エコランECU開発ストーリー

アクセスカウンター


ERE-M1 (2008)

最初にFI化したとき、まず開発したのがこのモデル。
まだ分からないことが多すぎたこともあり、CPU(SH-2)を搭載してとりあえず何でもできる仕様に・・・ 点火タイミング制御可能にするためのカムエンコーダやO2センサ、燃料圧力センサ、燃料流量センサ、更にはノックセンサまでも接続できるようにしましたが、殆ど使わなかった究極のオーバースペック!・・・でした。
ユーザーI/FユニットとCPU制御ユニットをセパレート構造にしたモデルで、噴射量などのパラメータ設定はエンコーダダイヤルで行います。
1MBのバッテリーバックアップメモリにパラメータを記憶させるだけでなく、走行中の車速やエンジン回転数、噴射量、温度などのステータスを1秒毎に記録するLOG機能などがあり、アナログタコメータが接続可能です。
また、RS-232CでPCと通信し、パラメータ設定やステータス表示、LOGデータをダウンロードしてグラフィック描画などが可能です。
この年の成績は、初のFI仕様参戦で1226km/Lの16位でした。(とりあえず目標の1000km/Lオーバーは達成)
ユーザーI/Fユニット外観
左側のLEDの車速表示とLCDで各ステータス表示ができます。
パラメータ設定は右のエンコーダダイヤルで操作します。
ユーザーI/Fユニット内部
制御ユニット内のCPUとの通信を行うI/F回路が主です。
ケースはアクリル板をカットして自作しました。
制御ユニット外観
背中のコネクタに各センサやアクチュエータを接続します。
制御ユニット内部
左側のCPU基板と右側のI/F基板をカラフルなフラットケーブルで接続しています。
青いのがバックアップバッテリーで、その右側に2個のRAMとCPUが見えます。


ERE-M2 (2009)

翌年開発したのがこのモデル。
ERE-M1で得たノウハウから不要な機能を削除してシンプル化を進めた仕様で、DBW用のサーボモータI/Fを追加し、スロットルバルブを自動制御したモデル。
DBW化によってスイッチON/OFFだけで全開/停止ができるため、操作が簡単でスロットル開度の再現性も良くなりました。
ERE-M1との構造上の違いは、ユーザーI/F兼CPU制御ユニットとI/Oユニットをセパレート構造にしたことです。(CPU基板の移動)
この年の成績は、2110km/Lの4位でした。(とりあえず目標の2000km/Lオーバーは達成)
ユーザーI/F兼CPU制御ユニット外観
ERE-M1とほぼ同じでLEDの車速表示とLCDで各ステータス表示ができます。
パラメータ設定は右のエンコーダダイヤルで操作します。
ユーザーI/F兼CPU制御ユニット内部
手前が市販のCPU基板(SH-2)、奥が外した制御基板。
I/Oユニット
電源回路、アクチュエータ出力回路、センサ入力回路などをまとめて別体にしています。


ERE-A1 (2010)

地元の高校生チーム用に、廉価版ECUを提供するために試作したモデル。
一体構造で、CPUは使用せず噴射制御はアナログ回路で構成されています。
ECU自作チームがよく採用しているワンショット(モノステーブル)マルチバイブレータ回路を採用し、DBW制御やアナログタコメータ接続可能ですが、CPUが無い為車速表示は不可。(車速表示は車輪の径から演算する必要があるため、CPU無しでは事実上不可能なんです)
栃木県内の高校チーム(矢板高校)に提供して参戦、二人乗りクラスで817km/Lの2位でした。
ECU外観
パネルのボリュームつまみで噴射量を調整できます。
ケースは市販品を自作加工し、文字印刷はフィルムシールにプリントアウトして貼り付けました。
ECU内部
アナログ回路が主なため、シンプルな回路構成になっています。


ERE-D1 (2010)

地元の高校生チーム用に、廉価版ECUを提供するために試作したモデルで、ERE-A1とほぼ同時に開発。
一体構造で、CPUは使用せず噴射制御はデジタル回路で構成されているため再現性が良好です。
DBW制御やアナログタコメータ接続可能ですが、ERE-A1同様CPUが無い為車速表示は不可。
後に、市販モデルのERE-D2のベースとなったモデルです。
栃木県内の高校チーム(真岡工業高校)に提供して参戦、翌年2011には高校生クラスで1057km/Lの22位でした。
ECU外観
パネルのデジタルスイッチで噴射量を調整します。
0.1ms単位で設定可能です。
ケースは市販品を自作加工し、文字印刷はフィルムシールにプリントアウトして貼り付けました。
ECU内部
デジタル回路が主なため、ERE-A1に比べると基板も大きく複雑な回路になっています。


ERE-D2P (2010)

ERE-D1を元に市販化を前提にしたERE-D2のプロトタイプモデル。
ERE-D1で得たノウハウから機能アップした仕様で、電気回路初心者でも組立られるようプリント基板化を前提に設計しています。
ERE-D1との違いは、エンジンスタート時の噴射を遅延させて燃料を節約する回路など細かい修正を行っています。
この年、我チームの自己ベスト2526km/Lの2位(とりあえず目標の2500km/Lオーバーは達成)、更に翌年、栃木県内の高校チーム(矢板高校)に提供して、二人乗りクラス837km/Lで優勝した優秀なECUです。
ECU外観
ERE-D1とほぼ同様ですが、ステータスLEDなどを追加しています。
ケースは市販品を自作加工し、文字印刷はフィルムシールにプリントアウトして貼り付けました。
ECU内部
メイン基板、LED基板、デジタルスイッチ基板の3枚構成です。
ECUリアパネル
一列コネクタに見えますが、左からセンサ入力コネクタ、アクチュエータ出力コネクタ、電源コネクタの3分割構成です。


