2000年後半伝言板アイヌ語関係集




アイン

佐藤和美 (2000/07/11 12:41)

「アイヌ」は「人間」という意味ですが、「男」という意味もあります。
英語の「man」みたいですね。
和人の男性名の語尾には「オ(雄男夫)」がつきますが、
アイヌの場合も男性名の語尾に「アイヌ」をつけることがあったようです。
北海道の歴史をちょっとでもかじったことのある人なら聞いたことのある名、
「コシャマイン」、「シャクシャイン」
この語尾の「アイン」って、「アイヌ」のことだったんですねぇ。



「オンコ」の語源は

てんちん (2000/07/14 13:46)

はじめまして。
和名「イチイ」を「オンコ」と呼びますが、辞典で「〜アイヌ語から」となっています。
アイヌ語で「オンコ」とはどんな意味があるのでしょうか。
意味分解の出来ない最小語なのでしょうか。
ご存知の方宜しくお願い致します



オンコ

佐藤和美 (2000/07/15 12:38)

「オンコ」ですが、更科源蔵/更科光「コタン生物記」(法政大学出版局)には、
「北海道では一般にこの木をオンコと呼んでいるが語源は明らかではない。」
とあります。
これはアイヌ語かどうかもわからないということです。
知里真志保「分類アイヌ語辞典・植物編」にも「いちい」のアイヌ語として「オンコ」は載ってません。
この辞典の「オンコ」は和語索引にでてきますので、
知里真志保は「オンコ」を和語だと考えていたのでしょう。
また田村すず子「アイヌ語沙流方言辞典」(草風館)にも「オンコ」はありません。
「オンコ」がアイヌ語だというのは疑問です。

「広辞苑」には「オンコ」が「アイヌ語から」などと書いてありますが、
「広辞苑」のアイヌ語は疑問だらけです。
このことに関しては「2000年(前半)伝言板アイヌ語関係集」の2月あたりに「広辞苑」関係の書き込みがあるので参考にしてください。



アイヌ語なんでしょうか。

めび (2000/07/20 17:55)

富良野に『ニングルテラス』というのがありました。
民芸品の工房が集まった所なのですが、語源に興味を持ちまして。

そこに説明書きで『ここには数世帯のニングルが生活しています』
とあったのですが、このニングルとは何を指す言葉なのでしょうか。
Microsoftエンカルタで調べてみましたが出ておらず、もしご存知
でしたらお教えください(^^)



ニングル

佐藤和美 (2000/07/21 23:43)

「北の国から」で有名な倉本聰の「ニングル」(理論社1985年)が、
ニングルの原点のようですね。

「ニングルテラス」のHPからです。
http://www.candleworld.co.jp/index.html
☆ニングルとは・・・
 15センチほどの小さな森の番人のこと。この森は、原作『ニングル』(倉本聰/理論社刊)そして舞台『ニングル』を背景にした劇空間のような森です。中央にある巨大な木の根は、ニングルの家。夜はライトアップされ、まさに幻想の世界。
☆ここニングルテラスは・・・
 「北の国から」の作家・倉本聰氏のプロデュースにより、「創の思想」から生まれました。「創作」の創も作も”つくる”という意味ですが、知識とお金でつくるのが作であり、お金はなくとも知識で生み出す、それが「創の思想」です。

数年前に自然環境問題のキャンペーンやってましたけどそのHPから。
「森のニングルが消えた星」
http://www.inter.co.jp/ac/pages/campaign/all/ningle/ningle.html
自然環境問題に対する意識喚起をめざし、昨年から一年間、全国で展開するキャンペーン作品です。
作家・倉本聰さんの物語に登場する森の住人「ニングル」をメインキャラクターに、人と森との共生を親しみやすく伝えます。

「ニングル」は倉本聰の創作ということでしょうね。
ただ倉本聰がアイヌ語で名前をつけたという可能性はあるでしょうね。
そのへんは理論社の「ニングル」を読めばなにか書いてあるんでしょうが、
私は持ってませんのでわかりません。
むりやりアイヌ語をあてはめてみると、
「ニンnin」(減る、消費して減ることでなく、それ自身縮んで小さく/かさが少なくなることをいう)
「グル(クル)kur」(人)
(田村すず子「アイヌ語沙流方言辞典」草風館)
これをむりやり訳せば、「小人」のことを言う?
(あまり本気にしないでくださいね)
ま、アイヌ語とは無関係と思ってたほうが無難でしょう。



ニングル

めび (2000/07/22 00:35)

ありがとうございました(^^)
私も調べてみましたが、家具の事をもニングルと言うみたいで、
ニュアンスとしてかなり広い意味合いなのかもしれませんね。



ドナウ川の語源(トンデモ版)

佐藤和美 (2000/08/01 12:46)

佐藤和美(2000/02/11)wrote
>>・利根川:(トネはアイヌ語 tanne(長い、の意)からか)
>アイヌ語に「タンネ」(長い)という単語はたしかにあるんですが……
>これも他人の空似だと思いますけど。
>これくらいでいいなら、世界中がアイヌ語地名になっちゃうでしょう。

これを実証してみようという試みです。
アイヌ語では「t」と「d」の区別はありません。
つまり「タンネ」は「ダンネ」でもいいわけです。

「ダンネ」に似た長い川。
実は「ドナウ」は「ダンネ」だったのです。(^^);
「トネ」が「タンネ」だというのなら、
「ドナウ」が「ダンネ」だと言ってもゆるされますよね?

