図書館員のためのパソコン・インターネット入門 第41回

Windows95のケーブル接続

青字の部分を加筆


 モバイルコンピューティングという言葉を雑誌で見かけたり、話に聞いたりすることが多くなった。文字通り、パソコンをデスクトップ(机の上)から、外に持ち出して使うのがモバイルコンピューティングだ。
 パソコンを使い始めると、文章を書いたり、計算をしたり、絵を描いたり、何でもパソコンでやったほうが楽なことがわかってくる。インターネットを始めて、メールを送ったり受け取ったりするのに慣れてくると、電話がないと困るように、メールがいつでも見られる環境にないと、仕事にも生活にも支障をきたすようになる。
 そうなると、デスクトップのパソコンだけでは、出張や旅行に出かけたとき、手元にパソコンがなくて困ることになる。こうして、パソコンが浸透していくにつれて、ノートパソコンがどうしても必要になってくる。
 とはいっても、少し前までは、ノートパソコンと言っても、重さは3キロ程度、性能も、CPUのスピードやハードディスクの容量など、デスクトップパソコンには見劣りのするものだった。しかし、最近になって状況が変わってきた。ノートパソコンでも、1.5キロから2キロと軽くて、しかも、CPUスピードでもハードディスク容量でも匹敵するものが出てきている。液晶ディスプレイも、カラーで解像度も800×600と、インターネットでホームページを見ても、デスクトップパソコンのCRT(ディスプレイ)とそれほどひけをとらないものになっている。これさえあれば、どこにでもパソコンを持っていって、自宅と同じ環境を持つことができる。
 モバイルコンピューティングというと、デスクトップのパソコンを持っていて、2台目にノートパソコンというのが通常のイメージだが、この性能なら、1台目でも十分と言っていいだろう。今のノートパソコンは、これ1台あれば、どこにでもパソコンを持っていって、自宅と同じ環境を持つことができる感じになってきた。

ケーブル接続でのデータのやりとり

 モバイルコンピューティングについては、何度かに分けて開設する予定だが、最初に説明しておきたいのが、2台のパソコンの間でのデータのやりとりだ。パソコンとパソコンの間で、ファイルのやりとりをするというのは、よくあることだ。普通は、フロッピーディスクでやることが多いが、最近は、画像ファイルやワープロの辞書ファイルなど、1枚のフロッピーディスクに入りきらないものも多い。
 Windows95では、[アクセサリ]→[システムツール]→[バックアップ]で大容量のファイルを複数のフロッピーに分けて保存することができるから、この機能を使えば、1枚のフロッピーに入りきらないファイルでも、もう1台のパソコンに移すことができる。しかし、フロッピーを入れ替えるのが面倒だし、時間もかかる。
 もう少し簡単に1台のパソコンからもう1台のパソコンにデータを移したい、というときに役に立つのが、Windows95の「ケーブル接続」という機能だ。「ケーブル接続」を使うと、パソコンとパソコンのシリアルポート(RS-232Cポート)同士か、パラレルポート(プリンタポート)同士を専用のケーブルで接続して、高速にデータのやりとりをすることができる。どちらでも接続は可能だが、パラレルポートを使ったほうがデータの伝送がずっと速い。シリアルポートで接続するのは、伝送に時間がかかってあまり実用的ではないだろう。
 ケーブル接続は、Windows98でも全く同じ様な設定で使える(つまり、ほとんど変わっていない)。
 まず最初に、「ケーブル接続」をデスクトップパソコンとノートパソコンの両方にインストールしよう。「ケーブル接続」はWindows95のアプリケーションのひとつだが、最初からインストールされていない場合がほとんどだ。
 インストールするには、「コントロールパネル」→「アプリケーションの追加と削除」を開いて、「Windowsファイル」のタグをクリックする。「ファイルの種類」の中の「通信」をクリックし、右下の「詳細」のボタンを押して、「ケーブル接続」のところにチェックを入れて、「OK」をクリックする。あとは、画面の指示に従えばインストールできる。
「ケーブル接続」はタスクバーの「スタート」→「プログラム」→「アクセサリ」の中にインストールされるが、ショートカットをデスクトップ上に作っておいたほうが便利だ。必要なら、Windows95のCD-ROMを使う。
 ショートカットを作るには、タスクバーの「スタート」を右クリックして、「開く」をクリックする。「プログラム」→「アクセサリ」と順に開いて、「ケーブル接続」が見つかったら、右クリックして、「ショートカットの作成」を選び、できた新しいアイコンをデスクトップにドラッグすればいい。
 「ケーブル接続」に使うケーブルは、シリアルポート同士をつなぐシリアルケーブルか、パラレルポート同士をつなぐパラレルケーブルのどちらかを購入する。パソコンとモデムをつなぐRS-232Cケーブルや、パソコンとプリンターをつなぐプリンターケーブルとは違うので、パソコンとパソコンをつないでデータを伝送するためのケーブルであることを確認して購入しよう。

