第46回「アートを楽しむ青葉台」(1999.8.1)



 画廊とかアートギャラリーとかを前にすると、入るのに躊躇してしまうという人って結構多いと思う。入場料がいるんじゃなかろうかなんて考えて、気になりながら素通りしてしまったりするのだ。──かくいう僕もそんなタイプで、今までギャラリーと名のつく場所にはあまり足を踏み入れてたことがなかった。
 ところが先日、ちょっと気になる案内を見つけた。「アートランドオン150×150展」という展覧会で、壁にしつらえた小さな棚の上に様々な立体が並ぶのだという。会場は青葉台のギャラリーだというので、取材も兼ねて行ってみることにした。
 田園都市線の駅から南に向かって歩くこと2分、やがて「ギャラリーアースビジョン」という看板が見えてきた。駅前のバス通りに面したビルの二階にあるギャラリーで、エレベーターで上がっていく形になっている。ありがたいことに入場無料だったので(通常ギャラリーというのは入場料なんてとらないらしい)、僕はとりあえず普通に中を見ていった。
 展覧会の名前通り、一辺十五センチの棚が壁や展示台にずらっと並び、そこに作品が乗っている。それぞれ小さな作品ではあるけれど、たくさんのアーティストの作品が並ぶとさすがに壮観だった。
 面白いなーと思ったのは、空間の意味を変えちゃうような作品。魚が顔を出してる作品があると壁のその辺りに池が浮いてるような気がするし、何もない空間に蛇口があれば空中に水道管が通っているようだ。自分の仕事部屋や台所にも飾ってみたいなーなどと、生活の一シーンで使ってる光景を連想する僕であった。
 その後、ギャラリー代表の高須さんにお話をうかがってそんな感想をお伝えしたのだが、この棚「小道具係」はもともと家庭でもアートを楽しんでもらえるようにと開発された商品なのだそうだ。芸術作品なんていうとつい構えてしまいがちだけど、こういうアイテムがあると生活の中で気楽にアートと接することができるというわけである。
 ギャラリーアースビジョンにも、そんな風に気軽に立ち寄っていただきたいとのこと。和みをテーマにした寛げる空間の中、八月九月は常設展が楽しめるそうである。「ウッド・フレスコ」というのだそうだが、おがくずを素材にしたスウェードのような質感の絵画が並ぶのだとか。どこか懐かしいような不思議な作品なので、お近くにお住まいの方は一度見に行かれてみてはいかがでしょう。

  • 一覧に戻る

    竹内真 Mail: HI3M-TKUC@asahi-net.or.jp