(4) その後どうなったかは、君の想像にまかせるよ。可能性は無数にあるんだ。今 ここで何かを書き記すことが正しいとはどうしても思えないんだよ。 こんな書き方をすると、僕が可能性って奴をもてあそんでいるように思うかも しれない。だけど、そういうつもりじゃないんだよ。 前に君は、言霊を甘くみちゃいけないって言ってたよね。彼女の言葉の奥には、 もっと多くのものが広がっているんだと。──僕は言霊ってものについてはよく 知らない。だけどそれは、言葉を発した本人を支配するもののような気がして仕 方ないんだ。今ここで、その後こうなったと書いてしまったとしたら、僕はその 言葉に縛られてしまうような気がする。なんだかこれから先のことまで決まって しまうような気がするんだ。 そんなわけで、クイズはこれでおしまいだ。ついでにこの手紙もこの辺りで終 わりにしておこうと思う。 敬具 2月20日 P.S. 君を真似して、作家の言葉を一つ。 「物語とは本来、終わりのないものである。止むを得ず結末をつけるのであ れば、その結末は同時に何かの始まりであるべきだ」 何が物語の終わりなのかは分からないけど、クイズの正解は書かないこと にするよ。