今週のコラム                                 大西赤人/小説と評論

ツイッターでたどる東日本大震災と福島原発事故

大西 赤人



 大変な出来事が起きてしまった。平穏な畑や建物や、普通に道路を走っていた車などが、川を遡《さかのぼ》った津波の数百メートル幅に及ぶ濁流に呑み込まれて行くあまりにも現実離れした光景を同時進行で眼にしたことは、テレビ画面越しとはいえ、阪神・淡路大震災の黒煙が立ち上る市街地や、9・11の崩れ行く世界貿易センタービルと同様、これからも決して忘れることの出来ない記憶になるものと思う。

 そして、地震や津波だけでも未曾有の被害であったのに、福島第一原子力発電所の事故は、むしろ地震や津波さえ上回るほどの広範囲かつ長期的な災厄を日本全体にもたらしかねない成り行きである。僕個人は、地震によっては特段の痛手とて受けなかったものの、本サイト管理人である鈴木君が福島市の住人だったために色々な実状を知らされたし、こと原発に関しては、放射能についてはひとまずおくとしても、計画停電をはじめ、日常生活への様々な影響を感じはじめている。

 この二十日ばかりの間、福島の状況に関する政府、マス・メディア、多くの「専門家」と呼ばれる人々による何とかして“安心”を振り撒こうとする姿勢に較べ、海外から向けられる評価は極めて深刻なものに見える。悲観的な展望を裏切る収束が訪れてくれれば、もちろんそれに越したことはないのだけれど……。

 さて、今回の震災に当たっては、固定電話や(メールを含めた)携帯電話がつながりにくかった中で――パケットが小さく、通信の集中によっても阻害されない――ツイッターの存在がとりわけ注目を集めた。僕も、揺れの直後から様々に書き込みをしていたので、今回はその流れをまとめておこうと思う(ツイートに記したリンクの一部は便宜上削除しています)。


11日
ラジオの国会中継を聴いていて、初めて生で緊急地震速報を耳にしました。東北と聴いたので身構えただけだったけど、相当ひどくて(北よりも南方向が強かった?)本や花瓶などが相当量落ちています。余震も続いていて、片付ける気持ちにない。あと、集中しているせいか、家族に携帯メールが送れない。

テレビの釜石や小名浜は大変な状況です。さっきまで車が走っていた道路が海です。逃げられただろうか? 津波の勢いで沢山の自動車がゴロゴロと転がっています。

仙台では川を津波がさかのぼっています。海から離れた平地でも濁流に呑み込まれています。とんでもない状況です。

携帯や有線電話は通じにくいか通じません。ネットのほうが生きているようです。海から離れていても、川を上がって溢れています。海から10キロ程度さかのぼります。車で逃げても間に合いません。高台かコンクリートの建物の高層階に避難しろと言っています。

地震は一回+余震ではなく、宮城沖で2回、茨城沖でも独立に1回発生しました。東北だけでなく、千葉ほか関東地方などでも(川をさかのぼる)津波の危険があるようです。

危機を煽るべきではないが、福島県が福島第1原発2号機の半径2キロ以内に避難命令を出した。「原子炉内の水位が低下しており、このまま低下が続くと、原子炉内の燃料棒が露出する恐れがある」(産経)。国は“万全を期す”というが、非常用のディーゼル発電機が止まっているのに、どう対処するのか。

12日
「在日米軍にできることがあれば全面的に協力したい」とのルース駐日米大使による申し入れを受け、「外務、防衛両省で米軍の協力をあおぐべきかどうか検討している」(産経)というのだが、これだけ壊滅的な被害が出ているのに、サッサとやってもらえる事がないのだろうか?

今の枝野官房長官の会見でも、米軍については、まだ「検討中」……。

福島第1原発は、冷却水の水位は下がっているものの、ひとまず落ち着いているとのこと。電源車による電力の供給が間に合ったらしい。とにかく、このまま収まってほしいものだ。

今度は、格納容器内の圧力が上昇するので空気を外に排出するかもしれないとのこと。NHKで解説している専門記者は、不安を煽らないためなのだろうけれど、さっきから終始、大事ではなく、ごく何でもない当たり前の対応が未然に採られているかのような言い方だ。

不安を助長しないためというのも判るにせよ、原子力安全・保安院の会見があまりにも曖昧過ぎる。確認、確認と言っているけれど、一方ではテロップが炉心温度2700度と流れている。最悪の場合、周辺住民の命に関わる段階ではないのか?