ドナウ川の語源(トンデモ版)の試みでした。



はじめまして

ポロヌップ (2000/08/01 16:22)

はじめまして、私は東京でアイヌ語を勉強しているものです。
時々HPや掲示板を見たりはしてましたが、掲示板に書きこむのははじめてです。
よろしくお願いします。

★「ラムラッケ」について

ちょっと時間がたちましたが私の知っていることを書きます。

以前、知り合いのアイヌのおじさんの民芸屋を手伝っていた時に、ブローチに「ラムラッケアン」
と彫っていたので、
意味を聞いてみたら、「幸せ」という意味だと聞きました。
そのおじさんは、自分の母親(この方は十勝アイヌ語の話者です)から聞いたそうです。

『アイヌ語方言辞典』によると、宗谷のアイヌ語で、ramu ratkeは「落ち着いている」という
意味です。
「落ち着く」→「すこやかである」→「幸せ」という意味の連関が思いつきます。

「ラム(心、ramu=ramの所属形)」は「心」ですが、「ラッケ」がよく分かりません。
いろいろ調べてみたのですが、「ラッケ」はこれ以外の資料では見つかりません。

ラッケは、よく使われる「ラッチ(ratci=落ち着く)」と関係あるかもしれません。

もしくは、ほかの地方でよく聞かれる「ラッキ(ratki=ぶらさがる)」の異形である
可能性もあります。
たとえば、「ピシキ(piski=数える)」が、道東では「ピシケ(piske)」になったりします。

「アン」は、「我々」・「人々」という意味の人称接辞(=an)もしくは、「〜しなさい」という
意味の「ヤン(yan)」のyが脱落した形ではないでしょうか。

これ以上のことが分かったらまた報告します。



「ニングル」の謎

ポロヌップ (2000/08/01 16:49)

もう一つ投稿します。

倉本聰の原作を読むと、森の中の小人ニングルについて富良野のアイヌの伝説があると書いてあります。

倉本聰が参照したという磯部精一の『和愛愛和 アイヌ語辞典』(北海道出版企画センターの『アイヌ史資料集』に収められています)には「ニングル  小人・侏儒」と書かれています。
でも、この辞典の記述はバチェラー辞典の丸写しがほとんどです。案の定、バチェラー辞典にもまったく同じ記述が載っています。

「小人」というとコロポックルが有名ですが、「ニングル」の伝説についてはほかに記述を読んだりそういう伝説の存在を聞いたことありません。ぜひ倉本氏にこの伝説の出典を聞いてみたいところです。

最近は、誰も見たことのないはずの(笑)「ニングル」の木彫り人形がみやげ物として出まわってますし、「ニングルテラス」のように観光スポットにまでなってますね。

「ニングル」というアイヌ語が実在するとしたら、その語源はやっぱり
 ニン(消える?)・クル(人)
でしょうか・・・?
「森の小人」なので、「ニ(木)」と関係あるのかもしれませんが、「ニ・クル(木の・人)というような解釈はアイヌ語の造語法から考えて不自然な気がします。



ニングル

佐藤和美 (2000/08/03 12:36)

ポロヌップさん
>倉本聰が参照したという磯部精一の『和愛愛和 アイヌ語辞典』
>(北海道出版企画センターの『アイヌ史資料集』に収められています)には
>「ニングル  小人・侏儒」と書かれています。
>でも、この辞典の記述はバチェラー辞典の丸写しがほとんどです。
>案の定、バチェラー辞典にもまったく同じ記述が載っています。
そうだったんですか。私はまた倉本聰の造語かなとか考えてました。
バチェラー辞典がモトネタじゃ、幽霊アイヌ語の可能性もありますね。

倉本聰「ニングル」読みました。

「ペ(ツ)とワッカ」ふるさん(2000/04/19)
>ちょうど北海道の知人から以下のような話を聴いたばかり
>だったので、質問させていただきます。アイヌに、
>「そのナはワッカ、ペじゃないぞ。シシキこいたら
> ぶたれるぞ」
>というような語句があり(正確には覚えていません)、
>「その流れは飲める水で、飲めない水ではないから、
> おしっこなどしたら怒られるぞ」
>という意味だと言います。ときに、この背景には、
>ナ=流れ
>ベツ(濁音)=暴れる川
>ナイ=暴れない川
>ペ(半濁音)=飲めない水
>ワッカ=飲める水
>といった区別があるのだといいます。たとえば、稚内は、
>飲めて暴れない川、という意味だと。

ここに書かれてるのって「ニングル」の内容だったんですねぇ。
わりと感動的に書かれてますけど、アイヌ語知らない人が本気にしたらこまったもんです。
本気にした人のHPの例(http://www.ne.jp/asahi/north/dreams/northdiary.htm)
倉本聰に責任とってもらわないといけないですね。
「ニングル」読んだ限りでは倉本聰のアイヌ語の知識はほとんどなしですね。
1985年発行だから、その後のことはわからないけど。

