第65回「チャナのカレーの若林」(2001.3.1)



 のっけから宣伝になっちゃいますが、僕の長編小説『カレーライフ』が集英社から刊行の運びとなりました。『粗忽拳銃』でいただいた小説すばる新人賞の、受賞第一作ってことになります。取材で沖縄に行ったりインドに行ったり一度書いてから書き直したり、随分長いこと取り組んでた作品ですんで、よろしかったら読んでみて下さいね。ボリュームたっぷりのカレー小説であります。
 で、今回は『カレーライフ』の刊行記念に、美味しいカレー屋さん情報です。──いつかこんな機会があるだろうと、長いことあっためといたネタなのだ。東京都内の数多くのカレー屋を巡った僕の中でもかなりのお気に入りで、雑誌とかでも紹介しているお店である。
 お店の名前はチャナ。世田谷線の若林駅から徒歩十分、環七を渡って世田谷通りに入ってったあたりにあるカレーレストランである。お店の名前にもなってるチャナカレーというのは辛口のポークカレーのことで、これが絶品なのだ。
 カレーを頼むと、まずはキャベツの酢漬けのミニサラダが出てくる。それを食べつつ待つことしばし、やがてカレーが登場。チャナ(辛口)やアータ(辛さ控えめ)を頼んだ場合、ボリューム感あふれる豚の角肉がでーんと入っていて、丁寧に煮込まれたポークはスプーンで崩せるほどにとろりと柔らかい。カレー自体の口当たりはまろやかなんだけど、後からだんだんじわっと辛味が効いてくる。いかにもカレーライスっていう感じの家庭的な懐かしさと共に本格派の手応えもあるカレーで、そのボリュームも文句無し。いろんな意味で僕の好みにぴったりのカレー屋さんなのである。
 プラスベジタブルってのを頼むと、このカレーに季節の野菜もついてくる。ポーク以外にも、チキンやキーマやヴェジタリアン(夜のみのメニュー)なんてのもあって、いろいろ試してみるのも楽しいもんである。僕は学生の頃からちょこちょこ通って一通りのメニューを制覇したけれど、どれを食べても美味しかったし、油で素揚げしたナスや生トマトを入れる方法は自分で作る時にも実践しているほどである。
 定休日(金曜土曜がお休み)と営業時間(昼の部が十一時半から三時で夜の部が五半から九時)にはちょっと注意が必要だけど、カレー好きの方は行ってみて下さいね。食事のお供に『カレーライフ』を読んでくれてたりすると、僕としてはすごく嬉しいです。
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    竹内真 Mail: HI3M-TKUC@asahi-net.or.jp