ツバル→フィジー→トンガ


平成16年8月12日(木)

 ツバルに来て気づいたことだが、この国では一般のレストランとか食堂とか言う ものをほとんど見かけない。わざわざ「一般の」と付けたのは、泊まっているゲスト ハウスには一階にレストランがあるからだが、これは主に宿泊客のためのもので ある。あとは、空港内にファーストフードのスタンドがあるが、それぐらいであろう。 飛行機は月曜と木曜の週2回しか飛んで来ないが、それ以外の日でもスタンドは やっていた。あと、スーパーマーケット(というより、普通の雑貨屋)も、 ゲストハウスの隣に一軒と、あとどこかでもう一軒ほど見ただけである。 品揃えも、缶詰とジュース、その他少々、それで全て、といった具合である。 うーん、かつての西アフリカの旅を髣髴させるなあ…。

 とは言っても、電気があるのと、治安がいいのと、その二点では西アフリカに 勝っているから、ツバルの方が西アフリカよりはずっと快適だ。 気候も、ちょうどいいし。まあ、たまにはこのような、少し不便な国に来るのも 良いものだ。何でも欲しい物が即座に手に入る日本の生活を見直し、「人間の原点」 のようなものをしみじみと感じることができるからである。

 それに、ツバルは、最高地点でも海抜わずかに5m、平均海抜はたったの1.5mしかない。 これでは、高潮や津波が来たらひとたまりもないであろう。それでなくても、 地球温暖化の影響で南極の氷が解け、海面が徐々に上昇してきたら、 水没の危機の可能性があると言われている。まあ、一昨日の上げ潮を見たら、 それは充分あり得ることだと妙に納得できた。

 さて、今日はフィジーに帰る日である。Pacific Link の PC602 便は、フィジーから 定刻よりも少し早く到着。降りてくる乗客を見ていると、日本人らしき人が合計10名。 4日前に着いたときも私を含めて日本人が6人乗っていたし、 何でこんな辺鄙な国にこんなに日本人が来るんだろう??

フナフチ国際空港のカウンターと待合室。

 今日フィジーに向かう乗客は10人ちょっと。そのうち一人は看護士の付き添い付き で点滴をしながら搭乗を待っていた。ツバルの病院からフィジーの病院に移送される のであろう。看護士はメディカルキットと思われるジュラルミンの箱を持っていた。 あと、患者の家族と思われる付き添いの人2人。その他6人は一般の乗客。ツバルでは このような緊急輸送がありうるので、予約のリコンファームをきちんとして、乗るのか 乗らないのかの意思表示をしておいてあげた方が、皆に対しても親切であることを 痛感した。先日旅行会社が私をわざわざ探してまでゲストハウスに 電話をしてきてくれたのは、この人の移送に関係したことであったのかも知れない

この飛行機でフィジーまで。EMB120 ブラジリア。

 スバ郊外のナウソリ空港には、午後2時前に到着。入国、税関問題なし。外に出る と、スバ行きのバス会社のオフィスがあった。そこで聞くと、2時半にスバ行きのバス があるという。それで、半時間ばかりバスを待っていた。2時半になり、バスは来たが、 乗客は私一人であった。走り始めて数分もしないうちに、運転手が、

乗客が一人しかいないんならば、スバに行くのはやーめた。ナウソリ のバスターミナルまでただで送るから、そこから市バスに乗って、自分でスバまで 行ってくれ

と言い出して、私はナウソリのバスターミナルで無理やり降ろされてしまった。 そこから普通のバスでスバまで。約一時間かかったが、午後4時前にはスバに到着。 バス代1.30F$。

 そこからタクシーで、また Tropic Towers Hotel に向かった。フロントはこないだ 来たときとは違う人で、今日はまたとても親切に応対してくれた。これでこの ホテルの一旦下がった評価がまた少し高くなった。部屋に入って荷物を置き、 それから、ツバルでは水不足のため洗濯は全くできなかったし、シャワーも充分に 浴びられなかったので、ここで 早速シャワー、と意気揚々と廊下のシャワー室に行ったが、ありゃりゃ?栓をひねって も水もお湯も出てこない。シューという音の空気だけである。あれー、ツバルに続いて フィジーも断水か?まさか、そんなことはないでしょう。フロントに問い合わせると、