13日
現在の福島原発は、ブレーキを踏んでも効かない、サイドブレーキを引いてもダメ、キーを切ろうとしても回らない、このままでは激突してしまうというので、車は壊れても仕方がないとガードレールにぶつけながら止めにかかっているというような状態ではなかろうか。異例の手段だから確たる裏付けもない。

原発についての賛否とは別に、今、文字通り必死の思いで携わっているに違いない現場で働く人たちの心境は察するに余りある。とにかく、CNNが“This is a serious situation”“the situation is dire”と報じる目下の危機が回避されんことを。

枝野官房長官は「【被曝した人の】健康に大きな被害はない」とか「【放出した蒸気は】人体に影響を与えない」とかと自信ありげに言って(言わされて)いるけれど、すぐに体調の異変が起きるような放射能だったらとんでもないことだ。将来的な危険性について現時点で容易に断言し得るはずがない。

NHKは昨日の爆発シーンの瞬間が流れない(日本テレビでは流れた)。各局が定点カメラで撮っているはずなのにリアルタイムの映像が出ないのは、もしも突発事態がそのまま映ってはパニックにつながりかねないとの思惑、それを踏まえた政府筋なりからの指示があるためではなかろうか。

不安を助長しないことも極めて重要だが、実際の状況、その情報をどこまで伝えているのか。海外は遥かに深刻に状況を受け止め、注視している。

「アメフトで言うとへイルメアリー(劣勢にあるチームがゲーム終了間際に得点を狙って投げるロングパス)だ」という米専門家の言は、比喩として不謹慎な嫌いもあるけれど、非常によく判る。十分な成算が見込める選択ではないが、勝利の可能性を求めるためには、これをやってみるしかないということだ。

原子力情報室の会見が昨日からストリーミングされていて、左翼嫌いの人たちは“反原発の連中が政治的にやっていること”と冷笑しているけれど、特に設計者の分析は、枝野長官や保安院の話とは全く違う。3号機に海水を入れて効果がないとなると、プルサーマルだし出力も大きいし、一層厄介。

震度9を想定して設計しても、震度9.5が起きればダメかもしれない。震度10を想定しても震度10.5が起きるかもしれない。スペースシャトルはテン・ナインの安全性と言われながら事故に遭った。絶対の危機管理は不可能としたら、最悪の事態の影響を考えるべきで、原始力=核はそれが甚大過ぎる。

14日
TBSが、原子力安全保安院や東電の会見を経時的にまとめていたが、不可解、不明確な点ばかり。特に、1号機に海水を注入したのに、同じ過程をたどっている3号機に13日午前9時から「真水」を注入し、午後になって注入が出来なくなり、「海水」に変更、しかし今も水位は上がっていないという。

「海水」を入れてしまえばプラントの廃棄に等しいので、プルサーマルを始めたばかりの3号機に何とか「真水」による対処を模索したかったのかもしれないが、事ここに及んで1号機に準じない判断が判らない。しかも、3号機(78.4万kw)は1号機(46.0万kw)よりもグンと出力が大きいのに。

「3号機では13日朝から、冷却を促進するホウ酸水を炉内に注入する作業が行われている。1号機では緊急措置として海水も注入したが、今回は原子炉のダメージを抑えて再使用を容易にするため、ホウ酸水のみの注入を選択したとみられる」(読売)

プルサーマル「事故が発生した場合には従来の軽水炉よりプルトニウム・アメリシウム・キュリウムなどの超ウラン元素の放出量が多くなり、被ばく線量が大きくなると予測される」「原子炉の運転や停止を行う制御棒やホウ酸の効きが低下する」(ウィキペディア)

“原発ダイジョブでっせ”派(説)と“原発アキマヘン”派(説)との落差が極端過ぎる。公式発表は前者に近く、予告した3号機爆発が起きても枝野長官は「格納容器は健全だという認識の報告がある」「放射性物質が大量に飛び散っている可能性は低い」と“安全”の推測――むしろ期待――を述べるだけだ。

計画停電に関する東電の不備はやむを得ない面もあると思う。突然に停電が発生することに較べれば、予告で混乱するほうがまだましだ。日本は、悪い流れをひた隠しにし、結果的に一層事態を深刻にしてしまう例が多い。前もって冷静に負の危険性を伝えておくほうがいい、それは不安の煽動とは違う。

しかし、記者会見で「せざる、おえない」と力説する枝野長官は……。それと重要な点は、格納容器内が3〜4気圧で「安定」と言われるが、設計者によれば、廃棄物が外気に出ないように平常時は陰圧(1気圧以下)だという。つまり、3〜4気圧とは、異常な状態が安定(継続)しているということになる。