 続いて、ファイル転送のために、「IPX/SPX 互換プロトコル」を両方のパソコンにインストールする。2台のパソコンの間でファイル転送をするためにはこのプロトコルを使うので、これがインストールされていないと、接続がうまくいかない。「ケーブル接続がうまく行かない」ときの原因のひとつが、このIPX/SPX 互換プロトコルだ。
 ファイルを[マイコンピュータ]→[コントロールパネル]→[ネットワーク]と開く。「現在のファイル構成」の中に、「IPX/SPX 互換プロトコル」がなければ、「追加」をクリックして、「プロトコル」をダブルクリック、「Microsoft」をクリックして、 IPX/SPX 互換プロトコル」をクリックする。これで、インストールができる。必要なら、Windows95のCD-ROMを使う。

ゲストからホストのファイルにアクセスする

 パラレルケーブルで2台のパソコンのパラレルポート同士をつないだら、まず、デスクトップパソコンの「ケーブル接続」をダブルクリックして立ち上げる。最初に使うときは、設定の画面になるので、指示に従って設定をしていく。
 まず、2台のパソコンの片方をホストに、片方をゲストに決める。ゲストからホストのファイルにアクセスする形になるので(逆はできない)、通常はデスクトップパソコンをホストにする。「ホスト」をクリックして○に●を入れ、「次へ」をクリックする。
 次に、使用するポートを選ぶ。ここでは、「LPT1上のパラレルケーブル」をクリックして、「次へ」をクリックする。
 次に、会社内などで使っていて、パスワードの設定が必要な場合は、ここで設定する。自宅で使っているような場合には、必要ないだろう。
 「完了」をクリックすると、「LP1上でパラレルケーブル経由で接続するのを待っています」という「ケーブル接続」の画面になる。
 一度設定したあとは、「ケーブル接続」のアイコンをダブルクリックして、「応答」をクリックすれば、同じ「ケーブル接続」の画面になる。設定を変える必要があれば、「変更」をクリックする。
 以上で、設定は終了だが、ゲストからホストのファイルにアクセスするためには、ホスト側のファイルをアクセス可能な状態にしておく必要がある。これは、「共有」という機能を使う。デスクトップ上の「マイコンピュータ」を開いて、ハードディスクのアイコンを右クリックして、開いたメニューから「共有」を選ぶと、「プロパティ」の画面が開く。ここで、「共有する」をクリックすれば、ゲストからホストのハードディスクにアクセスできるようになる。
 ここで、「読み取り専用」にすると、ファイルの更新はできないが、「フルアクセス」にすれば、ゲストからホストのファイルの書き換えもできるようになる。次回説明するが、「ブリーフケース」を使う場合は、「フルアクセス」にしておくといい。
 通常の場合は、ハードディスク全体を共有しておいたほうが、手間がかからないが、あるフォルダだけを「共有」にすることもできる。また、CD-ROMドライブやフォロッピーディスクドライブも「共有」が可能だ。
 CD-ROMドライブを共有にしておけば、ノートパソコンからデスクトップパソコンのCD-ROMドライブにアクセスできるようになる。ノートパソコンにCD-ROMドライブがなくても、アプリケーションのインストールができるようになって、便利だ。
 ノートパソコンの「ケーブル接続」の設定もデスクトップパソコンとほぼ同じだ。ただし、ノートパソコンでは、「ゲスト」を選ぶ。
 接続するには、デスクトップパソコンを「……接続するのを待っています」の状態にしたあとで、ノートパソコンも同じように、最初の時は「完了」を、2回目以降は「応答」をクリックする。ゲストからホストへ接続する形なので、まず、ホスト(デスクトップパソコン)の「ケーブル接続」を起動してから、ゲスト(ノートパソコン)の「ケーブル接続」を起動する。逆にするとうまくいかないことが多い。
 接続が成功すると、ゲストの画面上に、ホストのディレクトリが表示される。これをクリックすれば、ゲストからホストのファイルを自在に扱うことができる。


