ポートランド日記 |
10月26日(金)──87日目 デモンストレーション(説明)スピーチ。僕の発表は最終日になった。 その前に、救命救急法についてスピーチするナオト君(十九歳)に頼まれて、テーブルの上に横になって、患者の役をやった。彼は、高校からアメリカンスクールに通っていたので、英語は大体聞き取れるようだし、会話も流暢だ。スピーチも上手い。若い人にはかなわないなと思う。 僕のスピーチは、インターネットのオークションの説明。パソコンの画面を見せることができないので、あらかじめOHPシートに印刷した画面を用意して、それを見せながらの説明だ。 OHPを使いながらの説明は、思ったより難しい。「スピーチはアイコンタクトが重要」と、先生から言われているから、OHPを見ながら説明しつつ、聴衆のほうにも気を配らないといけない。その案配が難しい。 何だか、もたもたして時間がかかってしまった。先生に、「時間オーバーよ」と言われて、あたふたと終わらせた。OHPを見ながらだと、原稿は全く見られないから、抜かしてしまった部分もけっこうあったようだ。 発音も悪くて、みんなに伝わったかどうか。インターネットのオークションだと、「必要な物が何でも簡単に安く手に入る」という話で、みんなの注目を引こうと思ったのだが、思惑どおりには行かなかったようだ。文章と違って、その場にいる聞き手を直接相手にするスピーチは難しい。 終わったら、また胃が痛くなった。おまけに腰まで痛くなった。 昼に行った「レッドコーチ・レストラン(Red Coach Restaurant)」は、アメリカの映画によく出てくるような、カウンターとテーブルがあって、ハンバーガーを焼いて食べさせる店。カウンターのハンバーガーを焼くのがよく見えるところに坐ったので、いろいろ観察できて面白かった。二階まである店だが、どのテーブルもぎっしり混んでいる。ハンバーガー以外には、サンドイッチやサラダのメニューがあるだけ。 チーズバーガーとフレンチフライとコーク(5.50ドル)を頼んだが、ハンバーグは中に少し赤みが残っていて、柔らかくておいしかった。バンズ(ハンバーガー用のパン)にマヨネーズを塗って、レタスとトマトとハンバーグを載せるだけだが、チェーン店のハンバーガーとはひと味違う。 Wさんが、Cのインタビューテープの聞き取りに来てくれたので(英語が全部聞き取れるわけではないので、滞米五年のWさんにバイトで手伝ってもらっている)、とん汁をつくってご馳走した。 ダウンタウンのセーフウェイで、材料を買ってきたが、豚肉は、ステーキ用の肉とひき肉しかない。それで、とん汁用に、そいで薄切りにした。でも、日本で売っている小間切れ肉のようなわけにはいかない。でも、トンカツにしたらおいしいそうないい豚肉なので、おいしそうだ。 野菜は、「安全」で買ってあった里芋のほかは、もやし、いんげん、ねぎ、とアメリカの普通のスーパーで手に入るものだけ。日本で作るとん汁とは中身がだいぶ違うが、おいしくできた。出汁は、粉末のいりこだしとかつおだし+昆布。日本で作るよりおいしい感じがするのは、野菜が新鮮で香りが強いことが大きいだろう。豚肉も日本より安くてずっとおいしい。 |
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