「参議院インターネット審議中継」では、11日午後の決算委員会の録画が見られる。揺れに気づき委員が天井を見上げはじめてから一旦収まるまで約二分半、皆、無力に待ちつづけている。総理以下の中枢が出席している場なのに(その際、テレビ・ラジオでは流れた)緊急地震速報が伝わっていないのだ。

15日
バルブが閉まってしまったから水位が下がったということなのに、その理由・原因を聞かれると、“現場は判っていると思うが、私は判らない、確認していない”……。どうして記者会見の途中で中継を切って、スタジオの解説委員がフォローにかかってしまうのか? 解説委員のほうが実状を知っているのか?

一定の異状が発生している時、現実問題として安全である(健康被害がない)ことと、状況としてそれで問題ないこととは異なると思う。健康に影響がない「から」現状及び現状をもたらした事態が許容されることにはなるまい。もしそうなら、そもそも異状と見なす基準事態が不必要ということになるはずだ。

60キロ制限の道路を150キロで飛ばしている、でも、誰も轢いていない、どこにもぶつかっていない、片道三車線の広い道だから安心、F1なら300キロ出すでしょ……だから大丈夫みたいに聞こえてしまう。それなら制限を150キロにすればいいはず。まあ、非科学的な素人の戯言と言われそうだが。

福島原発は、地震後に緊急停止して核反応は止まっているという前提があった。だから、原発支持(?)派は、チェルノブイリのような「暴走」は起きないと説明してきた。しかし、現在は、2号機再臨界(停止した核反応の再開)を安全院さえ可能性として言及しはじめた。極めて深刻だ。

各地放射線レベルに関する早野龍五・東大教授のtwitterも、測定地点は異なるが、「全く全く問題ありません」→「健康に影響はありません」→「このレベルでは無害」→「ただちに健康被害が出るレベルではない」→「健康にはまだ影響は出ません」とニュアンス変化している。

TVを見ていて疑問。@蜿蜒海水を注水しているのに、1〜3号機が満たされない理由。A2号機の水位が下がる理由。B完全に海水に没したとして、冷え切る(安定する)までに必要な給水時間。C年間被曝許容量を一時間(以内)で浴びた場合の健康への影響。D微量な放射能の「直ちに」ではない影響。

http://bit.ly/fukGU4 大前研一氏による13日時点の分析。端的で明快。

16日
【崩壊熱が十分減るまでには数ヶ月から年単位の長期戦になる可能性】=「B完全に海水に没したとして、冷え切る(安定する)までに必要な給水時間」への答と解釈し得るだろうか。とすれば、「数ヶ月から年単位」の継続が必要? 大前氏は“50年、100年先の人に任せるしかない”との言い方だった。

未だ“反原発の連中は異常”“電気使うな”“宗教”“日本を潰しにかかってる”など、お前ら呼ばわりの罵倒が少なくない。だが『朝日』(は偏向と言われるか?)夕刊は「幼い子どもは大人に比べ甲状腺がんになる確率が100倍以上も高い。『放射能からまず子どもを守る』を社会で共有したい」とまで。

「経済産業省は15日、東京電力に対し、同社福島第1原発4号機の使用済み燃料プールに早期の注水を行うよう、原子炉等規正法に基づき、海江田万里経済産業相名の命令を出した」(時事16日1時22分)。他方「安全のはずが命がけ…怒る自衛隊・防衛省」 http://bit.ly/eUFLLc

ウィキペディア「東海村JCO臨界事故」によれば「会社の人達は初め、誰も止める作業をしなかった。国からの代理人が『あなた達でやらなければ強制作業命令を出した後に、結果的にする事になる』」と迫り、JCO関係者らが数回に分けて突入し事態は停止、被曝24名、死亡2名を数えた。今回は……。

夜中の4時に原子力安全・保安院の会見を見ている人は多くないだろう。しかし、責めたくないがこれはひどい。責任をもって答える人間が居ない。主任(?)らしい人物はしばしば絶句し、裏の人間と相談し、時に横の人間がマイクを取って答えている。それも要するに“あまり楽観は出来ない”というだけ。

現場では、厚労省が「首相官邸からの要請を受け、今回の原子力災害の拡大を防止するための応急対策」として「福島第1原子力発電所の事故を受け、同原発に限って、緊急作業に従事する労働者が受ける放射線量の限度を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げ」(日経)て作業を進める。

http://bit.ly/gikYZF 反原発とか何とかどうでもいい。危険視が杞憂に終り、再び“反原発の奴らがデタラメ言っていた”となれば、それはそれで実に幸運なことだ。でも、放射能は、原発賛成・維持・擁護・推進・容認派の人々を見分けて避けてくれるわけではない。

