今週のコラム                                 大西赤人/小説と評論

本来あるべき危機感を煽りや風評被害と位置づけ圧殺する歪み。――7月・8月のツイッターまとめ(上)

大西 赤人
 


 何物かに対する危機感や警戒心が“正当に”求められる場合がある。たとえばパンデミックと呼ばれる深刻な感染症が発生し、それに罹患した患者が現に存在するとしたら、我々はその人々に十分適切な治療を施し、併せて彼らに対して“正当に”危機感や警戒心を発揮することにより、当該疾病《しっぺい》の拡大防止を図るべきであろう。そのためには、当然ながら妥当な評価や推計に基づく病態や感染力に関する情報が広く周知され、確実な知識として共有されなければならない。ところが現実には、それらの情報はしばしば独り歩きし、誤った解釈あるいは行き過ぎた反応を産み出しながら不正確な知識――思い込み――に姿を変え、対象への偏見や差別を惹き起こす。そして、本来は手厚く看護されるべき患者を恐怖によって潜伏させ、結果的にはかえって疾病を温存し、その拡大の助長にさえつながりかねない。

 このような現象は疾病に限るものではなく、人間(社会)にとって不利益をもたらす様々な出来事に関して発生する。即ち、不安の“煽り”、デマ、風評被害などである。マス・メディアばかりかインターネットやツイッター等々、急速かつ大規模な拡散の道筋が存在する現代では、たしかに実体とはかけ離れた“ヌエ”のようなデタラメがたちまちまことしやかに蔓延することへの注意や自制が払われるべきだろう。しかし、それらを重視するがあまり――あるいはむしろそれらが大義名分と化し――本来必要なはずの危機感や警戒心までが“煽り”や風評被害と位置づけられて抑制されるとしたら、本末顛倒である。

 東日本大震災に引きつづいて起きた福島第一原発事故以来七ヵ月余、日本の全体が上に記したごとき状況に陥っているように思う。改めて記すまでもなかろう、その主体はもちろん感染症ではなく、事故当初は原発から爆発的に飛散し、今もなお相当量が放出されつづけている放射能汚染である。

 しばしば“放射能は見えもしないし臭いもしない”と言われる。京都大学原子炉実験所の小出裕章さんは、『季刊メタポゾン』第三号で僕が行なったインタビューの中で、次のように話していた。

「普通、放射能は五感で感じられないという表現があるんですけど、日本人が放射能と呼ぶものは放射性物質の事なんですね。物質ですから、もちろん重さもあれば、形もあるし、本来であれば臭いもあるし、味もあるという、そういう物なんですけども、人間がそれを五感で感じられるほどに放射性物質がそこにあると人間が死んでしまう、要するにそれほどの毒物なんですね。ですから、まあ残念ながら、臭いが感じられれば本当はいいし、目で見えれば、色が付いていればいいとは思うけれども、それほどあったら死んでしまうわけですから、もう想像力で向き合うしかない、そういう相手なんですね」

 震災によって福島原発が大きな損傷を被って以来、その深刻さを懸念する声の中には、あたかも日本の国土及び国民の大半が避けがたく絶望的な汚染に曝されるかのように言うものもあったし、逆に楽観する声の中には、“地震や津波で何千人、何万人の命が喪われたけれども、原発では誰一人死んではいない、騒ぎ過ぎだ”と反論するものもあった。そして、多くの人々の想い、判断は、それら両極の間で揺れ動いているのではないだろうか。まさに枝野官房長官(当時)らが繰り返した「ただちに健康に影響はない」という言葉通り、たしかに現時点においては、直接に放射線の影響で命を落とした人は居ないかもしれない。しかし、たとえば福島県の18歳未満の子供たち約36万人に今後生涯にわたって甲状腺検査を実施されるという一点だけ採っても、それが結果的にどれほど健康に関わる結果を示そうが示すまいが、途方もなく異常な出来事である。

 環境や飲食物における放射性物質には「暫定基準値」が設けられ、限定的な原発近辺についてならまだしも、日本全土に緊急時・災害時の大きく緩和された数値が適用されている(厚生労働省は、食品からの被曝に関して、ようやく「生涯累積100ミリシーベルト」という厳格化した新たな基準を年明けまでにまとめる見通しという)。そして、事故以前ならば大騒ぎになっていたに違いない放射性物質が検出されたとしても、「暫定基準値」以下であるから安全とのお墨付きを得る。併せて、“従来定められていた基準値は――むしろ過剰なほどに厳しく――定められていたものであるから、目下の「暫定基準値」の範囲内であれば実際は問題ないのだ”というような説明が行なわれる。以前にも書いた事だが、そんな理屈が無条件に通るのであれば、極論、制限速度60キロと定められた道路を仮に150キロ、200キロで飛ばそうとも、轢きもしない、ぶつけてもいないならばスピード違反で取り締まられる必要もなかろうし、少なくとも“じゃあ、今までの60キロ制限は何だったんだ?”という話になるのが当たり前。

