今週のコラム                                 大西赤人/小説と評論

“非常時”“戦時”などの物言いによる「国難」の怪しい強調――4月のツイッターまとめ(上)

大西 赤人



 東日本大震災から丸二ヵ月以上が過ぎた。地震と津波だけでも大被害だったところに、福島第一原発での事故が重なった。当初から振り撒かれた“安全は保たれている”“健康に影響はない”というような希望的観測とは裏腹に、解決への見通しがつかないままに時間が経過。事態収拾への道筋として東京電力が示した「工程表」とて、次第に伝えられる現場の実態により、ほぼ机上の空論に等しいことが明らかになりつつある。

“想定外の津波が起こったのだから、やむを得ない面もあった”とする見方は、既に地震直後に肝心の圧力容器に異常が起きていたとの報告で裏切られ、当初の“最悪の事態としての炉心溶融は避け得る”とする見方も、これまた当日のうちに既に発生していたとの報告で裏切られた。結局のところ、リアルタイムに報じられていたら大騒ぎとなったはずの――しかも、一部の人々は早々に予測・予言していたような――深刻な事態が、そこに意図的ものが介在したか否かはさておくにせよ相当な時間を経てから公表されることにより、“ああ、やっぱりそうだったんだよね”というような一種の諦めにも似た醒めた反応につながっている。

 わけ知りげな識者(?)が連発していた“原子炉の作りも、事故の経緯も、チェルノブイリとは全く違うんですから”という種類の物言いも、今や空虚。たしかに短期的に見ればチェルノブイリのような文字通り爆発的現象はなかった(今後もない)としても、複数の炉が危険にさらされている状況、とりわけ海を含めて自然界に放出されている放射性物質の継続的な規模や量などを考え合わせれば、むしろ正確にはチェルノブイリを上回る事態と見做すほうが妥当だろう。

 放射能は、よく言われるように色も臭いもない。原発建屋の中に無防備のまま入り込みでもしない限り、即座に死ぬこともあるまい。この先、今のような慢性的な重苦しい状況が蜿蜒と続くとしても、言わば何年か先、何十年か先に――日本人を主とする――割を食った人間の何%か0.何%かが被曝によってガンになるという“だけ”かもしれない。そんなふうに割り切ってしまえば、狭い日本のつい目と鼻の先で大事が発生していても、変わらぬ日常を送ることも出来る。

 その反面、最近では、平時ではなく非常時と位置づけることによる“国難”の強調も目立つ。たとえば、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーである長崎大教授・山下俊一氏は、5月3日、二本松市での地元民に対する講演において、こう述べている。

「忘れてはならない事は、今、福島の原発は未だ収束していません。『平時』ではないということであります。非常事態が今なおこの福島県を覆っています」
「【放射線とどう向き合うか】その根幹は、今、福島は非常事態であるということが第一の条件であります。平時には皆さん、【年間】1ミリシーベルトぐらいしか浴びない。しかし、非常時では、平時の基準は通用しないということであります。じゃあ、通用しなければ、どういう基準をもって皆様方の生活を守り、経済的な崩壊を防ぎ、家族がバラバラになることを防ぐことが出来るか。もっと言うと、どのように対応すれば福島を崩壊させずに済むかということが私が最も腐心した点であります」

 そして山下氏は、「非常事態」に基づき20ミリシーベルトに緩和された基準が危険と考えるならば自分の責任で逃げるしかないけれども、数字は一人歩きするものであり、100ミリシーベルト以下では発ガンのリスクは証明されておらず、「同じ痛みを分かち合い、そして、放射線といかに付き合うかをお手伝いしたい」「“安全”という言葉を安易には使いません。わたくしは皆様方に少しでも“安心”してもらえばということで話をしている」というのである。

 また、国際日本文化センター教授・戸部良一氏は、十日付『読売新聞』に、次のように書いている。

「こうした状況で感じるのは、これは『戦時』ではないのか、という思いである」
「もし今が戦時なら、戦時としての対応が必要である」
「平時を想定した手続きや慣習を、ときには『無視』して決断を下さなければならない」
「『今、日本に求められているのは戦時型のリーダーシップではないだろうか。リーダーは国民に、危機を乗り越え『戦い』に勝つ自信を与えなければならない」