「1時間当たり400ミリシーベルトの放射線が出る現場では、限度100ミリシーベルトでは15分しか作業できないが、250ミリ以下だと30分以上作業できる」(日経)。「【20キロ圏内作業途中】計測値は自衛隊の内部規則で定められた限界値(1日に1ミリシーベルト)の半分に達した」(朝日)

初めて計画停電実施中。懐中電灯よりも、バッテリー駆動のノートPCディスプレイが照明代わり。復旧までには切れてしまうか?

17日
ツイートする気力が下がっています。ネガティヴな事しか書けない状況だからです。自衛隊ヘリの散水や機動隊放水車、自衛隊消防車の放水を見ていて、江戸の大火に天水桶と竜吐水で立ち向かうさまを連想しました。米原子力規制委員会(NRC)は第1原発の半径80キロ以内に住む米国民に避難を勧告。

明日には地震発生一週間。ようやく電源が復旧し、冷却装置稼動の可能性が言われている。既に爆発や火災が重なってきた中で、ポンプや変圧器配管など諸設備の機能が無事かどうか……。

18日
これは可哀相な濡れ衣だなあ。「予定されたCMを自粛するスポンサーが相次ぎ、その空白を埋めるため」テレビ局が大量に使ったのに「あまったCM枠を買いあさっているのか」と抗議されたACジャパン(旧公共広告機構)。だから最後の音声が消えたのか。

経験者の言に価値は? チェルノブイリ被害対策に当たるウクライナ非常事態省の専門家作業部会は「水で冷やす代わりにスズなどの金属を原子炉に注入すれば、熱を燃料棒から奪う上、放射性物質の大気中への拡散を低減する効果もあるとしている」(共同)。

http://bit.ly/dGZwW4 http://bit.ly/e731Gw 武田邦彦・中部大学教授の「1時間あたりの放射線」と累積放射線との関係。「C年間被曝許容量を一時間(以内)で浴びた場合の健康への影響。D微量な放射能の『直ちに』ではない影響」への回答と感じられる。

19日
http://bit.ly/gWGNEs 散水、放水は焼け石に水。鍵は最初から(冷却装置の)電源復旧。今となっては、復旧しても動くとは限らない。学者や政治家は無意味。東電では対処できない。福島原発を作った東芝、日立の技術者を集めるべき。最悪の事態を想定して、セメントを準備すべき。【注:広瀬隆氏の発言から】

過去に総ての原発を一時的に停止したが電力は足りた。火力、水力でバックアップ可能。現在は火力にもトラブルが発生しているための不足。火力発電はこのような事故は起きない。「反原発」の煽りと受け取る向きも多かろうが、“これが間違っていればいいんですよ、私が言ってる事が”と広瀬氏。

年間100万円貯めるにはどうしよう。時給10万円なら10時間、時給40万円なら2時間半で達成。だが、普通人にはあり得ない話。では、時給5千円でも2千円でもなく、僅か5百円なら? 当然「直ちに」は貯まらない。不可能? でも、24時間働き続ければ1万2千円、1年では438万円になる。

「被曝線量が100ミリシーベルトを超え始めた。東京電力が19日未明、会見で明らかにした」「【厚労省と経産省は】福島第一原発で緊急作業にあたる作業員の被曝線量の上限を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げている」(朝日) 大増員して交代で個々の値を減らせないのか?

A:原発安全を唱える。予想が当たれば無事(現状維持)だし、否定派を嘘つきと非難できる。外れれば被害を受ける。B:原発危険を唱える。予想が当たれば被害を受ける。外れれば無事(現状維持)だが、擁護派から嘘つきと非難を受ける。結局、現時点のBにはどちらに転んでも積極的なメリットはない。

20日
http://bit.ly/gua3Ca 丁寧な説明だが、「放射能は大気の流れに沿って拡散して広がり、広がった分だけ薄まり」から「発電所で1時間あたり100ミリシーベルトであった放射性物質が(略)、東京方向に向かって365日流れ続け」への一変が不思議。放射能と放射性物質は同義か?