 とりわけ、事が被災地に関わると、否定的な見解は復興の気運に水を注す、風評被害を助長するとして抑制される。その顕著な例となった出来事は、84日に東海テレビの情報番組『ぴーかんテレビ』で起きたいわゆる「怪しいお米セシウムさん」事件だった。これは、同番組の中で東日本大震災復興支援のため岩手県産米「ひとめぼれ」の視聴者プレゼントを行なっていたところ、仮の当選者三名の住所氏名として「怪しいお米セシウムさん 怪しいお米セシウムさん 汚染されたお米セシウムさん」なるテロップが23秒間にわたって映し出されたというものだった。それ自体は、言ってみれば杜撰《ずさん》な放送事故。しかし、ちょうど本年産の新米から放射性物質が検出されるか否かが注目を集めはじめていた時期に内容が内容だったため、大変な批判を浴びることとなった。

 僕などは、最初にこの話を知った時、内容の如何にかかわらず本当は映るべきでない物が20秒以上も映りつづけたという言わば危機管理上の問題はあるとしても、「怪しいお米セシウムさん」というテロップそのものに関しては、むしろ多くの人々が内心に抱えている懸念が端的に噴き出していると思った。つまり、政府自らが「ただちに健康に影響はない」という詐術《さじゅつ》的な言葉を多用し、大きく緩和した暫定基準値をもって砂上の楼閣のような安全が謳《うた》われる現状に対する一種の皮肉に満ちた異議申し立てとさえ感じたのである。しかし、世の大勢からは、被災地の想いを踏みにじる不謹慎な行為として轟々たる非難が集中。同番組は中止に追い込まれ、東海テレビは検証委員会を設けて検証番組を放送、検証報告書を公開した。この報告書は現在も同局のサイトにアップされているけれども、事件の直接最大の責任は「本当に思いつき」「半分ちょっとふざけがあったのだと想いますが」「特に何かしてやろうという気持ちは全くなかった」と証言したテロップ作成者である「50代の男性外部スタッフ」に帰され、名前こそ出ていないとはいえ、以下のような驚くほどの個人攻撃が並んでいる。

「【外部スタッフは】東海テレビでの仕事は通算30年以上である。周りからは無口でおとなしい、とっつきにくいとの評価が多く、また仕事については、『手が遅い』『ややスキルに難がある』などと評価は高くなかった」
「『ぴーかんテレビ』の担当になってからも、一部スタッフの間からは仕事が遅いなどの評価を受けていた」「『ぴーかんテレビ』のスタッフの中では、最年長であるが、目立たず、リーダー的存在とは程遠いおとなしい性格であった。しかもテロップの修正依頼などが殺到すると、いわゆる『テンパる』ことがよくあり、周りの様子がよくわからなくなることがあった」
「放射能汚染の恐怖にさらされている人々への思いに至ることもない、しかも口に出すことさえ憚れる文言を平気で書いてしまった行為からは、テロップ制作者が著しく社会常識に欠けていることが伺える」
「【不適切テロップを作成した動機・理由は今回の検証のポイントだが】検証委員会は、本人や上司、一緒に働くスタッフの証言などから、特定の個人や所属する制作会社、東海テレビに対する恨みはなく、また思想的な背景、精神疾患などもなく、さらに社会常識の欠如が散見されることなどから、不適切テロップの作成については、意図的なものは全くないと判断した」

 この外部スタッフは、法律に反して何らかの罪を犯したわけではない。それなのに「最年長だが」「目立たず」「おとなしい性格」は欠点のごとくあげつらわれ、テロップの修正依頼などが「殺到」したら「テンパる」という当たり前の反応も否定的に叙述される。しかも、「思想的な背景」はまだしも、「精神疾患などもなく」という言及は唐突だ。ここでの「精神疾患」の捉え方も疑わしいが、「怨み」や「思想的な背景」がない“から”意図的なものはないという解釈はひとまず成り立つとしても、「精神疾患」がない“から”意図的なものはないという判断はおかしい。その論理の流れならば、「精神疾患」がない“ので”意図的なものが“ある”ことになるはずだろう。結局彼は事件後間もなく所属会社から懲戒解雇されたそうだが、報告書に再三出現する「社会常識の欠如」がもしも何らか病的な理由ゆえに生じている可能性――当該分野の専門家を含まない検証委員会による「精神疾患などもなく」という早々の断定は全く不確実――を想定するならば、問答無用の懲戒解雇は行き過ぎとも考えられる。