「ペ、ワッカ、ペツ、ナイ」(2000/04/20)でも書きましたけど、
ちょっと補足を。

「ナ」 「水」、「流れ」なんて意味はないでしょう。
(バチェラー辞典はどうだか知らないけど)
「ペツ」、「ナイ」 暴れる、暴れない、なんて間違い。
「ワッカ」、「ペ」 飲める、飲めない、なんて間違い。
「シシキ」が「小便」? これもどっからでてきたんだか。
「チュチュ」が「芽」? これも疑問。

疑問だらけの「ニングル」のアイヌ語でした。



はじめまして

はるな (2000/08/16 00:56)

 私は学校の選択授業で古典を選択しています。一学期は古事記など日本の神話について習いました。二学期は研究発表をすることになっていて私は一学期に習った神話と関連させて、アイヌの神話や昔話について発表しようと思っています。アイヌ神話が元となって出来た物語などがあれば教えて下さい。昔と今をつなぐなにかがあればそれについて発表しようと考えています。



アイヌの物語

佐藤和美 (2000/08/17 12:33)

「アイヌの物語」ですけど、入手しやすいものから選んでみました。
ちょっと大きい本屋なら置いてあると思います。

知里幸恵「アイヌ神謡集」(岩波文庫)
知里真志保「アイヌ民譚集」(岩波文庫)
萱野茂「アイヌの昔話」(平凡社ライブラリー)
山本多助「カムイ・ユーカラ」(平凡社ライブラリー)



どうも

ヤナギ (2000/08/18 03:33)

手塚MLでこちらのサイトを紹介されたヤナギ@岩手です。
「シュマリ」関連以外にも興味深い記事がたくさんですね。
「シシャモ」や「ラッコ」がアイヌ語だったとか。
ブックマークさせていただきます。じっくり読むべー。



ニングルに補足

ポロヌップ (2000/08/25 14:08)

ちょっと時間が経ってしすいません。
まいましたが、「ニングル」について補足です。

倉本聰の作品にはアイヌに関する記述が時々出てきますが、これ本当なのだろうか?、この情報源はなんなんだろうか?、と首を傾げたくなる記述が数多くあります。
でも、本人に確かめないで「間違い」と断定するわけにもいかないので、本人に転居を確認する必要があると思います。

佐藤さん:
> 「ナ」 「水」、「流れ」なんて意味はないでしょう。
> (バチェラー辞典はどうだか知らないけど)
> 「ペツ」、「ナイ」 暴れる、暴れない、なんて間違い。
> 「ワッカ」、「ペ」 飲める、飲めない、なんて間違い。
> 「シシキ」が「小便」? これもどっからでてきたんだか。
> 「チュチュ」が「芽」? これも疑問。

これらはすべてバチェラーにも出てますが、倉本聰が参照したという磯部精一『和愛・愛和 アイヌ語辞典』にでてます。
おそらく倉本氏の記述はすべてこの辞典の受け売りでしょう。

ただ、少なくとも「シシキ」については、あながち間違いと断定できないみたいです。

『アイヌ語方言辞典』によると、旭川と名寄のアイヌ語では、おしっこのことを「シシ」と言うそうです。「キ」は「する」ですから、「おしっこする」という意味で使えるかもしれません。
ただ、普通、「おしっこをする」という動作を表すときは「オコイマ」または「オクイマ」と言うのですが。



「アシカ」はアイヌ語?

佐藤和美 (2000/09/05 15:37)

「アシカ」ですが「広辞苑」には堂々と「アイヌ語」って出てますねぇ。
「広辞苑」のアイヌ語はいいかげんだという話はこの伝言板でも何回か書いてます。
私の持ってる資料の中では「アシカ」がアイヌ語だっていうのは「広辞苑」だけみたいですね。
知里真志保の「分類アイヌ語辞典・動物編」には見当たりませんでした。
「広辞苑」が「アシカ」をアイヌ語だとしている根拠が知りたいですね。

さてさて、「アシカ」ってアイヌ語?



RE:騙されたとおもって

佐藤和美 (2000/09/06 12:56)

なっちさん(2000/09/02)
>「サッポロ堂」書店というおみせが北大の
>前にあるのですがしってます?
あいにく、現在、私は千葉県在住なもんで……



シシキ

佐藤和美 (2000/09/08 12:37)

「ニングルに補足」ポロヌップさん(2000/08/25)wote
>『アイヌ語方言辞典』によると、旭川と名寄のアイヌ語では、
>おしっこのことを「シシ」と言うそうです。「キ」は「する」
>ですから、「おしっこする」という意味で使えるかもしれません。
>ただ、普通、「おしっこをする」という動作を表すときは「オコ
>イマ」または「オクイマ」と言うのですが。

知里真志保の「分類アイヌ語辞典・人間編」に出てました。
sisi [シーシーと小便をうながす声]
(ホロベツ)【幼児語】おしっこ;小便。
〜ki! おしっこしな!