21日
やっと「2号機では、早ければ21日中に中央制御室に電気が通り、▽空調や▽原子炉の温度や圧力をモニターする計器類など、一部の機器が復旧する見通し」(NHK)

裏返せば、地震以来、炉にとどまらず、「安全に運転するための頭脳部」とされる中央制御室にさえ電気は通じず、モニターや計器も動いていなかったと考えられる。針や数字を睨みながらの苦闘でさえなく、ほとんど何らの手がかりも得ることのできない中で対応を探っていたのであろう。恐ろしい話だ。

22日
この機に乗じて募金詐欺をする奴も車上荒らしをする奴も居る。もっと大きく見れば、ここぞとばかり株や先物で儲け(ようとし)ている輩もあるだろう。それは、どんな悲惨な出来事に際しても同じに違いないし、遠い海外で起きていれば、”日本人に被害はありませんでした”の一言で終るかもしれない。

でも物思う人ならば、自分の立ち位置を激しく揺さぶられていることだろう。まして何らかの創造に携わる者は、自らの作品が果たす役割に対しての懐疑に襲われているのではなかろうか。大西も、時に根元的な虚しさに駆られつつ、それを圧し殺して『季刊メタポゾン』第二号の編集作業を進めているのだ。

国際原子力機関(IAEA)による21日の発表によれば、「原発から約20キロ離れた福島県浪江町付近で通常の約1600倍に相当する毎時161マイクロシーベルトの放射線量を測定した」(共同)とのこと。 文部科学省の調査では浪江町で15日、毎時330マイクロシーベルトが測定されていた。

19日には毎時132〜136マイクロシーベルトを観測し、この時、原子力安全・保安院の会見で経産省の西山英彦審議官は「直ちに健康に影響する値」ではないが、「ずっと外にいれば」年間に自然界で浴びる量を1日で超え「あまり体に良くないので気を付けてほしい」(河北新報)としていた。

当初よく言われた胃のレントゲンが一回600マイクロシーベルト、最近引き合いに出されるようになった一ケタ上のCTスキャンが一回6900マイクロシーベルト。事態が収束するとの大前提があれば、このような値と比較してひとまず安堵し得るとしても、その大前提を踏まえ得るのかが問題。

ちなみに、文科省の「日常生活と放射線」 http://bit.ly/hAgxVJ は故意ではなかろうが非常に見にくい。事実『JCASTニュース』 http://bit.ly/hey1Yz は、この表を見誤ってCTスキャン「1回の放射線量は5万マイクロシーベルト」と記している。

23日
人は忘れる。11日の枝野長官の会見を再掲。「現段階で放射能漏れはなく、外部への影響は確認されていない。被害が出る状況にもないという。枝野長官によると、福島第一原発では、現在でも冷却機能が確保されており、冷却を継続しているが、今後も冷却を続けるための電力が確保できていない、という」

「このため、一定時間で対応できれば、問題は解決するとし、対象区域内の居住者・滞在者は『直ちに特別な行動を起こす必要はない』と冷静な対応を求めた」(ロイター)。「繰り返しますが、放射能が現に漏れているとか、現に漏れるような状況になっているということではございません」(首相官邸HP)

原発建設推進を訴えるイスラエルの学者によれば、我々は放射線「ヒステリー」だそうな(産経)。成程、マスク、帽子、長袖で歩き、雨に濡れず、窓やドアを閉め、エアコンや換気扇は使わず、野菜は洗う。念のために避ける水道も牛乳も、総て元々”直ちに健康に影響はない”のだ。騒ぐほうがアホですか。

東電は第一原発正門付近で「これまでに2回だけ計測されたとしていた中性子線が、12 〜14日に計13回検出されていた」と発表、「観測データの計算ミスで見落としていた」が「現在は測定限界以下で、ただちにリスクはない」とした(読売)。中性子線の有無は事態評価の大きな要素で、お粗末過ぎる。

一方、ネットで流れていた保安院検査官が15日に原発を離れたという話は、会見で追認。西山審議官は一時撤退した理由を「安全性に問題があり、人間が暮らすには不便が多かった」「食料をどう運ぶかという問題もある」などと説明(読売)。まあ、残っていても役に立ったか怪しいけれど理由が情けない。

http://bit.ly/fq3wqU 70〜80年頃に「同原発の安全性を検証した元技術者」は「M9の地震や航空機が墜落して原子炉を直撃する可能性まで想定するよう上司に進言した」が、「『千年に一度とか、そんなことを想定してどうなる』と一笑に付した」。“想定”とは、その主次第。

農産物の放射性物質に関して17日に定められた食品衛生法「暫定基準値」2000ベクレル/kgは”国際的にも極めて厳格な基準”と報じられているが、従来の日本は、輸入食品を370ベクレル/kgを基準にハネてきた。 http://bit.ly/cjQG1f 今まで無駄な事をしていたのか?