「怪しいお米セシウムさん」事件に続き、9月には、鉢呂吉雄経済産業相が福島第一原発周辺の市町村を視察後に「まさに死の街という形だった」と形容したことや記者に「放射能つけちゃうぞ」と発言したとされたこと(事実関係不詳)が「失言」としてメディア主導による集中砲火を浴び、辞任へと追い込まれた。10月には、これは原発事故ではなく津波関連ながら、平野達男震災担当復興相が亡くなった高校時代の同級生について“バカなやつって言われてもしようがない”という趣旨の発言をしたことから鉢呂大臣同様の問題を招きかけた。もう少し小さな規模では、大分県の恒例「由布院牛喰い絶叫大会」において、県畜産協会長でもある県議が「由布院の牛肉は汚染のわらを食べていないので安全だ。セシウム牛は要りません」(1012日付『読売』)と絶叫したことなども物議を醸《かも》した。要するに、これらの事例は、あの“王様の耳はロバの耳”や“裸の王様”の話にも似て、人々が頭の一角で想っている事柄を表に出した――口に出した途端、“被災地の心情を損なう”“風評被害を煽る”という形で圧殺されたものである。

 1020日付『朝日新聞』の「天声人語」には、平野復興相の「バカ」発言に関して次の一節があった。

「言葉をめぐる空気がどうも息苦しい」

 そういう息苦しさを作り出している責任はマス・メディアに――即ち、その一端は『朝日新聞』自身に――もあるわけだが、とりわけ実態が未だ不明確だからといって放射能汚染にまつわる危機感や警戒心を殊更《ことさら》に殺《そ》いで日常を仮構しようとするような雰囲気作りが進むとするならば、後世に大きな禍根を遺すのみとなりかねないであろう。

  今回は、7月、8月二ヵ月分のツイッターをまとめた(二回に分戴。リンクの一部は便宜上削除しています)。

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「電気が足りないから原子力が必要というのは、完全な霊感商法」と憤って節電を拒むより、大勢で「そんなに電気は使わないから原子力は不要」と言う方が遥かに穏当ではなかろうか。消費する側の需要が無条件に優先され、それを根拠に供給が図られる物など(金は論外)、世に電気しか存在しないと思う。

2
福島市内の616歳の男女10人の尿から放射性セシウムが検出された件に関し、文科省は“一般人の年間被曝限度量1mSv100分の1程度で「健康影響は心配ないレベル」とした”(読売)という。そうかもしらんが、内部被曝だから継続する危険性もあろう。相変わらず呆れるほど安易な安全認定。 

投手上位の今季とはいえ、ダルビッシュに劣らず楽天・田中が強烈だ。121001/3を投げ8勝、防御率1.08。戦後の0点台は、70年の阪神・村山実の0.98のみ。当時33歳の村山は既に全盛期を過ぎて(引退の前々年)監督兼任だったが、先発・救援で1501/3を投げ143敗。⇒

思い出すもう一人は、93年ヤクルトの新人・伊藤智仁。7月半ばに故障するまで14109回を投げ7勝、防御率は何と0.91だった。先発の場合、完投して2点取られたら次の試合、3点取られたら続く2試合を完封しなければ、防御率1点に戻らない。田中は、もしも次戦で完封すれば0点台に突入。

 「なぜ暴動が起こらないのか」(産経【from editor】)。@「待てば必ず何とかなるという安心感」「政府は被災者を見殺しにはせず、必ず救援の手を差し伸べるという信頼感」A「天皇の存在」「庶民をないがしろにする為政者は、天皇が許すはずがないという、歴史的潜在的な信頼感」⇒

このような見方は、日本人の一面の特性を的確に表しているかもしれない。ただし、(もちろん暴動には走らないほうがいいに決まっているにせよ)その“誰かが何とかしてくれるはず”と自らなかなか行動しない極めて受動的・受忍的な姿勢は、別の意味では、日本人の優柔不断な欠点となってもいるだろう。

昼間、『爆笑問題の大変よくできました!』の再放送(527日)を見かけたら、太田が“放射能は絶対大丈夫”“僕達も公害や添加物が身体に悪いと散々言われたが元気”などと連呼。煽る役割もあったにせよ“危険と判らないなら、安全と言えばいい。そうでないなら、子供みんな隔離しろ”と乱暴過ぎ。