「分類アイヌ語辞典・人間編」だと「シシキ」は「おしっこしな」ですね。
「分類アイヌ語辞典・人間編」を信じるなら、「アイヌ語方言辞典」の方に「幼児語」と記されてないのならちょっと問題がありそうですね。

どっちにしろ、倉本聰「ニングル」の「シシキ」はこの本の他のアイヌ語と五十歩百歩でしょう。





佐藤和美 (2000/10/24 11:18)

アイヌ語の「ナ」の「水」という意味についての追加情報です。

「ニングルに補足」ポロヌップさん (2000/08/25)wrote
>佐藤さん:
>> 「ナ」 「水」、「流れ」なんて意味はないでしょう。
>> (バチェラー辞典はどうだか知らないけど)
>これらはすべてバチェラーにも出てますが、倉本聰が参照したという
>>磯部精一『和愛・愛和 アイヌ語辞典』にでてます。

知里真志保「アイヌ語入門」(北海道出版企画センター)に、バチラー辞書の「ナ」の「水」という意味について、「ナイnay」(川)から暴力的にもぎとってきたものという記述があります。
バチラーは「ナイ」が「川」で「イ」が「者」だから、「ナイ」は「水の者」で、「ナ」は「水」だと勝手に考えたんでしょうね。これがバチラー辞書のレベルです。

「広辞苑」のアイヌ語がヘンだというのはこの伝言板で何回かとりあげました。
でそのバチラー辞書(ジョン・バチラー「アイヌ・英・和辞典」第四版 \24272+税)って、岩波書店から出てるんですよね。
「広辞苑」のヘンなアイヌ語のルーツはバチラー辞書にあり?

私は最近は「大辞林」を使うことが多くて、「広辞苑」とは御無沙汰です。
(「インターネット大辞林」はCOPY&PASTEできるしね。)

(そのときの気分によって「バチェラー」と書いたり「バチラー」と書いたりしてます。今回は知里真志保「アイヌ語入門」と岩波書店の表記にしたがいました。)



ミサンガ

ミサンガ (2000/10/24 12:38)

アイヌ民族は他の民族と比べて、独自の模様・色彩をもっていますが特に
服装の色使いには驚かされます。ところで、アイヌ語で「編み物」または、「編んだもの」は
何というのでしょうか?趣味でミサンガを作っているものですから。



RE:ミサンガ

佐藤和美 (2000/10/26 12:36)

アイヌ語の「編物」ですが、「萱野茂のアイヌ語辞典」(三省堂)の日本語索引で調べたんですが、「編む」はあったんですが、「編物」はありませんでした。アイヌ語には「編物」という意味の単語はないのかなという印象です。(ないとは断定できませんけど)

アイヌに編物がないという意味ではありません。「ゴザ」とか個々のものには名称があろのですが、総称としての「編物」という名称はないのかな、という意味です。



アイヌ語の「パ」と「チャ」の分布

佐藤和美 (2000/10/31 12:32)

「パル」、「チャル」は「口」という意味のアイヌ語ですが、これがどう北海道で分布しているか。 知里真志保「アイヌ語入門」からです。
「川や沼や路の入り口を「パル」(par、「口」の義、イブリ国やヒダカ国のサル川流域の諸地方でいう)、あるいは「チャル」(char、やはり「口」の義、その他の地方でいう)という。」

次は「ウパシクマ」、「ウチャシクマ」の分布です。
知里真志保「地名アイヌ語小辞典」から。
uchaskuma【H北】伝説
upaskuma【H南】伝説
【H北】北海道北部方言地帯
【H南】北海道南部方言地帯

「パ」と「チャ」の分布を調べるとおもしろそうですね。
北海道のアイヌ語でも方言差があるという話。



(無題) 

まき (2000/11/12 19:26)

こんにちは。千葉県の高校生です。このあいだ修学旅行で北海道へ行きました。班行動で白老のポロトコタンに行って、ムックリをつくってきました。簡単なレポート提出があるので「アイヌ語」についてここからネタを拝借させてもらおうかと・・・(笑)



(無題) 

佐藤和美 (2000/11/13 12:52)

まきさん
>こんにちは。千葉県の高校生です。このあいだ修学旅行で北海道へ行きました。班行動で白老のポロトコタンに行って、ムックリをつくってきました。簡単なレポート提出があるので「アイヌ語」についてここからネタを拝借させてもらおうかと・・・(笑)

私の娘も千葉県の高校生です。先日、修学旅行で沖縄に行ってきたところです。
北海道のほうが行きたかった、とか行ってましたけど。
このHPの内容は使ってもらってかまいません。
ただし参考資料のところにはこのHPのこと書いておいてくださいね。
質問があれば書き込んでください。



アイヌの意味

上野 加良子 (2000/11/25 05:34)

 アイヌ語で、アイヌと言うのはどう言う意味なんですか?
教えて欲しいです。



RE:アイヌの意味

佐藤和美 (2000/11/25 11:48)