飲料水に関しての基準はなく、WHO http://bit.ly/f5TnyP に則り、ヨウ素、セシウムとも10ベクレル/リットルとしていたが、これも急遽17日の「暫定基準値」でヨウ素を300、セシウムは200と設定。今日、東京ではヨウ素200前後が検出されて乳幼児基準を超えた。

「そうだったのか!池上彰の学べるニュース3時間SP」で松本義久・東京工業大学准教授の話をチラチラ聞いていて、ビックリ仰天しました。野菜にも水にも実質的問題は全くないし、“私たちの体は(放射能)に対する「お守り」を持っている”から心配は要らないそうです。本当ならばいいけれど。

ある時期、日本では「専門家」不信が火を噴いていたわけだが、今般、原子力の「専門家」として多くの学者がメディアに登場している。問題は、たとえば自動車工学の「専門家」が上手な運転をするか、栄養学の「専門家」が美味しい料理を作るか、建築学の「専門家」が綺麗に板を削るかということだ。

24日
信頼し得るかと思いフォローしている東大病院放射線治療チームのtwitterが“高揮発性のため、水に含まれたヨウ素は煮沸することで幾分取り除くことができる”に批判を受け、実験してみると“水道水を煮沸すればするほど水蒸気だけが飛んでI-131が濃縮されました”と謝罪・訂正。何たる事。

作業員三人の被曝に関して、枝野長官は「水につかって“しまった”」とあたかも個人のミスであるかのような言い方。“三人は、もう作業には戻らないのか”と聞いた記者は居たが、これまでの被曝の有無(総計で許容量の250ミリシーベルトを超えたのか)を訊ねた記者は居なかったように見える。

先日のテレビで、地震の際に建屋の中で働いていた作業員が話していたけれど、命からがら逃げ出す際に、使用済み燃料プールから揺れで溢れた水を頭からかぶったと話していた。あの人たちについては計測したのだろうか?

25日
福島原発から20km圏内の避難指示に関し、「危険性」ではなく物資流通など「社会的な要請」から30km圏内への拡大検討。20→30で5割増しと感じるのは錯覚。円の面積はパイr二乗だから、ほぼ陸側の半円として考えた場合、20km圏内157平方kmが30km圏内353平方kmと倍増以上になる。

先日起きた金沢での主婦殺人事件に関して、容疑者は「NHKの元外部委託カメラマン」と散々報じられた。委託なら他にも色々な会社の仕事をしていただろうに、NHKばかりが強調。その裏返しで、東京電力の「協力会社」という曖昧な言い方をせず、それぞれ正式な社名を発表しほうがいいと思う。

今の大気や水や野菜が健康に被害を及ぼすことはない――当面問題ないという理屈は判る。でも、何らかの基準が設けられていて、それを色々な物が超えていることは事実だ。その一つ一つに「専門家」が“安心です”“心配ありません“冷静に”と繰り返すなら、そもそも何のために「基準」を作ったのか?

制限速度30キロの道路を40キロ、中には70キロ、80キロで飛ばす車を見て歩行者が心配しているのに、“大丈夫、ぶつからないし、轢いてもいませんから”と「取り締まる側」が一生懸命説明しているように見える。それなら、実際に事故を起こさない限り、道交法違反の点数も罰金も無しでよかろう。

「水たまりから、通常の原子炉内を通る冷却水の約1万倍の濃度の放射能を検出」(朝日)。「胸の線量計は、20ミリ・シーベルト以上を超えると、9分間にわたり断続的にアラームが鳴り続ける。この作業中にアラームが鳴ったかどうかは確認されていない」(読売)。作業員に一体どんな指示をしたのか?

奈良林直・北大教授「チェルノブイリのようなことは起こらない、と言い切ってよい」(毎日)。同様の爆発は起きないにせよ、オーストリア気象地球力学中央研究所は、福島事故後3−4日間に放出された放射性物質量は、既にチェルノブイリ事故後10日間の約20−50%に相当との試算(ロイター)。

「2人については、はいていた下着に水が染み込んでひざの下までぬれており、この部分は1時間当たり500マイクロシーベルトの汚染だった。放射性物質に汚染された水で足がぬれたとみている」(毎日)。とてもでじゃないが、枝野長官が言ったような「水につかってしまった」という次元の話ではない。