5
大きな属性を持つ集団Aの中に馬鹿な個人bや賢い個人cが存在する。これは当然または不可避。逆に、馬鹿なaが存在するからA全員が馬鹿とは限らないし、賢いcが存在するからA全員が賢いとも限らない。でも、現実にはしばしば、馬鹿なaの存在ゆえにA総体の全否定が始まる。「集合」概念との離反。

6
三月末に原子力安全委が福島原発周辺の子供1080人に行なった調査の結果、45%が甲状腺に被曝も、微量であり、加藤審議官は「精密検査の必要はないレベル」(東京)と説明。この記事もICRP(国際放射線防護委員会)勧告に“年間100mSvの被曝で発ガンリスクが0.5%高まる”と記すが⇒

この意識・無意識の混乱は各所で繰り返されており、実際は“発ガンリスクが0.5%増”ではなく“ガン死(過剰死亡)リスクが0.5%増”bit.ly/mAg7k9 似たようなものと思う向きもあろうが、今どき、ガン=不可避の死ではないから、発ガン増とガン死増とでは大きな違い。

医学書等では普通に“母子感染、性行為感染、輸血”等が感染経路とされるB型肝炎全般に関し、国は集団予防接種注射器使い回しの責任を否めず、和解(金支払)を余儀なくされた。これに準じ、将来、様々なガンに見舞われる国民から原発との因果関係を問われるならば、財政は完全に破綻することだろう。

“最高値は毎時0.1μSv(一歳児の甲状腺被ばく量に換算すると年50mSv相当)に上ったが、99%は毎時0.04μSv以下。同様の換算で年20Svに相当する”が“加藤審議官は「換算するには(調査の)精度が粗い。精密測定が必要な子供はいなかった」”(東京)「精度が粗い」のに安全?

「福島原発周辺の子供」(東京)を調査したというから、当然、直近の市町村かと思ったら、「いわき市、川俣町、飯舘村の015歳の1080人」(共同)とのこと。それって、どれも原発からほぼ30km以上離れた所じゃありませんか。たとえば双葉町や大熊町や浪江町は? 子供は居なかったですか?

というか、この原子力安全委員会による調査のニュース、ネットで調べてみても、『東京新聞』と時事系の『47NEWS』しか見当たらない。わざわざ「微量」の被曝を報じることで、子供たちへの“風評被害”を惹き起こさないための時ならぬ“配慮”とでもいうことなのだろうか?いいのか、それで?

衆院予算委・笠井委員(共産)の質問。玄海原発運転再開に関わる626日の説明番組(CATVやインターネット等で中継)に「九電が関係会社の社員らに運転再開を支持する文言の電子メールを番組に投稿するよう組織していた」という話。bit.ly/jsMfGc いじましい……。

九電本社課長級社員から子会社4社+玄海原発他の中間クラス職員にメールで「説明会の進行に応じ、発電再開を容認する一国民の立場から真摯に、かつ県民の共感を得るような意見や質問を発信」(読売)すること、職場ではなく自宅からネットに接続することを指示。九電関係者も“国民”ではあろうがね。

7
九電本社原子力発電本部からのメールは「会社のPCでは処理能力が低いこと等から、是非、ご自宅のPCからのアクセスを御願い致します」と事細か。会社から送るとIPアドレス等でバレると思ったのか、頭隠して尻隠さず的な指示。どうせなら“我々は堂々と再稼動を訴えよう”と言えば良かったろうに。

玄海町長は「国は、テストをやらなくても原発は安全だと言っていたのに、菅総理大臣はストレステストを前提に運転再開を認めると言っていて、私の判断はむだだったように聞こえる。怒り以外の何ものでもない」(NHK)と容認撤回。気持ちは判るが、今や、この大事が町長判断で足りるとは思われない。

8
九電「やらせメール」で大騒ぎだが、手段はいじましいものの、運転再開を望む企業とあれば、それぐらいはやるだろうと思う。子会社への業務上の圧力だから悪いのかな。でも、2300人も転送された割に、実行者は少ない。逆に、もし脱原発派が仲間を駆って反対メールを出したら? それも非難される?

もう四面楚歌どころか八面楚歌みたいな菅総理だが、たしかにあれこれの無能無責任は否めないにせよ、こと原発対応に関しては、むしろ相対的には妥当と感じられる。仮に別の人間に替わっていたら、安全、心配ない、電気は必要だ、の勢いの中で総てが流されていたのではなかろうか?

