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木の話いろいろ
木のバットが折れて吹っ飛ぶのは?
松井選手のバットの変遷
〇お問い合わせ(石井順一さんのこと、
バットに関する文献、メープル材について)
〇バットの折損にまつわる話
ななめに折れたバット
プロ野球で使うバットは木材である。それも樹種が限定されている。日本ではアオダモ、アメリカ
ではホワイトアッシュである。共に同じ属の樹種である。バットは高速のボールをできるだけ強く打
って遠くへ飛ばそうとする道具で、打った瞬間には強い衝撃力がバットにかかる。若しバットに欠
点があると、ボールが当たった瞬間バットがそこから折れてしまう。折れ方には二つのタイプがあ
り、一つは斜めに削げ割れるタイプであり、今一つはぽっきり折れるタイプである。斜め折れは繊
維がバットの軸に平行になっていないことによる。
またぽっきり折れは一番力のかかるグリップ部に節や樹心に近い弱い材が使われた場合に生じる。
同じアオダモでもバットに適した材と不適な材があり、不適な材を無理して使うと折損が生じるこ
とになる。最近はアオダモ材が不足がちで、不適な材も無理して使う傾向が見られ、バットの折損が
増えてきている。したがって、バットの折損はアオダモ資源の枯渇と関連しているといえる。
最近、日本プロ野球機構ではアオダモの造林を始めたというが、この快挙に喝采を送りたい。90年
後にはこの造林木で作られたバットが出まわることであろう。
アオダモの木口断面ー中央の変色しているところが弱い
文献
1)バットの折損とその原因について 林業技術535号(1986)
2)アオダモ・ヤチダモ材の衝撃曲げ性能に及ぼす含水率の影響 木材学会誌31(12)(1985)
松井選手のバットの変遷
朝日新聞(2002.12.12 夕刊)に「ゴジラのバット激変」という記事が掲載されていた。大リーグに移
籍する松井選手が、バットの寸法を最近使っていたものより大幅に変更しようとするものである。「メ
ジャーの投手は揺れる速球を多投する。球を捕らえるポイントを外されてしまう。スイートスポットを
広くしたい。」というのが変更の理由である。変更点は表のとおりで、重量を軽くするとともに、今ま
でV字型だったバットの形状をビールびん型にしてヘッドをうんと太くしている。'95〜'97年頃に使っ
ていたバットと比較すると、寸法はほぼ等しいが、重量は40グラムも軽い。注文を受けたミズノでは従来用いていた樹種のアオダモの他、
メイプル、ホワイトアッシュでバットを作り松井選手に送ったという。
この記事を読んで感じたことが一つある。重いアオダモ材を使って果たして、太いにもかかわらず
900グラムという軽いバットが何の細工もなしに作れるのだろうかという事である。もし過乾燥して、
軽くした材でつくられているとすると、使用中外気を吸ってバットが段々重くなってくるので、注意が
必要である。乾燥剤を入れたバットケースが必要なのではなかろうか。しかし、メイプルやホワイト
アッシュでは、おそらく、そのような心配はない。材の重量がアオダモに較べ大分軽いからである。
どの樹種で作ったバットが松井選手に定着するのか、注目していきたい。とともに、自分にあった
よいバットを早く見付けて、大リーグでの大活躍を期待したい。
お問い合わせ
石井順一さんのこと
Uさんから
初めまして、私は高校野球に携わるものです。大学時代に木のバットを使用し今でも、野球のバット
は木バットがその理論の根底にあります。もちろん、これにかかれていた、王選手のバット工場にも行
き、バットを愛用していました。そこでバット論議もしたことを思い出します。ですから、私どもの北
海道の山にも大変興味を持っています。ですからこのホームページでまた勉強をさせていただきまし
た。ところで恐れ入りますがジュン石井さんはまだ製造をしているのでしょうか。もしおわかりでした
ら連絡先を教えていただきたいと思います。是非、お願いします。遠い北海道ではなかなか連絡が取れ
ないのでお願いいたします。よろしくおねがいたします。
私から
メールを拝見しました。当方のホームページをご覧頂き有難うございます。お尋ねの石井順一氏の件で