図書館員のためのパソコン・インターネット入門 第42回

ブリーフケースを使う


 前回、Windows95では「ケーブル接続」を使うと、1台のパソコンともう1台のパソコンをパラレルケーブルでつないで、データのやりとりが簡単にできるという話をした。データのやり取りは、フロッピーディスクでもできるが、ケーブル接続を使うと、ずっと簡単に大容量のファイル転送を高速に行なうことができる。
 パソコンとパソコンをつないで転送するには、イーサネットという方式を使っても可能だ。企業の中では、数台から数十台のパソコンを接続するので、イーサネットを使うのが普通だが、これには、ルーターという機器を用意し、パソコンにそれぞれイーサネットのボードを装着しなければならない。「ケーブル接続」なら、ケーブルを1本買うだけだが、イーサネットでつなぐとなるとお金がかなりかかることになる。
 個人なら、多くても3台。普通は2台のパソコンをつなぐのがせいぜいだから、ケーブル接続でデータのやりとりをするのがリーズナブルな方法だが、最近になってちょっと状況がかわってきた。ケーブル接続では、2台のパソコンを接続することしかできない。また、パラレルポートを使うので、プリンターを同時に使うことができない。ケーブルの抜き差しも面倒だ。
 その点、イーサネットで接続すれば、3台以上のパソコンも接続することができる。ケーブル接続は、データのやりとりをするときに、臨時につないでみるといったものだが、イーサネットは、複数のパソコンを恒常的につないでおくためのものだ。

イーサネットで接続すると

 今までのパソコンが古くなって、CPUのスピードも遅いし、ハードディスクの容量も足りないので、買い替える場合を考えてみよう。それまで、いろいろなソフトウェアをインストールし、ワープロソフトの辞書に単語を登録して使いやすくしてきた(今のワープロソフトは自動的に単語が登録されて、辞書がよくなっていく)パソコンの環境をそっくりそのまま移さなければならない。もちろん、壁紙やスクリーンセーバー、ワープロや表計算ソフトの設定など、細かいところの設定も必要だ。
 パソコンを使いこなすようになって使うソフトが増えてくると、この作業にけっこう手間がかかる。しかし、イーサネットでつないでしまえば、そうした作業は必要なくなる。古いほうのパソコンのハードディスクを、新しいパソコンから、内蔵のハードディスクと変わらない感覚で使うことができる。これなら、古いパソコンも無駄にならない。
 インターネットを使い始めると、もっと高速で画面表示を早くして使いたくなる。モデムでも、28800bpsから33400bps、さらに、56400bpsと高速のものが出ているが、一番の解決法は、アナログの電話回線をISDNのデジタル回線に変えてしまうことだ。
 ISDNなら、64kbpsの2回線として使うことができるから、64kbpsでインターネットをしながら、電話がかかってきたらそのまま受けることができる。もっと高速にというのなら、2回線をいっぺんに使って、128kbpsでインターネットに接続することもできる(プロバイダーが対応している必要がある)。

ダイヤルアップルーター

 ISDNでインターネットをするためには、モデムではなくDSUとTA(ターミナルアダプター)という機器が必要だが、最近は、DSU内蔵のTAが3万円程度で買えるようになった。TAはモデムと同じように、RS-232Cケーブルでパソコンと接続する。
 TAでは1台のパソコンでしかインターネットに接続することができないが、もうひとつ、「ダイヤルアップルーター」という機器を使うと、2台以上のパソコンで、1本の回線で、同時にインターネットに接続することができるようになる。ルーターというのは、ルーティング(経路設定)を行なうための機器で、パソコンを何台もネットワークで接続するときに、使う。
 ダイヤルアップルーターというのは、それにダイヤルアップ機能をプラスしたもので、ダイヤルアップルーターに、10Base-Tといケーブルで複数のパソコンを接続すると、それぞれのパソコンから同時にインターネットにアクセスが可能になり(もちろんその分表示速度は遅くなる)、それだけではなく、それぞれのパソコン同士で、データのやりとりもできるようになる。
 このダイヤルアップルーターは、もともと企業などで使われる物で価格も高かったが、最近になって個人用の物も登場して、5万円程度で手に入るようになった。最初に、イーサネットでパソコンを接続するのは、お金がかかると書いたが、イーサネットボードも安くなってきたので、ケーブル接続よりはかかるにしても、個人でも実用レベルのものになってきたようだ。
 個人や、小さな会社で、パソコンのネットワークを組んで、インターネットにも接続して、仕事を便利にすることを、SOHO(Small Office Home Office)というが、ダイヤルアップルーターを使うと、すぐにでも、SOHOが実現できるようになってきた。
 この連載を読んでいる方は、まだそこまでの環境をそろえることはないかもしれないが、パソコンに慣れてきたら、2台目がほしくなるはずだ。そのときは、ネットワークで接続して使うのがいちばん便利だというのを覚えておこう。