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遅ればせに『ブラック・スワン』を観てきました。高尚な芸術作品にもなりそうな題材を俗っぽいほどの切り口で娯楽作に仕立てた映画。なまじのホラーよりも、神経に響く恐さ、ちょっとあざといけど。N・ポートマンは間違いなく熱演。もっとセクシーな女優だと空気が壊れるところだったでしょうね。

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「政府は9日、弾道ミサイルの発射を噴射熱源で探知する米国製の早期警戒衛星を導入する方向で検討に入った。東日本大震災を受け山林火災など防災にも有効と与野党に説明し、早ければ2012年度予算での取得費計上を目指す」(共同)放水車があれば炉心冷却に、戦車があれば瓦礫撤去に有効みたいな。

南相馬市から出荷された牛肉から暫定規制値の最大6倍余のセシウムが検出された状況は深刻だ。体表のスクリーニング検査はパスしていたので、要するに何らか内部被曝を意味する。でも、やはり唐木英明東大名誉教授などはテレビで“大丈夫。私は食べます”と安全強調。ならば規制は何のためにあるのか?

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九電“やらせ”メールは、呆れた子会社社員が共産党事務所に内部告発したことから明るみに出た(まず『しんぶん赤旗』に掲載)と報じられている。こんな指示(要請)が形に残る文書で出され、しかも、受けた関係社員2300人のうち50人しか実行しなかったのだから、別の意味でも企業として大恥。

南相馬市から出荷された牛肉に関連して福島県は、「餌のわらから1キログラム当たり75千ベクレルのセシウムを検出したことを明らかにした。県の推計では暫定基準値の約56倍に相当」「この農家は緊急時避難準備区域にあり、昨年秋に自分の水田で刈り取ったわらを屋外で保管していた」(共同)⇒

 「『申し訳ない』と頭を下げる【肥育農家の】男性に仲間が声をかけた。『あんたが悪いんじゃない。悪いのは東京電力だ』」(読売) 「わらは原発事故のあと4月上旬まで屋外に置かれ、(略)この農家は『原発事故のあと、配合飼料が不足していたので、使ってしまった』と説明している」(NHK)⇒

「同じ牧場から出荷された牛の肉が、静岡県でも流通」(FNN)し、既に販売、消費され、保管分から1998ベクレル/1kgの放射性セシウムを検出とのこと。 緊急避難準備区域で屋外に置かれていた餌を牛が食べて肉に濃縮。何の不思議もないし、個々の農家に深慮は期待しがたいとはいえ、無策。

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枝野長官は「菅首相が東京電力福島第一原子力発電所事故の収束について『最終的には数十年単位の時間がかかる』と述べたことについて、『廃炉などにどれぐらいの年月が必要になるかということと、周辺の皆さんに迷惑をかけている状況をいつ平常に戻せるのかは直接にはリンクしない』」(朝日)と認識⇒

人に希望は必要だろうが、原子力委員会が「炉内で溶融した核燃料の回収を2021年に始め、数十年後に原子炉を解体・撤去」と試算する「世界的にも前例のない廃炉作業」(読売)が進む中で、「廃炉と避難住民の帰宅は別問題【細野原発相】」(朝日)などと言えるのか?というか、帰宅させるのか?

福島の牛肉に関して細野原発相「一部をわずかに口にしただけで大きな健康への影響が出るということではない」(共同)そうなのかもしらんとは思うが、何とも部分修飾の多い発言。“一部”を“わずか”に口にした“だけ”で“大きな”健康への影響が出る“ということではない”……英訳なら超難問?

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「『ちゃんと指導を守った餌を与えていたら、放射性物質が検出されるはずがない』。こう憤るのは(略)農林水産省や県に検査強化を訴えていた厚生労働省幹部だ」(産経)たしかに当該農家は虚偽申告をしたらしいが、配合飼料の不足、値上がりの中で、目の前にある餌=ワラを与えるのも人情と思う。⇒

そもそも、その場所で自分達人間は変わらず暮らしているのだから……。全頭検査といっても、大変な手間だし、洩れも出るだろうし、基準以下でも“内部被曝”した牛の肉を食べたいかとなれば、一時期の野菜を洗う話とは次元が異なる。結局、実質だろうと風評だろうと、どれだけ被害を補償し得るかだ。⇒

“大丈夫”派と“危険”派は一層二極化しているが、危険だとしても長い将来に及ぶ緩慢な影響だろう。今や、大塚厚労副大臣が3月末に述べた“日本人皆で放射能と長く付き合って行くしかない。今までの基準を続けていたら、飲み物も食べ物もなくなってしまう”という類の見解を個々がどう判断するかだ。

「自衛隊は(略)『自衛隊原子力災害対処計画』を見直し、今回実施した放射線下の活動などについても計画に反映させることを検討。自治体や米軍との連携強化を念頭に訓練や装備の拡充も進め、能力向上を図る」(読売)政治的思惑は抜きに、以前から言われる災害救助に特化した組織を作る方が有効かと。