すみません。本日、当ホテルの水道管は修理中で、水道が止まって おります。ご不便をおかけしますが、どうかご了承ください

とのことだった。その言葉を聞いたとたん、ガーンと頭を殴られた 思いがした。“どうかご了承”なんかできるわけがない!ツバルでは同じ服を ずっと着ていたのでもう服はドロドロ、汗で匂っているし、もう一着の海水で濡れた 方の服とズボンは、単に乾かしてもベトベトしてとても着れたものではない。 それを全て今日は洗ってさっぱりしたかったのに、洗濯はまた明日のトンガまで お預けとなってしまった。もう、全く、ついてない。旅行に出ると着たきりすずめの 人も多いが、私は結構こまめに洗う方なので、洗濯しないと気持ち悪くて、とても 着られたものではない。

 夕方から割と激しい雨になっていたが、部屋でくつろいでいると、天井から 雨漏りが始まった。ありゃりゃ、水道の水は出ないくせに、 天井からは水が出るとは、これはまた、なかなか粋なサービスの ホテルである。これで、一旦下がった後にまた上がったこのホテルの評価が、 再度また下がることになった!


平成16年8月13日(金)

 朝、5時に起床。昨日ナウソリ空港に着いたときに、朝のスバ市内から空港に向かうバスの 時間を尋ねて、朝6時に空港行きのバスがホリディーインの前から出ることを聞いていたので、 5時半にホテルをチェックアウト、タクシーでホリディーインに向かう。

 着いてみると、案の定乗客はやはり私一人で、思った通りバスはなく、「バスはないから タクシーで行け」と言われて、知らないフィジー人のおじさんと、タクシーに相乗りさせ られた。そのおじさんは空港まで行く道の途中の何とか村まで行くらしく、タクシー代 はスバからそこまでがそのおじさんの負担、そこから空港までが私の負担ということになった。 結局、私の負担額は5F$だけ。まあ、それぐらいならいいことにしましょう。

 Pacific Link の PC621便フィジーのスバ発トンガのヌクアロファ行きは、定刻8時半 の出発。

 出国のとき、ちょっと珍しいことが起こった。出入国審査官が、 間違った日付のスタンプを私のパスポートに押したのである。今日は8月13日の はずなのに、昨日の日付のスタンプを押したのである。こんなことは初めてだ。後で 待合室で搭乗を待っている間に気付いて言いに行くと、はじめは、「それぐらいいい じゃない」と面倒くさそうに言われたが、再度言うと、スタンプをいやいやそうに 押し直してくれた。多分、スタンプを押しなおすこと自体が面倒くさいのでは なく、間違った日付のスタンプを押した証拠が残ることが出入国審査官にとって はいやだったのではないだろうか?

出入国審査官が押し間違ったスタンプ。手書きで VOID と書いて訂正している。

 飛行機は、昨日ツバルから乗ってきたのと同じ飛行機であった。ブラジリアとかいう 30人乗りほどのプロペラ機である。フライトアテンダントもパイロットも同じ。 飛行中コックピットのドアを開けたままにしていて、不真面目にも 新聞を読みながら操縦しているところが丸見えなのも同じ。

不真面目にも、新聞を読みながら操縦するパイロットが丸見え。

 飛行機は1時間半の飛行で、トンガの首都、ヌクアロファのファアモツ空港に到着。 ニュージーランドからジェット機も飛んでくる空港なので、滑走路だけは長いが、 建物は小さい田舎空港である。

 ここでフィジーとは時差が1時間ある。日本時間に対しては4時間進んでいる。 日本時間は国際標準時に対して9時間進んでいるので、結局、トンガは国際標準時に 対して13時間進んでいることになる。国際標準時に対する進みや 遅れは最大12時間ではないのである!(ちなみに、キリバスの一番東の地域 では、国際標準時に対して14時間進んでいるところがあるそうである)

 入国、税関ともに問題なし。空港の銀行で125A$を替えて、160T$(トンガドル)。 ということは、1T$は大体70円。円から一度オーストラリアドルに替えてから再度 トンガドルに替えているから、少し手数料の面で不利である。多分、円から直接 替えれば、1T$は60円台だろうと思う。

