INTERNET Surfer


 ここに収録したのは、雑誌「インターネット・サーファー」(AI出版)に8回にわたって、連載された記事です。インターネットを使って、知りたいことわからないことを探し出してしまおうというテーマで始めた連載ですが、まだそれほど古くなっていないと考えて再録しました。
 「インターネット・サーファー」は休刊中なので、連載が再開することはおそらくありませんが、この連載で取り上げてほしいテーマがあれば、 suzuki.yasuyuki@nifty.ne.jpまで、電子メールをお寄せください。面白いテーマは取り上げて、このサイトで新しくご紹介します。
 そのほか、こんな面白いサイトがあるという情報や、インターネットに関する質問もお寄せ下さい。可能なものは直接メールでもお答えします。(鈴木康之)


目次


知りたいことはネットにきけ 1

時計

Internet Surfer 1996.5


 ずっと腕時計が嫌いだった。左腕にかかる重さとベルトの圧迫感が不快で、はめていても無意識のうちに外してポケットに入れてしまう。超薄型のタイプを買ってみたが、薄すぎてGパンのポケットに入れていることを気づかずに洗濯して、数万円した新品を駄目にしてしまったこともある。

 それ以来約10年腕時計は持たずにきたが、1年半ほど前にスウォッチを買ってから事情が変わった。腕時計がやたらに気になりだした。プラスチックっぽいスウォッチはどうもと思っていたのだが、メタルタイプが発売されて、気に入ったデザインのをひとつ買ってみたのだ。

 重いからわずらわしいからと思っていたが、気に入ったデザインの時計を腕にはめてみると、そんなことは関係なくなる。人間なんて勝手なものだ。要するに、今まではデザインが気に入らなかっただけなのだ。昔は、今みたいなポップなデザインの腕時計なんてなかったから。

 前置きが長くなったが、この連載では、「知りたいことはネットにきけ」というタイトルの通り、インターネットの中での知りたい情報や面白いことの見つけ方を、紹介していきます。僕の勝手な興味に沿っていろんなテーマを立てて、面白そうなサイトをご案内する予定です。検索サーバーを使ったサイトの探し方を参考にしてもらうのもいいし、掲載したサイトが面白そうだと思ったら、アクセスしてみてください。何か追いかけてほしいテーマがあったら、筆者まで電子メールで御連絡ください。

 さて、時計というのは、インターネットで販売するのにぴったりのアイテムだ。性能や使い方は誰でもわかっているし、デザインも全体の写真を1枚、文字盤を拡大したのをもう1枚掲載すればいい。値段も数千円から数万円と高過ぎもせず安過ぎもせず、通販に向いている。

 特にスウォッチはインターネットに積極的で、ここの雑誌が出る頃にはすでに終わってしまっているが、インターネットを使った限定販売をやっていた。ビデオアーティストのナム・ジュン・パイクのデザインしたモデルで、1996年4月10日までウェッブ上で申し込んで、20日の午前11時30分から12時の間に、自分が選んだショップに行って、抽選で当たった人は(日本の場合なら)9000円で購入できるというもの。

 インターネットではかなり話題になっていて、僕も試しに申し込んでみたが、はたして当たっただろうか。今回の試みが好評なら、続けてインターネット上の限定販売があるだろうから、興味のある人は次の機会を気をつけているといいだろう。もちろん、スウォッチマニアでまだインターネットを始めていない人は即プロバイダーと契約したほうがいい。
(渋谷西武で受け取るということで、申し込んだが、当日は都合が悪くていけなかった。聞いたところだと、日本でははずれた人はなくて、全員購入できたそうだ。行けばよかった、残念!)

 時計のオンラインショップは国内にもいろいろある。面白そうなのは、「BOY LONDON」。BOY LONDONは70年代からロンドンの若者の支持を得ているファッションブランド(だそうだ)。ここで販売されているのはロックミュージシャンのエルトン・ジョンのモデル。文字盤が2つあったり、ユニークなデザインだから、ファンに限らずチェックしてみるといい。

「FOSSIL SHOP」は、アンモナイトの文字盤の時計やティラノサウルスのTシャツを扱っているショップだ。アンモナイトの文字盤の時計というのは4万8000円とかなり高いが、産地なども書いてあってどうも本物らしい。

 このFOSSIL SHOPは、4月1日に開いたばかりの日本版ヤフー「Yahoo! JAPAN」で、「時計」で検索して見つけたが、僕は大きな勘違いをしていた。FOSSILという、プレスリーやアインシュタインやマリリン・モンローをデザインした限定版の腕時計を発売している時計のブランドがあって、僕もひとつ持っているが、このFOSSIL SHOPもてっきりそれかと思ったのだ。

 へえフォッシルも手に入るんだと思って、本家のアメリカのYahooで海外のFossilのショップも探してみた。「Fossil」で検索してみると、カテゴリーの中にFossilの項目があるではないか。Yahooは検索もできるが、世界中のサイトがYahoo独自のカテゴリーで分類されているのが特徴だ。キーワードで検索してカテゴリーを見つけたら、そこにキーワード検索では見つからないサイトを発見できる可能性もある。Yahooに行ったら、カテゴリーにも注目してみよう。

 へえと思って表示された8つのサイトのうちひとつ、Fossilsale(www.fossilesale.com)を見ると、何だかおかしい。時計ではなく、アンモナイト37ドル、三葉虫27ドル、鮫の歯22ドルとある。fossilの本来の意味は「化石」。Yahooで検索したFossilはブランド名ではなくて、化石のカテゴリーだったのだ。Yahooで検索したら、他にも化石ショップはいくつかある。恐竜の骨のレプリカなんかもあった。アメリカには恐竜・化石ファンが多いのだろうか。

 時計ショップは、国内ではジャストシステムの提供するジャストネットのなかにもある。「タイムズサーカス」はスウォッチ、フォッシル、オメガ、タイメックス、ミッキーマウスなどのブランドがそろっている(www.justnet.or.jp/shop/daido/index.htm)。ここはジャストネットの会員でなくても利用できる。

 海外では、スウォッチショップが充実していた。Yahooで検索するとSwatchのカテゴリーがあって、The Swatch Shopが出てきた。イタリアにある店のようで、イタリア語と英語のメニューがある。品揃えも多いし、画像も鮮明だ。注文も画面に住所や名前を入力して、その場で電子メールを出してできるようになっている。アメリカへの送料は14.5ドル、ヨーロッパへは9.67ドル、それに銀行の費用が9.67ドル必要だ。日本からの注文についての説明はないが、ほしいモデルがあったので、メールを出してみた。はたして日本からも注文できるかどうかは、また報告します。

