみがあらわれます。
漢字音の場合, 音節の頭の子音の清濁に応じて, やや複雑な対応をします。
1. 清音(無声の閉鎖・摩擦・破擦音。p,t,k,s など) なら
 平声 a、上声 a? 、去声・入声 a'
2. 全濁(有声の閉鎖・摩擦・破擦音。b,d,g,z など) なら
 平声 、上声 a. (一部 a~) 、去声・入声 a.
3. 清濁(上記以外の m, n, l など) なら
 平声 a、上声 a~、去声・入声 a.
となります。実際には例外も結構多いですが。

>その漢字を取り入れた時代の中国語側の声調

ベトナム漢字音の主な部分が伝わったのは 10世紀ごろと言われていますが, 当時のベトナム語
の声調がどんな値だったかはわかっていません。



帰ってきた『地名の世界地図』(第二話)

松茸 (2002/08/20 03:19)

->佐藤さま:
“おかしな説明を書く→専門家からクレーム→次の著作/増刷分にそれを反映(丸写し?)”
というケースもあると思われます(「千島」の例もあるし)。

> いやー、一冊の本を書くというのは、なかなか難しいですね。
……同感です(自戒を込めて)。
 同様に、p.217上段には;
「二〇〇〇年三月の時点で、[中略]国連加盟国はツバル、バチカン市国、スイス連邦の三国を除き、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を加えた一八八カ国。」
とありますが、時点を明示しているので〈誤り〉ではないものの、ツバルは2000年9月――『地名〜』出版以前――に国連に加盟しています。
# 来月(2002年9月)にはスイスも加盟しますね。新刷にどう反映される(されない)か、楽しみ。(^^;

->青蛙さま:
> > ギリシア語のミクロ mikro「極小」
> 英語の形容詞 マイクロゥ micro(極小の、もちろんギリシア語源)
> と勘違いしてません。ギリシア語の形容詞 mikros,-on,-a はただ
> 「小さい」という意味しかないのに。
……[ママ]としたところを汲んでください。(^^;
 むしろ「インド」のほうが問題で、ギリシア語"Indos"は地名ではなく「(一人の)インド人(男性)」の意味ですね:
http://www.perseus.tufts.edu/cgi-bin/ptext?doc=Perseus%3Atext%3A1999.04.0057%3Aentry%3D%2350513
 ちなみに、p.134で:
「インドとヨーロッパの最初の出会いは、前三二五年[ママ]、ペルシアを越えてやってきたアレクサンドロス大王のギリシア軍がインダス川に到達したときだった。大王はサンスクリット語で「川」をあらわすヒンドゥ hindu[ママ]にちなんで、その川をインダス Indus と名づけた。その命名によって、この地方がインド Indo とよばれるようになったのだ。」
としていますが、アレクサンドロス大王の約百年前に著されたヘロドトスの『歴史』にも"Indos"が使われています。

* 小ネタ追加
p.142:
「アブラハムにはサライという妻があったが」
……「サラ」とすべき。どうしても「サライ」にしたければ夫の方も「アブラム」になる。

p.212:
「この山が、ゴドウィン・オースチン山 Godwin-Austin [ママ]とよばれるのは、[中略]イギリスの探検家オースチンの名による。」
……この人、実は「ゴドウィン=オースチン」全体が姓。
http://www.bartleby.com/65/go/GodwinAH.html

p.232下段 ブエノスアイレス:
「船乗り達が守護神マリアに」
……またまた「守護神」。見落としてました。m(_ _)m



iroiroto

青蛙 (2002/08/19 01:28)

松茸さん、お久し振りです。
『地名の世界地図』へのツッコミご苦労様です。

【イスマイル・サマディ山】
「聖なるイシュマエルの山」はまだしも、「聖イシュマルの山」
なんてことは絶対にあり得ません。「聖〇〇」というのはキリス
ト教における聖人のことですから。キリスト教と対立しているイ
スラム教徒がそんな表現をするはずがないですよね。
…って、「イスマ(ー)イ(ー)ル・サ(ー)マ(ー)ニ(ー)」の誤り
とは(^^;

>  「サーマーン」に「聖なる」といった意味があるかは未調査ですが、仮にそうだとしても、人名を意訳するのはおかしいですね。
「サーマーン朝の君主の名にちなんだもの」という松茸さんのご
説明からすると、「サーマーニー」は「サーマーン」のニスバ
(関連形容詞)かと思われます。関連形容詞というのは、英語の
名詞 Japan に対する形容詞 Japanese のようなものです。と
すれば「サーマーンの(王)イスマイルの峰」という意味になる
でしょうか。

【ミクロネシア連邦】
> ギリシア語のミクロ mikro「極小」
英語の形容詞 マイクロゥ micro(極小の、もちろんギリシア語源)
と勘違いしてません。ギリシア語の形容詞 mikros,-on,-a はただ
「小さい」という意味しかないのに。
> ネソス nesos「島々」
「島々」なら複数形 nesoi(ネーソイ)ですか。


佐藤さん:
連中、全然反省していないようですね。
> 何ヵ月後かには、「『民族の世界地図』批判」UPしたいなと思ってます。
楽しみにしてます。


【犬の名前】
ポチもペスも語源には諸説があって、外国語語源説はかなり怪しい
ようですね。特にペス−ロシア語源説。楡ノ家楠丸さん、ロスケさん
によると、ロシア語で犬はピョ(ー)スだそうですから、пес ではな
くпёсなんですね。遅くなりましたが、楡ノ家楠丸さん、ロスケさん、
そしてフォローしてくださった佐藤さん、ありがとうございました。



ベトナム語漢字音に声調は反映されているか?

