セントマーチン→アンティグア・バーブーダ→セントクリストファー・ネービス→セントマーチン


平成16年3月15日(月)

 朝6時半にホテルを出発し、空港に向かう。今日は、アンティグア・バーブーダの首都、セントジョンズまで行く予定。また次の国である。地図を見ていただくとお分かりになると思うが、カリブ海は、極端に言うと、島毎に国が変わると言ってもいいぐらいだ!ただし、まだ切符を買っていないので、早い目に空港に駆けつけて切符を購入する予定。マリゴから空港まで直通のバスが来た。料金2ドル。

 空港には7時前に到着。カリブ海諸国が共同で運行している航空会社である LIAT のカウンターで、切符を購入する。ラッキーなことに、8時10分発のアンティグア行きに空席があると言う。セントマーチンからアンティグアまでの往復、ただし、帰路はセントクリストファーにストップオーバー(つまり、セントマーチン→アンティグア→セントクリストファー→セントマーチン)と切符を切ってもらって、ディスカウント料金で143ドル。思ったよりも安かったが、やはり手持ちのドルがないのでカード払い。

LIAT航空機で、アンティグア・バーブーダに出発。

 空港税は20ドル。これは高い。出国検査を通り、待合室で出発を待つ。LIATの521便、セントマーチン発セントクリストファー(別名、セントキッツ)経由アンティグア行きに搭乗。プロペラ機のダッシュ8型機。座席は2列2列で9列あるが、最後尾の列だけバスのように座席が5列あるので、全部で37人乗り。搭乗券には座席番号が記入されているが、実際にはどの席に座ってもよかったので、後ろの方の窓際に座る。

 セントマーチンを8時30分に離陸、すぐに水平飛行に移り、わずか20分で経由地のセントクリストファー島に着陸。乗客がかなり入れ替わる。15分止まって、9時5分、セントクリストファー島を離陸、再び20分の飛行で、目的地のアンティグア島に到着した。午前9時25分、VC Bird 国際空港に到着。

いかにも南国、アンティグア・バーブーダの首都、セントジョンズの VC Bird 空港前。

 到着したアンティグアはいかにも南国らしい快晴の天気で、セントマーチンよりもやや暑いように感じた。冷房の良く効いた近代的なきれいな空港であるが、入国審査が遅いのには閉口した。一人当たり、10分ぐらいかけて、ゆっくりと審査している。私の前には3人しかいなかったのに、自分の分も含めて合計40分かかり、結局、外に出たのは10時半になった。

 空港内の銀行で100ユーロを現地通貨の EC$ に換えて、316EC$。銀行窓口に掲示されているレートの表を見ると、1USD=2.65EC$、1EUR=3.16EC$となっているから、ここではドルとユーロは1対1ではない。やっと、まともにユーロを評価してくれるところに来たのでほっとする。

 空港からは市バスはないし、タクシーは25EC$もすると言うし、まだ午前中なので、空港から歩いて(!)セントジョンズの市内に向かう。まあ、1時間半ぐらい歩けば着くでしょう。道をてくてくと歩いて、予想通り、昼少し前にセントジョンズ市内に到着。先日のアンギラ島に続いて、ちょっとしたハイキング気分である(?)。

 ホテルは、市内にある中級のホテルにした。一泊53ドルだが、EC$払いで、142EC$。なかなかいい部屋である。それに、温水が出るのがうれしい。昨日までのサンマルタンのホテルも同じ一泊50ドルのくせに、冷水しか出なかったのとは大違い。やっぱり、日本人はお風呂(実はシャワーだが)ですね〜。

首都のセントジョンズ市内の様子。

 昼から、English Harbour という景勝地に市バスで出かけて行く。市場横のバスターミナルから、17番のバスで3.25EC$。セントジョンズとは島の反対側だが、約30分で到着。アンティグア島の大きさというのは、これくらいである。ヨットが多数浮かぶ入り江になっており、Nelson's Dockyard という公園が造られていた。入場料13EC$の割には、展示はくだらない。