 赤穂浪士にせよ真珠湾にせよ戦いに奇襲はつきものかもしれないけれど、誰も放射能との開戦など予期していなかったのに――いや、どちらかといえば“戦争は絶対に起きません”と聞かされていたはずなのに――突然“今は戦時なんだぞ”と言われ、その上、“過敏になるな、些細な事を気にしている場合じゃないぞ、戦時という自覚を持て!”とばかりに説教されるとは……。

 そして、その延長線上には、日本人、日本国民としてのあるべき“心構え”というような観点が強調されはじめる。橋下徹・大阪府知事は、先の府議会選挙における「大阪維新の会」大勝に加え、今般の状況を好機と見てか、凄まじい政策を打ち出した。

「地域政党『大阪維新の会』の府議団が5月議会に提出を目指す君が代斉唱時に教員の起立を義務付ける条例案について、大阪府の橋下徹知事は16日、『(起立しない教員は)絶対に辞めさせる』として、強い姿勢で臨む考えを示した。府庁で記者団に語った。
 維新府議団は同日、条例案の対象に府立学校だけでなく、府内の政令市を除く市町村立の小中学校の教職員も加える意向を示した。
 橋下知事は『国歌・国旗を否定するなら公務員を辞めればいい。公務員の身分保障に甘えているだけ』と強調し、『辞めさせるルールを考える』と述べた」(17日付『日経』)
「『これは君が代問題ではない。教員は職務命令を無視できるのか?の問題』。19日午前3時すぎ、橋下知事は自身の簡易ブログ『Twitter(ツイッター)』にこう書き込んだ」
「19日未明の自身のツイッターには『これが民主主義だ。大阪維新の会は大阪都構想を実現するために、1年半かけてカネも労力もかけて選挙を戦った。そして一定の民意を得て、今物事を進めようとしている』と書き込んだ」 (19日付『産経ニュース』)

 ここで君が代斉唱時の起立云々を一旦おいても、橋下知事の論理には矛盾が感じられる。たしかに多数を制すれば「民意」の反映という意味では――ポピュリズムの危険はあるにせよ――多数決こそ民主主義の極意とも言い得るだろう。しかし、それならば、そもそもどうして橋下知事は、様々な局面において、より上部に位置するはずの「国」に対して叛旗を翻し得るのであろうか?

 さて、当初は『季刊 メタポゾン』に関する広報を主目的に開始した僕のツイッターだが、大震災や原発事故を経て、『今週のコラム』に替わる意見発信の場と化している。140文字という限られたスペースは、意足らずな文章となって誤解を招く危険もあるけれど、元々ショートショートという短い形式の文章を書いていた人間なので、限られた範囲に最後は一文字、二文字を切り詰める作業は、決して苦手ではない。結果的に、「tweet(つぶやき)」というには少々重い枠一杯のものが多くなっている。今回は、4月の一ヵ月分をまとめた(相当な分量なので二回に分戴。リンクの一部は便宜上削除しています)。

1日
今日(1日)は、『季刊 メタポゾン』第二号のために、福島4号原発などの原子炉圧力容器を設計したサイエンスライター・田中三彦さんへのインタヴューを行ないます。田中さんは、昨年読んだ大変面白い本『たまたま』(L・ムロディナウ著、ダイヤモンド社)の訳者だったと遅ればせに結び付きました。

2日
引用 4月2日7:05PM(現在では削除) team_nakagawa 東大病院放射線治療チーム 三陸にも影響するだろう RT @nhk_news: 施設にひび割れ 汚染水が海に http://bit.ly/hNCPab #nhk_news

引用 4月2日7:31PM(現在では削除) team_nakagawa 東大病院放射線治療チーム ただいまスタッフ(三陸出身者)が個人のツイートを誤って流してしまいました。大変失礼いたしました。深くお詫びします。

“煮沸によって水道水のヨウ素を減らし得る”というツイートの否定(実際はむしろ濃縮される)をはじめ、訂正・謝罪を再三繰り返しながらの「安全」連呼に信頼が薄らいでいた東大病院放射線治療チームの twitter だが、先ほどスタッフのツイートと謝罪ツイートを相次いで削除。ますます失望。

謝罪の中に「スタッフ(三陸出身者)」とわざわざ出身を記していた理由は、「三陸にも影響するだろう」というコメントは、個人の郷土に対する想いによってバイアスがかかっている――だから科学的分析とは異なる――と言いたいのであろうか?

