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野球には他のスポーツには無い幾つかの不思議が有るように思う。 その中の一つがマウンドである。 折角、平らに綺麗に整備されたグランドの中にそびえたつ山。 投手という責務を負った者は一人でその山に登る。
野球は投手有利に出来たスポーツだということは選手諸君は周知の事と思う。 投手は3アウトに対し打者は塁を4つ進めなくてはならない。 投手は4ボールに対し打者は3ストライクでアウトになる。 試合記録には其々のチーム名の横に勝利投手・敗戦投手の名前が記載される。
しかし、投手が投じた其の1球でチームの勝敗を大きく左右される。 打者が時には手に痺れを感じながらでも打ち返し 走者が額に汗を浮かべ塁を駆け抜け頭から滑り込み 必死に4つの塁を進めて手に入れてくれた得点も 野手が体を張り泥だらけになりながら死守してくれた失点も 投手の投じたたった一球で失ってしまう事もある。 其の一球で夢の夏を左右する。仲間の高校野球をも左右する。
私は思う。 マウンドに登る者は野球が上手いだけでは登る資格は無い。 人間としての資質を持ち合わせ且つ全ての責任を背負う努力を日々続けた者にしか其の権利を有しない。 グランドにそびえ立つ山に登るに相応しい人間で有って欲しい。
投手諸君、君が投じるその一球はチームを代表するピカピカの一級品である事を願う。
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