辻本裕幸 (2002/08/18 22:04)

質問です。日本語漢字音には、濁音が残されています。日本語に清濁の区別があるからです。韓国語漢字音には、有気音、無気音の区別があります。韓国語に、有気、無気の区別があるからです。では、ベトナム語漢字音はどうか?ベトナム語には、声調の区別があります。ということは、ベトナム語漢字音には、声調の区別があるのでしょうか(もちろん、その漢字を取り入れた時代の中国語側の声調がです。)情報、お願いします。



日付変更線

佐藤和美 (2002/08/18 20:20)

『地名の世界地図』P293
キリバス共和国
「各島が赤道、日付変更線にまたがって散在している珍しい環境にある。」

http://www.polepole-isl.com/islanders/traveler/endo/xmas_03/top.html
キリバス共和国は赤道付近に東西4,000km、南北に2,000kmの広大な海の領土を持っている。その間を日付変更線が横切っているのだが、国の中で日付が変わるのは不便だと言うことで、領土にそって日付変更線を大きく迂回させる決定を5年程前に行った。

いやー、一冊の本を書くというのは、なかなか難しいですね。
21世紀研究会は、そういうこと、わかってるのかな?



「〜の世界地図」相互比較

佐藤和美 (2002/08/18 12:48)

『民族の世界地図』、一応読み終わりました。
で、気がついたんですが、「〜の世界地図」を相互比較したらどうなるんだろうということです。

比較には以下を使用。
『民族の世界地図』16刷
『地名の世界地図』14刷
『人名の世界地図』1刷

ミャンマー

『民族の世界地図』P91
「ミャンマーはバラモン教の最高原理「清浄」に由来するといわれる。」

『地名の世界地図』P273
「ビルマ語でミャンマー myanma「強い人」。サンスクリット語のムランマ mranma「強い」に由来する。」


ベドウィン

『民族の世界地図』P108
「「ベドウィン」という言葉も、「町ではないところに住む人」という意味のバドウという語のフランス語訛だといわれている。」

『地名の世界地図』P267
「シリア沙漠はアラビア語では、バーディア「草地性の沙漠」とよばれ、そこに住む遊牧民は「バダウィ」、のちにこれが訛って「ベドウィン」という名称が生まれたという。」


アルメニア

『民族の世界地図』P183
「アルメニアとは、古(いにしえ)の族長アラムの名に由来する。」

『地名の世界地図』P252
「もともとアルメニア人はハイ族といい、伝説では、前一九世紀頃、カスピ海南沿岸に住んでいた。このなかから、英雄アルメネケArmenakeが一族を率いて独立し、アルメニア族を名乗ったといわれている。」


オハラ

『民族の世界地図』P238-239
「『風とともに去りぬ』のスカーレット・オハラの「オハラ」は「賢明なアイルランド人の末裔」という意味がある。」

『人名の世界地図』P278
「オハラO'Hara(姓)「ハラ」の息子。ハラは「苦い、鋭い」という意味。」


サンボ

『民族の世界地図』P241
「黒人に対する侮蔑語サンボ(ザンボという奴隷制時代、黒人の出身地として有名だったザンビアに由来)」

『人名の世界地図』P271
「この言葉のもともとの由来は、スペインが植民地としていた西アフリカ地方にあると考えられている。それは、セネガル・フラニ語のサンボSambo(叔父さん)、北ナイジェリア・ハウサ語のサンボSambo(二番目の息子につける名前)、そしてコンゴ語のンザブNzambu(サル)にあるのではないかと考えられている。これらはいずれも、黒人たちが使っていた言葉だった。
 しかし「サンボ」のルーツについては諸説があり、決定的なものがまだないというのが正直なところである。」


これだけでも、どういう本かわかっちゃいますね。
弁解の余地はないですね。

何ヵ月後かには、「『民族の世界地図』批判」UPしたいなと思ってます。



沖縄の「花」

佐藤和美 (2002/08/18 11:25)

はなちゃん
>沖縄の言葉で、「花」って何ていうんですか?

国立国語研究所編「沖縄語辞典」(大蔵省印刷局)(首里方言の辞典ですが)によると、
本土方言と同じ「はな」ですね。



>徴付き

ろんりーかんがるー。 (2002/08/18 01:34)

ロラン・バルトかな〜。

「白人」に対する「黒人」とか、「男」に対する「女」とか、「高貴」に対する「卑俗」とかの関係で、前者を「透明な無標(徴なし)」,後者を「有標(徴つき)」として,無標の言葉が有標よりも優位性を持つ、としているようですね。



帰ってきた『地名の世界地図』(第一話)

松茸 (2002/08/18 00:31)

 『民族の〜』は、入手はしていますがツンドクなので……。(^^;

p.82(以下すべて第十三刷より。最新刷では直ってるかも):
「スターリン山(共産主義峰)→ イスマイル・サマディ山(聖イシュマルの山)[タジキスタン]」
p.213上図:
「イスマイル・サマディ山」
p.214:
「イスマイル・サマディ山 Ismail Samadi (聖なるイシュマエルの山)」
……最近ようやく(^^;気づいたんですが、これは「イスマ(ー)イ(ー)ル・サ(ー)マ(ー)ニ(ー)」の間違い。サーマーン朝の君主の名にちなんだものだそうです:
http://members.tripod.com/~khorasan/Miscellaneous/Pamir.htm
 「サーマーン」に「聖なる」といった意味があるかは未調査ですが、仮にそうだとしても、人名を意訳するのはおかしいですね。

・その他小ネタ
p.264上段 インドネシア共和国:
「ギリシア語の Indos「インド」と nesos「島々」からなる。」
p.297上段 ミクロネシア連邦:
「ギリシア語のミクロ mikro「極小」[ママ]とネソス nesos「島々」に地名接尾辞がつけられたもの。」
……"nesos"は単数の「島」。
http://www.perseus.tufts.edu/cgi-bin/lexindex?entry=nh%3Dsos

p.272上段 ベトナム社会主義共和国:
「一八世紀末に安南国のグエン・ホック[ママ]・アイン帝が越南にしたといわれている。ちなみに「安南」とは、八世紀頃に中国の支配下におかれ、[中略]アンナン「南は安し→安南」とよばれた。一九四五年に、ベトナム。[以上]」
……
1) グエン・フック・アイン(阮福映)が即位したのは1802年:
http://www.nguyen-trong.com/histoire/dynastie_nguyen.htm
2) 漢文文法からも、一時「鎮南」とされたことから見ても、「南を安んず」とすべきだろう。
3) 1945年9月、ホー・チ・ミンらが「ヴェトナム民主共和国」独立を宣言しているが、旧宗主国フランスが直ちに認めたわけでないのは周知の通り。



ngについて

辻本裕幸 (2002/08/15 19:58)