ブリーフケースを使う


 さて、前置きの説明が長くなってしまったが、前回のケーブル接続に続いて、「ブリーフケース」について解説しよう。ケーブル接続をすると、「ブリーフケース」を使うことができる。「ブリーフケース」は、2台のパソコン間で、同じファイルを使うとき、どちらが新しいかわからなくなることを防ぐための工夫だ。
 ノートパソコンとデスクトップパソコンの両方を使っている人は、必要なファイルをフロッピーディスクを介してノートパソコンに移し、修正を加えたものはその都度デスクトップのほうにコピーしなければならない。しかし、ブリーフケースを使えば、どのファイルを書き換えたとか気にすることなく、デスクトップパソコンとノートパソコンを並行して使うことができる。
 こうして文章で説明しても理解は難しいかもしれないが、2台のパソコンを並行して使っていく人は、ぜひケーブル接続とブリーフケースを使ってみるべきだ。一度使えば、こんな便利なものはないと思うはずだ。
 使い方は簡単。デスクトップにある「ブリーフケース」のアイコンをダブルクリックしよう。最初に立ち上げたブリーフケースの画面には、何の表示もないが、ここに、ホストパソコンのフォルダからファイルをドラッグしてくれば、ブリーフケースを使ってファイルの共有ができる。
 ホスト(この場合はデスクトップパソコン)からゲスト(ノートパソコン)のブリーフケースにファイルをドラッグしておけば、それ以降、ホストとゲストで同じ状態のファイルを保持することができる。この機能はうまく使いこなすとなかなか便利だ。
 必要なファイルをノートパソコンのブリーフケースにドラッグしておく。そのノートパソコンを持って出かけて、ワープロなどでファイルを修正する。自宅に戻ってきて、ケーブル接続をして、ブリーフケースを開き、メニューバーの「ブリーフケース」→「すべて更新」をクリックする。
 これで、ブリーフケース内のファイルとホストの元のファイルの状態がチェックされ、新しくなっているものは置換される。つまり、古いファイルは新しいファイルに上書きされるのだ。

図書館員のためのパソコン・インターネット入門 第43回

ISDNでインターネットに接続


 前回、インターネットに高速にアクセスするには、普通のアナログ電話回線からデジタルのISDN回線に変えるといいという話をした。私事で恐縮だが、98年2月末に26年生活した東京から福島に引っ越し、ようやくISDN回線に変えたので、その経験をもとに、手続きの全体や必要な機器、使い勝手について解説しよう。

ISDNへの切り替えは簡単

 ISDNに変更の申込みは簡単だ。116番に電話するだけでいい。僕の場合は、引っ越しに伴って電話番号が変わったが、電話番号を変えずに、アナログからISDNにすることもできる。
 ISDNは、電話2回線として使えるので、基本料金が少し高くなるが、電話番号を2つ持つこともできる。家族で別々の番号を持ちたい場合、電話とファックスの番号を別にしたいときにはいいだろう。
 ISDN(NTTの正式のサービス名はINSネット64)回線に変えるといっても、別に大がかりな工事が必要なわけではない。家まで来ている電話線はそのまま使うから、ちょっとした配線工事があるだけだ。
 ISDNへの切り替え費用も、NTTに払う分は、基本工事費が4500円、局内工事費が1000円、変更契約料が800円かかるだけだ。僕の場合は、2階の仕事部屋にパソコンを置き、1階に今まで使っていたアナログ電話機を置くために、2階から1階へアナログの回線を引いてもらったので、プラス3800円の追加の工事費がかかった。全部合わせても、1万円強ということになる。
 毎月の基本料金も少し高くなるだけだ。アナログ2回線引くよりは、ずっと安くなる。インターネットにアクセスしないという人でも、ファックス用と合わせてアナログ2回線あるような人は、ISDNに変えると経費の削減ができる(そのときには、TAではなく、アナログポート付きのDSUを購入する)。
 ISDNに変えるためには、DSUという機器と、TA(ターミナルアダプター)または、ダイヤルアップルーターの2つが必要だ。ISDNの工事のときには、あらかじめ購入しておく。そうしないと、工事が終わっても、電話が使えず、回線の試験もできないことになってしまう。
 TA、ダイヤルアップルーターともに、DSU内蔵のものが、前者は3万円、後者は5万円程度で販売されているから、DUS内蔵型を買い求めるのが楽だろう。ISDN回線はまず、DSUに接続され、そこから、S/T点ケーブルでTAに接続される。DSU内蔵型なら、S/T点ケーブルが必要なくなり、面倒な接続がなくなる。
 TAには普通、アナログポート2つと、DTEポートがあり、アナログポートにモジュラーコードを差し込んめば、それまで使っていたアナログの電話機は引き続き使うことができる(回線はプッシュ回線になる)。ファックスやモデムを使ったアナログのパソコン通信も同じだ。

