番外編「各駅散歩のウラ話」(随時更新予定)



 長いこと連載をやってると、本編には書けないような面白い話も出てくる。原則的に一駅一回だから既に書いちゃった駅のことは扱えないし、新聞に書いたことで派生してくることもある。そんな落穂拾いのような文章は単行本収録時にでも書こうと思ってたのだが、ずっと先になりそうだからここにのっけていこうと思う。

 最終更新日:1999年11月7日


 時折、このコラムやホームページの読者の人とお会いすることなんかがあって、そういう時の待ち合わせで毎回のイラストが役に立つ。僕の外見的特徴としてはでかいことと眼鏡をかけてることくらいしか伝えないんだけど、何故か皆さん一瞬にして僕を見分けてくれるのだ。──よく分かりましたねーなんて言うと、大抵かえってくる答えは、「だって、イラストと同じ顔なんだもん」。
 そんなに似てるとは思わずに描いてた絵なのだが、どーやら知らぬ間に僕の顔の方が絵に似てきてしまったらしい。

 一駅一駅、そこにちなんだコラムを書き終えると、僕は東急の路線図に数字のシールを貼ってチェックすることにしている。シールを貼った駅の数がだんだん増えていくのはいいもんである。小確幸(小さくはあるが確固とした幸せ)ってやつだな。

 ちなみにその路線図とシールは、東急のスタンプラリーのノートにくっついてるやつである。このノートも沿線新聞社(東急沿線新聞を出してるとこ)が手がけてるんだそうで、前に資料として数年分いただいたのを使ってるのだ。
 そのうちスタンプラリーのイラストを描いてみたいなって話もしているのだが、どうなることやら。

 第31回のイラストにちょこっと書き込んでおいたミニSLのカレー屋さん、学芸大の駅前だとばっかり思ってたんだけど、本当は祐天寺の駅前であった。──読者の方からのメール(ご指摘ありがとうございました)で気付いた大ポカ、訂正して謝罪いたします。
 学芸大学駅前で道に迷う人がいなかったといいんだけど……

 その回の掲載紙が郵送されてきた時、一緒に沿線新聞社からの封筒が届いた。なんだか格式ばった感じなので、まさか連載打ち切りか何かじゃあるまいなと眉をひそめる。──んでおそるおそる開封してみると、担当さんが編集長のポストに昇進なさったそうな。いやあおめでたい。

 第27回で書いた「東京日和」のロケ地、すごく目立たない場所なんでぱっと見には分かりにくい。僕は最初、違う駅で撮影したのかと思って世田谷線に沿って自転車で走り回っちゃったのであった。──下高井戸まで往復しちゃったんだから、我ながら間抜けな話である。

 第28回で、綱島駅から早淵川に行くまでに道に迷ったと書いたけど、実は帰りもあれこれ眺めつつ歩いたら迷ってしまったのだ。でもまあ、昔から残ってるお屋敷や工事中の線路脇の神社なんかを見物できて楽しかったけど。

 コラムのイラストとして、時折誰かの似顔絵を描くことがある(僕自身の似顔絵のようなものも毎回出るしね)。この似顔絵、似てるって意見と似てないって意見が両方出てて、描かれた本人は似てないとおっしゃることも多い。──まあ、そーいわれたら画力なくてすいませんって言うしかないんだけどね。
 で、第20回で描いたウェルバンの奥さんは、新聞を見てきたお客さん達に対して僕がこんなことを言ってたと語ってるんだそうだ。
“奥さんの顔、あんまり美人に描くと似ないからこう描いたんです”
 この話でお客さん達はどっと笑うらしいんだけど……この話、奥さんの創作なのだ。笑いをとって話をまとめるための持ちネタみたいなもんだね。さすがの僕も、そんな失礼なことは言わないよ。
 奥さんのお歳は80も近いそうなのだが、全然そうは見えない可愛らしい方である。イラストの方もなるべく可愛く描こうとしたんだけど……画力のない身はつらいねえ。

 新聞の連載版には毎回の文章にちなんだイラストと僕のプロフィールがのっている。第2回以降は自分で書いてて時折内容を変えるんだけど、第10回の時は印刷段階のミスで昔のバージョンが載ってしまった。そしたらそれを見た友人が、「また留年しちゃったの?」。−−ちゃんと卒業したっての。

