第50回「レッツ山下宮の坂」(1999.12.1)



 僕の住んでいる世田谷には、FM世田谷という放送局がある。そこの「たまリバ!」という番組では「新・世田谷線音頭」というご当地ソングが作られ、この秋CDが発売された。テレビや新聞なんかでも紹介されたんで、ご存じの方も多いんじゃなかろうか。
 実は僕、このCDの制作に携わってるトトロ大嶋って人とは知り合いだった。ちょっと見ない間にFM世田谷のディレクターになっていて、マスコミを賑わすCDを作ってんだから驚きである。最初は自分達でCD−Rを焼いて期間限定で売るつもりだったらしいが、意外な反響に期間延長が決まったそうだ。
 で、今回の各駅散歩は、この「新・世田谷線音頭」でコーラスをやってる新井菜月さんにご登場いただいた。コーラスで「レッツ・豪徳寺!」とか言ってるパーソナリティーの方が、僕のホームページを見てメールをくれたのだ。世田谷育ちで散歩好きな彼女(通称なっちゃん)から商店街ツアーに誘われ、そんならやっぱり豪徳寺でしょうってなことになったのである。
 そんなわけで、商店街ツアー第三弾は豪徳寺商店街である。駅でいうと世田谷線の山下から宮の坂の近くまで伸びてる商店街で、のんびりした風情が世田谷線に良く似合う。山下駅で待ち合わせた僕となっちゃんは、初対面の挨拶もそこそこに夕方の商店街を歩き出した。
 しかし、ぼけっと歩く大柄な僕と何かに気づくと立ち止まる小柄ななっちゃんとでは歩くペースが全然違う。ともすると距離が開いてしまい、彼女に話しかけたつもりが見事に外れちゃったりするのだ。「お、ソーセージ専門店だ」なんつって振り向いたら全然知らないお姉さんがびっくり眼で立ってたりして、何やら波瀾含みのツアーなのだった。
 その後も地図で「日本の神話伝承館」なんてところを見つけて行ってみたら閉まってたり(開館は土曜日だそうな)、路上で配ってた指圧屋の割引券を貰った僕を見たなっちゃんが怪しげな店と誤解したり(クイックマッサージって言葉があらぬ憶測を生んだらしい)、面白いんだか冴えないんだかよく分からない商店街ツアーとなってしまった。
 最後はやっぱり豪徳寺にも行っときたいねってことになったのだが、道を間違えて世田谷八幡に迷い込み、豪徳寺に着いた頃にはすっかり真っ暗。暗がりの中で招き猫を見に行くってのは、ちょいと肝試し気分でありました。

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    竹内真 Mail: HI3M-TKUC@asahi-net.or.jp