 外に出ると、タクシードライバーが寄ってきて、勧誘する。バスはあるのかないのかも 分からない。そのうちの一人が、

「私はゲストハウスの客引きなんだけど、うちのゲストハウスは一泊15T$で、これ以上 安いところはトンガ中探してもなかなかないよ。それに、うちのゲストハウスに泊まる なら、市内までは無料で送迎しますよ。だから、さあ、わたしの車に乗ってください」

と言うので、少々胡散臭いと思ったが、とりあえず車に乗った。

これが、ゲストハウスの客引きのタクシー。

そのタクシードライバー。嘘八百ばかり言う。皆さんもトンガに行ったら、この顔には注意!

 市内までは、恐ろしく遠かった。途中、車を走らせながら、このドライバーは、 今から行くゲストハウスに対する考え付く限りのありとあらゆる美辞麗句を並べ 立てて、初めてトンガに来てそこに泊れる君は幸福者だ、としきりに強調していた。 何や、うっとおしいおっさんやなあ。もうちょっと黙って静かに運転したらどう なんや!私の経験上、こういう宣伝文句をしきりに繰り返す奴は大体にして、 後でどんでん返しを用意してあるに違いない。今の場合なら、きっと、着いたら タクシー代はいくら払えと言ってくるに違いない。

 それなら、ひとつ、こちらからモーションをかけてみよう。

「おたくのゲストハウスに泊ればこの送迎はただだとさっき言ったけど、もし、 私がおたくのゲストハウスに泊らなかったらどうなるんですかね?」

「そのときは、15T$払ってもらいます」

「ゲストハウスは一泊15T$って言ったよね。もし私がおたくのゲストハウスに 一泊だけ泊れば部屋代が15T$でこの送迎がただの合計15T$、もしおたくのゲスト ハウスに泊らなければ車代が15T$で、泊るところは自分で探して別に払わ なければならないから、要するに、私は、おたくに最低一泊は泊らないと 損になる計算になるじゃないですか。じゃあ、とにかく一泊だけしましょう。」

「いや、空港−市内の送迎がただになるのは、3泊以上、それも宿代を 前払いした時だけですよ」

「そんなこと、乗る前に聞いた時には言ってなかったでしょう!うちに泊れば 市内までは無料だって言ったじゃないですか!最低3泊なんて聞いてないですよ」

「いや、そうじゃなくて、3泊以上したら無料になりますけど、2泊なら5T$、 1泊なら10T$、泊らなかったら15T$のタクシー代がかかってくるんですよ」

「そんなこと、まず最初に説明しなさい!」

「じゃあ説明させてもらいますけど、このタクシー代はとにかく15T$なんですよ。 ただし、私はそのゲストハウスと契約しているもので、私の車でゲストハウスまで 到着したお客さんは、一泊20T$のところを最大3泊までは、一泊15T$に割引して もらえますんで、3泊すれば合計15T$の割引となって、実質、私のタクシー 代は無料と同じことになるんですよ」

やっぱり予想通りだ。問い詰めて行くと、だんだん言うことが変わってくる。 他の国なら、信号で停止したときにでも車を飛び降りてやるところだが、 まあ、トンガは治安もよさそうだし、人を騙すにしてもそれほど悪質なことは するような国でもなさそうだから、どういう結末になるか、とりあえず市内まで は行くことにした。

ヌクアロファ市内の様子。

 30分以上も走って、やっとヌクアロファの市内に入った。と、車は一軒の 民家風の建物の前で泊った。「Backpackers' Place」という小さな看板が 出ている。ここがそのゲストハウスらしい。ドライバーは、建物の方に向かって 声をかけた。すると、人のよさそうなおばさんが出てきて、部屋に案内してくれた。 部屋は離れの建物にあり、新しくて清潔なところであった。これまた人のよさそう なご主人が、ちょうど各部屋を掃除しているところであった。まあ、この夫婦の 経営の民宿ならば、まあ泊ってもいいか。それで、おばさんに一泊いくらか 聞くと、20T$とのことであった。ということは、タクシー代込みでとにかく 一泊20T$ずつ3泊以上払い、タクシー代はゲストハウスからドライバーに 払ってくれるシステムになっているのだろうか?