3日
http://bit.ly/g5SJO1 「復旧作業員の大量被曝に備えた自家造血幹細胞の事前採取について、内閣府の原子力安全委員会が『不要』と判断していた」(産経)。事実ならば「安全」の名が泣く。しかも、理由の第一が「作業員にさらなる精神的、身体的負担をかける」って、誰が嫌がる?

菅谷昭・松本市長=信州大学医学部卒。「1996年 25年勤めた信州大学を辞めベラルーシに渡り、現地で甲状腺癌患者の治療を行う」(ウィキペディア)。その3月23日定例記者会見 http://bit.ly/getqnc http://bit.ly/gDwkOr 現実を経験した人の言葉

「報道の皆さんも、【私の話を】刺激的な態度で出す、それはやめて下さい。私は事実を申し上げるだけでございます。皆さん、全部出してくれ、出さないから、そこで取っちゃうから、読んだ市民が非常にまた不安になるから、今日お願いしたいのは、【全部】書けないんだったら出さないでほしい」

その言葉通りに、こうして総てを見られることはまだしも幸いだ。現時点でのyoutubeのアクセス数は前半が8000余、後半が4000余に過ぎないけれど、政府や専門家の贅言を聞かされるくらいならば、この菅谷氏の話のほうが遥かに意味があるのではなかろうか。

4日
突然穴が空いた枠を埋めるテレビ局の都合で濫発された「ACジャパン」CMが非難を浴び少々可哀想な気もしていたが、急遽作られた「日本の力を、信じてる」や「今、わたしにできること」は、反復されるうちに一段と鼻につき、以前の金子みすずや仁科母娘の方がまだマシと感じられるようになってきた。

芸能人から“日本は強い国”とか言われても仕方ないし、それ以上に、「今、わたしにできること」と称しつつ、色んな顔が「××しよう」「××おこう」「××みよう」と(言わば上から目線で)提言してきて鬱陶しい。「わたし」なのだから、「します」「おきます」「みます」と宣言すれば良かったのに。

チェルノブイリで事故後5年間、汚染除去作業の責任者を務めたユーリ・アンドレエフ氏の見解(産経)。「(企業というものは)会社の利益を優先して行動するので作業から外す必要がある。幅広い知識を持つ経験豊富な技術者を日本中から集めて特別チームを編成し、作業に当たらせるべきだ」

「ソ連当局は事故の原因と規模を隠し、状況を悪化させた。日本では原子力政策と安全規制を同じ経産省が担当している。世界的にみても安全規制当局は原子力産業界に依存しており、独立した委員会を作る必要がある」「50人は少なすぎる。5千人以上を投入すべきだ」

5日
東電の勝俣恒久会長は、2007年の中越沖地震による柏崎刈羽原発放射能漏れの際(当時社長)、泉田新潟県知事に対し「今度のことを、いい体験に生かしていきたい。安心、安全な原発にしたい」(新潟日報)と述べていたそうだ。

原子力安全・保安院の会見で見事なまでの(!)平静さを連日発揮している西山英彦氏とは、実は現時点では原子力安全・保安院の職員ではないそうな。正式には経済産業省大臣官房審議官(通商政策局担当)。要するに原子力の専門家ではなく、完全なスポークスマン。あのしゃべりは、ある意味官僚の鑑だ。

http://bit.ly/etvtqM 佐々木譲さんも触れていた『毎日新聞』による原発事故発生後二日間の検証。総てが事実かは不明ながら、これを読む限り、菅首相の対応が十分だったとは言えずとも、無策と非難するのもいささか酷な印象。東電、保安院、安全委員会の対応があまりにお粗末だ。