そうでしょうか?もしそうなら、アンニョンハセヨは、アンニョガセヨ。紙チョンイはチョギのように聞こえないとおかしいですが、僕には、そんなふうには、聞こえませんが。ngの音価は必ずしも、すべての言語で同じではないのでは?英語のngは連音しますよね。I can sing a songなら、アイキャンシンガソングのように聞こえます。中国語のngも、後ろに軽声の語気助詞が来たときは、阿(口編のついた)の漢字が、ngaと発音されたりします。しかし、韓国語では、そうならないのでは(つまり、英語や中国語のngとは音価が違うとか)僕も詳しく知りたいので、情報を待ちたいです。



ng のパッチムについて

楡ノ家楠丸 (2002/08/15 00:46)

Korean のネイティヴ・スピーカーにお尋ねします。
あまたある韓国語・朝鮮語の入門書をざっと見てみましたが、「後続の母音と連音を起こすパッチム(音節末の子音)」 に -ng をあげているものが1冊もありません。しかし、わたし自身の観察するところでは、-ng で終わる音節のあとに母音で始まる音節が続くと、明らかに連音を起こしています。たとえば、映画監督 崔洋一さんの名前を例にとるなら、洋一は yang-il (ヤンイル) ではなく、ya-ngil (ヤキ゚ル) と発音されていると思うのですが。なぜ、語学書では、-ng が連音を起こすと書いていないのでしょうか?



こんにちは!

はなちゃん (2002/08/14 18:07)

私は、朝ドラの「ちゅらさん」を見てから沖縄に興味を持つようになりました。1回行ってみたい所だなぁ〜と思ってます。それにしても、沖縄の言葉って難しそうだけど、おもしろいですよね。すごく親しみやすくて。
一つ教えていただきたいことがあるのです。沖縄の言葉で、「花」って何ていうんですか?
誰か分かる方、教えて下さい!!



Re:徴付き

エイイチ (2002/08/13 23:14)

一般的には、「徴付き」は「しるしつき」でしょう。「しるし」には「標」「印」「徴」などの語もあてはまるようです。
なにかの教育関係の論文の一部のようですね。この「しるしつき」などと言う言葉は、一般では使いませんね。学者・評論家には、元からあるメジャーな普遍的一般的語句を使用することを避け、ことさら、自分だけの意味を持たせたマイナーな語句を使いたがる性癖があります。特に教育関係では多いのです。一般人には迷惑なことです。「黴」付きと間違ってしまう事もあるでしょうに(^_^;) 場違いな投稿をお許しください。



目と芽

massangeana (2002/08/13 14:08)

>「目と芽が同根」
これは比較的問題が少ないかと思います。ただし

>人間の顔の部位を植物の部位に見立てる
ではなく, 逆に植物の部位を人間の顔の部位に見立てたものかもしれません。

>「歯・鼻」と「葉・花」
これは, アクセントが違いますので, 偶然の一致である可能性が強いと思います。

>このような事例は中国などの周辺の国には見られないのでしょうか?

目と芽が同じになるのは朝鮮語(nun)があります。目の方は中期朝鮮語でも nun の
ようですが, 芽はどうなんだろう? ほかにジャワ語などでも目と芽が同じになるよう
ですが, 確認してません。興味があったら調べてみてください。

>中国
「芽」からくさかんむりを取ると「牙」ですね。古くは「芽」の意味でも「牙」を
使っていたようです(漢代にはまだ「芽」の字はなかったらしい)。語源的に関係が
ありそうな気もしますが, どう関係するのかちょっとわかりません。



「徴付き」と「異者」

ムラサキ (2002/08/12 08:09)

いつもお世話になっております。
下記の文書の中に「徴つき」という言葉が出てますが、その意味と読み方を教えて下さい。

特定の仲間を「徴つき」の異者と見なしてしてひき起こされる、いわゆる「いじめ問題」などはそのような構造をもっていると考えられる。積極的に異者をつくりだしかつ排除することで、同質集団は活性化されたりまた緊張も放出されたりするのだろう。伝統的な閉鎖社会ではそれが固定化されて異人や妖怪の伝説になっていたこととの相同性をみれば、学校伝説のはたしている機能もうかびあがってくるとおもえる。
「こっくりさん」の例でいえば、だれにでもこっくりさんがとり憑く可能性があるという前提のゲームである。そのようななかでお互いが牽制しあいながら「徴つき」をつくりだすといった不安とスリルが、この噂を成りたたせていると考えられる。

宜しくお願いします。



語源について

学生 (2002/08/11 02:32)

古語辞典を繰っていると「目と芽は同根」とあり、気になって色々調べてみると、他にも「歯・鼻」と「葉・花」などが同根とありました。これらの和語は、漢字導入以前は元々同じ言葉だったということですが、これは人間の顔の部位を植物の部位に見立てることで、人間を自然の一部として捉えようとする日本人の自然観が日本語に色濃く反映している様子ではないかと思います。
このような事例は中国などの周辺の国には見られないのでしょうか?



簡体字について

永瀬研二 (2002/08/10 15:27)

 先日,中国料理の本を購入したのですが,料理の中国名は簡体字で表記してありました.
 その中で,「麺」の字は「面」になっていたのですが,日本では麺と面はまったく別の漢字として扱ってますよね.こういった場合,中国では,この二つの「面」をきちんと区別しているのでしょうか?調べてみたら,ほかにも雲の簡体字と云という字,葉の簡体字と叶という字が同じだったりしますが.



民族の世界地図

佐藤和美 (2002/08/10 10:55)

久しぶりに21世紀研究会の本、読んでるところです。
『民族の世界地図』16刷(文春新書)

とりあえず言葉ネタを10コほど。

P7
「メキシコ大使館観光省」

メキシコ大使館には観光省がある?