TAかダイヤルアップルーターか

 デジタルの64kbpsでインターネットに接続するには、DTEポートとパソコンのシリアルポート(RS232-Cポート)をシリアルケーブル(RS232-Cケーブル)で接続して使う。TAをモデムと同じ感覚で使うと思えばいい。インターネットに接続するときの設定も、TAに付属するCD-ROMでドライバをインストールしてから、モデムのところで、TAを選べばいい。
 ISDNは2回線分あるので、両方使えば、64kbps×2=128kbpsでインターネットに接続することもできる。ただし、電話料金は2倍かかることになるし、プロバイダーが128kbpsでの接続に対応していないといけない。
 前回も説明したが、ダイヤルアップルーターというのは、TAにルーターの機能を追加したものだ。ダイヤルアップルーターは、アナログポート、DTEポートのほかに、イーサネットポートがついている。
 僕の購入したMN128-SOHO(NTT-TE東京製)というダイヤルアップルーターの場合は、3つのイーサネットッポートが3つついているので、ここに10BASE-Tケーブル(ストレート)をつないで、パソコンのイーサネットポート(イーサネットボードを入れる必要がある。ノートパソコンの場合はイーサネットカード)と接続すれば、パソコン3台をネットワークで使うことができる。取りあえずは、DTEポートに接続してTAとして使っているが、今後、イーサネットボードを購入して、自宅内のパソコンネットワークを構築する予定だ。
 ダイヤルアップルーターというと、以前は、専門家の使うもので、素人には設定が難しいというイメージがあったが、最近の機種はTAとほとんど変わらない。2台以上のパソコンを持っているか、持つ予定のある人は、将来ネットワークを組むことを考えて、プラス2万円の出費でも、ダイヤルアップルーターを購入することをすすめたい。
 MN128-SOHOは今一番売れているダイヤルアップルーターだが、価格も手頃だし、解説書も詳しくて、おすすめの機種だ。ISDNを使うのは初めてだが、ほとんど苦労もなく、パソコンの画面の指示に従っているだけで、簡単にTAでインターネットに接続できるようになった。

64kbpsはさすがに速い


 さて、ISDNでインターネットにアクセスした感想だが、64kbpsでのネットサーフィンは、さすがに表示が速くて快適だ。28800bpsが64kbpsになるのだから、当然だが、何で早くISDNにしなかったのかと後悔した。画面の表示の速さだけでなく、電話をかけ始めてから、プロバイダーにつながるまでの時間も短縮される。
 特に僕の場合は、以前はトーン回線だったので、その差は大きい。もちろん、電子メールの送受信や、FTPでのアップロードやダウンロードもずっと速くなる。大きなファイルをダウンロードするときなど、力を発揮しそうだ。
 画面表示が速いだけと思うかもしれないが、それで回線の使用時間が短縮できるわけだし、それ以上に、今までよくこんな遅い表示に我慢していたなと思うはずだ。パソコンのCPUのスピードや、プリンターの印字速度と同じで、一度64kbpsの回線速度に知ってしまうと、もう後戻りはできない感じだ。
 2回線あるから、インターネットをしているときでも、もう1回線で電話を受けたりかけたりすることができる。インターネットでは、長時間接続していることが多いから、電話がいつも話し中で困るということになるが、ISDNならその心配もなくなる。
 インターネットを始めるなら、思い切ってISDNを一緒に入れてしまうことをすすめたい。画面表示は多少遅くてもと思うかもしれないが、実際にネットサーフィンを始めてみると、画面表示が遅いのは、かなりの障害になる。インターネットはいろんな情報が世界中から集められると期待している人は、なあんだこんなに時間がかかって待たされるのかと、がっかりしていまうかもしれない。
 インターネットを始めては見たけれど、最近あまりアクセスしていないという人も、ISDNに変えて回線速度を速くしてみよう。また、新しいインターネットの世界が開けてくるはずだ。