経済評論家の森永卓郎氏が、日本経済の失速を防ぐために「まず原発のスイッチを入れよ」と提言している由。収入の減少が見込まれる場合は、支出の抑制を図ることが必須の第一義であろうに、こと電気(電力)に関しては、必要消費量が動かしがたい金科玉条として無条件に認められる不思議。

これまでなかった魚介類に関する放射性ヨウ素暫定基準値が野菜類に準じて定められたそうだが、さしずめ魚もホウレン草なみに水洗いしさえすれば、直ちに健康への影響はないということになるのであろうか。

6日
「ニコニコ生放送」で保安院の会見録画を見る。5日夜の説明は“ロンドン条約は、主に陸上で発生した廃棄物等を船舶等に積んで意図的に海洋投棄することを原則禁止しており、今回は陸上からすぐ隣にある海にやむを得ず排出するので、私どもの解釈では基本的に適用対象には当たらないと考えている”

“その他に気をつけなければいけない海洋汚染を防止するための一番基本的な国連の海洋法条約があるが、我が国は震災による原発事故への対応として最善の手を尽していると思っている。今回の排水は国内法に基づく危険時の措置として行なっており、人の健康への有意な影響はないと考えているので――”

“――国連海洋法条約の義務との関係でも直ちに問題になるものではないというふうに思っている。ただし、だからといって努力を怠ってはいけないので、引きつづきモニタリングや拡散を防ぐ措置にベストを尽くさなければいけないと思っている”……自分の都合に合わせて条文を解釈し、問題はないと主張。

国連海洋法条約第194条の3「この措置には、特に、次のことをできる限り最小にするための措置を含める。(a) 毒性の又は有害な物質(特に持続性のもの)の陸にある発生源からの放出、大気からの若しくは大気を通ずる放出又は投棄による放出」 完全に違反だが「できる限り最小」に努めるから可?

http://bit.ly/hMcPhQ 必見。本当に驚く。(冷温停止のはずの)5、6号機の地下に「毎分2リットル」の割合で水が溜まりつつあると確認され、それが溢れると警戒した東電の意向により、1万トン以上の放水が即刻認められたのだという。しかも、誰の判断か決定かも明かされない。

何も答えようとしない東電に食い下がるのはフリーランスの記者ばかり。ほとんどの大手の記者は、生ぬるい質問によって、事実上、先の追及を鈍らせる役しか果たしていない。既に原発の危機自体が日常化してしまい、このような重大な会見さえ夜中に行なわれて、もうテレビでは流される機会も減っている。

福島の総意が原発反対だったとは言えまいし、現実に地域への経済的恩恵もあっただろう。でも、この時期に選挙を迎えた都知事選候補者は、“東京を元気に”とか“強い日本に”とかと唱える前に、東京を主とする電力を離れた場所で作らせていた「結果」もたらした大被害をまずは謝って然るべきだと思う。

27日、2号機タービン建屋地下水たまりの放射性物質をヨウ素134→コバルト56→セシウム134、濃度を原子炉の水の1千万倍→10万倍と訂正。1日、1号機タービン建屋付近の地下水で基準の約1万倍のヨウ素→再評価。 4日、22〜31日に実施した敷地内の大気や海水等の測定結果→再測定。

6日、公表していた13日以降の1、3号機圧力容器内の圧力数値に計算ミス→誤差10%程度。その度に東電は政府や保安院から再測定の指示や再発防止の指示や注意を受けているが、幾ら混乱しているにせよ「他の電力会社のほか、第三者の専門機関に計測の支援を求める」(産経)有様で対処できるのか。

7日
「福島原子力発電所の事故では、地震の発生と同時に制御棒が動作し、『止める』という機能は、設計通り、完遂されました」(唐木英明・東京大学名誉教授)。この種の説明は多いけれど、「緊急自動停止」した炉は、十分な冷却を経てようやく「冷温停止」に到るのだから、緊急停止=完遂は点が甘過ぎる。