判ってきた事。三名は関電工2、その下請け会社1。「放射線量を測定、管理する担当者は同行していなかった」「線量計のアラームが鳴っても故障と思い込み、作業を継続したとみられる」「関電工は、原発内で水に漬かっての作業は想定しておらず、マニュアルでは長靴を使う基準がなかった」(スポニチ)

「与謝野経済財政相は『大事なのは生産拠点に連続して電力を供給することだ。そのためには一般家庭などの節電をお願いする。もう一段の節電には、電気料金の体系を変えるべきではないか』と語り、一般家庭の電気料金引き上げを提案した」(読売)。使わ(使え)ないように値上げするのか。すごい話。

石原都知事が昨日“(私は)原発推進派”とか”わけの分からん連中がゴチャゴチャ反対しているが、原発なしでどうやってくんだ”とかと発言と拡散しているが、元来原発支持であるとしても、この発言の有無は不明。ソースに都の知事会見ページが上がっているけれども、昨日の会見は自由報道協会主催。

つい二、三日前まで、放射能汚染は“過去の核実験時に較べて軽微”との見解も多かったが、21日9時〜22日9時の24時間に東京で確認された放射性下降物(セシウム137)5300メガベクレル/平方キロは、1963年一年間(1924メガベクレル)の約三倍とのこと。今度はどんな安全評価が?

26日
宮城、岩手に較べて福島の死者は一ケタ少ないのに、不明者は変わらない。これは、30キロ圏内が避難指示や屋内退避の対象のため捜索が進められないからだ。地震に加えて原発のせいで、福島の復興は大きく阻害されている。いや、あえて記せば、地震以上に長期に及ぶ被害を受けたと言ってもいいだろう。

“電気は必要だ”“原発をなくして日本はどうなる”などと声高に言う前に、とりわけ首都圏の人間は、まずは福島の人たちに“申しわけありません”と頭を下げなければならない立場にあると思う。それは、原発推進派にとどまらず、現実に電気を使ってきた反原発・脱原発派の人々も含めてのことだ。

すると、沖縄と基地との関係同様、“地元民も皆が皆、原発に反対していたわけじゃない”とか“原発を誘致した者も居たはずだ”とか”“事故が起きたから騒ぐけど、金が落ちて経済的恩恵も受けただろう”とかの反論も出るかもしれない。仕方ない、人間、事前に総てを見通して判断できはしないのだから。

『朝まで生テレビ』の論点は、結局突き詰めれば経済性と安全(人命)との比較考量。比較考量とは要するに掛け算だが、原発の場合、万が一億が一の事態が生じた時の掛けた数字が莫大にハネ上がることが問題なのだ。この笑いも起きている楽しそうな番組は、どこかの避難所で公開放送すれば良かったのに。

しかし、葬式のような顔をしていろとは言わないが、どうしてこんなに笑って話していられるのだろう? “チェルノブイリとは違って、(これから起きるとしても)水素爆発ですね、ちょっとした爆発ね”“私たちは(福島原発の復旧は)全治三年と言っています”……被災地でテレビが映らなければ幸いだ。

『生テレビ』の最後は“事故の主因は津波、地震でも原子炉は無事”と肯定的にまとめていたが、“あの”安全・保安院さえ3号機を「原子炉の一部が破損している可能性がある」(産経)と見ている。少なくとも「原子炉につながる配管などに何らかの損傷」(読売)は確実で、とても「無事」とは言えない。

NHKに登場する関村東大教授は、ギャラが高いのか、何かしらの使命感があるのか知らないけれど、毎日の自らの発言を後日振り返ったとして、果たしてどのように感じるであろうか?

27日
東京から西方向へ遠出中。当然ながら街に緊張感は全くない。久々に映画館で『トゥルーグリッド』を観た。コーエン兄弟による西部劇。“時は瞬く間に過ぎる”と繰り返される少し寂しげな作品。“時は学ばぬ間に過ぎる”と言い換えても良さそうだ。

枝野長官は“原子炉は壊れていないが、炉内の水が漏れていることは事実なので原因を究明する”と説明。しかし、一方で作業員が被曝した溜まり水は、通常時に炉内を回る水の一万倍の放射性物質を含んでいたわけだが?