図書館員のためのパソコン・インターネット入門 第44回

amazon.com で洋書を購入


 インターネットのオンラインショッピングで、いちばん役に立つは洋書の購入だ。この連載の読者が関心を持つのも、書籍の購入できるサイトだろう。国内には、洋書専門店というのは数少ないから、僕も洋書の購入には、丸善にファックスで注文して送ってもらうことが多かったが、インターネットが身近になって、状況は一変した。
 たとえば、これから紹介する amazon.com(http://www.amazon.com/)を使えば、もっと簡単に安価に(ドル円の交換レートや配送の日数によっても必ずしも安くならないこともある)洋書を手に入れることができる。250万冊あるというデータベースから目的の本を検索することもできるし、テーマ別インデックスで、書店の棚を見ている感覚で本を探すこともできる。国内では、一堂に介した洋書からセレクトして購入する機会はなかなか持てないから、僕は amazon.com を単に洋書を安く早く買えるツールとしてだけでなく、新刊本を眺めたり、書評を読んだり、テーマに添って本を探したりする場所として楽しんでいる。
 amazon.com には、最近、日本語のページもできた。検索や注文は英語でしなければならないが、検索の方法や注文の仕方が、日本語で読めるようになったので、英語の不得意な日本人にとってはずっと使いやすくなった。
 それでも、インターネットでクレジットカードの番号を送るのは不安、オンラインショッピングは初めてで、どうやっていいかよくわからないという人のために、amazon.com へのアクセス方法について解説しよう。

250万タイトルから検索する

 amazon.com は1995年にスタートしたインターネット上のオンラインブックストア。英語を中心とした(日本語の本はない)250万タイトルのデータベースを持ち、その中から、著者名やタイトル名で検索して本を探し、注文して小包で送ってもらうことができる。ただし、支払いにはクレジットカードが必要だ。
 まず、本を注文する前の検索方法を解説しよう。検索には、「QuickSearch(クイック検索)」と「Search(検索)」の2つがある。
 クイック検索は、どのページの下にもある検索フォームを使うもので、本のタイトル、著作者名、テーマ(分類)のどれかひとつだけを、入力して検索する。Yahoo! の検索と同じ方式だ。タイトルが正確にわかっている場合、ある著者の作品だけをピックアップしたいときなど、さっと入力してすばやく検索できる。
 もうひとつの検索は、各ページの左上にある「Search」ボタンをクリックして、検索ページに飛んで行なう。検索できる項目は「Author(著者)」「Title(タイトル)」「Subject」の3項目。どれも、正確なものではなく、姓だけ、名だけ、タイトルの一部などでも、検索可能だ。3つの項目を掛け合わせて検索することもできる。
 本を買うのではなく、ここで検索に使うだけでも、amazon.com は十分に価値のあるサイトだ。そのほか、本のISBN番号や出版年月日でも検索できる。

セキュアサーバーと標準サーバー

 買う本が決まったら、その本のタイトルをクリックすると、その本のページになる。そこにある「Add it to your Shopping Cart」のボタンを押せば、まず、自分のショッピングカートに本が入る。何冊か買う場合は、この作業を繰り返していけばいい。一度ショッピングカートに入れた本は元に戻すこともできる。
 全部の買い物が終わったら、ショッピングカートのページの「Proceed to Checkout」のボタンをクリックする。これで、注文の手続きを始めることができる。
 まず、サーバーを選ぶ画面になる。サーバーは、セキュアサーバー(secure server)と標準サーバー(standard server)のどちらかを選ぶ。セキュアサーバーでは、情報を暗号化して送るので、インターネット上でもクレジットカード番号を安全に送ることができる。
 通常はこちらを選ぶが、それでも、オンラインでクレジットカード番号を送るのは心配だという人は、標準サーバーを選ぼう。標準サーバーでの注文の場合は、クレジットカード番号の下5ケタだけを入力して、クレジットカード番号全部は、電話かファックスであとから伝えるようにする。

