〇年輪幅、晩材率、心材率の測定 〇木の線膨張係数について 〇木目(板柾)について 〇木材の乾燥について 〇木取り法について 〇木材から水が垂れる
Nさんから
突然のメール、大変失礼いたします。
私は現在、大学で森林を学んでいます。木材を学ぶにあたって質問があります。
平均年輪幅を測定する際、ノギスでなぜ年輪を一つずつ測定するのでしょうか。中心から測って、年
輪数で割ってはなぜいけないのですか。そして、晩材率、心材率を求める理由はなんでしょうか。
以上が質問です。お答えいただけたら有難いのですが、どうぞよろしくお願いいたします。
私から
その木の平均年輪幅を知るためには、中心から外側まで測って年輪数で割れば十分です。しかし、年
々の生長を知りたいとか、5年毎の生長を知りたいといった場合、或いは今は必要なくても解析を進め
る過程で必要になるかもしれませんので、1年づつ測っておいた方が応用は利きます。
晩材率はその木材の密度や強度の重要なインディケイタ−になります。晩材は早材に比べ格段に密度
が高く、晩材率が大きい木材は重く、また強度も優れています。
心材は辺材に比べ、耐朽性に優れ、また辺材はどの樹種も同じように白っぽいのですが心材はその樹
種特有の色調をしています。例えばヒノキの場合、腐り難いといいますが、腐り難いのは心材で、辺材
はそうではありません。また辺材は白っぽいのですが心材は淡紅色をしています。したがってヒノキの
本来の良さは心材が持っているといえます。心材率の高い木はその樹種の本来の性質の材を多く持って
いることになり望ましいことになります。心材率は一般に樹齢に比例して高くなります。
Nさんから
突然のメールにも関わらず、お返事ありがとうございました。
平均年輪幅ですが、木材物理学実験という実験で、カラマツの木口面の円盤を用いて、平均年輪幅、
心材率、晩材率の算定を行いました。平均年輪幅の算定は、JIS Z 2101 3.1に基づい
て、平均年輪幅=測定長/年輪数で小数点以下第一位まで求めました。その時の注意事項が『一つずつ
年輪をノギスで測ること』でした。なぜ年輪を一つずつ測定するのかという理由を調べることにしたの
ですが、全くわかりませんでした。あと、晩材率を測定する理由のこの2つが書かれていないとレポー
トを受け取っていただけないそうです。
平均年輪幅や晩材率を測定する特別な理由があるのでしょうか。度々、申し訳ありません。
私から
再度のお問い合わせですが、今回のお問い合わせの答えは先のメールでお知らせしたとおりです。不
信な点があれば本で調べ、それでも解決しなければ遠慮せずに先生に聞いて下さい。そのための先生で
はないでしょうか。
その時の注意事項として『一つずつ年輪をノギスで測ること』となっておればそのように測るのが当
然でしょう。ノギスの使い方は重要な実験手法です。1年輪ずつ、何回も繰り返し測ることは大事なこ
とです。
木材は樹木が自然の影響を受けながら育ち、出来あがったものですから、育ち方も年々異なります。
年輪幅や晩材率は育ち方と、そのように育った木材を利用する上で重要な指標になります。前のメール
に付け加えることは以上です。
労を惜しまずに測定に励んでください。
匿名の方から
はじめまして。匿名で失礼いたします。
木材に興味があり、いろいろなホームページを探索し、ようやく満足のいくページにめぐり合えた
と感激しております。
つきましては、一つご質問があるのですが、よろしくお願いします。
木取りの方法には、だら引き、柾目木取り、板目木取り、まわし挽きなど、多くの種
類があるようで、地方によっても呼び方が異なっているようですね。
英語でも true radial cutting, quater sawing, plain sawing, more economicquater sawing,
billet sawing , through and through or slash sawing 等となっています。
本によって、呼び名が異なっていて、どの呼び方が定説なのか、また英語と日本語の対応はどう
なっているのかが、いまひとつはっきりしません。
お忙しい中恐縮ですが、是非ともご教授の程、よろしくお願いいたします。
私から
当ホームページをご覧頂き有難うございます。匿名とのことですが、メールの発信者欄に名前が出
ていますが、あなたのお名前ではないのですか。当方にとっては別にどうでも良いことなのですが。
ご質問の製材木取りについては、説明がメールでは大変ですので、木材工学辞典(泰流社、
1982)をご覧下さい。それで、もし疑問があるようでしたら再度メールして下さい。
再度私から
先日のメールで木取りについて木材工学辞典をご覧なるようお勧めしておきましたが、如何でした
か。製材木取りは各地方で、工夫されながら発達してきていますので、定説を得るのは難しいようで
す。また日本の木取り法とアメリカのものとの対応となると極めて困難です。アメリカでも類似の方
法に種々呼び名があるようです。その辺のところを、ホームページ「木の話いろいろ」、「最近の木