28日
東電の会見を見ていると、今や可哀想になってくる。難しい、判らない、判断できない、見えていない、計画している、検討している、調査している、アンノウンな部分がある、事実関係持っていない、もしかしたらイメージが見えてくる……要するに具体的な方策は何もないが、そうは言えないのだろうね。

「1000万倍でした」と言われて仰天してから「間違いました、実は10万倍でした」と言われてみると、最初から「10万倍」と聞かされるよりは遥かに大した数字ではないような気になるので、精神衛生上は大変よろしい。

22日の参院予算委員会で社民党の福島瑞穂党首は、07年2月の中部電力浜岡原発運転差し止め訴訟において、原子力安全委員会の班目春樹委員長が、複数の非常用発電機が起動しない可能性を問われ「そのような事態は想定しない。想定したら原発はつくれない」と発言したことを追及。

「班目氏は『割り切らなければ(原発の)設計ができないことは事実。割り切り方が正しくなかったことも、十分反省している』と述べた」(毎日)。“割り切り方が正しくなかった"とは解釈困難。そもそも“割り切る”とは、切り捨てるとか踏ん切りをつけるとかであり、厳密に正しい選択たり得まい。

3号機はMOX燃料を使うプルサーマルであり一層厄介と当初から言われながら、東電はプルトニウムの検査をしていなかった(出来なかった……らしい)。ここにきてようやく「外部機関に分析を依頼した」とのこと。プルトニウムの毒性はヨウ素やセシウムを大きく上回り、その半減期は24000年。

枝野長官は「格納容器から水が漏れるような状況になっているという報告を受けている。当然、燃料棒に由来するような物質が出ているので、何らかの形でそこに危機があるということは誰でも分かるが、圧力容器そのものがどうなっているか、具体的な報告はない」(NHK)と述べた。

格納容器の中に圧力容器があり、その中に燃料棒がある。その「燃料棒に由来するような物質が出ている」のであれば、圧力容器に異常が起きていることも「誰でも分かる」。以前、格納容器を圧力容器ごと水で満たすと言っていながら、幾ら注水しても一杯にならなかったわけだし、その時点で漏れは明白?

29日
フジテレビ系で福島原発敷地内にて三種類のプルトニウムが検出されたと一報。測ってみたら、出ていなかったはずの物が途端に見つかった。あまりにもひど過ぎる。

何とまあ、厚生労働省は17日付で「食品衛生法の観点から」飲食物に関するプルトニウム“摂取基準”を早手回しに発表済み!

またいつもの“人体に影響ない”“一般の土壌にも見られるレベル”という安全説明。ポイントは量だけではなく、今回の事故では出ていなかったはずのプルトニウムが、何日も前から既に放出されていたということ。

何かが起きても、事後に規制値を緩めれば、抵触する例は大きく減る。先頃騒がれた水道のヨウ素やセシウムは、急ぎ定められた「原子力災害時」の暫定基準値。福島はさておき、"安全"なはずの東京などの水道を「災害時」の物差しで測ること自体、詐欺に近い。仮に「平時」の基準ならそこら中がアウト。

今後、プルトニウムも同じだろう。『生テレビ』で大塚耕平厚労副大臣が“日本人皆で放射能と長く付き合って行くしかない。今までの基準を続けていたら、飲み物も食べ物もなくなってしまう”と繰り返していたが、「直ちに〜ない」という欺瞞に較べれば、政治家として遙かに正直な言葉だと思う。

30日
「『日当40万円出すから』」「東京電力の要請を受けた協力会社は、各地にいる作業員たちを呼び寄せようと躍起になっている。中には法外な高給を提示された作業員もいる」(東京)。「協力会社」と装ってはみても、実態は単に危険な汚れ仕事に過ぎない証。

31日
毎年大騒ぎを繰り返すホワイトデーは、震災直後の激動の中でどこかへ吹き飛んでしまった。それ自体は別に構わないものの、関係業界は、書き入れ時を目の前にしながら、大っぴらには愚痴もこぼせないまま、大ショックを甘受したことだろう。今や花見も自粛ムード、同様の沈滞が次々に起きると思われる。

いつもなら心を浮き立たせる花便りもひたすら控えめ。30日付『朝日新聞』夕刊一面には、宮城県南三陸町の「何もなくなった市街地を見渡す」高台に咲く梅のカラー写真と「それでも 花は咲く」のキャプションが。まさにそれは、古詩「年年歳歳花相似 歳歳年年人不同」(劉希夷)そのままの光景だ。

一方、同紙によれば目黒区美術館では、様々な分野の作品600点の展示を予定していた「原爆を視る 1945-1970」展が、「展覧会の趣旨は震災や原発事故と関係ないが」「この時期にあえて鑑賞してもらう内容ではない」「」影響を受けている人々の心情に配慮」として延期に。不可解な”自粛”。
(2011.4.2)


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