第42回「武蔵小山のアーケード」(1999.4.1)



 商店街縦断ツアー、第二回は武蔵小山に繰り出した。──武蔵小山商店街と言われてもピンとこないという人も、そのアーケードの光景には見覚えがあるんじゃなかろうか。日本初のアーケード街と いうだけあって、ここはテレビ番組やCMなんかのロケで使われることが多いのである。全長八百メートルの通りがすっぽりと覆われてる様はなかなか壮観で、商店街の賑やかさを一層引き立ててくれているように思う。
 そんなわけで、今回も読者の方と一緒に歩いたんだけど(お近くの商店街を案内した下さる方、募集中!)、その時の会話をシナリオ風に……。
「いやー、駅前からして賑やかだなー」
「あのお店、インドカレーの鯛焼きなんてのもありますよ」
「隣の焼き鳥もうまそうだなあ」
「歩いてみると、百円ショップが目につきますね」
「あ、ちょっと寄っていい? こないだ料理中に折っちゃったんで、箸を買おうと思ってたんだ」
「箸もいろいろありますね」
「シンプルなのがいいなー。二膳くらいセットになってるような」
「あ、こっちに木のやつがありますよ」
「よし、これで箸はOKっと」
「あのお店、半纏売ってますよ。執筆の時とか着ないんですか?」
「半纏は着ないなあ……」
「あれ? ……あそこの看板って、サウナって書いてありません?」
「……ほんとだ。サウナだね」
「凄いですね。商店街にサウナって」
「そう言われればそうだなー」
「そこのパン屋さん、美味しそう」
「おもちの生地にチーズ──もっちーず三十円だって。二つ買っちゃえ」
「モスバーガーのチーズポンみたいなやつなのかな?」
「──もぐもぐ。おいしいよ」
「あ、その焼き鳥屋さん、商店街の入口にもありましたね」
「え、そうだった?」
「お姉さんの制服が一緒だもん」
「商店街の入口と出口にあるんだね」
「ちょっと買っていきましょうか」
「いいねー。僕、つくねとナンコツ!」
「えーと、私は──」
 ……ってなわけで、アーケードの端まで歩いた僕らは焼き鳥片手に駅へと戻っていったのでありました。──少々行儀は悪いかもしんないけど、そんな風に商店街を散歩するのも楽しいもんです。

  • 一覧に戻る

    竹内真 Mail: HI3M-TKUC@asahi-net.or.jp