「アイヌ」の意味ですが、簡単に言うと「人間」です。
で、詳しく言うと……

田村すず子「アイヌ語沙流方言辞典」(草風館)から引用します。
(例文等除く)

aynuアイヌ
1.人間(神や動物などに対して)。
2.男(menoko女に対して)。
3.アイヌ(民族名、sisamシサム(和人)などに対して)。
4.(korコロ(…の)のあとに置かれて)おとうさん。おとうちゃん。

アイヌ語を日本語に訳すときは、「アイヌ」という単語は文脈によって訳し方が違ってくるということですね。



椴法華

Nupkes (2000/12/01 20:16)

平成12年11月4日の北海道新聞夕刊に本多 貢氏が「椴法華はアイヌ語トトポケが起源」と書いていました。トトポケなるアイヌ語は理解できないのですが。



RE:椴法華

佐藤和美 (2000/12/02 09:48)

椴法華(とどほっけ)ですが、
「トゥtu」(山の走り根)+「ポクpok」(下)+「ケke」(所)
のようです。
「トトポケ」とはなんのことか、私にもわかりません。
(山田秀三「北海道の地名」北海道新聞社による。)



RE:椴法華

Nupkes (2000/12/02 12:31)

 本多氏の『北海道地名分類字典』にはトト・ポケtutuk-pok(永田)と書いてあります。
tutukをトトと読むのが不可解です。また『永田地名解』には、ト゜ーポケTu pokeとあります。
これは、引用間違いというより捏造に近いのではと思うのですが。
でも、『北海道地名分類字典』は、北海道新聞社から発刊され、世間の評価も高い本ですからきっとこれで正しいのでしょう。(?)



北海道地名分類字典

佐藤和美 (2000/12/03 09:49)

私も『北海道地名分類字典』持ってたんで(買っただけで見たことなかったですが)内容をチェックしてみたんですが、いろいろ問題のある本ですね。

・語源説の著者名はあるが著書名がない。
これは著作権的にも、学問的にも問題です。
引用元を探すのに一苦労します。

・引用を勝手に変えている。
「tutuk」は絶対「トト」とは読まないですよね。
松浦武四郎を引用してるのにローマ字があるのはどうして?

・引用文と著者の文がシームレスである。
どこまでが引用元の文で、どこからが著者の文かはっきりしない。

・「チ」を「訓令式」で「ti」と書いている。
なんでアイヌ語に訓令式を当てはめるのか、理解に苦しみます。

私にはたいした本には見えません。



本多氏のアイヌ語地名

Nupkes (2000/12/08 22:44)

平成12年11月25日の北海道新聞夕刊に、本多氏は、砂原は、永田は「サラキ・ウシ」
としていると書いています。
でも永田地名解は「サラキ」としか書いていません。ウシはどこから来たのでしょう。
 また、上原熊次郎は、シャラは「高山なので周囲が良く見えるから」としています。
確かに、山田秀三「北海道の地名」には、そう書いていますが、上原熊次郎の本には、
そのようには書いていません。原典を確認していないようです。
 これが、北海道で最高権威の新聞に連載しているアイヌ語地名解です。
 あすの北海道新聞の夕刊は、本多氏の連載が載る日です。どのような新説が掲載
されるのでしょうか。これが、21世紀の新説となるのです。だれも止めることは
できません。なぜなら、北海道新聞だからです。



鹿部はシカウンペ?

Nupkes (2000/12/10 10:56)

 平成12年11月18日の北海道新聞夕刊に、本多氏は、鹿部は「シカ・ウン
・ペ」由来と記載しました。
山田秀三『北海道の地名』には、「シケペ」では、文法的に成り立たないが、
「シカウンペ」なら成り立つとのことが書いてあります。
これは、sikeには、-peではなく、-pであるが、sike-unには、-peがつく
との意味と、文の流れから理解できます。
 各種の辞書を確認しましたが、本多氏の主張するsika(背負う)を見つけ
られませんでした。当然、sikeは、どの辞書にも記載されています。



RE:鹿部はシカウンペ?

佐藤和美 (2000/12/13 12:04)

Nupkesさん
>平成12年11月18日の北海道新聞夕刊に、本多氏は、鹿部は「シカ・ウン・ペ」由来と記載しました。
>(中略)
>各種の辞書を確認しましたが、本多氏の主張するsika(背負う)を見つけられませんでした。
>当然、sikeは、どの辞書にも記載されています。

存在しない可能性が高い「シカ」が「背負う」なら、「ウン」はなんと訳そうというのでしょうか。「ウン」は普通「ある」とか「つく」ですよね。
「背負う」が「ある」じゃ訳せない。(^^);



アイヌ語保存について

KAORI (2000/12/19 07:08)

私は少数言語に興味を持っているものです。インタ−ネットでアイヌ語
についての情報集めをしていますが、なかなか私の知りたいことに関す
るサイトが見つからないため、ご存知の方に教えて頂きたいと思い、書
き込みいたしまいした。それは次のようなことです。