 時計のショップはこれからも増えそうだ。数千円のものもあるから、インターネットのオンラインショッピングを試してみたいという人にも、いいかもしれない。ショップを覗いてみた感想、注文してどのくらいで届いたかなども、まで電子メールでお寄せください。

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知りたいことはネットにきけ 2

赤毛のアン

Internet Surfer 1996.6


 インターネットはまだできたてほやほやのメディアだ。今までのどのメディアとも違う面白さと可能性を持っているが、発展途上だけに、取っつきにくかったり面白さがわかりにくい面もある。つまり、インターネットは最初の出会いが大きく影響する傾向が強いのだ。雑誌に原稿を書いたり、テレビで意見を述べたりする著名人の意見を見ても、インターネットを絶賛する人と、それほどでもないという人が分かれるのは、そのへんに理由があるのかもしれない。

 こんなことを書き出したのは、インターネットで飛び抜けて充実したホームページを見つけたからだ。それはプリンスエドワード島と『赤毛のアン』のページだ。

 インターネットを早くから初めて、雑誌に原稿を書いていることもあって、インターネットを始めたいという知り合いの手伝いをすることがよくある。初めての人にインターネットをどんなものか取りあえず知ってもらうには、アクセスしていろんなホームページを見てもらうのがいい。

 雑誌なんかで話題の有名なページを見せるのもいいが、それではあまり面白くない。インターネットの面白さは自分の欲しい状態が手に入ることだから、まずYahooのような検索サーバーにアクセスして、その人の興味のあることを聞き、キーワードを入力してホームページを探す。ここで、その人がインターネットってすごいなと思うか、何だ大したことないと思うか、大きな差が出てくる。

 例えば、文学に興味があったとしても、すべての有名な作家の充実したホームページがそろっているわけではない。ある程度の作家なら、たいてい誰かがホームページを公開しているが、すでに知っている情報ばかりということも多い。なるほどインターネットはすごいなと思わせるようなホームページがあるわけではないのだ。

 95年の秋に、作家の松本侑子さんが初めてインターネットにアクセスする手伝いをしたときの話だ。松本さんは『植物性恋愛』『偽りのマリリン・モンロー』などの小説を発表するほか、L・M・モンゴメリの『赤毛のアン』の翻訳も出版している。最初にアクセスしたときも、当然、赤毛のアン関連で面白いホームページがないかどうか探してみた。

 当時は僕も今ほどいろんなサイトにアクセスした経験はなかったし、インターネット自体、今に比べればずっと規模が小さかったので、赤毛のアンやモンゴメリに関するページがはたしてあるかどうか、半信半疑だった。

 しかし、運のいいことに、『赤毛のアン』に関するページが見つかった。早速行ってみると、オンタリオ州に住んでいた頃のモンゴメリに関するページがあって、松本さんは当時住んでいた家の写真は、今までカラーのものは一度も見たことがないと驚いていた。しかも、このページを作っているのは、トロント公共図書館に勤めている日本人の梶原由佳さんという人だった。

 以後、松本さんはインターネットを本格的に始め、いろんな情報を集めている。その辺の経緯は、現在『翻訳の世界』に連載中の「電子編・『赤毛のアン』の翻訳物語」に詳しいが(97年5月に連載完結。97年秋に単行本として出版予定)、おそらく松本さんが関心を持っているのが他の作家だったら、これほど劇的なインターネットとの出会いは生まれなかっただろう。実際に、その後、松本さんが他の仕事でディケンズやコナン・ドイルについて調べてみたら、モンゴメリの十分の一もなかったそうだ。

 先日も『赤毛のアン』のホームページにアクセスしてみたら、さらに情報が増え、半年前にアクセスしたときあったかどうか記憶にないのだが、舞台になったカナダのプリンスエドワード島のページともリンクしていた。このページは、州政府の運営するものでカラー写真やきめ細かい観光情報を満載している。クリックして見ていくだけで、プリンスエドワード島を訪れたような気分になれるし、ツアーとか観光スポットのデータもびっしり載っていて、どんな観光案内書より充実している。

 こうした最新情報をリアルタイムで提供できるのはインターネットならではだ。世界中の他の観光地がどんなページを作っているかはわからないが、プリンスエドワード島のページをお手本にすることをすすめたい。こんなページができたら楽しいし、ガイドブックなんて必要なくなるだろう。

『赤毛のアン』とモンゴメリ、そしてプリンスエドワード島ののホームページはどうしてこんなにすごいものになったのだろう。

 日本人なら『赤毛のアン』という小説は読んだことはなくてもたいていの人がタイトルくらいは聞いたことがあるだろう。特に女性は『赤毛のアン』に思い入れを持っている人は多いはずだ。日本人女性でプリンスエドワード島に行く人がたくさんいるという話を聞いて、赤毛のアンが一種のブームになっているのは日本だけのことかと思っていた。

 しかし、松本さんに聞いてみると、世界的な現象だそうだ。まず、1985年製作の映画『赤毛のアン』がヒットしたため、原作が再評価され、さらに、モンゴメリの遺言によって公開が禁じられていた後半生の日記が92年に出版された。この日記は当時のカナダ社会を知るための貴重な資料だったのと同時に、モンゴメリの穏和な少女小説家というイメージをくつがえすものだったので、注目を集めるものになったのだそうだ。

 ここからは僕の推測だが、おそらくモンゴメリの再評価とインターネットの爆発的なブームが一致して、『赤毛のアン』があんなに素晴らしいホームページを持つことになったのだろう。機会があれば、ホームページに関わった人たちに取材してみたいと思う。そして、月並みな言い方だが、それをモンゴメリが知ったらどんなに驚くだろう。

 インターネットではこんなわくわくする面白い体験をたくさんしている。新しいメディアだから、そうした機会が多いのだ。読者の方にもぜひ、たくさんそんな体験をしてほしいと思うが、それに出会えるかどうかも運みたいなもので、難しいところもある。少しくらいうまくいかなくても、自分の欲しい情報が見つからなくても、それなら自分で作ってやるくらいの気持ちだと、インターネットは絶対面白くなるはずだ。あなたの最初のホームページがきっかけになって、世界中に関連するページが生まれるかもしれない。

 世界中のコンピュータにアクセスできるインターネットでは、どんな情報でも見つけられるような気がする。確かに、ロック系で言えば、ローリングストーンズやグレートフルデッドのサイトが充実していたり、コンピュータメーカーのサイトには、役に立ちそうな情報やソフトが満載していたり、自動車とか比較的高価なもののカタログ的な情報も豊富だったりする。インターネットのことをよく知らない人が雑誌の記事など読むと、他のところでは見つけられないような面白い情報がありそうだと思うに違いない。

