日本映画データベースを増補 森崎東アーカイブズ
製作 | 奥山和由 村上光一 田中迪 峰谷紀生 大野茂 |
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プロデューサー | 中川滋弘 田沢連二 | ||
企画プロデューサー | 瀬島光雄 | ||
監督 | 森崎東 | ||
助監督 | 太田聖規 | ||
監督補 | 梶浦政男 | ||
脚色 | 丸内敏治 梶浦政男 | ||
原作 | 雁屋哲 | ||
画 | 花咲アキヲ | ||
撮影 | 東原三郎 | ||
音楽 | 井上堯之 | ||
音楽プロデューサー | 飯田則子 高石真美 | ||
美術 | 横山豊 | ||
録音 | 原田真一 | ||
調整 | 松本隆司 | ||
照明 | 栗木原毅 | ||
編集 | 鶴田益一 | ||
出演 | 三國連太郎 佐藤浩市 羽田美智子 柴俊夫
田中邦衛 樹木希林 竜雷太 財津一郎 遠山景織子 芦田伸介 |
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▲2013年、オーディトリウム 渋谷、ポスター展示 |
美味しんぼ 略筋 (池田博明記) 東西新聞の社主(芦田伸介)が企画した「究極のメニュー」の担当者を決めるのに、水と豆腐の味比べをして、合格したのは、新入りの栗田ゆう子(羽田美智子)とぐうたら社員の山岡士郎(佐藤浩市)だった。 監修者として委嘱した海原雄山(三國廉太郎)は料亭「花山」のお吸い物を批判、作りなおさせたところ、その板前役をつとめた男が息子の山岡だったことを知って、監修を下りた。 雄山のところ、北鎌倉の「美食倶楽部」での食事会に招かれても、士郎は姿を見せなかった。社主は雄山に再度依頼するが、雄山は答えない。社主は他の評論家を招待してそのなかから適当な人を探そうと方針を転換する。 集められた評論家たち(小松方正、清川虹子、砂塚秀夫)はフォア・グラやトリュフが用意できなければと発言、士郎はもっとうまいものがあると断言する。 海に採取に行った士郎が用意したのはアンコウの肝だった。船の上でアンコウを吊るし、肝を切り出す様子を見てそのグロテスクさに驚くゆう子だったが、試食に提供されたアンキモは自然で絶品の味だった。 社主は評論家に頼らず、山岡と栗田に究極のメニューを任せる決断をする。 メニューを相談しようとするゆう子を山岡は無視し、銀座のドヤの日雇い人夫、たっつぁん(田中邦衛)たちに、残ったアンキモを提供し、煮込みと一緒に焼酎を飲む。銀座のうまいものが入っているというその煮込みはおいしいものだった。 船着き場の傍の士郎の家は広い台所を持つ特別な部屋だった。 十三年前に危篤の母親の死に目にも会おうとせず、窯の火を見ていた雄山のもとを、雄山の茶器を割って飛び出した士郎だった。 芸術の核は当意即妙にあると雄山、川の中で光った陶器を拾う。 帝都新聞、社主(南原宏治)が海原雄山を企画者として「至高のメニュー」を開始したことを知った週刊誌(担当は柴俊夫など)が「至高」と「究極」の対決という企画を持ち込んできた。双方の新聞社が受けていよいよ料理対決が始まった。山岡はタッつァんの意見も聞きながら、メニューを決めていく。 第一回目は魚対決。究極のメニューは納豆のタイ刺身巻き、カブト焼き等、タイづくし。それに対して、至高のメニューは味の干物定食。あまりにもお粗末に見えたが干物は自然の味が豊かで、ご飯は余目産のササニシキだった。審査員は陶芸家、美食家・財津一郎、作曲家で、至高のメニューの勝ちと判断した。 負けた原因を見つけようと思い切って美食倶楽部を訪れたゆう子は先代の支配人の娘・里美(遠山景織子)に取りなしを頼んで雄山に会う。板前の中川(竜雷太)は米の粒をそろえて炊いたと話す。茶室で雄山は茶を立てながら、「士郎にはもてなしの心が欠けている」と指摘。報告を聞いた士郎は父親にそんなことを言われることは無いと反発した。しかし、雄山がゆう子に立てた抹茶の茶碗は「たまゆら」だったと知る。それは、母親の茶碗だった。 第二回は中華料理の対決。究極のメニューは「乞食鳥(フークイチー)」。至高のメニューは「鳥のスープ(フーチャオチェン)」、高価な食材を惜しみなく使った慈愛に満ちた味だった。判定が至高に出そうになったが、究極のメニューからフーチャオチェンと同じスープが出される。ただそれは番外ということで結局、至高の勝ちと判定された。コメントを求められた雄山は士郎にコメントを譲るが、士郎は「判定は判定です」という以上のコメントをしなかった。士郎は雄山に何を言わせたかったんだと詰め寄るが、雄山も「オマエには何も分かっていない」という以上の答えをしない。 たまゆらの茶碗に向って雄山は「自分には父親役は不向きなようだ」とつぶやいていた。 二度も完敗して士郎を企画から下ろそうかと部長が思案する。ゆう子は士郎を下ろすのなら自分も下りると主張する。板前が士郎を訪ねて来るが士郎は出社していなかった。里美が食事をしない、おにいちゃんの作ったものなら食べると言っているのだという。早速、美食倶楽部を訪ねた士郎とゆう子に里美は士郎の母が作ってくれた丹波の煮豆が食べたいという。 妻が死んでから雄山は煮豆を作っていない。貧しくて食べ物も無いときにいんげん豆だけを煮てご馳走にしたことがあると、中川は聞いていた。 丹波に豆を探しに行った士郎は観音寺で、とめ(樹木希林)が豆を炊いているところに行く。とめは士郎の亡き母・初枝の妹だった。お爺さん伝来の豆の煮方で、豆は食べごろを過ぎると味が落ちる。食べごろの二時間だけ売って、その後はただで配ったという話を聞く。 丹波から持ち帰った豆を士郎は炊く。同じ豆で雄山も煮豆を作る。里美のもとに二人が作った豆が運ばれた。里美はゆう子に聞く、「どっちがおいしい?」と。ゆう子は「どっちもおいしい」、里美は「あたしは、おにいちゃんが作った豆」と答える。里美は心臓病の手術ができるようになったので、その費用を雄山の作品を売って得ることができると話す。残った煮豆を士郎は自転車に載せ、雄山が出した桶にいれて、鎌倉の町を売り歩く。わざわざ豆を買おうという人はいなかった。2時間後、公園で行き交う人々に豆を分ける士郎。彼の前に雄山が手を出した。その豆を食べて雄山は「ーわしは負けたかもしれない」とつぶやく。 至高と究極の対決、第3回戦は窯で陶器を焼くところから始まる。いよいよ窯の火入れである。周囲の盛り上がりが高まるなか、ゆう子には遠くに里美が雄山の作品を持って出かけるのが見えた。 |