すが、残念ながら今どうしておられるのか、全く情報を持ち合わせていません。また住所や電話番号も
判りません。悪しからずご了承ください。
Uさんから
早々のお返事ありがとうございました。石井順一さんは、確か昨年死亡されていますね。私が訪問し
たときには石井達弘さんが対応していただきました。その当時は学校の修学旅行の合間を縫ってお会い
したのが最後でした。当時いただいた名刺を今も持っています。しかし、そこに電話をしても呼び出し
ばかりでつながりません。それでこのようなかたちでご連絡させていただきましたことをお許しくださ
い。でも、そのときの話題で北海道の三石から切り出したものを取り寄せているとの話を聞き、私も将
来は自宅の庭にヤチダモや青ダモを植えて子供にバットを作ってあげたいと夢を持ち始めたのもこれが
きっかけです。
中野さまには全く知識はおよびませんが四季を通じて子供たちと木のある生活をこころがけておりま
す。
何かの機会にカジマヤジュン石井さんのことがわかりましたらご連絡いただきたく思います。このた
びは有り難うございました。
最近次のようなメールを頂きましたので掲載します。
ジュン・イシイのその後
ジュン・イシイの石井順一氏はH3年、石井達弘氏はH8年にそれぞれ亡くなられています。その
間金属やグラスファイバー製のバット等も開発していたそうですが、木製へのこだわりが捨てきれず圧
縮バットの復活も望めないこと、そして後継者がいなくなり廃業され、一切のバット製造から手を引か
れたそうです。尚達弘さんの弟さん夫婦が今でも松戸の上本郷の前の工場のうらにお住まいです。
バットに関する文献
高校3年 A君から
ホームページを見させていただきました。大変興味深く、おもしろかったです。話は変わりますが、
僕は今、総合学習で、木製バットについて調べています。そこで、本当に申し訳ないと思いますが、ホ
ームページに記載されていた、「バットの折損とその原因について」と「アオダモ・ヤチダモの衝撃曲
げ性能に及ぼす含水率の影響」を送っていただけないでしょうか?また、バットについて書かれてある
本をご存じないでしょうか?もしご存じでしたら教えていただけませんか?いきなりで大変しつれ
いしました。
最後にもう一つ、ホームページ載っていることにはかなり驚かされました。ぼくは、「家はやっぱり
木。コンクリートは駄目。」と思う木派です。木にはいろんな不思議があり、すばらしいと思います。
だからこういうページが出来ると思うし、どんどん木について教えてもらいたいと思います。このペー
ジをずっと続けて下さることを願っています。
私から
ホームページを見ていただき有難うございます。木材に興味を持っていただき大変うれしく思います。
お申し越しの文献は別便でお送りします。その他のバットに関するまとまった本は、私の知る限りで
はありません。雑誌などに断片的に書かれたものはあると思いますので、調べて見てください。
あなたのような高校生の皆さんにホームページを見ていただくことが、私にとって大きな励みになり
ます。今後もホームページを充実していきたいと思っていますので、時々ご覧下さい。
今後も一層木材に関する知識を学んでください。
A君から
お返事ありがとうございました。文献を送って下さると言うことですが、ご迷惑をおかけしてすみま
せん。今後も出来る限り、ページを見させていただきたいとおもいます。お忙しい中、本当にありがと
うございました。
A君から
とても貴重な資料をありがとうございました。学習にかなり役立ちそうな内容で大変喜んでいます。
中野さんは木の博士でいらっしゃることを本で見させていただきました。今後、木に関する疑問がでて
きたときにはお聞きしてよろしいでしょうか?最後に見ず知らずの他人の僕に親切にお答えしていただ
いてありがとうございました。
私から
お送りした資料が役に立ちそうだとのことで何よりです。木についての疑問が出たら
遠慮なく質問のメールをよこして下さい。
メープル材について
Hさんから
こんばんは。初めて問合せをさせていただきます。
最近野球の木製バット素材でメープル(楓)材を注目しております。一般的には現在使用されている木
製バット材のなかで一番反発力があるとお聞きしております。
メープル材とアオダモ材を比較した場合の利点、難点など教えていただきますでしょうか?