P29
「諺文(おんぶん)」

「オンモン」でしょう。

P33
「韓国民」

「韓国国民」でしょうね。

P40
「ちなみに「ラテン語」は、古代ローマ帝国の共通語で、中世、ローマ教会によるキリスト教の布教とともにヨーロッパに広まった言語のことだ。」

「中世、ローマ教会によるキリスト教の布教とともにヨーロッパに広まった」だって。
そうするとローマ教会はルーマニアにルーマニア正教布教に行ったのかな。(笑)

P44
「アメリンド(先住民族)語族」

そんな語族あるのか?

P59
「漢字とそれから生まれた仮名文字、そして一五世紀に創案された世界でもっとも効率的な表音文字ハングルだけが、古代の近東に発祥したアルファベットの表記体系とは、別に存在しているのである。」

「だけが」と言われるとちょっとね。
とりあえず「トンパ文字」。

P91
「ミャンマーはバラモン教の最高原理「清浄」に由来するといわれる。」

同じ著者の『地名の世界地図』14刷 P273にはこうあります。
「ビルマ語でミャンマー myanma「強い人」。サンスクリット語のムランマ mranma「強い」に由来する。」

P93
「ちなみにタミル語は、言語学者の大野晋氏が日本語の起源との説を唱えている。」

大野晋は言語学者じゃないだろ。
「タミル語は、日本語の起源」ってヘンな言い方。

P98
「印欧(インド・ヨーロッパ)語族とは、(中略)おそらく中央アジアを故郷にもつとされるその人々は、欧米人に代表されるコーカソイドの祖と考えられ、」

印欧語族の源境は中央アジアに決まり?
人種と語族がごっちゃまぜ。

P98
「ペルシアから改名したイランの国名には「高貴なアーリア人」の意味があり、」

「高貴なアーリア人」っていったい?
「アーリア」の意味は『地名の世界地図』14刷 P162にはこうあるが。
「サンスクリット語で aria,arya(高貴な・偉大な)という意味である。」



Re: zenmeは日本語では何と読むのでしょう?

massangeana (2002/08/09 16:30)

>中国語にある漢字は、すべて日本にもあるのでしょうか?
これはおもしろい問題ですね。私は日本の漢字についてはあまり詳しくありませんが,
原則としては, 日本語の単語を表すのに使われている字は日本にもある, そうでなければない, と
考えるのがいいのではないでしょうか。

這zhe4(これ)

この字は唐代から使われていて, 唐詩にもでてきます。「這」以外に「者・遮」
などの字で書かれることもあります。音をシャとすることに問題は少ないと思
います。なお, この字を「はう」の意味で使うのは日本だけのようです。辞書
にはほかに「ゲン」と読んで「むかえる」という意味でも載っていますが, 辞
書以外で実際に用いられた例を知りません。

[イ尓]ni3(二人称代名詞)

この字も唐代にすでに使われています。
時代的には後の文献になりますが, 広韻(11世紀)には音が「乃里切」と書いて
あり, やはり ni のような音だったようです。唐代の長安方言では音節頭の n
は nd のようになっていましたので, 日本人がヂ(現代仮名遣いではジ)として
受けいれたとしてもおかしくありません。(日本漢字音の歴史には詳しくない
ので, 実際に古い文献でヂと書かれた例があるかどうかは知りません)
この語はおそらく「爾(なんぢ)」に由来します。「爾」は呉音でニであること
からわかるように, もとは ni のような音だったのですが, 現在は er3 になっ
ています。[イ尓]の場合は何か例外的な変化が起きて(おそらく代名詞である
ためにぞんざいに発音されたためか, または他の方言の影響で), 子音が n の
まま残ったものと考えられます。なお「爾」も漢音はジですが, これは歴史的
にもジであって, ヂだったであろう[イ尓]と音は別音です。

怎zen3(なぜ)

この語はもともと「作摩(麼・物・勿)」が 1音節に縮まったもので, 唐末あた
りから見られるようです。「作麼生」は禅でソモサンと読まれますね。「怎」
も禅ではよく出る字ですので, 決まった読みがあるのではないかと思いますが,
疎くてよくわかりません。大漢和辞典はシンという読みをあげていますが, こ
れは明代の辞書の記述から機械的に求めたもので, こういうのを音読みといって
いいのかどうか……



RE:zenme

未菜実 (2002/08/09 12:50)

少し調べたんですが
「怎」  シン、ソモ   いか・で   IME
     シン、ソ    いか・で   角川新字源
     シン、チン(慣) いか・で   三省堂 新明解漢和辞典
「シン」と「いか・で」は共通ですが、もう一つが違う。
 どれが正しいのでしょうか?^^;



ポチについて、ほそぼそと

楡ノ家楠丸 (2002/08/08 23:58)

語源の足しにはなりませんが、集英社文庫『文学の中の「犬」の話』の中にポチの項がありました。以下に一部を引用します。

▼……。1910(明治43)年7月3日付 「東京朝日新聞」 の三面記事の中に、「犬の名」という記事がある。……。160余頭についてのアンケート調査の結果が載っている。第一位は、ポチの15頭、二位はジョンで13頭、三位はマルの12頭と続く。……。1982年の犬の愛称調査では、11位、92年の調査では、堂々の第三位を確保している。……

なお、この本では、ポチの出てくる作品として、二葉亭四迷『平凡』、太宰治『蓄犬談』、椎名誠『犬の系譜』、吉本ばなな『TUGUMI』を紹介しています。



zenmeは日本語では何と読むのでしょう?