お土産を売る露店。

ネルソンドックヤード公園を参観。これはイギリス植民地時代の建物。

 この付近はビーチリゾートにもなっており、バカンスの欧米人観光客を多数見かけた。でも、欧米人観光客を見かけるのはこの辺りだけで、セントジョンズに戻ると観光客はいない。黒人ばかりである。あと、中国人経営の商店やレストランがいくつかある。そのためか、道を歩いていると、あちこちから、「チノ!チノ!」と声を掛けられる。

 ホテルのフロントにおいてあるパンフレットを見て、ちょっとしくじったと思った。実は、この近くにイギリス領モントセラット島という島があるのだが、火曜日と木曜日に高速船による日帰りツアーが開催されている。今朝、セントマーチンで飛行機の切符を買ったとき、特に理由なく、アンティグアに1泊、セントクリストファーに2泊の日程を組んでしまった。逆にしておけば、明日日帰りで行ってこられたのに。残念。

 夕食、鳥の料理で10EC$。これはなかなかおいしかった。夜、激しいスコールが来る。

見たこともない形のコンセントプラグ。日本と同じ形、イギリスと同じ形、ヨーロッパと同じ形、そしてこの見たことのない形の4種類のプラグが混在して使われていた。


平成16年3月16日(火)

 午前中、セントジョンズの市内をぶらぶら。まず、市内の銀行で100ユーロ追加両替。今日夕方、また次の国、セントクリストファー・ネービスに移動する訳だが、そこも同じ通貨のEC$なので、あらかじめ換えておくためである。昨日空港で換えたレートよりも少しぐらいはいいかと思ったが、結局交換レートは同じ。316EC$。

アンティグア・バーブーダ博物館を訪れる。

セントジョンズ市内の教会。

 その後、博物館を見る。入場無料、ただし、寄付をして欲しいと言うので、5EC$寄付した。まあ、普通の展示。その次に、教会を見に行く。その後、海の方にも行った。昨晩のうちに豪華客船が着いたらしく、港には見上げるばかりの巨大な船が停泊していた。その船から大勢の欧米人観光客が降りて来て市内を見物しているので、昨日までの黒人ばかりのセントジョンズ市内から、一変して今日はあちこちで欧米人の姿を見かける。でも、日本人観光客は一人も見かけない。

突然、大型の豪華客船が来た。

市内は一転して、欧米人観光客であふれる。

 セントジョンズの市内は、治安は良さそうである。道を歩いていても、“殺気”を感じない。人々の表情も穏やかだ。それに、店やレストランもきれいにしてある。人々の働きぶりも、てきぱきとしているし、道などを聞いても、親切に教えてくれる。こういう国は、きっと教育レベルが高いに違いない。そして、教育レベルの高い国は万事がうまく回っていき、政情は安定し、生活も向上して、治安も良くなる。今まで、私はひどい国もいくつも旅行して来たが、ここアンティグア・バーブーダは、きっと「まともな国」なのだろう(昨日来たばかりで、私の予想が当たっているかどうかは知らないが、少なくとも、第一印象はそうであった)。

店もきれい。アンティグア・バーブーダは思ったよりも進んだ国。

 それにしても、カリブ海の国々は、アメリカ人相手の観光業で成り立っているという印象を強く受ける。もし、アメリカ人観光客たちが来なかったら、漁業やサトウキビ農業だけで国の経済は支えられないであろう。結果として、アメリカに経済的に依存することによって、国の体制、経済、治安が維持されていると言っても過言ではないような気がする

 昼にホテルをチェックアウトし、それから昼食をとって、それから、昨日同様、歩いて空港まで。午後2時半到着。

 LIATの540便、アンティグア発、セントクリストファー、セントマーチン経由、セントトーマス行きは、定刻午後4時40分に出発。私は最初の経由地、セントクリストファーで降りるので、わずか20分だけのフライト。午後5時に、セントクリストファー・ネービスの首都、バセテールのある、セントクリストファー島(別名、セントキッツ島)のブラッドショー国際空港に着陸。セントクリストファーと言う正式名称は長すぎるからか、セントキッツという俗称の方が通りが良い

 空港ターミナルの建物は、小さいながらも割合近代的な、きれいな建物であった。まず入国審査。パスポートと入国書類を提出し、スタンプをポン、と思いきや、そうは問屋が卸してくれなかった。私のパスポートと入国書類をしげしげと見ていた中年の女性入国審査官が、やがて質問して来た。