“反原発派がここぞとばかりにハシャいでいる”というような揶揄や反発もまま見かけるが、訴えつづけてきた人たちにしてみれば“だから言ったじゃないか”という昂奮に駆られても当然ではあるだろう。反面、事ここに到るまで結局のところ自分は無力だったという悔恨や虚脱も漂いはじめているようだ。

僕なども原発に否定的ではあったにせよ、有効な具体的行動など為し得なかった人間に過ぎず、何かしら書いてはいても、所詮はかない蟷螂の斧でしかなかったという想いは同様だ。 http://bit.ly/gB2yX8 (03 年2月) http://bit.ly/fvNvZo (03年5月)

これほどの事態が現実に発生し、原発に否定的な一定の「民意」が形作られている以上、将来の推移はさておき、少なくともそれを取りまとめ結集させるボードがあって当然のはず。今と逆に民主党が野党ならば幾分可能性があったろうけれど、過去に原発を推進してきた自民党がその役を担うとは考えにくい。

他方、長い時間で確実に弱体化させられた社民党や共産党への期待は、既成政党への反発を含め難しい。結果、草の根的な動きしか見えてこない。広範な盛り上がりといえば聞こえはいいが、異議申し立てが組織的な力を持ち得るか、継続し得るかは危うい。相手は“喉元過ぎる”時を待っていることだろう。

斎藤和義自身による『ずっと好きだった』の替え歌『ずっと嘘だった』がアップ・削除発動中。「ニコ動」=「この動画はビクターエンタテインメント株式会社の申立により、著作権侵害として削除されました」 「youtube」=「この動画はVictorさんによる著作権侵害として削除されました」

削除要請によって、むしろネットに点火されると思われ。ちなみに歌詞を転記。 この国を歩けば 原発が54基教科書もCMも言ってたよ 「安全です」オレたちを騙して 言い訳は「想定外」懐かしいあの空 くすぐったい黒い雨

ずっとウソだったんだぜ やっぱバレてしまったなほんとウソだったんだぜ 原子力は安全ですずっとウソだったんだぜ ほうれん草食いてぇなほんとウソだったんだぜ 気付いてたろこの事態風に舞う放射能はもう止められない何人が被曝すれば気がついてくれるのこの国の政府

この街を離れて うまい水見つけたかい?教えてよ やっぱいいや もうどこも逃げ場はないずっとウソだったんだぜ 東電も北電も 中電も九電も もう夢ばかり見てないけどずっとウソだったんだぜ それでも続ける気だほんとウソだったんだぜ 何かがしたいこの気持ち

ずっとウソだったんだぜ ほんとウソだったんだぜ   後半は「ウソ」→「クソ」に聞こえる。この歌(歌詞)に何らか圧力がかかるようなら日本は情けなさ過ぎる。

8日
http://bit.ly/enk48Z 地震直後の仙台駅前NHK定点カメラが捉えた映像。地平線方向で複数の強烈な発光が見られ、追って手前の広範囲が停電。変電所のスパークではないかと言われているが、詳細不明。そうだとしても重ねての大きなダメージと思われる。

東日本大震災では辛うじて被害を免れた女川原発だが、先ほどの地震で外部電源三系統のうち二系統が使用不能になったという。残る一系統により(3月11日の)緊急自動停止後の継続的な冷却を続けているとのことだが、不安なニュース。

青森県六ヶ所村の再処理工場(使用済み核燃料を集めてウランとプルトニウムを取り出す)でも外部電源が遮断。非常用ディーゼル発電機で給電、使用済み核燃料プールを冷却中。11日も外部電源を喪失、三日後に復旧した。すぐに危険はないにせよ、ここも以前から多くの問題点を指摘されていた施設。

『毎日新聞』による東電・榎本聡明顧問(副社長・原子力本部長だった02年、「トラブル隠し」が発覚し引責辞任)へのインタビューでの見解=「『水を注入するほかない。燃料がこれ以上溶解するのを食い止めたい』」「本来の冷却システム『残留熱除去系』の復旧には少なくとも1カ月かかる」

「原子炉内が『冷温停止』と呼ばれる安定な状態になるまでには数カ月」「汚染水の問題については、放射線量を放流できるレベルまで落とす浄化設備を今月中に着工。数カ月後をめどに、放射性物質を原子炉建屋内に閉じ込める対策も」「避難・屋内退避指示の解除などは、この段階が検討開始の目安」

