第53回「田園都市線でネタ探し(2)」(2000.3.1)



 前回の続き、毎度バカバカしい田園都市線ネタ探しツアー後編です。──このコラムのネタを探すため、立川らく平さんや立川志ら乃さんという落語家さんと一緒に列車に乗り込んだ僕は、田奈駅を後にしてさらに田園都市線を進んでいったのでありました。
 駅名にちなんであれこれ喋った内容をシナリオ風に書いてみようかと思うんですが、どの辺が洒落になってるのかをきっちり説明しちゃうと野暮になるので、さらっと書いておきます。どこがどう面白いのかは、電車に揺られてる間の暇つぶしにでも考えてみて下さいね。

●〔田奈駅を後にするよって時に〕

志ら乃「もう田奈は頼んでないってよ」

●〔長津田駅にて〕

らく平「どうせ曲がつた人生さ」

●〔つくし野駅が近づいてきて〕

竹内「つくし野に着くしのー」

●〔すずかけ台という駅名を見て〕

らく平「言葉って不思議だと思いませんか? 『すずかけだい』なんて、誰が最初に言い出したんだろう」
竹内「街路樹のプラタナスの日本名がスズカケっていうんだってさ」
らく平「いやだから、誰が最初にその木をスズカケって呼んだのかって。そもそも『木』って言い方だって……そう考えると許せなくなるなあ」
志ら乃「洒落が出ないもんだから言葉に文句言ってるよ、この人は」

●〔南町田駅にて〕

らく平「じゃ、『タッチ』のシチュエーションで。タッちゃんが南ちゃんに向かって『南、何時だ?』」
竹内「んなもん、麻雀で南の単騎待ちでいいんじゃないの」
らく平「……これだよ、まったくもー」

●〔つきみ野で下車して〕

志ら乃「早く二ツ目になりてーなー。いつまで師匠のつきみ野やってりゃいいんだよ」
竹内「うまい! 前座さんならではの哀愁があっていいですな。……らく平さんも何か言ってよ。兄弟子しょ」
らく平「つきみ野なんか出ねーよ、まったくよー!」

 ……ってなわけで、つきみ野駅のホームでぶーたれ始めたらく平さんであったが、土手の向こうに見える薬屋さんの看板を見て目を光らせた。妙に自信ありげな口調で、「あ、『くすりゆび』!」とか言って、志ら乃さんはバカうけだったんだけど……こうなるともう、何が面白いんだかさっぱり分からん世界ですな。

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    竹内真 Mail: HI3M-TKUC@asahi-net.or.jp