「日本ではどこに住んでいるの?日本での住所を、番地まで正確に、ここに書きなさい!」

返された入国書類に、ローマ字で記入する。

「セントクリストファー・ネービスに来た目的は?」

「観光です。」

「何日滞在するつもり?」

「3日間の予定です」

「出国のチケットは持ってるでしょうね?見せてもらいます」

明後日の、セントマーチン行きのチケットを見せた。

「んん、セントマーチン?このチケットはセントマーチンで終わりじゃないの!あんた、日本人でしょう!それとも、セントマーチンに住んでるとでも言うの?日本までのチケットをすべて出しなさい!」

21日にセントマーチンからアトランタ経由で成田まで戻る、デルタ航空のチケットも提示した。女性係官は、私のパスポートをパラパラとめくり、何かを調べている。

「ちょっとあんた、セントマーチンからアメリカ経由で日本まで行くチケットをのこのこと出してるけど、パスポートにアメリカのビザがないじゃないの!こんなんじゃあ、アメリカで乗り継ぎができないでしょう!おかしいと思わないの!!」

「日本人は、アメリカ入国にビザは必要ありませんよ」

「そんなバカなことないでしょう!!もしそんなんだったら、日本人は全員アメリカにこぞって行ってしまうじゃないの!!!アメリカがそんな事認めているわけないでしょう!!!」

女性入国審査官は、だんだんと語気が荒くなってきた。でも、そんなに勝手に怒られても、こっちは本当のことを言っているのだから仕方がない。話の筋からして、どうも、この人は日本人と中国人の区別が付かないらしい。

「そう思うのでしたら、もう一度私のパスポートを良く見てみてくださいよ。過去にも数回、アメリカに入国しています。その時のスタンプが残っているはずです。日本人はビザ無しでアメリカに入国できますよ」

実際、私のパスポートには、先週来る時にアトランタでトランジットした時の入国スタンプと、去年、バハマに行った時にアメリカでトランジットした時の入国スタンプ、あと、グアムでの入国スタンプがいくつか押されている。それを見た入国審査官は、しぶしぶ、アメリカのビザの件は納得せざるをえなかった。

「滞在先は Palms Hotel となっているけど、予約証明書を見せなさい」

そんなものあるわけない。ホテル名は、市内にある高級ホテルの名前を適当に書いただけだ。実際にはそこに泊まる予定もないし、もちろん、予約などしていない。

「いや、時間の関係で予約はしていませんが、そこに泊まるつもりです。まあ、こんな時期ですから、予約しなくても空いていると思いまして...」

と、わざととぼけて返事をした。

「そんなあやふやなことでは、入国は許可できません!」

これは、ホテル強制予約かな、と思った。しかし、女性係官は、次の話を切り出してきた。

「あんた、日本で収入はあるんでしょうね!」

「もちろんです」

「仕事は何をしてるの!」

「大学で講師をしています」

「あんたが!?」

大きなお世話だ、ほっといてくれ!人は見かけによらないのだ!!

「大学で何を教えてるの!」

「数学とコンピューターです」

「ふ〜〜ん、それなら、滞在に必要な充分なお金はもってるんでしょうね!」

「もちろんですよ」

「なら、所持金を全部見せてもらいます」

ああ、一番いやな要求だ。入国の時に何がいやと言っても、所持金の検査ほどいやなものはない。国によっては、その間に、係官に札を数枚引き抜かれることすらある。

 大きな現金は、例のごとくパンツの中に隠してあるので、とりあえず、日常使う財布を見せた。これには、アンティグアで換えたEC$と、米ドルがほんの少しだけ、あと、ユーロ少々と、日本円を少し入れてある。