 しかし、インターネットにある情報は、計画的に提供されているものではない。基本的に個人やその集まりが、自分たちの関心を持っていることについて、みんな見てくださいと勝手に提供しているものだ。ある分野に、たまたまインターネットに関心がある人が多ければ、充実したホームページが増えるが、たくさんの人が関心を持っている分野でも、インターネットにアクセスしている人が少なければ、ホームページは充実しないことになる。

 そんなことは当たり前と思うかもしれないが、インターネットの初心者にはこれが重要になる。そのことをよーく頭に入れておくのが、インターネットをうまく使いこなすこつのひとつだ。

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知りたいことはネットにきけ 3

PEZ

Internet Surfer 1996.7


 この連載を始める前から、ひとつ気になっていることがあった。PEZというものだ。日本の女の子のホームページを見ていると、ときどきPEZという記述を見つける。「とってもカワイイから私も集めたい」とか書いてあるが、いったいどんなものなのだろう。たまに載っている写真を見ると、細長くて頭の部分がアニメなんかのキャラクターになっているようだ。しかし、どういう材質なのか、何に使うのかよくわからない。

 わからないことはインターネットに聞けというわけで、Yahooで検索してみた。いくつかのサイトが検索され、PEZに関するFAQがあったので、早速そこにつないでみた。

 それによると、PEZというのはドイツ語のペパーミント“pefferminz”からネーミングされたペパーミント味のキャンディのことらしい。PEZのサイトは個人のコレクションを画像で紹介しているところが多くて、それを見るとさまざまなキャラクターがあるようだ。

 しかし、キャンディというけれど、ペロペロキャンディのようなもので、キャラクターの頭をなめて食べるのだろうか。そんなもの日本では見たことないな、と思いながら、そのときはそれ以上のことはわからず、そのままにしていた。

Yahooのカテゴリーで探す

 しかし、どうしてもPEZのことが気になる。数カ月して、もしかしたらこれは「知りたいことはネットにきけ」のネタになるかもしれないなと思って、もう一度Yahooで調べてみた。Yahooはどんどんデータが更新されて便利になっている。新たに検索してみると、前はただサイトがいくつか出てくるだけだったのが、Yahooが区分けしたカテゴリーにPEZが2つも登録されていた。

 連載の第1回にも書いたが、Yahooの特徴は、ただ検索できるだけでなく、収録されたサイトがツリー状になったカテゴリーに分けられていることだ。分類がけっこうユニークだし、どんどん新しいものを増やしているので、常に変化しているインターネットにも的確に対応することができるのだ。

 Yahooで検索できたカテゴリーは、Business and Economy→Companies→CollectiblesにあるPEZとRecreation→Hobbies and Crafts→Collecting→FoodにあるPEZの2つ。PEZというお菓子がビジネスとリクリエーションの両面からカテゴリーに分けられているのが面白い。

PEZは登録商標

 Recreationのほうには、The PEZ PageやAll About PEZ(このページはなくなってしまったようだ)など十数個のPEZに関するサイトがある。The PEZ Pageは確か以前検索したときにも見つけたページだ。ここはPEZの個人ページでは古くからあるようで内容も充実している。自分のコレクションの紹介などのほか、PEZが引用された文献なども掲載されている。

 All About PEZを見るのは今回が初めてだが、情報が的確にまとめられている。その中にあるThe History of PEZ を読んで、PEZは1927年にオーストリアのウィーンに住む Eduard Haas 3世という人が発明したこと、PEZのディスペンサー(連続取出容器)は1948年に登場し、1952年にアメリカで販売されたことがわかった。

 読者の方はとっくに気がついていたかもしれないが、ここで僕の頭の中の回路がようやくつながった。PEZというのはあのスッとするペパーミント味の四角いヤツのことなのだ。キャンディというと日本ではどうしても甘い飴のイメージがあるので、誤解してしまっていた。

 アニメのキャラクターが頭に付いているのは,PEZの容器(ディスペンサー)なのだ。これではっきりした。容器なら中身のPEZを食べ終わったあと,取っておくのも簡単だ。日本でもグリコのおまけを集めている人がいるように、アメリカにPEZのコレクターがたくさんいてもおかしくない。

 そういう目でページを見ていくと、PEZのロゴはPEZひとつひとつを並べたものだ。それまではどのサイトも同じようなロゴを使っているなくらいしか思わなかったのだが、もっと早く気づくべきだった。このロゴはPEZ Candy Inc.というアメリカのメーカーのもので、登録商標になっている。

日本にもPEZのサイトがほしい

 Business and Economyには、博物館(Burlingame Museum of Pez Memorabilia)と店(the PEZ Store)PEZzoMANIAの3つのサイトがある。

 博物館で壮観なのは、PEZのコレクションだ。1枚の写真にPEZがずらっと並んでいて、部分的に拡大して見ることもできる。博物館には通販のミュージアムショップもある。パンダやピエロのPEZ 7個セットで42ドルのところ14ドルに値引いて提供とか、安いのか高いのかわからないが、クレジットカードで購入できるようだ。他にも、PEZのパズルとか時計とかアクセサリーもある。集めたPEZ陳列用のスタンドやディスプレイも手に入る。もちろん、本や雑誌もある。

 the PEZ Storeでは、PEZやPEZ関連のグッズが山のようにリストアップされている。75ドルと高価なPEZもあるが、安い物は2ドル、3ドルだから、試しに買ってみてはどうだろう。注文は電子メールでできる。PEZzoMANIAは,PEZのディスプレイなどPEZコレクター向けのグッズを集めたショップのようだ。

 こうして見ていくと、PEZというのはアメリカではかなりマニアがいるようだ。1996年の3月にはカリフォルニアのSunnyvalでウエストコースとPEZコンベンションが開かれ,700人が集まった。その報告もちゃんとアップされている。1996年6月にはセントルイスでコンベンションが開かれる。The PEZ Pageには、Yahooで検索できなかったPEZ関係のページのリストもあり、PEZはなかなか底が深そうだ。

 ただし、日本のYahooなどで調べてみたら、日本にはPEZに関するサイトはないようだ。日本にコレクションしている人がいたら、ホームページを公開してみてはどうだろう。

(この記事が掲載されるたあとで、、米谷晶さんから、「PEZのページを開きました」というメールが届き、彼女に会って話を聞きました。「あの人に会いたい!」のページにインタビューが掲載しましたので、「日本で初めてPEZのホームページを開いた……米谷晶さん」をご覧ください。米谷晶さんのホームページ「CUTEMANIA」はhttp://www.cutemania.com/にあります)

 インターネットにはこうしたコレクションのページがたくさんある。自分のコレクションの写真を撮って載せれば、立派なホームページになる。コレクターならなにがしかのうんちくがあるだろうから、それを文章にまとめれば十分だ。コレクターの楽しみのひとつに人に見せてうんちくをかたむけるというのがあるけれど、インターネットなら世界中の人に向けてそれができるのだ。