「燃料の回収装置を新たに開発し、燃料回収を始めるまでに10年はかかる」「『我々が予測していなかった問題が次々と出てくる。現場の観察自体が難しく、思うように進まないのが今までの積み重ねだった』」

要するに、当面の危機を回避しても、「燃料回収」という後始末の開始に10年、その先まで膨大な時間と経費を要す(79年スリーマイルさえ解体未着手)。放射能とか抜きに金勘定だけでも、世間の経済至上主義の人々は原発のメリットを主張し得るのか? 現に起きた「想定外」は、もう根拠にならない。

テレビを点けたらNHKで「特報首都圏『原発 放射線 どう向きあうのか』」なる番組を放送しているが、何とフザけたタイトルだろう? なぜ我々は、それらに“向き合う”ことを強いられているのか。お母さん達が、今では冷静に放射性物質に“向きあう”――“折り合いをつける”と淡々と話している。

いきなりブン殴られたのでビックリ仰天している人間に、“別に血は出ていないし、骨折もしていませんよ。まあまあ、しばらく我慢していれば痛みもひきますよ。だから、殴られた現実と冷静に向き合いなさい”となだめているだけではないか。殴ったのは誰なのか、それで済むのか。

「斉藤が所属するレコード会社『ビクターエンタテインメント』は、歌っているのは本人と認め、『映像はプライベートに作られたもの。アップロードの経緯が不明で、意図しない形で公になったことは遺憾』としている」(共同)「本人や弊社の許諾がなく動画投稿サイトに公開された」(中日S)=企業防衛

先日「低レベル汚染水」を海に出して大騒ぎだったが、他方、東電は「2号機の取水口付近にあるコンクリート製の穴(ピット)の周辺から海へ流出している水に含まれる放射性ヨウ素(ヨウ素131)の濃度が、国が海水などで定めている濃度限度の1億3000万倍以上」(しんぶん赤旗)と発表している。

この2日採取分の検出結果(FNNは「1億倍」と報道)の東電発表をマスメディアでは案外軽く扱っていたようだが、1億倍で計算しても、その水がたった1cc流れただけで、先日の低レベル(基準値の約100倍)汚染水100トンに等しい計算になる。1リットルなら1000倍だから10万トン……。

9日
「東京電力福島第一原発の1、3号機で発生した水素爆発は、経済産業省原子力安全・保安院が想定していない事態だったことがわかった」「設計上は格納容器から水素が漏れないようになっている。国の安全審査でも、漏れてしまったらどうするかという設計上の手当てはされていない」(読売)

「水素爆発の可能性が高いっていうことは、一般の方は判らないと思うんだけど、我々――僕はもう三十年以上前に現場を離れちゃったけど、あれはかなり一本道ですね」(田中三彦・元福島四号機圧力容器設計者)『季刊 メタポゾン』第二号掲載予定・緊急インタビュー「生きる境を見直すとき」より。

http://bit.ly/frz2vJ 釜石市で津波により二階建民宿にポンと乗っていた観光船「はまゆり」を解体・処分する方針という。本来は何とも悲惨な光景ながら、最初に見た時、あまりのシュールさに唖然とした。無理とは思いつつ、むしろ震災のモニュメントとして残してほしい気持ち。

8日までに福島第一原発で作業に当たった作業員の内訳(共同通信) 東京電力290(復旧全般) 日立製作所180(配管処理や坑道の排水処理) 東芝190(外部電源の設置) 大成建設130(瓦礫の撤去) 鹿島150(瓦礫の撤去) 関電工20(電気設備の復旧) 続く

【承前】東京エネシス(東電グループ)65(機械、電気設備の復旧) 東電環境エンジニアリング(東電グループ)50(作業員が受ける放射線量の管理・測定) ※東電以外はグループ企業や下請け含む概数 8日早朝の構内作業員352人のうち東電社員以外は62人。詳細な稼働状況、労働実態は不明。                                                                              【つづく】
(2011.5.24)