・アイヌ語保存協会のようなもののインタ−ネットのサイトがあったら
 アドレスが知りたいです。
・他のアイヌに関するサイトで、今もアイヌ人に対する社会的差別行為
 はなくなっていないと知りましたが、その現在の状況とそれに対する
 対策機関の有無。
・国(文部省など)・北海道の行政機関からのアイヌ語保存への姿勢。
 そのための補助金などの有無。公立の学校などでのアイヌ語学習の状況。
・一般の人たちの意識。なぜ皆さんは現在アイヌ語を習っているのか。
 アイヌ語についてどのような考え方を持っているのか。

質問が少し抽象的なものになり恐縮ですが、上記に関する情報が何か
あったらぜひ教えて頂きたいと思います。なお琉球方言に関しても同
様のことを知りたいです。お願いいたします。



RE:アイヌ語保存について

佐藤和美 (2000/12/19 10:43)

以下のHPを参考にしてみてください。

アイヌ文化振興・研究推進機構
http://www.frpac.or.jp/

アイヌ民族博物館
http://www.ainu-museum.or.jp/

Ainu puyarA
http://www.alles.or.jp/~tariq/
このHPには掲示板もあります。質問にいいかもしれません。



地名の世界地図

佐藤和美 (2000/12/24 08:51)

文春新書の新刊です。
21世紀研究会編「地名の世界地図」

ちょっとめくってみたんですが、まちがいが目立つ本です。
文藝春秋みたいな大出版社でも、こんな本出すんですね。
買わないほうがよさそうな本です。
アイヌ語を重点的に、疑問点をあげてみました。
(幽霊(ゴースト)アイヌ語バスターズ!)

P75
「白ロシア」が「ロシア語でビエロロシア、そして独立した現在は、スラブ語でベラルーシ「白ロシア」である、」
(この文章を書いた人ってロシア語とスラブ語の関係がわかってるのかな? ここでは「スラブ語」ではなく「ベラルーシ語(白ロシア語)」を使うべきでしょうね。仮名表記だけど「ビエロ」でいいの? ロシア語わかる方フォローお願いします。)

P76
「樺太」の語源は「江戸時代、ここに中国人が多く住んでいたので唐人(からと)とよばれていた」から
(おい、おい。(^^);)

P108
アイヌ語「ワッカ」の意味は「飲み水」
(正しくは「水」)

P108
アイヌ語「フルー」の意味は「赤い」
(正しくは「赤い」は「フレ」)

P108
江別の語源はアイヌ語「エ・ペツ(胆汁のような色の川)」
(「エ」にそんな意味ない!)

P109
斑鳩の語源はアイヌ語「イカルカ(山の頂、物見をするところ)」
(「イカルカ」なんて単語はない! 単語に区切ってない! 幽霊アイヌ語のいつものパターン。「インカルシinkar-us-i」(「札幌地名行」参考のこと)のことを言いたいのかな?)

P110
富士山の語源はアイヌ語起源だといわれることがある。
(「富士山の語源はアイヌ語の「火」?」(1999/09/07)参考のこと)

P110
「クリル島は、千島アイヌ語のクル(人)がロシア語化したものだ。」
(なにを根拠にこう言いきるの?)

P110
千島の語源はアイヌ語「チカップ(日の出る所)」
(「チカプ」は「鳥」。「太陽」は「チュプ」。「チシマ」と「チカップ」じゃ「チ」しか同じじゃないぞ。古くは蝦夷ケ千島という言葉があったので、「千島」は「多くの島」くらいの意味だと思いますけど。)

P110
アイヌ語「エトゥロ(鼻、先端)」
(「エトゥ」が「鼻、先端」)

P110
アイヌ語「フ(所)」
(「フ」にそんな意味ない! 「プ(者)」の間違い?)

P110
ロシア語「スク(川辺の渡場集落)」
(ロシア語「スク」にそんな意味あるの?)

P110
「樺太の場合は、北緯五〇度線がアイヌ語地名の北限であるとの興味深い報告もある。」
(北緯五〇度線は昔の日露の国境(ポーツマス条約できまった国境)だけど、ほんとにそんな報告あるの?)



(無題)

Nupkes (2000/12/24 22:07)

  佐藤和美さん
>富士山の語源はアイヌ語起源だといわれることがある。
 初出は、ジョン・バチェラーですよね。岩波が今でも発売している『アイヌ・英・和辞典第4版』にもHujiはHuchiで、火を意味し等とかいてありますから、今でも信じる人がいるのでしょうね。
ジョン・バチェラー『アイヌ地名考』にもFuji no yamaは、Hunch Unchi-nupriと記載していますから、影響は大きいですね。
 今でも、バチェラーの影響を受けたアイヌ語地名解が、あちらこちらで発表されています。
 どうしたら良いのでしょうね。
 以前、やはりバチェラーの影響を受け、地名「落合」は、アイヌ語由来と記載したものを読んだことがあります。その方は、札幌の某大学で、北海道庁の補助金を受けある調査をしている方ですから、だれも疑いません。当然、わたくしが間違いを指摘しても聞く人はいません。
 21世紀も、バチェラーの亡霊が徘徊するのでしょうか。あきらめるしかないようですね。



マタギ言葉

佐藤和美 (2000/12/25 12:51)