早ければ4日で本が手に入る


 サーバーを選択すると、オンライン・オーダーフォームの画面になる。最初の画面で、 自分のメールアドレスを間違えないように入力し、「I am a first-time customer.」と支払方法として、クレジットカードを選び、「continue」をクリックする。
 次の画面で、「new international address」をクリックし、開いた画面で、送り先の住所を英語で入力する。全て入力したら、「done」をクリックする。
 次の画面で、注文した本のタイトルと冊数を確認し、クレジットカードのデータ(種類、番号、有効期限、名前)を記入する。そして、発送方法を選択する。
 日本への発送は、国際発送になり、Standard Shipping(普通郵便配送)とDHL WorldMail(DHL国際便)とDHL Worldwide Express International (DHL国際速達便)の3種類がある。Standard Shipping は、1回の注文につき4ドル+1冊につき1.95ドルと送料が安いが、時間は船便なので7〜8週間かかる。DHL WorldMail は、1回7ドル+1冊5.95ドルの送料で、時間は1週間から3週間。DHL Worldwide Express International(DHL国際速達便)は、1回30ドル+1冊5.95ドルと送料は高いが、発送してから(発送までに多少時間がかかる。この時間はそれぞれの本によって違い、表示されている)、1日〜4日で届く。どのくらい早く手に入れたいかで使い分ければいいが、僕はたいてい、DHL WorldMail を使っている。
 このあと、自分のパスワードを設定する。パスワードを使うと、メールアドレスとパスワードだけで、注文ができるようになるので、インターネットにアクセスするときのパスワードのように、他の人にわからなくて、しかも自分は忘れないようなパスワードを設定しておこう。
 次が最後の画面で、注文の内容や料金が表示される。確認して間違いがなければ、「PRESS THIS TO SUBMIT YOU ORDER」のボタンをクリックすれば、注文は終了。もし間違いがあるときは、ブラウザの「戻る」で前の画面に戻って修正をしよう。
 一度注文すると、クレジットカードのデータや送付先の住所は登録されるので、それぞれの本のページの「Add it to your Shopping Cart」のボタンの下にある「Buy one copy and ship to:」のボタンをクリックするだけで、注文が完了する。これをワンクリック注文というが、90分以内なら、ひとまとまりの注文として、まとめたパッケージで送られてくるし(2〜3日で発送可能なものとそれ以上かかかるものに分けて送られる)、間違えて注文した本は、90分以内なら訂正できるから、2回目以降は、これを利用すると注文がぐんと楽になる(90分過ぎてしまった場合でも、電子メールを送れば注文の取り消しができる)。

 この解説を読んでも、ごく簡単に本を探して注文することができるのはわかるはずだ。今特に注文したい本がないという人も、一度、amazon.com にアクセスしてみよう。日本から注文のあった本のベスト20も見られるし、インターネットのオンラインショッピングを試してみるには、おすすめのサイトだ。

図書館員のためのパソコン・インターネット入門 第45回

インターネットのオンライン書店


 前回は書籍のオンラインショッピングのできるサイトamazon.comを紹介した。amazon.comは、250万冊のデータベースを持つ世界最大のオンラインブックストアだが、もちろんインターネットでアクセスできる書店は、他にもたくさんある。
 amazon.comはアメリカの書店だから、探せるものはアメリカで出版されたものが中心だ。僕は児童文学に興味があるので、そうした洋書を探すことがあるが、英語の本の場合、イギリスで出版されたものも重要になってくる。そうした本を探すには、もちろんイギリスの書店を探すのがいいが、インターネットにはイギリスの書店もある。
 僕が利用しているところでは、Bookpages(http://www.bookpages.co.uk/foyer-j.asp)がおすすめだ。英国最大のオンラインブックストアで、英国で出版された本約90万冊のデータベースを備えている。ここも、amazon.comと同様、日本語のページが設けてあるので、英語は不得意という人でも、使いやすいだろう。
 bookstore.co.uk(http://www.bookstore.co.uk/indexfe.html)は、イギリス、アメリカのほか、フランス、ドイツ、スペイン、イタリアの書物も扱っているというふれこみのバーチャル書店。僕はここも時々利用している。やはり、日本語のページがある。

イギリスのオンライン書店

 ある作家の作品とか、あるテーマの書籍を調べるときは、いくつかのオンライン書店を探してみるのがいい。特に、英語の書籍を探す場合、アメリカとイギリスではラインナップがかなり違うから、両方調べたほうがいいだろう。
 先日、ヒュー・ロフティングの「ドリトル先生」シリーズを調べていたが、やはり、アメリカとイギリスで、検索結果がかなり違っていた。特に、「ドリトル先生」シリーズの場合、アメリカでは、黒人に対する人種差別的な内容があるというので一部が削除されて出版され、12冊のうち現在在庫があるのは2冊しかない。
 日本では、岩波文庫に井伏鱒二氏の名訳で12冊全部が入り、知名度も高いが、アメリカでは、レッックス・ハリスン主演でディズニーで映画化された「ドリトル先生の不思議な旅」のイメージがほとんどで、ヒュー・ロフティングの原作は忘れ去られたといってもいい状態になっている(これについては、http://www.asahi-net.or.jp/~hh5y-szk/ransome.htm#dolittleに詳しく書いた)。
 イギリスでも、日本ほど知名度はないようだが、Bookpagesで検索してみたところ、amazon.comでは見つからなかった、ヒュー・ロフティングの作家と作品解説の本を見つけて、早速注文した。
 こんなふうに、インターネットのオンライン書店では、書店を回っていては見つからないような本を見つけだすことができる。特に、系統だって資料を調べているようなときには役に立つ。しかも、机の前に座ったままで、その場でオンラインで注文して、取り寄せることができるのだ。