材・木質材料の種類と特徴」、「製材」欄に附製材木取り法として
載せておきました。ご参考になりますかどうか。ご覧下さい。
匿名の方から
先日来大変お世話になっております。またこの度はご親切なメール、心より感謝いたします。
先生からのメールの後、木材工学辞典を購入しようと思い、いろいろと調べましたが、絶版のよう
でした。最後に息子が通っています九州大学の図書館で探してもらうとありましたので、コピーを
ファックスで送ってもらい、参考にすることができました。おかげさまで、一応の疑問は解消したよ
うに思います。
辞典によりますと、true radial cut を「柾目びき」としていましたが、quater sawnと重複してし
まいます。日本では「みかん割り」という呼び名があるようですが、これは学問的にはふさわしくな
く、何か「真柾目びき」といった訳語があるといいのではと考えたりしています。
最新のホームページ拝見させていただきました。私のメールを掲載していただき、またそれについ
ても丁寧な解説を掲載していただきありがとうございます。先生のホームページが今後ますます充実
されますことを心よりお祈りいたしております。
Aさんから
突然のメール失礼いたします。
私は建築の意匠設計をしている者です。今回、木部の結露について調べていた所、このホームページ
にたどり着きました。木材の性質について詳しくご存知かと思い、質問させていただく事にいたしまし
た。
湯河原のマンションのエントランスホール、天井(ブラジリアンパイン集成材+リボス塗装)部分に
結露が発生しました。酷いときは、床に水溜りができるほどです。このエントランスホールはほぼ屋内
ですが、外部の空気が自由に出入りしています。建物はRCコンクリート6階建。エントランスホール
は天井・壁がブラジリアンパイン集成材+リボス塗装 床は御影石
一般的に結露と雨漏りの判断は難しいと言われますが、漏水とは考え難い状況が何点かあります。
1.結露の時期が6月と秋口のみで、台風の時期には結露が見られない。
2.板ごとに結露している。
1枚は幅20cmで1.8mくらいの長さですが、すぐ隣の板は全く乾いています。
(竣工後にスリット穴を設置し、一枚の板がスリットの設置により分断されたにも拘わらず、両方と
も結露している)
3.去年の秋口に結露した板と同じ板が、今回も結露している。
設備会社に結露測定調査(温湿測定)をおこないましたが、天井表面・裏、スラブ表面、共に結露発
生条件には至りませんでした。一番結露の酷い天井板をはがし、スラブの状況を見る予定です。
調査を行った会社など結露に詳しい方々の意見では、漏水か、一般的な結露の範疇を超えた結露?と
言われております。
木の性質の違いにより、結露が発生しているとは考えにくいでしょうか?一般的に木材が結露するこ
とは全く考えられないと思いますが、どうかご助言をお願い致します。
私から
ホームページをご覧いただき有難うございます。
お問い合わせの結露の件ですが、かって同じような相談を受けたことがあります。その場合は、床の
間の落し掛けでしたが、時として結露水が滴り落ちてきて、周りを濡らすので困るばかりか、場所が場
所だけに何かの祟りがあるのかと気持ちが悪くなるというものでした。調べてみた結果、材に塩分が含
まれていることが判りました。材を噛むと塩辛いのには驚きました。含水率計をあてても塩分の影響で
相当高い含水率を示しました。輸入材の中には長く海水につかっていて塩分を含むものがあるようで
す。お問い合わせの結露がはたして塩分かどうかわかりませんが、一度調べて見てください。塩分です
と部材を取り替えるしか解消策はないのかもしれません。
先ずはお返事まで
Aさんから
早速のご返答、本当にありがとうございます。
塩分が原因とは、初めての見解で本当に驚きましたが、同時に頷けました。今回使用した木材は、ブ
ラジルから輸入した木材です。近々、天井材を取り外すことになりました。
ところで、分からないことばかりで教えていただきたいのですが、木材の塩分など固有の性質を調べ
るような、調査機関がありますでしょうか?低コストで大掛かりにならないような方法をご存知でした
ら、教えて下さい。
また、木材に塩分が大量に含まれることで起こる結露について、文献やホームページなどがあります
でしょうか?
本当に、何から何までご質問して申し訳ございませんが、お時間のありますときに、どうぞよろしく
おねがいいたします。
私から
先のメールでもお知らせしましたように、木材をなめてみると塩辛いので判りますし、木材の水分計
で測定すると、塩分が多い木材の部分まで判ると思います。木材の水分計は木材製品を生産していると
ころでは持っていますし、最近では製材工場などでも持っています。身近で借りられるとよいのです
が。
木材に塩分が含まれているかどうか、何か証明書が必要な場合は、公的機関で鑑定を受けるしかありま
せん。(問い合わせ先を知らせる)
木材に塩分が含まれることによる結露についての文献やホームページは多分ないと思います。