辻本裕幸 (2002/08/08 19:06)

中国語、zenmeの、zenという漢字は日本語では、なんと読むのですか?教えてください。Zheはしゃ。nihao!のniは、じと読むようです。中国語にある漢字は、すべて日本にもあるのでしょうか?その逆は成り立ちませんが。



イナウ

篠原 邦武 (2002/08/07 20:24)

佐藤さん、ありがとうございます。
そうですね。私も、今日、図書館でアイヌ語辞典等も調べたのですが、語源はみあたりません
でした。意味はかいてありますが、このイナウと東北のオシラ様との関連で、本来の語源が
知りたかったわけです。すなわち、このような宗教の原点は???
などが、知りたかった訳です。また、いつか、分かったとき教えて下さい。
それでは、失礼します。



イナウ

佐藤和美 (2002/08/07 12:45)

イナウの語源、調べてみたんですが、見当たりませんねぇ。
語源不明なんじゃないでしょうか。
アイヌ語は日本語よりもさらに、語源を探求しにくいですから。



>Re: 語頭の「そ(十)」

楡ノ家楠丸 (2002/08/06 14:32)

そうですか。そういう「そ」があるんですか?
わたしが考えていたのは、独立語として「十(そ)」が使われていたら、面白いとそう思っただけです。



語頭の「そ(十)」

佐藤和美 (2002/08/06 08:49)

楡ノ家楠丸さん
>語頭で、10の意の 「十(そ)」 が使われたとしたら面白いことになると思ったのですが、

どういう意味かわかりませんが、
田の面積の単位の「代(しろ)」の10倍は「十代(そしろ)」ですね。



Re:仏語や英語とは無関係

佐藤和美 (2002/08/06 08:48)

まれびとさん
>ポルトガル、スペイン、オランダ語との関係はどうなのですか?

ま、候補になる単語がないことには、始まらないですね。



(無題)

篠原 邦武 (2002/08/05 23:08)

ずいぶん、久しぶりに投稿します。
アイヌのイナウの語源について教えてくれませんか?
インターネットをいろいろ調べましたが、よくわかりません。



十河(そごう)について

楡ノ家楠丸 (2002/08/05 22:39)

民俗学に興味を持つ友人が図書館で、十河という姓について調べてメールしてくれましたので、ここに転載します。

▼姓氏辞典によれば、「十河(そごう)」氏は、讃岐国山田郡蘇甲より起こった讃岐氏の末裔、だそうです。おそらく、「蘇甲」自体も当て字で、地名としては「そかわ」と読みます。また、古地名辞典によれば、「そかわ」とは「いそ・かわ(磯川)」で、小石の多い川という意味だろうとのことです。

語源は別として、「蘇甲」 とも書かれたとなると、「十河」 の 「十=そ」 は当て字となりそうです。語頭で、10の意の 「十(そ)」 が使われたとしたら面白いことになると思ったのですが、そうは問屋が……



『日本語の水脈』

語源ファン (2002/08/05 14:38)

佐藤さんありがとうございます。前回にも書きましたが、私は「印欧語」という語族が確立される過程でも、大野説に対する反論のようなものがあったはずで、それを知る手がかりはないのだろうか、とお尋ねいたしました。ヨーロッパの古典語とインドの古典語が親戚である、という考えに、進化論に対するのと同種の拒否反応があったのではないかと思うからです。英語でも結構ですから、ご存知の方、お教えいただけたら幸いです。



Re:こんにちは

佐藤和美 (2002/08/05 12:43)

>「こんにちは」というあいさつについてなのですが、いつからあいさつとして使われるようになったのかおしえてください。

『日本国語大辞典』には1785年の用例が載ってますね。

滑稽本・当世真々乃川(1785)二「人に対する言葉をも、みなまでは言て居ず、今日はというて御苦労と聞かせ」

>「今日は晴天なり」の「今日は」が挨拶に変わったのだろうと勝手に思っていたんですけど、

過去ログにもあったと思いますが、「今日は……」の下略したものということでいいでしょう。



>仏語や英語とは無関係

まれびと (2002/08/05 12:26)

ポルトガル、スペイン、オランダ語との関係はどうなのですか?
関西地方だとすれば、そちらの国々の方が関係が深い気がするのですが。



Re:「ポチ袋」

佐藤和美 (2002/08/05 11:21)

『日本国語大辞典』にはこうあります。

ぽち
2.芸妓や茶屋女などに与える祝儀。京阪地方でいう。はな。チップ。 *歌舞伎・傾城浜真砂(1839)三幕「そりゃ得心する様に、最前ぽちが切れてあるぢゃて」 *わが新開地(1922)<村島帰之>三「階段をトントンと上れば、二三円のお払ひと、少くも五十銭のポチが必要となるので」

1839年は黒船以前なんで、「ぽち袋」の「ぽち」はフランス語や英語とは無関係だと思います。

また、堀井令以知編『上方ことば語源辞典』(東京堂出版)にはこうありました。

ポチ
祝儀。心づけ。チップ。「髪結いさんにポチ渡しといてんか」。
[語源]「ほんのポッチリ」の意味からで、花街のことばからか。フランス語のプチpetit(小さい)からというのは民間語源説。祝儀袋はポチブクロという。



「ポチ袋」

ろんりーかんがるー。 (2002/08/05 03:26)

の場合は,斑点とかはないわけですからやはり「petit」でしょうか?



こんにちは

あい (2002/08/04 20:46)

「こんにちは」というあいさつについてなのですが、いつからあいさつとして使われるようになったのかおしえてください。
「今日は晴天なり」の「今日は」が挨拶に変わったのだろうと勝手に思っていたんですけど、人から聞かれたとき本当うはどうなのか悩んでしまいました。
普段何気なく使っている言葉なのにわからないことが多くて私にはお手上げです・・・



「言葉の世界」伝言板7月分

佐藤和美 (2002/08/04 19:08)

 「「言葉の世界」伝言板7月分」を追加しました。



大野晋『日本語の水脈』

佐藤和美 (2002/08/04 13:46)

語源ファンさん
>大野晋先生の本がまた書店に積んであります(新潮文庫)。タミル語との関係についての彼の勝利宣言が記されております。

私が大野晋をどう思ってるかは、
「日本語の起源」(2000/01/28 12:38)
あたりに書きました。

で、新潮文庫の新刊『日本語の水脈』。
266ページに「タミル語・日本語の音韻対応」
268-269ページに「日本語・タミル語のカ行の対応」、「日本語・タミル語のガ行の対応」
ってのがあるんで、
このあたりの疑問点でも出してみましょうか。
(ローマ字は正確な引用ではありません)

P266
表には日本語の「e」がないが、日本語の「e」は音韻対応してないということか?(なにやら但し書きはあるが)
それで日本語とタミル語が音韻対応してるといえるのか?

P268-269
語頭のCVC/VCだけで音韻対応してると判断していいのか?