「アッパ」佐藤和美wrote(1999/07/20)
>マタギが山で話す言葉にもアイヌ語が含まれているといわれています。
>矢口高雄の「マタギ列伝」にもクマを解剖するするシーンで心臓のことを
>「サンベ」といってますが、これもアイヌ語と同じです。

マタギの言葉に多くのアイヌ語が含まれるというのは興味深い話ですね。
東北地方北部にはアイヌ語地名が残ってますが、山間部により多くのアイヌ語地名が残ってるのと、マタギが山間部にいるというのが関係あるのかどうか。

知里真志保の「日本語とアイヌ語の関係」(「知里真志保著作集4」平凡社所載)という短い文章に、マタギ言葉の中のアイヌ語らしい言葉の説明があります。そこから少しひろってみました。

アイヌ語      マタギ言葉
セタ(犬)     セタ、シェタ、シェダ、セッタ、ヘダ
パケ(頭)     ハケ、ハッケ、ハッケィ、ハッキ
ワッカ(水)    ワカ、ワッカ



秋田県はアイヌ語地名の宝庫

resaknay (2000/12/25 15:13)

マタギの言葉
についての、佐藤さんの記事がありましたが、
全く、秋田県はアイヌ語地名の宝庫です。
そして、マタギ言葉とアイヌ語が符合するということは・・・
やはり、秋田県にはアイヌ民族と起源がいっしょの人々が
少なくとも、かなり近い過去に居住していたこととなり、
興味は尽きないものとなります。

しかし、だからといって、一足飛びに、
「アイヌ民族は縄文人の末裔である」
とは、まだ軽々には言いきれないのでありまして、
これから、それが本当かどうかを確認していく作業が
是非とも必要と考えます。

・・・そして、その前にしておかなければならないことが、
北海道内のアイヌ語地名リストを完成させることだと思います。
しかしながら、地名研究者の数は少なく、北海道全域のリストアップ
にはまだ相当の時間がかかると思います。
そこで、アイヌ語地名に関心がある方々の中から
地名調査を志す方がたくさん出てきて、なるべく早く
道内全域のリストアップを終えたいと思います。
是非、そんな方が出てくることを心から期待しています。

そして、そのリストを携えて、秋田県をはじめとする東北地方
のアイヌ語地名調査・・・さらには西日本までの調査を実施し、
それによって、出来れば、アイヌ民族、そして、日本人のルーツ
に接近できれば・・・・と考えています。

いっしょに研究しませんか?
そして、協力くださいませんか?

(注)なお、この研究をしても、お金が出ていくことはあっても、
   決して入ってくることはありませんから、その辺は
   あしからず・・ということで、ヨロシク。



幌加内町のアイヌ語地名

Nupkes (2000/12/27 12:57)

幌加内町の公式ホームページ http://www.infosnow.ne.jp/horokanai/quize.htmを見たところ、以下のアイヌ語地名が書いてありました。
 「弥運内〜やうんない。 アイヌ語で、「陸のある川」という意味です。ヤは「陸」、ウンは「・・・がある」、ナイは「川または沢」という意味。」
 幌加内町は、内陸にありますから、陸があるのでしょう。きっと、幌加内の他の川は、海があるのでしょうね。は、冗談としても、陸のある川とは、どのようなことかわかりません。
 このような解釈を平気で記載する感覚がわかりません。



陸のある川

のんきぃ (2000/12/27 13:35)

単純に考えれば「島のある川」ってことじゃないですか?



RE:陸のある川

Nupkes (2000/12/27 18:29)

地図を見ますとヤウンナイ川は、狭い川で、島がないのですが。
http://mapbrowse.gsi-mc.go.jp/cgi-bin/nph-mm.cgi?mesh=6542713&x=42689&y=89733
ただし、これは、現在の状態で、明治の地図を検討をしていませんので、確実ではありませんが。
 yaには、他に「岸」とか「魚をとる網」の意味があります。
通常であれば、特徴的な川岸があるとか、網があるとかの解釈となると思うのですが。なんの説明もなく、陸があると記載されると、戸惑いました。



本『空知のアイヌ語地名考』

Nupkes (2000/12/28 09:48)

 トンデモ本の話題に、『空知のアイヌ語地名考』を加えてください。
p.4には、オ=陰部(肛門)とあります。
肛門ではなく、女性性器だと思うのですが。
p.15の右半分は、山田秀三の無断引用です。これを、普通は、盗作といいます。
p.19には、モセ・ウシ(イラクサの・原)とあります。ウシは、us-iですから、原とはならないと思うのですが.
p.44ペンケ利根別川、パンケ利根別川との記載があります。江戸、明治、大正時代の文献や地図を確認してもそのような記載がなく、捏造としか思えません。
p.44に、ダルミ川はダルミ(短い)との記載があります。各種の辞書を確認しましたが、そのようなアイヌ語はありませんでした。ダルミ川は、明治の文献では、フシコベツでした。

これらは、ほんの一部です。全ページ、捏造と創作のオンパレードです。
 出版は、空知地方史研究協議会です。札幌の古書店であるサッポロ堂で、入手できます。



RE:幌加内町のアイヌ語地名

佐藤和美 (2000/12/29 08:25)

