| ジュリアス様: | アンジェリーク。 少し話がある。 ・・・一緒に来てはもらえぬだろうか ここは・・・美しい場所だな。 こうしていると、平穏だった聖地の景色が、瞳の奥によみがえってくるようだ。 お前は覚えているか? 共に庭園を歩いたこと・・・球体を育て宇宙を創り上げた女王試験の日々のことを。 |
| アンジェリーク: | はい、もちろんです。 |
| ジュリアス様: | そうか。 それならよいのだ。 私も・・・なぜかは知らぬが、近頃あの、喧噪の日々を思い出すことが多い。 もう、会うことはなかろうと思っていたお前と、こうしてまた共に過ごしているからかもしれぬな・・・。 女王試験中、私は全力を尽くせと何度も話した。 だが、今回はあのとき以上に心して臨んでほしい。 多くの人々の命が、我々の手に委ねられているのだ。 弱き心に流されたり、自己を優先することはできない。 お前が、真剣に人々の未来を考えて戦い抜くつもりなら、私は喜んで力になろう。 私とともに、困難に立ち向かっていけるな? |
| アンジェリーク: | はい! |
| ジュリアス様: | さすがは宇宙の女王だな。 私も嬉しく思うぞ。 初めて逢ったときは、あんなに不安そうだったお前が・・・ これから先は、道なき道を歩くようなものだが、今のお前なら大丈夫だろう。 ・・・信頼しているぞ。 遅くなってしまったな。 そろそろ帰るとしよう。 行くぞ、アンジェリーク。 |
| アンジェリーク: | ジュリアス様が私のことを信頼してくださってるわ・・・がんばらなきゃ) |
| ジュリアス様: | すまない、アンジェリーク。 こんな夜更けに連れ出すなどほめられた行為ではないが・・・少し話がしたかったのだ。 アンジェリーク。 お前はなぜどのような窮地に陥っても明るく笑っていられるのだ? ・・・不安は感じないのか? お前をみていると不思議に思う。 華奢なお前のいったいどこに、それほどの精神力があるのかと。 最近考えることがある。 宇宙を救う、など・・・守護聖とはいえ、人間にすぎぬ私にできるのだろうかと・・・。 自信がないわけではない。 未来に向かって努力することを惜しむわけでもない。 ただ・・・ ただ、ときおり、息苦しくなるのだ。 あまりにも漠然とした未来に目の前がかすむ・・・そんな感じだろうか。 自分でも驚くほど弱い感情だ。 光の守護聖たる私が何を、と戒めるようにはしている。 だが、それでも、こうして心が揺れる夜がある・・・ そのようなときはまた、こうして話を聞いてほしい。 |
| アンジェリーク: | よろこんで |
| ジュリアス様: | 人とは弱いものだな。 お前のその一言で、私の心は凪を迎えた海のように落ち着きを取り戻した。 宇宙の危機を目の前にしているというのに、私はいったい・・・。 わからぬ。 己の気持ちなどという最も近しい事柄でさえ、把握できない・・・収拾がつかない。 だが・・・そういう部分を抱えてこそ、人は生きていると実感するのだな。 初めて知った・・・そんな気がする。 そろそろ帰るとするか。 明日も大変な一日になるだろう。 送るぞ、アンジェリーク。 |
| アンジェリーク: | ジュリアス様、なんだか優しいお顔をされてたみたい。 うふっ、うれしい・・・) |
| ジュリアス様: | 不安か? ・・・まあ、無理もない。 だが、そのような顔をするな。 今のお前は、不安に支配されて・・・今にも消えてしまいそうに見える。 瞳を閉じて思い出すのだ・・・ 今まであった数々のことを。 どれもがお前を強くするに十分であったはずだ。 根拠のない自信からは真の強さを引き出すことはできない。 だが・・・ だが、お前は違うはずだ。 私はずっとお前のことを見てきた。 だからこそ言えることがある。 それはつまり・・・自信を持ってよい、お前にはその資格があるのだ、と・・・ そういうことだ。 明日には宇宙の未来をかけた厳しい闘いが待っている。 私も多くは語らない。 だが・・・これだけは伝えよう。 何があっても・・・どのような困難が目の前に立ちふさがったとしても、私は・・・私はお前を守る。 凍てつく光も激しい炎も・・・この私が盾となってお前には近づけぬ。 だから、何も心配することはない。 お前の傍らにはいつも、私がいる。 光の守護聖ジュリアスが、お前を守っているのだ。 これ以上の盾はないと・・・ 安心してほしい。 |
| アンジェリーク: | ありがとうございます、ジュリアス様・・・。 |
| ジュリアス様: | いつの間にか月があんなに傾いている。 夜も更けた・・・そろそろ帰るとするか。 行くぞ、アンジェリーク。 |
| ジュリアス様: | ・・・アンジェリーク。 |
| アンジェリーク: | え・・・? |
| ジュリアス様: | 少し時間をあけてほしい。 どうしても・・・お前に話したいことがあるのだ。 まずは祝いの言葉を贈らせてもらうとしよう。 ・・・よくやったな、本当に。 私の期待以上の活躍だった。 宇宙の未来も、人々の明日もお前が守ったのだ。 誇りに思うがよい。 えおれはきっと、お前自身の糧となるだろう。 ・・・それにしても、何かを終えた後に起こる感情は、必ずしも甘いものではないのだな。 私は今、驚くほどの寂しさを・・・ 打ちのめされるような寂寥感を持て余している。 理由は、わかっている。 明日になれば、お前と別れること・・・ 各々の宇宙に別れてしまえば、二度とお前に会えないこと。 それがこの感情の理由だ。 理解はしていたつもりだった。 すべてが終わればお前は、お前の宇宙に帰ってしまうこと。 ・・・それが運命だということ。 お前はもう女王候補ではなく宇宙を導く女王だ。 そして私は・・・この宇宙に必要とされる守護聖なのだ。 人にはそれぞれ、住むべき場所というものがある。 我々は、その場所を同じくする運命にはない。 すべてが終わればこうなる運命だと・・・私は冷静に、それを理解していたつもりだったのだ。 だが、それでもやはり、うまくはいかない。 この私が己の感情をとどめることができないのだ。 伝えてもいいだろうか・・・ 私の気持ちを・・・。 |
| (アニメーション) | |
| ジュリアス様: | 私は女王陛下に、この身の忠誠を誓っている。 幼少の頃から、守護聖としての生き方をしてきた私だ。 これからもその気持ちが変わることはないだろう。 だが・・・ だが、今ここに誓おう。 この身のある限り、私の愛はお前だけのものであることを・・・。 |
| (ジュリアス様独白) | |
| 宇宙は平和になり、闘いは幕を閉じた。 だが私は、忘れないだろう。 あの長い長い旅の日を・・・。 思えば、多くの困難が立ちはだかったものだ。 迷いも、何度生じたかわからぬ。 しかし、私たちは諦めることなく前進し、勝利を手に入れた。 平和を・・・取り戻すことができた。 守りたい者のため、多くの仲間と共に歩んだ道のりは、私の貴重な財産だと・・・心から、思う。 お前は覚えているか? 二人で語り合ったあの夜を。 見上げた星空が、想い出となるその前に・・・ この聖地から切なる願いを届けよう。 広く、そしてどこまでも美しい、二つの宇宙へと向けて。 すべての生命に、幸福の満ちあふれんことを。 その未来に、光の絶えざらんことを・・・。 そして何より、愛する者に暖かい笑みの絶えぬよう・・・遠い空の下から、私はいつまでも願う。 アンジェリーク、お前と再び出会い、笑顔を交わすその日のために・・・。 | |