P268
18 kur-i(栗) kur-u(nut)
「栗」と「nut」は語義が違うけど?

P268
13 kan-a(金・銅) kan(copper)
上と同じでこれも「カネ/カナ」と「copper」は同じものじゃないけど。

P268
25 kor-u(凍る)
「凍る」は「こほる」(koforu)じゃないのか?

P268
7 kam-a(洞)
「洞」は一般的には「ほら」だろうが、語義・語形の似ている方言を見つけてくるというワザを使っていいのか? ドラヴィダ語の中でタミル語が一番似てるので、タミル語と比較してるそうだけど、日本語のほうも一番似てる方言を持ってくるっていうやり方?

めんどくさくなってきたので、このへんで終わりにします。
P268-269の日本語の意味とタミル語の意味が同じか確認したほうがいいでしょう。
日本語側の単語は一般的なものか確認したほうがいいでしょう。



『明治生まれの日本語』

楡ノ家楠丸 (2002/08/04 01:19)

田島さん。『明治生まれの日本語』使えそうな本ですね。さそくのことに探してきます。ポチが明治19年までさかのぼるとは……



おいおい考えます

楡ノ家楠丸 (2002/08/04 01:15)

『日本国語大辞典』いいですねえ。でかいとは思ったけどここまでとは。必需品とは聞いていたんですが……
ちなみに、わたしのうちには菓子折りひとつでもらってきた『大ソビエト百科事典』24巻があります。他の本の下敷きになって、容易に使うことができません。ときおり覗くと、背表紙にカビらしきものが……



日本国語大辞典

佐藤和美 (2002/08/03 10:02)

楡ノ家さん
>『日本国語大辞典』購入せねばなるまい、と思いました。

値段聞いたら、買う気がなくなるかも。(^^)

日国.NET
http://www.nikkoku.net/



>そ(十) についてまとめさせていただきます

楡ノ家楠丸 (2002/08/03 09:24)

■古い時代の日本語には、10の概念を表すのに以下の2つの語ないし形態素(語の部品)があった。
   1.トヲ   独立した単語として10を表す。
   2.ソ    数詞の一部として10を表す。例:ミソ(三十)。
   ただし、20を表すのには、独立した単語として用いられることの稀な 「ハタ」 を使う。
■両者は、今のところ、語源を異にするとは考えられる。

 このサイトを見た友人よりメールがあり、100を表す 「モモ」 と 「ホ」 も同じく語源を異にする語が使われていると指摘がありました。

 ところで、次の2点が知りたくなりました。
    1.姓、十河(そごう)、十川(そがわ)の 「そ」 には10に意味があるのか、あるいは当て字に過ぎないのか。
    2.古い沖縄語の数詞の体系はどうなっていたのか?

投稿をいただいた皆様、ありがとうございました。



>ポチ(補足)

田島 (2002/08/03 09:20)

補足です。飛田氏が調べたところでいちばん古い「ぽち」の用例は、明治十九年のものだそうです。同書から孫引きしておきます。

ポチ ハ、スナホナ/イヌ ナリ
ポチ ヨ、コイコイ、ダンゴ ヲ ヤル ゾ。/パン モ ヤル ゾ。
(明治十九年九月,文部省編輯局蔵版『小学校教科書 読書入門』第十九課)

ちなみに、挿絵の犬には斑があります。



>Re: Re: пес について

楡ノ家楠丸 (2002/08/03 09:10)

пёс の発音について、再度です。ロシア語は強弱アクセントで、一般にアクセントのある音節が長く発音されます。それは、強めを置くために付随して伸びるもので、実際の発音では、長い場合も、短い場合もあります。また、開音節では長く、閉音節では短めになり、また、音節末の子音の種類、数によっても母音の長さが変わります。ただ、ロシア人にとって意味があるのは母音の質であって、長さではありません。пёс の場合、日本人の聴覚イメージはピョスに近いと思います。



>ポチ

田島 (2002/08/03 08:59)

参考までに。飛田良文『明治生まれの日本語』(淡交社,2002.5.13)に以下のようにあります。

「ぽち」が犬の愛称であること、明治生まれの日本語であることは確実であるが、小犬であるかどうかは疑問である。第一期国定教科書にみえる「ぽち」の絵は「ぶち犬」である。赤本『枯木花さかせ親仁』の犬も「ぶち犬」である。子犬(ママ)だけをさしてはいない。「ぶち」「まだら」の意味の「ぽちぽち」が起源とも、点々の意味のspotty〔スポッティ〕からとも考えられる。またフランス語のpetit〔プティ〕からとも、英語のpooch〔プーチ〕(犬・アメリカの俗語・雑種犬)からとも考えられる。しかし、明治時代にspotty,petit,poochの借用語と考えられる用例は、発見されていない。したがって、今のところ「ぽちぽち」が、起源なのではないかと考えられる。(164頁)

『日国大』にもむろん「ぽちぽち」は見えますが、犬の名との関連についてはふれていませんでした。ちなみに、明治期に「カメ」という名の犬が多かったのは、外国人が犬を呼ぶときに“Come on!”と言ったのを日本人が犬の名と勘違いしたからだ(カモン→カメ)というのをどこかで読んだ記憶があります。これは余談ですが。



RE: >пес について

ロスケ (2002/08/03 04:25)

>пес の発音が 「ピョス」 だということを言いたかったんです。

ドイツ語のウムラウトみたいな点点が上についたロシア語の「e」は必ず強調(ストレス)されるので、この場合は「ピョース」と伸びるはずですが・・・・。



>ポチもびっくり

楡ノ家楠丸 (2002/08/03 01:10)

佐藤和美さん。驚きました。『日本国語大辞典』購入せねばなるまい、と思いました。ポチの用例が出ているとは!
 でも、やはり、語源説は納得できません。というより、日本語の語源説はたいてい納得できないんですけど……



ポチ

佐藤和美 (2002/08/02 22:20)

ポチに関しての書き込みは以下のとおりですね。
「ポチ」(2001/05/18 12:24)
「Re: ポチ」(2001/05/19 01:42)
「Re: ポチ」(2001/05/19 03:24)