 日本ではまだ面白いコレクションのサイトは見かけないが(もしあれば、suzuki.yasuyuki@nifty.ne.jpまでご一報ください)、これからはそんなページがどんどん増えていってほしい。

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知りたいことはネットにきけ 4

INTERLOTTOで億万長者に

Internet Surfer 1996.8


 佐藤明大さんという読者の方からメールをいただきました。

「月刊INTERNET surfer『知りたいことはネットにきけ』を拝見しました。初心者には、心強いガイドになると思います。早速ですが、追いかけてほしいテーマとして、「宝くじ」をお願いします。先日、日経(5月1日)の産業欄にリヒテンシュタインの『インターロット』についての記事が出ていましたが、宝くじは、これだけなのでしょうか?」

 ということで今回は「宝くじ」のサイトを探します。

リヒテンシュタインのINTERLOTTO

 佐藤さんのメールにあるように、ヨーロッパの小国リヒテンシュタインは政府自らインターネットで LOTTO を運営している。ここのサイトが強調しているポイントは、賞金の比率が65 %でどの国のLOTTOよりも高いこと。

 LOTTOの方法は、1〜40までの数字を6組選び、インターネットの画面から入力して購入する。この数字があとで発表される当たりの数字と4組まで合えば3等、5組まで合えば2等、6組全部合えば 1等賞ということになる。LOTTOはこの形式のものが多い。日本のナンバーズに似た感じだ。

 リヒテンシュタインのINTER-LOTTOは週に1回、これまでに35回行われている。2等はこれまで5人が当てただけ、1等はまだ出ていない。くじ1回分にかかるお金は1スイスフラン。ただし、1回の申し込みにつき、クレジットカードの引き落として手数料が2スイスフランかかる。

 賞金は、当たった人の数や全体の参加者数によって変動するが(たくさん参加すればするほど賞金額は増える)、これまでの実績を見ると、3等が535フラン〜28フラン、2等が269フラン〜2796フラン。1等はさらに高額になるはずだ。当選者がいなければ賞金は次回に持ち越されるから、今1等が出たら、かなりの高額賞金になるに違いない。

 当たった賞金は当選者のINTERLOTTO口座に振り込まれる。そのままにしておいてもいいし、要求すれば、いつでも国際為替手形で支払ってもらえる。本人と確認するために、クレジットカードが必要だ。おそらく、リヒテンシュタインの銀行の代行をしている日本の銀行で受け取れるのだろう。

 ホームページには、このLOTTOには世界中から参加できると書いてある。LOTTO を買うには、まず会員登録をしなければならない。REGISTのページに行き、名前、電子メールアドレスを入れ、ユーザーネームとパスワードを自分で決めて入力する。

 LOTTOを購入するには、登録したユーザーネームとパスワードとさらに、クレジットカード番号の下4ケタを入力する必要がある。3重のガードで守られているわけだ。

 支払いはクレジットカード(ダイナース、VISA、マスタカードなどが使える)なので、カードに関するデータも入力する。これで登録は終了で、LOTTOに参加できる。Net-scapeのCommerce Serverを使っているので、対応するNetscape Navigator やInter-net Explolerがあれば送るデータは暗号化される。セキュリティが心配な場合は、登録はファックスで送ってもいい。

 このLOTTOの面白いところは、自分で数字を決められることだ。過去の当選番号の一覧が見られるから、それを参考にどの番号が当たりそうか考えるのも面白い。

カナダのINTERLOTTO

 検索サーバーの Yahoo によれば、リヒテンシュタインのINTERLOTTOが世界で最初のインターネット上の宝くじらしいが、宝くじの買えるサイトは現在では他にもいろいろある。例えば、 カナダのINTERLOTTO 。これは政府が運営しているのではなく、政府の主催するLOTTOの購入できるサービスのようだ。

 ここで扱っているLOTTO 6/49という宝くじは、1〜49までの数字から6つを選ぶというもの。1枚2カナダドルで、今までに最高1500万ドルの当たりくじが出たことがあるそうだ。カナダのLOTTOのサイトには、世界中のLOTTOのリンクのページもあって、スイス、アメリカなど各国のLOTTOが申し込めるサイトがそろっている。インターネットの宝くじはけっこうにぎわっているようだ。

 日本国内にも宝くじ関連のサイトはいろいろある。 Yahoo Japan で「宝くじ」で検索すると、第一勧業銀行の宝くじの当たり番号がわかるサービスや、今流行のナンバーズの情報を載せたページ、ジャンボ宝くじの共同購入サイトなどがある。海外のLOTTOが購入できるサービスもあって、「ニューヨーク宝くじクラブ」では、アメリカ・ニューヨーク州で毎週2回行われるLOTTOの、5 週間20回分を5000円の会費で楽しむことができる。

日本にもINTERLOTTOを

 海外の宝くじの魅力は、日本に比べて1等賞金が超高額なことだ。カナダのLOTTO の最高額は15億円。もちろん確率は低いが、当たれば一生遊んで暮らせる額だ。ただし、ニューヨークの宝くじの場合、外国人でも31%の税金がかかる。さらに、日本国内の宝くじは税金はかからないが、外国の宝くじには日本の税金もかかる。

 15億円なんて当たったら、ほとんど税金で持っていかれてしまうかもしれない。当たったらなんて考えるのは、とらぬ狸の皮算用だが、もし当たって税金でごっそり持っていかれたら、けっこうくやしいかもしれない。この運を日本の宝くじで使えば、税金はかからなかったのにと思うかもしれない。

 リヒテンシュタインのLOTTOは無税(日本の税金はかかるが)。国がやっているんだから、だまされることもないだろう。宝くじというのは、他のギャンブルと違って、金をつぎ込みすぎて借金を抱える心配もない。インターネットで海外のLOTTOを楽しむというのもけっこう楽しいかもしれない。初の1等賞金獲得者になったら、現地の新聞で紹介されるかもしれない。

 セキュリティの問題さえ解決すれば、インターネットは宝くじを運営する絶好のツールだ。販売所を設置する必要もないし、くじを印刷する経費もかからない。モンデックスのような電子マネーのシステムが実現すれば、クレジットカード関係の経費もいらなくなる。

 日本国内でも、ナンバーズとか新しいくじが発売になったり、サッカーくじが計画されたり、いろいろな動きがあるが、早く国内INTERLOTTOを実現してほしい。そうすれば、インターネットの人気もさらに高まるだろうし、それで得た利益をバックボーンの拡張や福祉政策なんかにぜひ使ってほしい。