Nupkesさん
>幌加内町の公式ホームページ http://www.infosnow.ne.jp/horokanai/quize.htmを見たところ、以下のアイヌ語地名が書いてありました。
>「弥運内〜やうんない。 アイヌ語で、「陸のある川」という意味です。ヤは「陸」、ウンは「・・・がある」、ナイは「川または沢」という意味。」

アイヌ語「ヤya」ですが、「陸」という意味以外に「網」という意味もあります。「やうんない」は「網のある川」だったかもしれません。「陸のある川」よりは自然です。

別海町にある矢臼別(やうすべつ)は「ヤya」(網)+「ウス(ウシ)us」(多い)+「ペツpet」(川)のようですね。
(山田秀三「北海道の地名」)



「オットセイ」の語源を求めて

佐藤和美 (2000/12/29 17:18)

 「日本語とその周辺」に「「オットセイ」の語源を求めて」を追加しました。
私の今世紀最後の作品ですね。

Ver.1.0のつもりでまとめてみました。
なにか情報がありましたら、教えてください。
Ver.2.0に使いたいと思います。
(今回は本草学のことが資料不足で書けませんでした。)

「オットセイ」の語源って、アイヌ語が関係してたんですね。



マタギ言葉

KAORI (2000/12/30 02:54)

この間お便りしたものです。その時聞くのを忘れていたのですが
「マタギ」自体は何を意味しているのでしょう。マタギ言葉で、
猟師を「シカリ」というらしいですが、これは何を意味している
のでしょうね。



マタギはアイヌ語?

resaknay (2000/12/30 07:27)

KAORIさん
「マタギ」と「シカリ」についてですが、
これについては、ちゃんとした学説のようなもの
はないと思いますが、私は勝手に次のように考えています。

まず、このうち、「シカリ」については、
“シカリsi-kari(自分・を回る)”
と田村アイヌ語辞典に載っています。
この「シカリ」は、通常「狩猟チームの統率者」を
表すと言われていますが、そうであるなら、
チーム一人一人の配置、及び、全体の配置などに
常に配慮しなくてはならない立場の人を表すことになります。
つまり、“シカリsi-kari(自分・を回る)”とは
「目を配る(人)<自分・(の周りを見)回す(人)>」
を表すものではないかと思えるのです。
*なお、アイヌ語地名では、上流域にあることの多い
短いスパンで激しく曲流しているような河川を
“シカリペッsikari-pet(曲流する・川)”と
表現しますが、結構例は多いです。

また、「マタギ」については、
これも定説はありませんが(無いと思いますが)
その音から、最初の「マタ」は“マタmata(冬)”
で、語尾の「ギ」は、「マタギ」自体が「人」を
表しているのですから、“クルkur((の)人)”
あたりが転訛したものではないかと考えています。
「マタギ」や、アイヌの人々の、
狩猟<特に「クマ」>のシーズンは、
降雪が締まって硬くなり、山谷を歩きやすくなる
『「冬」の終わり』であるなら、
その狩人を「冬の人」と呼称しても、私には良いように
思うのですが、どうでしょう?

なお、「マタギ」が連れている狩猟犬は
“セタseta(犬)”:<アイヌ語>
や、それの転訛した音で表現されることが多いようです。

これらのことから、アイヌ文化と酷似した文化が秋田県付近に
ある<あった>と考えられます。

また、最近あるHPを通して
明治以降に生まれた津軽半島出身のおばあさんで、
アイヌ語を話せる方がいらっしゃった、という事実を知り、
「東北地方」の北部には、
(ここには、しっかりとアイヌ語地名も残っています)
かなり近い過去にアイヌ民族と共通の文化を担った人々も
生活していたと考えられます。

「マタギ」とアイヌ民族・・・そして、アイヌ民族のルーツ
さらには、日本人のルーツ・・・
地名や言葉を通して、そんなことに接近出来るなら良いですね。



RE:マタギ言葉

Nupkes (2000/12/30 22:32)

 マタギの言葉に、アイヌ語に関係する言葉があるとの興味あることが、議論されています。
手元にある、昭和33年1月号『言語生活』(筑摩書房)に「アイヌ語起源の東北方言」なる文章が、記載されています。
 方言として東北にアイヌ語起源の言葉が使用されているようです。マタギよりは、濃厚ではなくともアイヌ語起源の方言が、東北で一般に使用されているようですので、興味が持てますね。
ただ、わたくしは方言については、門外漢ですのでこの文章の信頼性については不明です。



マタギ

佐藤和美 (2000/12/31 11:25)

堀井令以知編「語源大辞典」(東京堂出版)からです。
マタギ
東北地方の山間に住む猟師。狩の意のアイヌ語マタクからか。

萱野茂「萱野茂のアイヌ語辞典」(三省堂)からです。
マタンキ matanki
猟。

堀井令以知は「関西外国語大学教授」とありますが、
アイヌ語「マタク」が存在するかは疑問。
私には「マタンキ」が本来のアイヌ語とは思えません。





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