 同じくプロフィールの話、第18回から電子メールのアドレスをのっけたのだが、半角文字の扱いの関係でプロフィールの段組みがメチャクチャになってしまった。──まあでも、そのアドレス公開のおかげか、読者の方々から結構な数のメールをいただいくようになった。
 毎日毎日電車にゆられて会社に行って頑張って働いてらっしゃる方が、このコラムを楽しみにしててくれるんだと知って嬉しかった。僕はほとんど社会の役にはたってない人間だけれど、僕の文章で少しでも楽しく通勤時間を過ごしてもらえるなら幸いである。

 第42回と43回のプロフィールの欄、編集部の方で入力ミスがあったらしくて誤植発見。長編小説の話題で「発売は未定」ってなってたが、僕は「発表先」って書いたはずなのだ。「発売」だったら「発売」だよなあ。
 こーゆーのってどうでもいいっていえばどうでもいいんだけど、僕が言葉を知らんと思われるのも心外なので(まあ実際しらんけどさ)ここに書いておこう。誰か気付くかどーかは知らんけど。

 第47回のタイトル「横浜駅の胡弓弾き」なのだが、新聞掲載時には編集部のミスで「き」の字が抜けてしまった。まあ「横浜駅の胡弓弾」でも分かるっちゃあ分かるんだけど。
 さらに第48・49回ではプロフィールの文章が僕の書いたもんからちょこっと変えられていた。URLを載せるための禁則処理のためらしいが、無断で変えられてるのって書いた本人は結構気になっちゃうもんである。

 第10回で書いたわんこそば、その後再びチャレンジしたのだが、かつては190杯いけたものが130杯程度しかいけなかった。──勝負を競う相手がいなかったせいか、歳くって食べる力が落ちたのか……。

 その時に一緒にわんこそばしたメンバーは、第12回に登場するげしょ君とえりちゃん、げしょ君の妹のアッコちゃんと、若きジャーナリストのキリン君、それからアニメ「クレヨンしんちゃん」の声優の人(名前忘れた)であった。……考えてみると変な取り合わせだ。

 第17回で名前は内緒の洋食屋さんのことを書いたら、結構な反響があったようだ。自力で辿り着いた人、編集部に問い合わせた人、西小山在住の人に調べさせた人、出前で利用してたけど実際に行ってみた人……そんなに反響があるんなら、ってのがこのHPを作った動機の一つである。

 その洋食屋さんのことを書いた時、掲載紙を持ってご主人に挨拶に行ったのだが、忙しくて発行日のだいぶ後になってしまった。だから掲載後しばらくはご主人は載ったことを知らなくて、お客さんが切り抜きをくれて初めて分かったとのこと。やけに店内を見回す客がいるなあ、なんて思ってたんだそうな。

 その時の沿線新聞の切り抜きが、お店においてあるアルバム型のメニューの1ページ目に貼ってあった。ご主人も気に入ってくれてるようで嬉しい限りである。──やっぱり読んだ人はオムライスとエビフライを注文するのだろうか?

 その洋食屋さんに掲載紙を持って行って食事をしてたら、ご主人は書いてくれたお礼にとテイクアウトのカツサンドを作ってくれた。口を全開にしないと食べられないようなボリュームのカツサンドで、これがまたうまいんだ、本当に。

 そのカツサンドは九品仏の境内で食べた。その後、第20回で書いた「ウェルバン」というお店に取材&掲載許可をもらいに行ったら、書いてくれるのならオマケってことでお茶代を安くしてもらっちゃったのであった。ダブルで役得、嬉しいなっと。

 そのウェルバンの奥さんが、掲載後に何度か電話をくれた。新聞の効果でどっとお客さんが増えて、すっかり行列のできるお店になっちゃったそうだ。──ちょっと申し分けないような気もするのだけれど、奥さんはにこやかに喜んでくれていた(とにかくにこやかな人なのだ)。まあ良かった良かった。

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    竹内真 Mail: HI3M-TKUC@asahi-net.or.jp