 国がやるのではなく、各県にやらせてはどうだろう。そうすれば、地方のインターネット普及にもさらに拍車がかかると思うのだけれど。

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知りたいことはネットにきけ 5

夏の終わりにネット回遊

Internet Surfer 1996.9


 今回のテーマは海の哺乳類。

 子供の頃テレビで見ていた『わんぱくフリッパー』が映画化しているし、クジラやシャチまで含めて海の哺乳類は今ブーム。 Yahoo で「dolphin」で検索しても、イルカに関するサイトはたくさん出てくる。スポーツのマイアミ・ドルフィンズのサイトも出てくるが、それ以外は、Marine Mammals のDolphinsのカテゴリーに集まっている。7月28日の時点でここには、15のサイトがあった。

  Dolphin Pictures は、イルカの画像を集めた新しいサイト。
  Dolphin Discover Centre はオーストラリア西海岸にあるイルカと一緒に泳ごうというボランティア組織のページ。
  The Wild Dolphin Project はバハマ諸島でイルカの研究をしている研究機関のページ。
  Dancing Dolphin Institute では、イルカの本やビデオ、カセットテープ、グッズを買うことができる。

日本でも充実しているイルカのサイト

 イルカ関係のサイトは日本でも充実している。 Yahoo Japan を使えばいいが、ここは日本語で検索できるので、optionのボタンを押して、「イルカ いるか 海豚」と並べて、or検索をすると漏れなくサイトが探し出せる。

 イルカが好きで、イルカと一緒に泳ぐ方法を紹介しているきむらえみさんのページも楽しい。
 海に関する情報ステーション「SEA TV」には、「DLコミュニケーションズ」というイルカと親しむ活動をしている会のページ、イルカやクジラの写真や映像がいっぱいの小谷実可子さんのフォーラムがある。
沖縄海洋研究所 」では、イルカに親しむプログラムの紹介や、イルカグッズを扱っている沖縄のお店のページがある。ただし、オンラインショップではない。

 たいていは友人としてのイルカというスタンスのページが多いが、南太平洋の ソロモン諸島のイルカ漁 について紹介したページもある。京都大学人類進化論研究室のホームページの中にあり、学術的な真面目なページだが、アメリカの人が見たら怒りそうだ。

イルカの次はクジラをめぐる

 イルカを調べていて、ついでにクジラも調べてみようと思いついた。イルカでもドルフィン・ウォッチングとイルカ漁の両極端のサイトが出てくるが、イルカを捕まえて食用にするのは限られた国。しかし、クジラなら反捕鯨国と捕鯨国があり、どんなサイトがあるか興味がある。

 しばらく前、まだ日本国内でも沿岸捕鯨が行なわれていた頃、宮城県の鮎川までクジラ漁の取材に行ったことがある。クジラにしてもイルカにしても、泳いでいるところを見ると豪快だ、すごい、かわいいとか思うが、港に陸揚げされたミンククジラは虐殺された死体というより、美味しそうな魚そのものだった。

 クジラの肉は3日ほど氷につけて引き締めたものがいちばん美味だが、その状態で食べる刺身やステーキ、フライは最高だった。小学校の頃給食に出た筋が固くてかみ切れないクジラの竜田揚げとは大違いだ。当時は、クジラ肉は牛肉や豚肉の代用品というイメージだったが、しっかり調理されたものを食べると、絶品なのだ。

 それ以来、捕鯨の問題には興味を持ってきたが、IWC(国際捕鯨委員会)で全面禁止となってからは、日本でも沿岸捕鯨は中止になり、国内ではホエール・ウォッチングが人気となり、捕鯨復活の声はだんだん下火になっていた。

 しかし、鮎川の人たちのように、今までずっと捕鯨に生きてきて仕事を辞めなければならなかった人たちもいる。アイスランドはIWC捕鯨を脱退して捕鯨を再開したし、ノルウェーも捕鯨禁止に意義を唱えて捕鯨を再開した。日本もノルウェーと同じ形で再開しようとしたが、アメリカから横槍が入って断念した。アメリカは、そういうことをするならうちの国の沿岸で魚を穫れないようにするぞと脅したのだ。

イルカもあるけどクジラもたくさんある

 Yahooで「whale」で検索すると、イルカと同様クジラに関するサイトも数が多い。カテゴリーは5つ出てきて、スポーツ関係でホエーラーズ(クジラ獲りたちという意味だ。アメリカにもこんなニックネームのチームがある)なんていうのも出てくる。Whale Watchingのカテゴリーには、観光としてホエール・ウォッチングを運営している会社が並んでいる。

 特に大きなサイトはフィンランドにある「 Whale-Watching-Web 」。ここにはホエール・ウォッチングに関するさまざまな情報がアップされ、至るところにリンクが張られている。資料や画像もたっぷりだ。ホエール・ウォッチングのできる場所も世界中がリストアップされている。もちろん日本もある。

 捕鯨に関するサイトは日本にあった。 Whaling Information From Japan(日本発捕鯨情報) というページで、世界への発信を目的にしているので、英語が中心。日本語はほんの少しだ。

 かなりのページ数のある大きなサイトだが、ここを読んでいくと捕鯨に関することが詳しくわかる。日本語で書かれた部分も、「反捕鯨で『富と名誉』を売る人々」とか、捕鯨賛成の立場を解説した部分がしっかりしているし、大学の先生が食文化の講義で女子大生とクジラ肉の調理実習をした話など、楽しいページもある。英語のページにはC.W.ニコルさんのエッセイもあった。

 ここから、やはり捕鯨国の ノルウェイの捕鯨のページ へリンクしている。
 イルカからクジラへとネットサーフィンが脱線していってしまったが、こうやっていつの間にか最初の目的を離れてしまっても、興味深いサイトにめぐりあえるのが、インターネットの面白いところだ。

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知りたいことはネットにきけ6

天気予報を探して定置カメラをいっぱい発見!