また現在オーストラリアで野球バットに適した木材を探しているのですが何かお勧めの木材などござい
ますでしょうか?
あと最後にバット材に適さないバットの破損の仕方は参考になったのですが、バット材に適したバット
の破損の仕方とはどのような形になるのでしょうか?
宜しければご返答いただければ幸いです。
宜しくお願いいたします。
私から
ホームページをご覧頂き有難うございます。 一寸留守にしておりご返事が遅れ申し訳ありません。
メープル材は野球バットにどうかというお問い合わせですが、朝日新聞の記事によると、ジャイアン
ツのボンズも使っているということですし、松井選手にもミズノがメ−プル材で作ったバットをアオダ
モ材やホワイトアッシュ材で作ったバットと一緒に提供したということですから、メープル材はバット
として十分使用出来るのだと思います。メ−プルは高樹齢になると波状杢が出てきます。繊維が波打っ
ていると、バットが折れやすくなりますから、繊維が通直なところを使うことが大事です。アオダモ材
より多少軽いので、軽いバットが作り易いのはよい点でしょう。
よいバットの折れ方は、バットが吹っ飛んで行かないという事で、小さな割れが入るのがよいのでは
ないでしょうか。
オーストラリアで野球バットに適した樹種を探しているとのことですが、残念ながら適当な木がある
のかどうか判りません。お許し下さい。
Hさんから
この度はご丁寧なご返事をいただき誠にありがとうございます。第2子出産の為お礼のメールが遅れ
ましたことをお詫び申し上げます。
ご返事の内容の中にございましたメープルはアオダモに比べ多少軽いとの事でしたが今まで私の情報
ではメープル材はアオダモに比べ反発力がよく、折れにくいが重い為、ヘッドをくりぬいたりして軽量
を計っているとのことでした。アオダモに比べ多少軽いというのはわかりましたが、実際具体的な数字
としてどのくらい軽いのかご存知でしょうか?またホワイトアッシュに比べ重いのでしょうか?軽いの
でしょうか?
あとホワイトアッシュがアオダモに比べ反発力があるとお聞きしますが、メープルの反発力はどの程
度のものでしょうか?ホワイトアッシュより反発力があるのでしょうか?また強度についてはどうでし
ょうか?
あと材木の値段ではホワイトアッシュが安く、アオダモが次に高く、北米産シュガーメープルが一番
高いようです。この情報は正確でしょうか?
色々とお伺いいたしますがまたお時間のある際にご返信いただければ幸いです。
今後共宜しくお願いいたします。
私から
早速ですがメープル材の重さについて述べます。材の密度ですが、ホワイトアッシュ0.55〜0.60、メ
ープル0.55〜0.65、アオダモ0.65〜0.70くらいです。ホワイトアッシュとメープルはアメリカ林産試験
場のデータです。また、メープルには重いメープルと軽いメ−プルがあり、これは重いメープルの値で
す。またアオダモは私達の試験結果です。
次に強度ですが、バットの強度は衝撃曲げが一番大切だと思われますが、ホワイトアッシュとメープ
ルはほぼ同じ値が出ています。アオダモについても衝撃曲げ強さは求められていますが、アメリカと日
本では試験方法が異なるのでデータを直接比較できません。多分アオダモの方が若干強いと思われま
す。
値段については全く判りませんのでお許し下さい。
先ずは取り急ぎお返事まで
Hさんから
ご返答いただきありがとうございます。
非常に参考になるデータを教えていただきありがとうございました。
私の情報と異なる点があり、私の考えを改めなければならない点が多くありました。
今後共宜しくお願いいたします。
もしオーストラリアのゴールドコーストにいらっしゃることがございましたら是非案内いたしますの
でその際はお声をお掛けください。
簡単ではございますがお礼まで。
(オーストラリアの連絡先が記されていました。外国でのご活躍,頑張って下さい。)
興味のある方はどうぞ「バットの折損にまつわる話」
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