九電“やらせ”メールは関係社員2300人のうち50人が実行と報じられていたが、内部調査で「130人を上回る」(読売)そうな。「役員の一人は、『やらせメールが小さな問題とは言わないが、電力会社としては夏場の安定した電力供給の方が比べものにならないくらい大問題』」いや、言ってますよ。

原発はポリープみたいだ。ポリープならば問題なくとも、多数の中にはガン化する危険がある。実際、福島はガン化したのだが、どうやら、即、命取りではないらしい。ただし、今後長年、ガンと共存する日々を強いられる。問題は、(中には)ガンに変わりかねないポリープを他にも育みつづけるかどうか。

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高校野球福島大会は毎朝測定する球場の放射線量が毎時3.8μSv(年間20mSv)以上なら中止だが、13日は毎時2.2μSvだったので挙行。チェルノブイリ強制移住基準(事故後5年目以降)は、年間5mSv=毎時0.57μSv。野球の試合など三時間足らず、熱中症の方が身体に危険……か?

仮に毎時3.8μSv以上の放射線が計測されても、そこで何時間か過ごしただけでは影響は無いかもしれない。いや、むしろ無いだろう。ただ、一方で毎朝値を測るほど警戒するのなら、現に毎時2.2μSvという状況で、あえて試合を行なう必要があるのだろうか。拒否する選手や学校は出ないのかな。

細かいスピードは圧倒的に日本優位だが、点が入らないまま終盤まで進んで消耗戦になると苦しくなるかも。まだスウェーデンは守り優先の感じ。今後、選手を交代してロングボールを蹴り込むようなサッカーに変えてきそうな気がする。

と思ったら連続得点。スウェーデンの手(交代)が遅かったかな。

「道交法では、矢印信号が表示されている場合、その方向以外に進行することができない」ため「右折の矢印信号でUターンすると『信号無視』になる」が「交通量の多い交差点で青信号のときにUターンするのは難し」いので、警察庁は右折信号でUターン可能に改正する(産経)。いやー、知らなかった。

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九電の内部調査報告書によれば、原子力担当の段上守・元副社長(6月下旬に関連会社社長に就任)、諸岡雅俊・元原子力発電本部長(同前)、大坪潔晴・前佐賀支店長(現・佐賀支社長)の3人が会食、説明会の番組で原発再稼働への慎重意見が中心になることを懸念、賛成意見の投稿を増やす認識で一致。⇒

段上・諸岡→中村明・原子力本部部長(現・同本部副本部長)→課長級社員が要請メールを作成→協力会社4社と社内管理職に送信。大坪→支店総務部長ら部長3名→電気が止まると困る取引先(自動車関連会社や大口顧客等31社)に6通りの文例を持参するなどして依頼(読売)……完璧に“業務”だな。

福島県が「生活空間で、放射性物質の除染作業をする際の方法や注意点をまとめた手引を発表した。『除染によって子供の被曝の危険性を減らすことができる』」(産経)やらないよりは遥かにいいけれど、「【福島】市内全域の除染には、数年から十数年かかる見通し」(読売)だから、子供も大人に……。

牛肉の問題が宮城県にも拡大。農家に情報が伝わっていなかったとか秋に収穫したワラを春まで置いておくとは想定外だったとか例によって不備が発覚しているが、それよりも、原発から50km以上離れた白河市のワラを食べた牛に、僅か2ヵ月ほどでここまで放射性物質が蓄積したという現実が凄まじい。

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今の日本を活気づけるべく9年後にオリンピックを開こうという発想自体そもそも怪しいわけだが、そこは600歩(特に意味なし)ほど譲るとして、前回の誘致活動に150億円も税金使って成功しなかった経緯の検証・見直しは行なわれたのかね?次はもっと金かけようという話になるだけなのだろうか。

伊達市、本宮市のビニールハウスで栽培された原木シイタケから暫定規制値以上のセシウム検出。「最近の暑さで温度調整のためにハウスを開放することもあった」(日経)その程度で? 両市とも露地栽培は出荷制限中だが 「伊達市では(略)今回初めて施設栽培のシイタケを調査した」 状況は深刻。⇒

ワラやシイタケは(“極論”すれば)まだしも、もう、放出された放射性物質は大量ではない⇒放射能汚染は局限的という楽観は成り立たない。直面する大問題は、どこまで人体に取り込まれたかだが、それも結局、“ただちに健康に影響はない”とされてしまいそうだ。というか、そう糊塗するしかないのか。