Internet Surfer 1996.10


 9月か10月に取材でアメリカ東海岸に行く予定がある。96年1月にNECのネットワーク事情を取材してまとめた「電子メールで企業革新」というルポルタージュを出版したが、その続編を今度はアメリカのNECに取材してまとめようという計画だ。

 廻るのは、ボストン、ワシントンD.C.、ダラスなど。海外旅行となると、現地の気候が気になる。そこで今回のテーマは天気予報。

アメリカの天気予報はインターネットで充実した

 インターネット以前は海外の天気を調べるのは大変だった。アメリカのパソコン通信サービスのCompuServeで全米各地の天気を調べることができたが、お金がかかりすぎて実用的ではなかった。しかし、最近は気候が不安定だから、旅行ガイドブック程度の知識で服装を決めていくと、寒さに驚くことも多い。インターネットなら、リアルタイムの現地の気温や天気がわかるに違いない。

 いつも通り Yahoo! で「weather」と入れて調べてみると、天気に関するカテゴリーは625も出てきた。オーストラリア、ブラジルなどの国や、アメリカの州や都市ごとにカテゴリーがあるのでこんな膨大な数になる。

 天気予報は、「News:Daily:Weather」のカテゴリーにある。先頭にあるのは 「Yahoo Weather」 。Weathernews社が提供するサービスで、世界中の年の天気予報、気象衛星の画像、天気図などを見ることができる。

 CompuServeで調べる天気の情報は、文字が並んでいるだけでつまらない、インターネットの天気予報は、晴れ、曇り、雨のマークも手の混んだアイコンになっているし、気象衛星、天気図などカラーの画像も豊富で、TVの天気予報を見ているような感じだ。ほかの天気予報のサイトもサービス内容は似たようなものだ。面白いところでは、 「INTELLi-Cast」 では、リアルオーディオでお天気キャスターの声を聞くことができる。

 とりあえずボストンについて調べてみたら、8月最終週は全般的にいい天気で、気温は最高気温が80度、最低気温が60度程度。アメリカのサイトを見ていて困るのは、気温が華氏(F)で表示されていることだ。華氏80度は約27℃、華氏60 度は約16度。華氏の温度を摂氏に変換するには、(華氏の温度 −32)×5÷9 という計算式を使う。

 この記事を書いているのは、東京の真夏の暑さが若干弱まった8月の後半。ボストンはそれより少しは涼しいが、半袖で十分大丈夫な感じのようだ。アメリカ行きが正式に決まったら、各地の天気と気温をもう一度細かくチェックすることにしよう。天気予報のサイトはしっかりブックマークに登録しておいた。

 世界中をカバーしている天気予報のサイトはこんな感じだが、Yahooのカテゴリーにたくさん出てきた各国や各都市の天気のページはどんな内容なのだろう。試しに、 「New York Metro Weather」 を覗いてみた。

 AOL(アメリカオンライン)のユーザーの作っているページのようだが、天気予報、気象衛星の画像など、世界規模の天気予報サイト以上の豊富な内容だ。それぞれのサイトにリンクを張って、気象衛星の画像を見ようとすると、そのサイトにジャンプする仕組みだ。つまり、天気に関するインデックスサーバになっているのだ。

 地域のサイトならではと言えるのが、ロックフェラーセンターやエンパイアステートビルに設置されたビデオカメラの映像。日本のTVでもよくあるお天気カメラで、クリックするとそのときの画像を見ることができる。天気予報ではないが、リアルタイムの天気がわかる。それぞれの州や国にこうした地元の天気サイトがある。Yahooで「weather」と目的の地名を入れれば検索できるから、旅行の前には一度アクセスしてみるといい。

 日本国内には、どんな天気サーバがあるだろう。 Yahoo Japan で調べると、それほど数はないが、 「Cyber Weather World」 は気象衛星のひまわりの画像も見られるし、海の情報、つり情報、空港情報など、細分化された情報が載っている。

 この時期は「夏休みお天気情報」というページもあって、夏休み中の天気や気温の一覧が見られる。昔夏休みの宿題で苦労したことを思い出した。漫画雑誌の付録で天気や気温の一覧が付いたりしたものだが、今の子供はインターネットで調べられるのだ。

「天気」で探すと定置カメラがおいてあった

「天気」というキーワードで引いたので、 「山梨放送のお天気カメラが捉えた富士山の画像」 というページも出てきた。これを検索していて思い当たったのだけれど、富士山の画像を撮しインターネットで公開しているページというのはどのくらいあるのだろう。

 95年11月に慶応大学の藤幡正樹さんに取材をしたとき、湘南藤沢キャンパスから見える富士山の画像を24時間ウェブで流しているという話を訊いた。こういうサイトが増えて、「東西南北、いろんな方角からの富士山の画像がいっぺんに見られると面白いのですが」と話していたが、それ以降どうなっただろうとふと思い出したのだ。

 Yahoo Japanで「富士山」で検索してみると、96年3月にできた 「世界の定置カメラ」 という面白いページがあることがわかった。YahooにもSpy Camerasという定置カメラのカテゴリーがあるが、やはり日本語のほうが使いやすい。

 定置カメラというと、イギリスのケンブリッジ大学の研究室でコーヒーメーカーの画像を世界に公開されたのが最初らしい。コーヒーが残っているかどうか離れたところからもわかるようにカメラで24時間写すようにして、それをついでにサーバに載せて世界中から見られるようにしたという話だが、そのコーヒーの映像もインデックスの最初に載っている。

 8月26日の更新で387サイト。スペースシャトル(打ち上げられているときだけ)や南極の基地からの画像を初め、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアが多いが、ブラジル、アルゼンチン、タヒチの画像もある。アフリカにはまだ定置カメラはないようだ。日本にも47のサイトがあった。

定置カメラで世界中を見よう

 大学生の頃、旅行で滞在して印象に残っていたスイスの首都 ベルンのカメラ にアクセスしてみたが、ここは15分おきに新しい画像がアップロードされる。ほかは1日1回とか3時間に1回とかそれほど更新回数は多くないサイトが多い。

 ベルンのカメラは15分に1回だし、建物とその前の広場が移っていて、歩行者の様子までわかる比較的接近した画像だ。15分前と最新のものを比較すると、駐車している車が替わっていたりして、ライブな感じが伝わってくる。ここでは、24 時間前々の画像を1時間おきに見ることもできる。これも、太陽の動きとか広場の賑わいとか1日の時間の流れがわかって楽しい。

 定置カメラは、天気予報のように有用な情報が手に入るわけではないが、アクセスしていて画像が表示されまで何だかわくわくする。自宅のコンピュータの前にいながら、世界中のリアルタイムの映像を目にできる、インターネットの何ともいえない面白さとしか表現がしようがないが、興味を持った人はぜひ一度アクセスしてほしい。気に入った定置カメラをブックマークに登録して、時々見に行くのも楽しいものだ。

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知りたいことはネットにきけ 7

インターネットで文学する

Internet Surfer 1996.11


 インターネットで自分の好みのホームページを探すには、検索サーバーのYahoo! を使ってキーワード検索すればいい。これは、雑誌の特集やインターネットの入門書にたいてい書かれているからご存じの方も多いだろう。この連載も、検索サーバーで探して、知りたいことを見つけだすのを基本にしている。

 しかし、Yahoo!はキーワードを入れて検索するだけでなく、いろんなサイトがカテゴリーに分かれて載っていて、書店や図書館の書棚を見るように、面白そうなサイトを探し出すことができる。キーワード検索では見つけだせないような自分にぴったりくるホームページが見つかることも多いから、ぜひ一度自分の関心のあるカテゴリーをクリックして、リンクをたどっていくことをおすすめしたい。