ちょっと前に「ひとりぼっち」の「ぼっち」って何?っていう質問がありました。
その時、小学館の『日本国語大辞典』でも調べたんですが、そしたら目に「ぽち」の項が飛び込んできました。
なんと「ぽち」(犬の)の語源説まで載ってる!!
イヤー、ひとりで感動してました。
以前の書き込みとダブりますが、引用します。

ぽち
3.犬につける名。特に明治三、四〇年代(一八九七〜一九〇七)に流行した。 *平凡(1907)<二葉亭四迷>一三「遂出す筈の者に、如何(いつ)しかポチといふ名まで附いて」
3の語源については、(イ)英語でspotty(ぶち犬の意)、(ロ)米語でpooch(俗語、犬の意)、(ハ)フランス語でpetit(小さい意)からと、諸説ある。



>пес について

楡ノ家楠丸 (2002/08/02 17:59)

すいません。説明不足でした。пес の発音が 「ピョス」 だということを言いたかったんです。「ピェス」 だったら、まだ、「ペス」 になるのは無理がありませんが、ピョスがペスになるのは少し無理がある、と思ったんです。



?

犬の糞 (2002/08/02 09:24)

>最大のネックは、пес が ['pjos] だという点ですね。

なにが、ネックなのでしょうか。



>シベリア帰りのペス

楡ノ家楠丸 (2002/08/02 09:19)

ペスがロシア語かもしれない、というのは、盲点でした。ラーゲリ、あるいは、その周辺に番犬、あるいは、野良犬がいるというのはありえないことではないし、シベリアに抑留されていた日本兵が、ノルマのように犬という単語を持ち帰ったとしたら、なかなかぞくぞくするような仮説でありますね。普通の犬という単語 собака [sa'ba:ka] ではなく、雄犬の пес というところもリアリティーがあります。最大のネックは、пес が ['pjos] だという点ですね。



古代国語の音韻に就いて:追加

まれびと (2002/08/02 03:14)

すいません、途中で間違えて送信ボタンを押してしまいました。ちょっとだけ追加です。

例えば、カ行四段活用の連用形の「キ」と カ行上二段活用の未然・連用形の「キ」では必ず違った仮名を用い、それぞれを甲類の「キ」、乙類の「キ」としています。
橋本進吉氏は、活用形に対応した甲・乙の音韻を使い分けていたと考えておられるようです。
なお、この『古代国語の音韻に就いて』では、さ行の音韻についてもふれられており、やはり「s」「sh」「ts」「ch」など見方があるようですね。
橋本進吉氏自体は、(明確な理由が述べられてませんが)「極めて古くは最初にt音があったかとも思われるが、奈良朝時代にもそうであったかどうか、決定しがたい(『古代国語の音韻に就いて』所収「国語音韻の変遷」より)」と述べられています。

「ト」「ソ」問題の解決にはな〜んにもなりませんが、ご参考まで。おじゃましました〜。



古代国語の音韻に就いて

まれびと (2002/08/02 02:44)

お初に書き込みさせていただきます。通りすがりに覗き見していたら、ちょっと気になったもので。

>楡ノ家さん
松茸さんの引用されてる『古代国語の音韻に就いて』(橋本進吉著)は岩波文庫で出版されております。
それによれば(p101〜)、

「キ、ヒ、ミ」も「月ツキ」が「月夜ツクヨ」となり、「火ヒ」が「火中ホナカ」となり、「神カミ」が「神風カムカゼ」となり、「身ミ」が「むくろ」(骸)となり、「木」が「木立」になります。こんなに「ク(またはコ)、ホ、ム」などに変ずる「キ、ヒ、ミ」は皆揃って乙類に属します(上二段活用の未然・連用と同音)。かような場合にも、同じ仮名の二つの類(甲・乙)の中のある決まった一つがいつも相伴って出てくるという現象があるのであります。
(甲・乙のある)十二の仮名の中、右に述べた「キ、ヒ、ミ、ケ、ヘ、メ」以外の「コ、ソ、ト、ノ、ヨ、ロ」においても大体、右の様な現象があったらしく、やはり甲乙二類に分かれるものと思います。

と、書かれております。



>ポチにもこだわる

楡ノ家楠丸 (2002/08/01 23:30)

落語には犬が多く登場しますが、アカ、シロ、クロ、ブチ、などがほとんどで、古典落語にはポチは出てきません。ということは、ポチは比較的新しい名前なんではないでしょうか? せいぜい、昭和では? それとポチは金持ちの犬という感じがしません。そう考えると、やっぱり外国語語源説はしっくりこないんですが。
 それと、以前、ネコの 「たま」 の語源を求めておられる方がいらっしゃいましたが、落語には、「たま」 と 「こま」 が出てきます。演じられる機会の少ない珍しい噺に 「こま」 が出てきますので、こちらのほうが古いように思えます。たぶん、「ねこま」 の最後の2音節ではないでしょうか? 何となく 「たま」 と 「こま」 に何か関連があるような気がするんですが……



犬の名前

青蛙 (2002/08/01 23:20)

>ペス
私の友人にも、愛犬に「ペス」という名前をつけていた者がいました。
ロシア語で犬のことを пес(pes)といいますが、ここから来たと
どこかで聞いたことがあります。(ロシア文字はローマ文字からの換
字なのでかなり怪しい)
うろ覚えで典拠を示すことができず、申し訳ありません。

>ポチ
私もフランス語の petit から来たものとばかり思っていました。
そうなると、その由来が気になりますね。何ゆえフランス語から?