『季刊メタポゾン』編集の息抜きにW・ワイラーの『探偵物語』。三度目くらいかな。『ローマの休日』には知名度劣るが見せる。原題“DETECTIVE STORY”は、後年なら『刑事物語』か。元は舞台劇で緊張感半端ないが、ネット評に「オーバーアクト」「暑苦しい演技」、そう映るのかねえ。

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「今回は、東日本大震災からの『復興五輪』を掲げる」「宮城、岩手、福島の被災3県の首長からは『9年後に復興した姿を見せたい』『ぜひ地元で競技を』と歓迎の声が上がるが、『五輪どころではない』との意見もあり、課題は残る」(読売)普通そうだろうなあ、しかも無下に拒めないし。有難迷惑。⇒

当の石原都知事、女子サッカー決勝戦に関して「とにかく最後にアメちゃんにだけは勝ってもらいたいな。そしたら、日本人は留飲を下げるよ。(略)コテンパンにやっつけてもらいたいな。俺なんか古い人間だから、65年の遺恨というのがあるわけだよ。戦にやぶれてからの」(産経) これで五輪を招致?

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レッドカードが試合終了間際だったことは幸運だし、PK戦の結果はどちらに転んでもだけれど、そこまで試合をもつれ込ませた最大の要因は沢の同点ゴール。コーナーキックに正対しながら右足のアウトサイドで合わせて斜め後方へコースを変えたシュート。本当に芸術的だった。

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ニュースでも色々な出演作の名前が挙げられているけれど、個人的には『竜馬暗殺』(監督=黒木和雄)。封切り時ではなく、数年後、池袋の文芸座で『肉弾』(監督=岡本喜八)と二本立てで上映されている時に観た。 bit.ly/ejDLGZ 簡潔で端的な映像によるエンディング。

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19日衆院予算委、菅首相の資金管理団体による政治献金問題に関して古屋圭司委員(自民)の質問。「【市民の党は】消費税の廃止、保険ではなく税による介護、累進課税の徹底、原発の即時廃止など典型的な極左社会党政党の理念と一致」。問題とは別に、原発廃止=極左の構図は、もはや無理でしょう。

38歳・魁皇の引退は一面ホッとしたけれど、一歳下のイチローはどうなっているのだろう? 6110打数31安打.282も好調には遠かったが、7月は62打数11安打.17715試合中8試合で無安打。去年(680打数)に準じると、200安打には284打数97安打.341が必要。辛い。

牛の餌用の稲わらが問題になっているが、一々「乾燥する前の水分を含んだ状態に換算」し、農水省が示す牧草等の暫定規制値300ベクレル/kgと比較している。水分を増やすので、たとえ超えていても値は数分の一程度に減るのだが、何の意味があるのだろう。牛は乾いたままの稲わらを食べるだろうに。

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自民党議員の菅攻撃=@脱原発を論ずるほど危険な原発技術をトルコやベトナムに売りつづけるのは外交信義に反する⇒では、やめるべきということかな? Aトルコやベトナムが日本の原発技術を信頼して導入するなら安全なはずだから国内で脱原発する必要はない⇒顧客がOKなら何を売ってもいいのかな?

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18日の東京は最高気温34.8℃、最低気温27.4℃。昨日21日の東京は最高気温23.6℃、最低気温18.2℃。僅か三日で各最高気温が11度余、最高と最低では16.6度もの開き。今も涼しいというより薄ら寒いほど。まあ、電力事情的には結構なんだが、この急落は快適の域を超えてます。

W杯サッカーで優勝した一員の言動が騒ぎに。総てが一変しただろう中で、無防備はつけ込まれる。佐々木監督の「W杯で結果が出なかったらこんなことにはならなかったかもしれない」(スポニチ)、近賀選手の「【ファンが】1週間後、1カ月後にどれだけ残ってくれるでしょう?」(日刊S)はリアルだ。

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bit.ly/omo4vB 独立行政法人・原子力安全基盤機構が原子力防災専門官向けに作成していたという資料。福島を文字通り“想定”したとしか思えないリアルなアニメーション。最後の「最悪の事態に至った場合でも、住民の方々に安心していただけるよう〜」とのテロップが空虚。

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昨日の原子炉トラブルのシミュレーション・アニメは、フォローしている佐々木譲さんもRTされていたと後で気づいた。しかし、安全委等の人間が全く引責しないことが不思議だったのだが、ある意味、実はあそこまで“想定”済みだったから責務は果たしていた、と考えているのだろうかとさえ思わされる。