ERE-D2 (2011)

ERE-D2Pと全く同じ回路・同じ部品配置でプリント基板化して市販化したキットモデル(完成品もあり)。
CPUを使用しないため電子回路の基礎を学習できるように解説書も充実しています。
栃木県内の高校3チーム(真岡工業高校、矢板高校、宇都宮工業高校)にモニター配布して組み立て+参戦してもらいました。
真岡工業高校チームは、高校生クラスで1769km/Lの2位でした。
その後、県外高校や一般チームなど多数のチームで使用して頂いています。
ECU外観
ERE-D2Pと同様ですが、ケースはアルミ板金加工で文字はシルク印刷です。
ECU内部
ERE-D2Pと同様です。
ECUリアパネル
ERE-D2Pと同様です。


ERE-M3 (2011)

噴射量などのパラメータ設定は、ERE-M2以前はエンコーダダイヤルとLCDディスプレーで行っていたましたが、トグルスイッチとLEDだけで行うシンプル操作をコンセプトとしたモデル。
LCDの課題だった視認性アップも狙っています。
ERE-M2以前ではセパレート構造だったのを無理やり一体構造にするため、市販のCPU基板(SH-2)と制御基板を二階建て構造にしました。
アナログタコメータ接続、LOG機能、RS-232CによるPCと通信機能などはERE-M2以前と同じです。
この年の成績は、1320km/Lの10位でした。(イマイチ^^;)
ECU外観
右端の大型LEDの車速表示と、8×2桁のLEDで各ステータス表示ができます。
パラメータ設定は右上2つのトグルスイッチで操作します。
ECU内部
分かり難いですが、CPU基板と制御基板の二階建て構造です。
ECUリアパネル
ERE-D2同様一列コネクタに見えますが、左からセンサ入力コネクタ、アクチュエータ出力コネクタ、電源コネクタの3分割構成です。
内部構造
かなり無理やりな構造になってしまいました。
内部構造裏
CPU基板と制御基板が二階建てになっているのが分かります。


ERE-M4 (2013)

ERE-M3の視認性は向上したものの操作性がイマイチだった為、またLCDとエンコーダダイヤル設定に戻し、CPU基板が大きかった為無理やり押し込んだ構造だったのを小型のCPUモジュールに変更し、小型の制御基板にCPUモジュールやLCDを亀の子状に配置して小型化を目指したモデル。
CPUモジュールの小型化に伴いバッテリーバックアップ機能を削除し、代わりにパラメータはE2PROMに、LOGはSDカードに記録できるようにしました。
アナログタコメータ接続、LOG機能、PCと通信機能などはERE-M3以前と同じですが、RS-232C通信はUSB通信に変更しています。
この年の成績は、雨のため視界不良になった後続車に追突されスピンして横転!、残念ながらリタイヤでした。
ECU外観
基本的にERE-M2以前と同様の操作です。
エンコーダつまみはLCD表示モードにより色が変化します。
ECU内部
制御基板一枚にCPUモジュールやLCDを亀の子状に無理やり配置した構造です。
中央に見えるのはSDカードモジュールと、USB通信モジュールです。
内部構造
LCDと車速LEDディスプレーおよびエンコーダダイヤルです。
内部構造裏
一枚の制御基板の裏側に黒いCPUモジュールを、表側にLCDを亀の子状に搭載し、電子部品も裏表に搭載した構造です。
CPUモジュールの右側の小さいモジュールはRTC(リアルタイムクロック)でSDカードにLOGファイルを書き込むためのタイムスタンプ用です。
無理やり感満載です!


ERE-M5P (2014)

ERE-M4を元に市販化を前提にしたERE-M5のプロトタイプモデル。
ERE-M4で得たノウハウから機能アップした仕様で、電気回路初心者でも組立られるようプリント基板化を前提に設計しました。
ERE-M4では、部品を制御基板一枚の両面に無理やり実装する苦しい構造だったため、制御基板とディスプレー基板の二枚構造にし、それぞれにCPUモジュールやLCDを亀の子状に搭載しています。
その他の仕様はERE-M4とほぼ同じ。
このECUは試作機としてソフトウェアデバッグを行い、テスト走行のみで役目は終わりです。
ECU外観
基本的にERE-M4と同様ですが、上部のステータスLED(写真では見えませんが・・・)の位置が若干異なります。
ケースは市販品を自作加工しています。
ECU内部
ERE-M4との違いは基板を二枚構成に変更し、それぞれの基板にCPUモジュールやLCDを亀の子状に配置した構造です。
左奥の基板はSDカードモジュールで、USBモジュールはCPUモジュールの横に移動しました。
ECUリアパネル
左から、電源スイッチ、パワーコネクタ、サーボコネクタ、センサ入力コネクタ、右下の方にSDカードスロットがあります。
内部構造
CPUモジュールやUSBモジュールを搭載した制御基板とLCDやLEDを搭載したディスプレー基板を亀の子に搭載しています。
CPUモジュール左側の小さいモジュールはRTC(リアルタイムクロック)でSDカードにLOGファイルを書き込むためのタイムスタンプ用、
更に左側はUSB-I/Fモジュールです。


ERE-M5 (2014)

ERE-M5Pと全く同じ回路・同じ部品配置でプリント基板化して市販化したキットモデル(完成品もあり)。
2014年に我チームと、栃木県内の高校チーム(矢板高校)に供給してモニター参戦する予定です。
ECU外観
ERE-M5Pと同様ですが、ケースは市販品をレーザー加工しています。
ECU内部
ERE-M5Pと同様です。
ECUリアパネル
ERE-M5Pと同様です。
内部構造
ディスプレー基板側
内部構造裏
制御基板側