第26回「尾山台のテディベア」(1997.12.1)



 以前、僕の小説に出てくるオリオンというキャラクターのぬいぐるみをプレゼントしていただいたことがある。──オリオンは犬なんだけど、そのぬいぐるみ自体は手作りテディベアなんだそうだ。それ以来テディベアに興味を持つようになっていたのだが、今回はそんなテディベアのお店を訪ねてみた。
 大井町線の尾山台駅を出て駅前通りを北上し、三和銀行のある十字路を左折して次の信号を右に曲がると、閑静な住宅地の中に白いお店が見えてくる。大きな窓からは店内に並んだたくさんのテディベアが見えるので、通りがかったらすぐにそれと分かることだろう。
 ここはBear Country Yoko というテディベアの専門店で、置いてあるのはみんなオリジナルのテディベアだそうだ。店主の関澤洋子さんの作品やそのお弟子さんの作品が並んでいて、中にはテディベアのSMAPなんてのもあったりする。
 彼らはマイクに向かって「セロリ」を歌うポーズをとっている。てえことはギターを抱えてるのがキムタクだろう。関澤さんは中居君のファンなんだそうで、よく見ると彼の衣装だけ襟や袖口がしっかりと作ってあるのであった。
 聞けば関澤さんは元々東京ディズニーランドで働いていたんだそうで、迷子になった子供達が遊ぶぬいぐるみを見ているうちにテディベアに興味を持つようになられたんだとか。──普通のぬいぐるみと違って、テディベアは手足などを好きな角度に動かせるのである。
 そして関澤さんは、二年前に自室を改装してお店をオープンした。以来、テディベアや関連グッズの販売、手作りテディベアの教室の開催、生徒さんやお客さんとの海外テディベアツアーの企画などを行っているそうだ。
 ツアーでスコットランドのテディベアミュージアムに行かれた時などは、たまたま持参していたテディベアが見初められ、そのレプリカが同館に展示されることが決まったんだとか。──その、海外でも認められたテディベアのオリジナルは、お店に行けば見ることができる。
 お店の定休日は火曜日で、営業時間は午前十時から午後七時。手作りテディベアのレッスンは完全予約制で、レッスン料は二時間で千五百円だそうである。アットホームな店内で、一回のレッスンで一人から三人まで教えて貰えるそうだ。──今年のクリスマスプレゼントに手作りのテディベアなんてのも、今からなら間に合うんじゃないだろうか?

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    竹内真 Mail: HI3M-TKUC@asahi-net.or.jp