 僕も、時々新しいサイトが増えていないか、Yahoo!のいろんなカテゴリーをチェックするが、最近、 Yahoo! JAPAN の「文学」のカテゴリーが充実している。「文学」は「人文」の下にあって、この構造は、「Humanities」の下に「 Literature」のある本家のアメリカのYahoo! と同じだ。

 以前は、文学のカテゴリーに登録されているのはほんの少しで、しかも、個人が趣味的に開いている好きな作家についてのちょっとしたページが中心だったのだが、今は作家本人のページも増えている。

 まず面白いのが、村上春樹氏の 「村上朝日堂」のページ 。「週刊朝日」に連載中のエッセイ「村上朝日堂」をもとにしたページだが、ただ連載を掲載しているだけではなく、村上氏の近況とか掲載されなかったエッセイなどオリジナルの文章も載っている。

 このページでは作者宛に電子メールも出せるが、村上氏はけっこうていねいに返信しているようで、電子メールのやりとりがすべて載っている。楽屋落ちに近いものだけれど、これもなかなか面白い。ラジオのDJの紹介するはがきコーナーを読んでいるような感じだ。

 さらに、ほんの短いものだけど、村上氏の肉声も聞くことができる。小説やエッセイを読む以外、読者が作家とコミュニケーションをとる方法はあまりないものだが、このページでは、これまでになかった読者と作家の新しいコミュニケーションが成立している。もちろん積極的な読者は、作者にファンレターを書いて、時には返事をもらったりしているのだろうけど、そこまではしない読者が大半だろう。しかし、インターネットの中では、他の読者と作家とのコミュニケーションまで見ることができる。

 電子メールのやりとりを読んでいると、自分も出してみようかという気になってくる。これは、ラジオのDJを聞いていて、自分もはがきを出してみようかと思うのと同じ感じだが、インターネットの場合は、ラジオのように決まった時間にダイヤルを合わせて聞かなくても、いつでもアクセスしてコミュニケーションをはかることができる。インターネットならそういうことが簡単にできてしまうのだ。

 インターネットというのは、こんなふうに、お互いにそれほど負担に思わずに、濃密な関わりを可能にする不思議なツールという性質を持っている。「村上朝日堂」のページは雑誌連載終了とともに終わるそうだから、ちょっとでも興味のある人は早めに見ておくといいだろう。村上春樹ファンなら、パソコンを買ってインターネットを始めても十分見る価値のあるホームページだ。

 有名な作家のページと言えば、ほかに筒井康隆氏などが開いている JALInet(JAPAN LITERATURE net) がある。現在ページを開いているのは筒井康隆、小林恭二、堀晃、薄井ゆうじ、佐藤亜紀の5氏で、やはり目玉は、断筆宣言した筒井氏が、ここでだけ作品を発表していることだ。現在は「越天楽」という軽い作品が掲載されている。

 JALInetには、他にもハードSF作家の堀晃氏の絶版になっている長編SF「梅田地下オデッセイ」が掲載されていたり、今後どんな作品が登場するかも含めて、目の離せないサイトだ。

 作家のページだけでなく、読者が好きな作家を取り上げているページも充実してきた。東京大学のサイトにある笠そよ子さんのページは、村上春樹一色。特に著作リスト、中でも雑誌掲載のリストが充実している。単行本などのデータは他でも調べることができるが、雑誌掲載の情報はなかなか手に入らない。ファンなら、雑誌に掲載されたちょっとした文章や、評論家による批評なども読んでみたいものだ。こうしたリストはやはり、個人がこつこつと集めてインターネットに公開する価値のあるものだ。

 Yahoo! や Yahoo! JAPANでは、新しくできたカテゴリーや内容が更新されたカテゴリーは、「NEW」と表示される。Yahoo! JAPANの文学のカテゴリーはアクセスするたびに、「NEW」の表示のものが増えている気がする。日本の文学に関するホームページは、それだけ急成長しているとたぶん言えるだろう。

 もちろん海外にも文学のページは山のようにある。「Literature」のところは、とても全部は見られないので、「Authors」を中心に見ている。

 最近、イギリスの ドロシー・L・セイヤーズ というミステリー作家の本を読んでいるが、彼女のページもちゃんとあった。セイヤーズはアガサ・クリスティと同時代の女性ミステリー作家で、ピーター・ウィムジーという貴族の探偵を主人公にした推理小説の連作を書いている。これが、トリックもすぐれているし、20世紀初め頃のイギリスの雰囲気がよく描かれている。僕は、その頃のイギリス文学に興味があるので、セイヤーズの本も楽しく読んでいる。

 20世紀初頭の文学で最初に興味を持ったのは、『ツバメ号とアマゾン号』に始まる児童向け読み物のシリーズを書いたアーサー・ランサムだ。この作家のホームページは1年ほど前にニュージーランドの大学に開かれているのを見つけたのだが、しばらくすると、アクセスできなくなっていた。インターネットのホームページは何の予告もなくなくなってしまうことがけっこうある。個人が自分の趣味で開いているページではそういうことがよくあるのだ。

 その アーサー・ランサムのページ が、Yahoo!のLiteratureのカテゴリーを探していたら、復活していた。しかも、以前よりも充実したページになっている。『ツバメ号とアマゾン号』のシリーズのう3作がイギリスBBCでテレビドラマとして放映されているのだが、それのビデオ販売のお知らせも載っていた。早速申し込んで手に入れることにしよう。

 こうして、Yahoo!のカテゴリーの中で、自分の関心のあるものをクリックして、先へ先へと進んでいくと、本当にいろいろな面白いサイトを探し出すことができる。インターネットで面白いサイトを見つけるのには、キーワード検索だけでなく、Yahoo!のような検索サーバーのカテゴリーをたどるのもいい。 

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知りたいことはネットにきけ 8

海外からノートパソコンで開票速報を見る

Internet Surfer 1996.12


 1996年10月9日から23日まで、取材でアメリカとカナダを回った。国内旅行のときもそうだが、旅行に出ているときも、普段と同じようにパソコンが使えて、電子メールにアクセスできないと困る。最近は、国内のホテルではまず問題はなくパソコン通信やインターネットにアクセスできるようになったし、いざとなればISDN公衆電話にかけつけて、モジュラージャックに差し込んで通信すればいい。

 しかし、海外の場合は勝手が違う。アメリカに行くのは6年ぶりだが、前回西海岸に行ったときはモデム内蔵の携帯用ワープロを持っていったが、モジュラージャックのあるホテルでも、CompuServeのアクセスポイントにはうまくつながらなかった。6年前は観光旅行だったし、電子メールがなければ困るという時代ではなかったので、結局1週間ほどのアメリカ滞在の間NIFTY-Serveには一度もアクセスしなかった。