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新潟県の79日の検査で、大手メーカー市販のパック入り牛乳(宮城県産)から13.5Bq/kgの放射性セシウムが検出と報じられている。bit.ly/o7zyz2 飲料水に関する日本の暫定規制値は200Bq/kg以下なので「問題なし」だが、WHO基準値は10Bq/kg。→

生乳の段階で200Bq/kg以下ならば、集められ、他の生乳と混ぜられ、結果的に薄められて製品になる。その健康への影響は判らないけれど、どうしてもうなずけない事は、事故直後または原発直近の地域ならまだしも、未だ全国に緊急時・災害時に準じて緩和された暫定規制値を適用している状況だ。

原子炉溶融アニメを作った原子力安全基盤機構は「原子力安全に関する専門家集団として、原子力エネルギーの潜在的な危険性から国民の安全を確保すること」を使命に2003年設立。現在、任期満了の理事長職を公募中。年収約18402050 万円。災害時は24 時間体制で勤務。目下、応募1名。

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「【農水省は】関東や東北地方の17都県で作られた堆肥や腐葉土などの肥料について、利用自粛を全都道府県に通知」(読売)「【鹿沼市から出荷の】腐葉土からは1キロあたり1700ベクレルの放射性セシウムが検出」(産経)現実的には田畑が無事とは考えがたい。今後、米はじめ波及は不可避か。

「腐葉土の放射性物質濃度の基準値はなく、現在、国が検討している」(読売) 食品等に関する暫定規制値同様、原発から離れた地域でも、非常時、緊急時との前提で緩和された値が設けられることだろう。というか、そうするしかあるまい。3.11前の平時に準じれば、そこら中が引っかかるだろうから。

農水省がコメ先物取引の試験上場を認可、約70年ぶり復活。「価格形成の場が作られ、取引の透明性が高まることを期待」と鹿野大臣(朝日)。東京穀物商品取引所が農水省に上場申請の『朝日』記事は“31日付”で残るが、今の日本はそんな事をしていられるのか? コメ自体危うくなりかねないのに。

『大西赤人 小説と評論』bit.ly/kUW1qt に「見ないフリをするか。許容範囲を拡げてしまうか。――5月・6月のツイッターまとめ(上・下)」をアップ。bit.ly/mPCrxm bit.ly/quI7Fy 日付を追って読めます。

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イオンがプライベートブランド「トップバリュ 国産黒毛和牛」について「放射性物質の有無を調べる自主的な検査」(読売)を開始。流通業界ではこういう流れにならざるを得まいが、「有無」といっても暫定規制値(500Bq/kg)を下回っていれば販売するのだから、不安の解消には距離がある印象。

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保安院による中部電力への「やらせ」指示に関し、森山善範・原子力災害対策監は「保安院まで報告が来ていないので、中身を把握していない。確認して整理して何らかの形で説明できるようにしたい。状況をよく把握した上で、どういう形で説明できるか検討する」(共同)。窮したにもせよ、グチャグチャ。

高岡蒼甫は以前は「反日」と叩かれたのに、今度は「嫌韓」と大騒ぎ。新たな「本人ブログ」 bit.ly/nTgCxf で経緯を読んだが、短いtwitterの危うさはあったにせよ、あの程度の意見発信で俳優引退とか夫婦亀裂とか、どこまで“お人形”であることを求められるのかね。

27日の衆院厚労委における唐木英明・参考人(日本学術会議副会長)の陳述。“牛肉の全頭検査が言われているが、食品の場合、加工品を全部検査したら壊してしまって食べる物がなくなるので、通常はロットからの「抜き取り」で行なう”。大量均一生産の品物の場合は、もちろんそれでも十分だろう。⇒

でも、今回の話は、限られた数の個体=牛における放射能汚染の有無・程度だ。仮に世論調査なら、千人に1人をピックアップすることで全体の傾向を測れるけれど、もしも胃ガン健診で千人に1人を見て異常なしだったから他の999人も無事と判断したら論外だろう。唐木氏は食の安全の権威というが……。

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至学館高校の今風校歌が話題だが、時代錯誤や凡庸な物よりは楽しいかな。甲子園で記憶に残る校歌は、優勝もした銚子商業。「幾千年の昔より海と陸との戦いの 激しきさまを続けつつ 犬吠岬は見よ立てり」(作詞・相馬御風)これだけ。30秒もかからず、いつも急いで校旗が掲揚されていた(笑)。

地震で寝そびれたついでに、銚子商業の校歌をyoutubeで検索。bit.ly/9FBUJj bit.ly/riUGNm ウーン、がなっているばかりで歌詞もメロディーも判らない。どうしてこんなふうに歌う(歌わせる)のだろう。もったいない気がするけど……。                                                【つづく】
(2011.10.28)