日本にもあるオンライン書店

 インターネット利用できるのは、アメリカやイギリスの書店だけではない。日本にもいい書店がある。いくつかあるが、おすすめは(お追従ではなく)図書館流通センターのサイトだ(http://www.trc.co.jp/)。ここでは、約67万冊の日本で出版された本のデータベースがある(http://www.trc.co.jp/trc-japa/search/trc_www.htm)。書名、著者名、出版社名で検索できるところ、検索して注文すると、バスケットに入って、あとからまとめて注文するところなど、amazon.comと同じ方式だ。
 日本のオンライン書店は、検索はできなかったり、注文は電子メールでと、使いにくかったり、面倒なところが多いが、図書館流通センターのサイトは、世界的な方式に合わせていて、その意味でも使いやすい。ここで慣れて、amazon.comなど、英語のサイトに行くのもいいかもしれない。
 ただし、注文して本を取り寄せるためには、「会員登録」が必要。会員登録のページ(http://www.trc.co.jp/trc-japa/order/ord1.htm)から、「会員登録お申し込み用紙」のページをブラウザに表示して、それをそのままプリントアウト、自分のメールアドレス、本の送り先、クレジットカードのデータを書き込んで、ファックスで送る(ファックスがない場合は郵送でもいい)。4日ほどで、電子メールで自分の「登録番号」が送られてくれば、それを使って注文ができるようになる。ファックスで送る方式は、インターネットに慣れていない人でも安心かもしれない。

インターネット書店を活用する


 前々回、「福島市に引っ越した機会に、ISDN回線に変えたので、インターネットがあれば、東京にいるのと同じように仕事ができる」と書いたが、インターネットのオンラインショッピングについては、世界中どこにいようと、全く同じ状況で利用ができる。むしろ、回線がすいていて、パソコンが置いてある場所の家賃の安い福島市のほうが、ずっといい環境と言えるかもしれない。
 日本国内の場合、(インターネットではなく実際にある)書店に関しては、地方都市レベルでも、かなり充実しているといえる。周りに書店の少ないところでも、図書館があるところは多いはずだ。しかし、新聞で書評を読んで関心を持った本、雑誌で紹介されていた本を、実際に手に入れようと思うとけっこう手間と時間がかかることは、ご存じの方も多いだろう。
 大きな書店でも、新刊書は一定期間経つと戻されてしまうので、半年前に出版された本など、なかなか見つからないことになる。書店で注文できるが、時間もかかるし、客注の本は返本できないことから、お客からの注文に積極的でない本屋さんも多いようだ。
 また、新刊書の場合、出版されてすぐは、全国の書店に散らばるので、うまく近くの書店で見つけることができないと、そのあと手に入れるのに苦労する。注文しても、取り次ぎにも出版社にも在庫がなくて、「品切れでした」ということになる。こういう本の場合、読むだけならば、身近な図書館で探すのが一番で、人気のある本でも、リクエストを出しておけば、返却され次第、電話がかかってくるし、時間がかかるようなら、他の図書館から取り寄せてもらえることもある。
 僕の仕事の場合、取材などで、「この本がすぐに欲しい、遅くとも2、3日うちに」ということがある。この場合、「大きな書店に電話をして在庫を聞いて、あれば買いに行く」「図書館に出向いて、なければリクエストを出す」という方法を並行して使うことになるが、これにインターネットが加わると(オンライン書店の場合、実際に出かけるよりは数日多くかかるが)、それほど急がない本の場合、本探しはさらに便利になる。

 東京から地方に移ると、書籍などの情報から遠くなるというイメージがある。しかし、、たとえば僕の住んでいる福島市の場合、駅まででかければかなり大きな書店があるし、図書館も、車で5分のところにある。前に住んでいた世田谷区の場合、新宿、渋谷の大きな書店に出かけるには、実際には、福島市内で駅前の書店に行くよりもずっと時間がかかる。もしかしたら、首都圏の住民のほうが、書籍やCDに関しては過疎の状態に置かれているかもしれないのだ。
 インターネットの書店や、CDショップ、パソコンショップは、地方都市の人たちだけでなく、首都圏でもけっこう情報過疎の状態に置かれている人たちにとって、いろんな意味で生活を便利にしてくれる。前回から紹介したショップだけでなく、他にも面白いお店はたくさんある。興味のある人は、Yahoo!やGooの検索サーバーを使って検索して、取りあえずウィンドウショッピングから始めてみよう。

[パソコン・インターネット入門の目次]  [The Pigeon Post の表紙]