>そ(十)

楡ノ家楠丸 (2002/08/01 23:19)

白旗です。ここの方々のレベルは違うなあ。わたしの知識は中途半端なので、基本的な間違いがあったら御勘弁を。
め→まなこ、ひ→ほのほ、みづ→みなも、のように、古い言葉には母音が交替するものがありますね。場合によっては子音も変化するようですが。このような交替のなかに、甲類の o と乙類の o のあいだで交替したものはないんでしょうか? (自分で調べろ、と言われれば、確かにそうなんですが)。



Re:そ(十)

佐藤和美 (2002/08/01 22:14)

私の書き込みは以下の記述を念頭に書きました。

山口明穂・鈴木秀夫・坂梨隆三・月本雅幸「日本語の歴史」(東京大学出版会)
「サ行、ザ行については定説を見ない。サ行は[s][ts][∫]などが考えられ、また「サ」と「シ」では子音が異なるというように、後続の母音によって子音は別であったかともされる。」

「十」の「ト」と「ソ」って、甲・乙で違ったんですね。(^^);



Re:そ(十)

松茸 (2002/08/01 20:40)

 お久しぶりです。

 『古代國語の音韻に就いて』付録より:
http://kuzan.f-edu.fukui-u.ac.jp/hasi/kodai4.htm

| ソ〔清音〕 蘇蘓宗素泝祖巷嗽・十麻磯追-馬           甲類

| ト〔清音〕 止等登[登邑]騰縢臺苔澄得・迹跡鳥十与常飛     乙類

……オ段の甲乙の差異が母音の違いによるというのはほぼ異論がないんで、簡単に「通じる」とは言えないようです。



とんとん

てつじ (2002/08/01 19:20)

過去にも一度質問されてるみたいなんですが
「収支がとんとん」の「とんとん」というのは
何が元になってるのでしょうか?
それと「とんとん」は全国で通じる言葉なんでしょうか?



ポチ

犬の糞 (2002/08/01 15:12)

>どれほどのフランス人が日本にいたんでしょうか?
 幕府軍には、フランス軍がついていました。
榎本と北海道にまで行動を共にしたフランス軍人もいたはずですが。
 パリ万博には、薩摩藩と幕府が参加するなど、フランスと江戸末期の日本とは関係が深いのでは。



>「そ(十)」 と 「ポチ」

楡ノ家楠丸 (2002/08/01 14:30)

■tso はわたしも考えてみました。t と s をつなぐなら、ts が必要ですよね。しかし、t←ts→s なのか、t←t→ts→s なのか。しかし、こんなことが日本語の過去にあった可能性があるなんてニュースは聞いたことがありませんよね。
■ポチの語源が petit かもしれないという説は、このサイトの過去に出ています。でも、どれほどのフランス人が日本にいたんでしょうか?



そ(十)

佐藤和美 (2002/08/01 12:08)

「そ(十)」ですが、『日本国語大辞典』(小学館)には語源説が三つ載ってますね。

そ【十】
(1)字音スの転[大言海]。
(2)トの音と通じる[言元梯]。
(3)ソロフ(斉・揃)の義[名言通・本朝辞源=宇田甘冥]。

以下、私の妄想です。
奈良時代の「サシスセソ」がどういう発音だったのかよくわからないところがありますが、「ソ」の発音が「tso」だったら、「トの音と通じる」という説が面白くなりそう。



>ポチ

ろんりーかんがるー。 (2002/08/01 10:48)

英語だったんですか。知りませんでした。
何となくフランス語の「petit」だと信じ込んでいました。



今度はポチ

楡ノ家楠丸 (2002/08/01 09:52)

犬の名前でもう1件。「ポチ」 という名前がありますね。このサイトでも以前出ていましたが、英語の spottie から来ているというのがすでに定説のように扱われているようです。TVのクイズ番組など、何の批判もなくこの説を取り入れています。しかし、come here がカメヤになったというのならうなずけますが、日本人に 「ポチ」 と聞こえるように spottie を発音するネイティヴがいるんでしょうか? わたしは、単純に日本語のポチ、小さい点を指すポチ、ポチ袋のポチでいいと思うんですが……



新しいローマ字を考えています。

辻本裕幸 (2002/08/01 02:35)

私は今、新たな日本語のローマ字を考えています。これは、読むためのローマ字ではなく、語の正確な、形をあらわすためのものです。そのため、呼んだままに書くローマ字とは、違います。モデルは、ハングルと、中国語のピンイン字母そして、ベースは、訓令式ローマ字です。例を挙げれば、「有った」は普通、attaと書くと思うのですが、辻本式では、artaと書きます。なぜなら、語根arに+an有らん+imasu有ります+u有る+eba有れば+ou有ろうとなるのですから、「有った」の促音は、rの変化した物と考えるべきです。国は普通、kokuと書きますが、私式ではkokと書きます。こうすれば、次に、「家」等がきたときに、kok kaと形を変えずに、促音があらわせられます。このように、漢字のスペルは、原則一字一つです。(勿論、呉音漢音などは別々ですよ。私が言いたい事は、国がkokuになったりkokになったりはしないという事です。)高山なども、kouzanではなく、kousanと書きます。連濁はもとの清音の方を原則として書くのです。長音は、おう、えい、とかくべきところは、ou,eiと書きます。それ以外は、二つの母音を重ねて、書きます。aa,ii,uu,ee,ooと。訓令式がベースですから。し、ち、つ、ふはそれぞれ、si,ti,tu,hu,と書きます。ちゃ行、じゃ行、ぢゃ行も、ty,zy,dyです。分かち書きは、単語+助詞ごとです。watasiha nekoto asobde imasu(私は猫と遊んでいます。)といった具合に。ただ、茸等は、どうするか?kino ko(木の子)kena mono(けだもの)みたいにするか?まだ未定です。外来語は、範疇外とし、言語のスペルのままにします。それで、ファとか、ティとかの表記の方法を考えずに済みます。BUSwo matu(バスを待つ)。皆さん、このローマ字作成についてアドバイスをお願いします。



犬の名 ペス.Re

辻本裕幸 (2002/08/01 02:08)

そういえば、漫画、コロコロコミックに昔のっていた、つるぴか
ハゲ丸君という漫画で、飼われていた犬の名前も、ペスでしたね。



犬の名 ペス

楡ノ家楠丸 (2002/08/01 00:48)

ふと思い出したんですが、わたしが子供のころ、(35年くらい前かな) ペスという犬の名前が流行っていました。p- で始まるんですから日本語が語源ではないと思います。犬の名前の辞典や、犬の名前のサイトで検索してみましたが、Pes とか、これに類似した名前は見当たりません。昔流行った、このペスという名前はどこから来たんでしょう。(そういえば、エスというのもあったなあ)。



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