 タクシードライバーのところに戻り、

「宿の人に聞くと1泊20T$と言っていますが、と言うことは、タクシー代は それに含まれているということですね。宿の方から払ってもらえるんですね」

と言うと、

「いや、タクシー代15T$は私に直接払ってください」

と言うので、

「それでは話が合わないではないですか。一泊20T$を15T$にディスカウントする ということだったでしょう」

と言うと、

「違いますよ。ディスカウントするというのは、ここに3泊以上する場合、空港 からのタクシー代20T$を15T$にします、ということですよ。宿代ではないですよ。 で、もし、滞在中の島内観光と帰りの市内から空港までも私の車を利用してくれる なら、さらにそれぞれ5T$ずつディスカウントしてあげますから、今の5T$のディス カウントと合わせて、合計15T$のディスカウントになりますから、要するに この送迎は無料と同じことになるんですよ」

やっぱり予想通りだった。始めはただと言っておきながら、後で違う事を言ってくる。 多分、空港から市内までは20T$が公定料金で、3泊以上した場合は、このゲストハウス がドライバーに5T$のバックをするのだろう。タクシー代も宿代 もともに同じ20T$であることを利用した、一種の子供だましのようなトリックだ。 良く言えば商売上手、悪く言えば嘘つき野郎である。でも、始めから、 大体そうだろうと予想していたからか、不思議とあまり腹は立たなかった。 まあよくもそれだけ嘘八百を並べ立ててくれたものです、お疲れ様、ご褒美に、 本当はただの約束だったけど特別に15T$払ってあげましょう、とでも言う べきか。連れて来てもらったゲストハウス自体はとてもよさそうな所 なので、それに免じて、今回は大目に見て、始めからバレバレだった 各種の嘘は、ジョークということにして許してあげましょう。でも、 そんな手ばかりで客引きをしていると、トンガ人は 皆嘘つきばかりか、という第一印象を、せっかく遠路はるばる来てくれた 人に植え付けることになりますから、長い目で見たら、きっと 良いことではないと思いますけどもねー。

泊まったゲストハウス。客引きタクシーはひどかったが、ゲストハウス自体はとても良かった。

 とにかくまずシャワー。ツバルでは雨水で水浴びをしただけだし、フィジー では水道管の故障でシャワーに入れなかったので、とにかくさっぱりしたい。 その次は洗濯。これも大量に洗濯した。ああ、やっと、着替えができる。

 午後、宿の主人が、近くのスタジアムでラグビーの試合があるので一緒に 見に行かないかと誘ってくれたが、明日から週末で、今日中に市内を見に 行っておきたかったので丁重に断る。それから市内に出て行く。念のため、 銀行で40F$を追加両替しておく。43T$。それから、これも念のため、来週 火曜日のサモア行きのフライトのリコンファームのために、ニュージー ランド航空のオフィスまで行く。帰りに、近くの食堂でカレーを食べる。 4T$。ご飯ではなく、キャッサバ(トンガではタピオカ と呼ばれている)の上にルーをかけたカレーであった。こんな カレーは初めてだ。キャッサバは、日本のふかしサツマイモと全く同じ 味がするので、びっくりした。カレーを食べた後、スーパーで買い物3T$。

カレーを食べた食堂。

キャッサバの上にルーをかけたカレー。

帰りにスーパーで買い物。日本のホームセンターのかごが使われている。

 トンガの伝統衣装では、男性がスカートのような布を腰に巻き、その 上からふんどしと言うか相撲の「まわし」と言うか、のようなものを 巻いているが、どうも変な感じがしないでもない。スカートのような 布はトゥペヌ、ござで作ったふんどしのようなものはタオバラと言う らしい。ゲストハウスのすぐ裏が高校だが、スカート をはいた男子学生たちが集団でサッカーに興じているように見えて、 やっぱり違和感がある

 トンガの気温はフィジーとほぼ同じで、日本の初秋のように涼しくて 乾燥しており、過ごすには快適である。夕方、通り雨がある。

高校生もスカート!?

トンガの伝統衣装の男性。


  


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