\62,900で行くバンクーバー鳥見旅(第2話)
「ダイン・アウト・バンクーバー」は、バンクーバー恒例の食のイベントで毎年1月下旬、参加しているレストランのオリジナルコース料理が、$25、$35という格安料金で提供される。人気のレストランになると、期間中は予約ですぐにいっぱいになるらしい。
実際、私がインターネットで予約しようとしてもフレンチやイタリアンの有名レストランは、すでに「Sold out」が続出していた。運よく、地元の西海岸料理(コンチネンタルとも言うらしい…)の有名レストランを予約できたのは、ラッキーだった。
予約した時間にレストランに行き、名前を告げて席に案内された時は感動ものだった。インターネットって、ホントウにすばらしい…。
料理のお皿が替わるたびに、運ばれてくるグラスワインも替わり、食事の途中からはジャズのライブも加わって、味はもちろん、なかなかおしゃれなディナーだった。
さて2日目、特に時差ぼけもなく近くで朝食を済ませて、市内にある「鳥グッズ」の店「Wild Birds Limited」に向かう。この店は、バンクーバー在住のバードウォッチングガイド・川端氏推薦の店で、市内周辺の最新の野鳥情報はここに集まるという。「鳥を見に行く前には、ぜひ寄って行け…」との話だった。
時間はかかったが、なんとか店を見つけた。えさ台とか鳥関係の商品がたいへん多く売られていた。双眼鏡もあるが日本では見かけないメーカーだった。私はとりあえず、今から使う図鑑(北米のフィールドガイド)を購入した。
お店を出て、一路ハイウェイをアメリカ国境近くまで南下する。とっても、車で1時間ほどだ。最初に訪れたのは、海ガモの仲間が至近距離で観察できるという「White Rock Pier」だ。
木製の桟橋が海に向かって突き出ていて、その先に小さなヨットなどが係留されている。一見、遠目には何もいないようだが…。
桟橋を、先のほうに向かって歩き始める。ヒメハジロがいた。以前、石土池に出たクビワキンクロもいる。コスズガモもだ…。なんだかテンション、上がってきた。そして、とうとうアラナミキンクロがいた。1羽だけだが、結構近い。こんなにきれいな海ガモは初めて見た。今までは、北海道の納沙布岬で見たコケワタガモが一番きれいだと思っていたが、こいつはそれを上回っている。
桟橋の反対側を見ると、20数羽のアラナミキンクロがいた。「え〜っ、あれ全部が、アラナミキンクロっ…!」。「もう、今すぐ、日本に帰ってもかまん…」と本気で思った。「これ以上見たら、バチが当たる…」とも思った。大型のカイツブリもいる。日本なら、カンムリカイツブリでしょ…となるところだが、カンムリは北米にはいない。図鑑を見るとクビナガカイツブリだ。
日本で見られるスズガモ、ビロードキンクロもいる。ハシグロアビもいる。ヒメウらしいのもいる。カモメの仲間もいるのだが、なかなかそこまで目が追いつかない。海ガモの仲間を見るのに精一杯なのだ。
突然、近くのカモの仲間が一斉に飛び立った。「あれっ」と思うと、案の定、猛禽だった。ハクトウワシの若鳥が低空で飛来していた。彼は、桟橋近くの海ガモを全て飛ばしてしまった。すぐそこのアメリカ国境を越えて、アメリカ領海に入ったやつもいるだろう。
まぁちょうど、良い潮時だった。あんまり見すぎてもいけないので、次のポイントに向かおう。
泊まってるホテルの部屋が、コンドミニアム形式のスウィートルーム(キッチン、リビングルーム、ダイニングルーム、ベッドルーム、バスルーム・トイレときちんと別々の部屋に分かれているやつ)なので、今夜は食材を調達して、部屋で夕食を食べよう…という話になっていた。キッチンには、大型冷蔵庫、電子レンジ、ガスコンロ、食器洗い乾燥機と鍋やフライパンなどの調理器具一式、ちょうど4人分の食器も揃っている。そのため、シロフクロウが見やすいという「Boundary Bay」の土手へ向かう途中、野菜や調味料調達しながら車を進める。調味料を何も持ってきてないというのは、失敗だった。調味料はなかなか高いし量が多いので、買ってもとても使い切れない。
メインの肉やシーフードは、ホテルへの帰り道、グラビルアイランドのパブリックマーケットで買うことにしていた。
さて、ハイウェイを北に少し進み、左に折れてローカル空港の脇に出た。少し、空模様が怪しい。
私たちがこちらに来てから、すっきりと太陽を見ていない。12月から1月のバンクーバーは、曇りや雨の日が多いらしい。月間の降水量は、150ミリ程度。高知のように大粒の雨は降らないし、小雨のような雨が降ったりやんだりするのが普通らしい。そのためかどうかは判らないが、バンクーバーっ子は外を歩く時、傘をほとんど差してない。フード付きのパーカーとか、帽子だけで雨をしのいでいる。
ちなみに、気温は高知の真冬の寒い日程度。当然平地に雪はない。緯度的には北海道よりもかなり北にあるのだが、海流の影響で冬はかなり温暖らしい。レンタカーを借りる時も、スタッドレスタイヤの設定は無いということだった。
ローカル空港の側を通ったとき、アオサギを見た。なんだか色の濃いアオサギだったので、気になっていたが帰国後に調べると、オオアオサギというアオサギの仲間だった。
空港の周りをぐるっと回って、「Boundary Bay」の土手に出た。土手の向こう側は、Boundary Bayが広がっている。突き当たりに車が数台止まっていたので、その手前に車を置く。土手の上を見ると、先客の10数名が何かを見ている。どうも、そのあたりにいるようだ。
土手に上がり、周囲を見てみる。白いものが点々と見える。「さて、シロフクロウは、どこだろう…?」と思い、白いものをひとつひとつ見ていく。驚いたことに、白いものほとんどがシロフクロウだった。
とんでもないことに、ここにはなんとひと目、約20羽のシロフクロウがいた。
「近くで見えるから、ぜひ行ってみて…」とは聞いていたが、こんなに多くいるとは聞いてなかったし、こんな近くで見られるとは思ってもみなかった。またまたテンション急上昇。鳥を見て、こんなにテンションが上がるのは久しぶりというか、あまり記憶にない。
今日は、アラナミキンクロといい、シロフクロウといい、すごい…。
先客が見ている場所へ歩いていくと、20mほどの距離のところにシロフクロウがいた。「こっ、これは近い…!」、ギャラリーに慣れているのか、時折顔をこちらに向けて、「また変なやつが来たか…」とでも言いたそうな顔をしている。
近くをコミミズクやハイイロチュウヒがヒラヒラ飛んだり、シロフクロウの向こうの干潟にはシギやチドリの仲間、カモメの仲間なんかがたくさんいるし、手前の草地には、なにやら小鳥の仲間がたくさんいるが、ほとんど彼らを見る余裕がない。頭の中がシロフクロウでいっぱいになっていた。今思えば、シロハヤブサやユキホオジロあたりもいたかもしれない。
この次、行った時は、もう少し冷静に見ることができるだろう。
あまり長居してもいけないので、後ろ髪を引かれながら、ホテルに向かう。その前に、パブリックマーケットで、シーフード等、食材の調達だ。
次回は滞在3日目、オウギアイサ、アメリカキンメフクロウが登場…。