熊本産天然オオクワガタ採集報告
(1999年10月2・3日採集)


材割採集した熊本産♂51mm

 99年5月の初め、オオクワガタを求めて熊本県のあるポイントに材割り採集に行った時、ニク
 ウスバタケの生えたクヌギの立ち枯れで1頭の幼虫を採集しました。その幼虫を持ち帰った
 クワ友のY氏は、「どうせコクワかヒラタだろう」と思い(私もそう思って持ち帰らなかった)、いい
 かげんに育てたらしく、数ヶ月後羽化してビックリ、なんと♂45mmのオオクワガタでした。
 やっぱりあそこにはオオクワガタが生息しているんだということになり、早速クワ仲間と採集
 に出かけることになりました。福岡から高速道路で熊本方面へ移動中、南関IC辺りから先
 日の台風18号の影響でしょう、多くの家で瓦が飛んでいたり、看板や木が倒れていたりと
 凄まじい状態となっていました。「もしかしたらウロのある立派な大木が倒れているかもしれ
 ない」ということになり、5月に幼虫を材割りしたポイントに行く前に、以前から樹液採集を試
 みていたポイントに向かいました。

  
   幹から折れたクヌギ              12g程度の♂3齢中期の幼虫

 ポイントに到着すると、予想通り過去にオオクワガタの採集報告があるクヌギやその近辺の
 木が何本か折れて倒れており、日頃手の届かない上の方のウロが簡単にチェックできる状
 態でした。「えへ〜、もしかしたらまじでオオクワが取れるかも(^o^)」ということで、ひたすらウ
 ロをチェックしてまわりましたが、当然ウロには何もいません(ゴキブリはたくさんいました)。
 すでに台風が通過して1週間も経っていますし、倒れているからといって中にいるものが出
 てくるわけでもありません。チェーンソーでどんどん切っていけば何か出てくるかもしれませ
 んが、そんなものなど持っているはずもなく、当然煙幕や酢酸エチルなども使わず、ウロを
 チェックするのはあきらめました(やはりそんなに甘くはなかった)。
 が、しかし!上の方が立ち枯れ状態のクヌギの倒木を見つけました。立ち枯れ状態の部分
 は地上5〜6mぐらいでしょうか、もしかしたら♀が産卵しているかもしれないと思い、早速
 材割りをしてみました。「おっ、いたぁー!」。私が1頭目の幼虫をゲット後、W氏らクワ仲間
 が次々と幼虫を発見。なんとW氏は卵まで発見しました。最終的にこの木からは十数頭の
 幼虫を採集する事ができ、そのほとんどが初齢と2齢でしたが、頭幅が10mmほどもある
 1番大きな3齢幼虫はW氏が、3齢に脱皮後間もないこれまた頭幅が10mm近くある2番
 目に大きな幼虫は私が持ち帰ることになりました。その他3頭、計4頭の幼虫を持ち帰りま
 した(ここで採集した幼虫は今夏に産卵されたものと思われます)。
 「ほんとにオオクワガタの幼虫なの?」と思われるかもしれませんが、樹液採集ポイント付
 近であること、割り出し場所が地上5〜6mと高い部分であること、材が比較的硬いこと、
 幼虫の大きさが明らかにコクワ以上であることから、ほぼ100%オオクワガタの幼虫だと
 推測されます(コクワやヒラタだったら大笑いですね)。日没と同時に材割りから樹液採集
 に切り替えましたが、何〜にも採集できませんでした。
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 次の日、いよいよ例の♂45mmで羽化したオオクワガタ幼虫採集ポイントに行き、早速材
 割り採集を開始しました。天然オオクワ採集経験のあるK氏とM氏が目的のクヌギを材割り
 し、まずM氏が見事♂32mmを割り出し。続いてK氏が蛹室から新成虫♂51mmを割り
 出しました。「お〜、天然オオクワガタだ!」と興奮していると、「大統領さん、もう1つ食痕が
 あるよ」と言われ、皆さんのご配慮で私が割り出すことになりました。しかし、食痕は奥下の
 方へ伸びているため、「こりゃぁ、無理ばい」と諦めていたところ、なんとD氏が鋸を駆使して
 見事割り出してくれました。てっきりこの食痕の主もすでに羽化している新成虫だと思って
 いたのですが、出てきたのはまるまるとした♂の3齢幼虫でした。間違いなくオオクワガタ
 の幼虫です。結局、この木からは♂の成虫2頭と3齢幼虫1頭の計3頭を採集することが
 できました(この3頭はY氏が育てた♂45mmと共に兄弟で、昨年産卵されたものと思わ
 れます)。その他に、この木の近くのクヌギの立ち枯れ倒木で幼虫を数頭ゲットすることが
 できました。


右から♂51mm、♂45mm、3齢幼虫

 同行したクワ仲間の暖か〜いご配慮により、今回採集した♂51mmと大きな3齢幼虫は
 私が持ち帰えることになりました。その代わり、採集した幼虫の飼育報告をHPでするよう
 にと言われました。どうも、同行したクワ仲間は採集した幼虫がオオクワであって欲しいと
 願いつつも、心の中では「高い菌床ビンで一生懸命飼育して最後はコクワで羽化すること」
 を願っているようです。今回私が持ち帰った幼虫は、初日に採集した幼虫4頭と次の日に
 採集した幼虫5頭の計9頭です
 それから、見事天然オオクワガタよりも小型で羽化させたY氏作の♂45mmも頂きました。
 もし今回持ち帰った幼虫がすべてオオクワガタであれば、2系統の熊本産オオクワガタを
 ゲットしたことになり、来年以降しばらく累代飼育ができそうです。しかし、♂51mmとうま
 くペアリングさせるためには♀もある程度小型でなければならず、菌床ビンで飼育するか
 マットで飼育するか悩むところです。半分々で飼育するのもいいかもしれません。できれば
 ♀は来年の2月ぐらいに羽化してもらって、初夏にペアリングできたらと思っています。そ
 して来年孵化したF1幼虫の一部をプレゼントしようと思っています。
 今回熊本産をゲットすることができたので、今度は福岡産や佐賀産をゲットしたいですね。
 また個人的には、まだ聞いたことのない鹿児島産オオクワガタをゲットしたいですね。