 しかし、6年のうちに電子メールの重要度はずっと高くなっている。今回は仕事の旅行で、途中で取材に関して日本と電子メールのやりとりの必要もある。CompuServe経由でNIFTY-Serveにアクセスできないとなると非常に困る。取材先に頼んでNIFTY-Serveへの接続方法を探すとか、国際電話でNIFTY-Serveに接続するとか、非常手段をとらなければならないかもしれない。

 今回携帯するパソコンは、エプソンのPCV-N450SというDOS/Vサブノート。486DX2-50MHzとCPUはすでに一世代前のものだが、旅行に持っていくのには十分だ。画面は小さいが、横長でキーボードが操作しやすく、重さも2キロと持ち歩きに支障がないのが気に入っている。エプソンのこのタイプのノートパソコンは、今は作っていないようだが、できればペンティアムモデルで再登場してほしい。

 このノートパソコンに、今回は28800bpsのPCカードモデムを入れて持っていった。出発前にしたのは、CompuServeにアクセスして、滞在するニューヨーク、ダラス、ボストン、トロントのアクセスポイントを手に入れておくこと。日本から国際電話でアクセスできるかどうか試してみようかとも思ったが、出発前は原稿の〆切で忙しくて、その暇はなかった。それ以外はNIFTY-Serveの海外アクセス関連のフォーラムから必要な会議室の発言をすべてダウンロードしておいた。うまくアクセスできないようなら、参考にしようという、もしものための準備だ。

 結論から言うと、旅先でのホテルのCompuServeへのアクセスは何の問題もなくうまくいった。Windows95は世界中で使うように考えられているから、「ダイアルのプロパティ」の国番号を「米国」にして、ホテルなら市内の外線は頭に「9」、市外の外線は「8」にするだけでいい。普段使っている通信ソフトは秀Termだが、CompuServeにアクセスするためには、7bitで通信するように設定を変える。CompuServeからNIFTY-Serveに接続すると、再度8bitに切り替えなければならないのが面倒だが、このくらいは我慢する。日本に戻って調べてみたら、CompuServeの中で設定を変えておけば、8bitでも通信できることがわかった。次からは、そうするようにしよう。

 アメリカのホテルの電話機は日本と違い、電話機自体にデータ通信用のモジュラージャックが差し込める口が付いている。電話機につながっているモジュラーケーブルは外さずに、通信ができる仕組みだ。これはとても便利なので、日本のホテルでも採用してほしい。

 もうひとつ、アメリカのホテルのいいところは、市内なら75セントで何時間でも電話がかけられること。元々アメリカでは市内の電話は基本料金だけでかけられる。だから、ホテルでも1回75セントの手数料だけでかけられるというわけだ。これも、通信をする時にはありがたい。固定料金制のインターネットなら、いくらでも気兼ねなくつかえることになる。

 無事電子メールは毎日見ることができたので、ちょっと欲が出てきた。アメリカに来る前はインターネットにアクセスすることは考えていなかったのだが、75セントでいくらでも使えるのなら、アクセスしてみたくなる。折しも日本は10月20日が総選挙。日本にいればTVで開票速報を逐一知ることができるが、アメリカではそうはいかない。asahi.comではインターネット上で開票速報をやるそうだ。俄然、インターネットにつないでみたいという気持ちが強くなってきた。しかし、普段使っているアサヒネットは、アメリカにアクセスポイントはない。

 別の用件で日本にいる友人に電子メールを出して、CompuServe経由でNIFTY-Serveに無事接続できたという話をしたら、以前アメリカに行ったときに、CompuServeでPPP接続してインターネットにもアクセスしたというメールが返ってきた。これだと思って、再度メールを出し、詳しいアクセスの方法を問い合わせた。返事はすぐに返ってきて、早速CompuServeでPPP接続を試してみたが、なかなかうまくいかない。

 これは駄目かなとあきらめ始めたときに、もうひとつ手があることに気が付いた。MSN(The Microsoft Network)だ。Windows95を初めてインストールしたときに、デスクトップにあったMSNのアイコンをクリックして、オンラインサインアップした覚えがある。そのあとほとんどアクセスしていないが、IDとパスワードはそのまま保存されているはずだ。

 早速MSNにアクセスしてみる。CompuServeにアクセスしたときに、ダイヤルの設定はすでに米国に変えてあるので、MSN近くのアクセスポイントを選ぶだけで簡単につながる。接続すると、まずMSNのソフトウェアが新しいものに更新された。20分程度かかったが、電話料金は気にしなくていい。そのあと、インターネットに接続しようとしたが、Internet Explolerは立ち上がるが、うまくアクセスできない。

 これは、MSNがインターネットにもアクセスできるように設定されていなかったためだった。日本でMSNがスタートしたときは、まだインターネットにはアクセスできなかった。僕が使ったのはその頃だから、設定を変えなければいけないのだ。それに気づいて、設定を変更したら、無事インターネットにアクセスできるようになった。MSNは、デスクトップ上のインターネットのアイコンをダブルクリックすれば、MSNのメニューは表示されず、そのままインターネットにアクセスできる。こうして使うと、プロバイダー経由でアクセスしているのと変わりがない。

 日本時間で10月20日の夜、そのときはトロントにいたので、20日の午前中だが、早速朝日新聞にアクセスして開票速報を見た。トロントのMSNのアクセスポイントは28800bps。日本からアクセスするときよりもずっと早い感じだ。asahi.comの開票速報には日本からのアクセスが殺到しただろうから、日本からでは、こんなに快適に見られなかったはずだ。北米大陸の回線が太くて充実していることを実感する。

 今回小選挙区制と比例制で、選挙区の数がやたらに増えたが、ホームページなら、自分の知りたい選挙区の情報をクリックするだけですぐに見ることができる。TVで開票速報を見ていると、自分の知りたい情報が出るまでずっと待っていなくてはならない。選挙区が増えるとけっこう大変なはずだ。

 事故や災害の時の被災者やけが人の氏名の情報についても同じだが、選挙の時はインターネットは役に立つことがよくわかった。日本でも、TVをみながらインターネットにアクセスすると、的確に情報が集められていいだろう。実際、日本にいる家の者と話していて、アメリカのほうが情報が早くて正確なのに驚き、インターネットの存在の大きさを実感した。インターネットがなければ、選挙の開票速報をリアルタイムで手に入れることなどできない。

 MSN以外にも、グローバルオンラインジャパン、PSINetなど海外にアクセスポイントを持っているプロバイダーはある。海外に行く機会の多い人は、こうしたプロバイダーを選ぶのもいい。MSNは月12ドル程度で契約しておくことができるから、メインで使うプロバイダー以外に、補助として用意しておくのもいいかもしれない。

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