「何、これ?あんた、ほとんど米ドルを持っていないじゃないの!こんなんで、滞在に充分なお金と言えると思っているの!」

ここでも、成田空港での失敗が響いている。所持金はほとんどがユーロだ。それも、高額紙幣はパンツの中に隠してある。財布に入っているのは小額紙幣のユーロだけだ。でも、EC$は今朝アンティグアで100ユーロ分換えたから丸々残っているし、日本円も一万円札2枚と千円札が数枚入っている。だから、今提示した財布の中の4種類の通貨の金額を合計すれば、4〜5万円ぐらいにはなる。セントクリストファー・ネービスには2泊3日だけなのだから、それだけあれば充分でしょう。

「このお金は何?」

「はあ、日本円ですよ」

「こんなお金、いくら持っていても(日本以外では)使えないでしょう!!これじゃあ、滞在に充分な所持金があるとは、認められないでしょう!!ドルはないの、ドルは?」

あきれた女性係官だ。天下の日本円を知らないらしい

「滞在に充分な現金を所持しているとは認められません。カードか何かはないの?」

はいはい、ありますよ。カードを提示する。

「このカードは期限が切れています」

「はあ?今年の11月までありますよ。良く見てください」

「あ、ほんと。見間違いだった」

ここにきて、女性入国審査官の口調が少し柔らかくなった。有効なクレジットカードを持っていると分かり、どうやらこれで、所持金の件も解決しそうである。

「セントマーチンまでのチケットを再度拝見。明後日の便ね。それなら、3日間だけ滞在を許可します」

ああ、やっと、スタンプがもらえた。パスポートには、「3月16日入国、3月18日までの滞在を許可する」と記入されていた。

 続いて税関。私が近づいて行くと、今度は男性の中年の係官が、見るからに嬉しそうな顔をして待ち構えていた。案の定、荷物を全部開けて、隅から隅まで検査。こちらの方はあまり質問はなく、私はただ横で黙って見ているだけで、係官が勝手に私の荷物を開け、中の袋も一つ一つ開けて、隅から隅まで入念にチェックしていた。少々待たされたが、程なくして、無事検査終了。

 こんな具合で、初っ端の入国審査から、印象が良くなかった。まあ、アフリカのように賄賂要求がなかったことだけは、不幸中の幸いであったのかも知れない。アンティグアの時も入国審査は遅かったが、質問等はなかったし、入国審査官もフレンドリーであった。でも、ここ、セントクリストファー・ネービスでは、どうも勝手が違うようである。

 空港の外に出てみる。のどかな田舎の風景が広がる。豊かなアンティグアから島一つの隣の国だが、一転して、かなり経済的に立ち遅れた国だと言うことが一目瞭然だ。建物はみすぼらしいし、道の舗装はしっかりしていないし、通る車も、何となく古めかしい気がする。アンティグアやセントマーチンに比べると相当に遅れている、多分、アンギラより少しましなくらい、と思われた。

 空港前の道端で少し待っていると、市内行きのバスが来た。着陸前に上空から見ていたが、バセテールの市内は空港のすぐ近くで、歩いてもそれほどかからなさそうな距離であった。バスでは、5分もしないうちに到着。料金、1EC$。

 市内は、アンティグアのように小奇麗な作りの建物ではなく、くすんだ壁の憂鬱そうな建物ばかりであった(少なくとも、私にはそう見えた)。道端には、心なしか、みすぼらしい身なりをした人々がたむろしている。こっちを見て、ひそひそ話をしている奴らもいる。人々の表情は明るくなく、そのくせ、目だけは獲物を狙うようにぎらぎらしている。アンティグアでは殺気を感じないと書いたが、セントクリストファー・ネービスでは、逆に殺気をひしひしと感じる。ここはきっと要注意だ。凶悪事件などは少ないかもしれないが、スリや泥棒の類はうようよいそうだ。私の経験がそう教えてくれる。

 まだ午後6時にもならないが、市内の店はことごとく閉まり、鉄格子を閉めたりシャッターを下ろしたりしている。中国人経営の中華料理店がいくつかあるが、それらだけは営業していた。その他の店は、皆、閉まっている。午後5時を過ぎると店がことごとく閉まるような国は、経験上、治安が良くない。人々の、こちらをなめ回すように見る視線も、そのことを物語っている。首都のバセテールは、町全体が貧民街のようだ。

セントクリストファー・ネービスの首都、バセテール市内。

 少し歩いて、ゲストハウスを見つけた。共同トイレの部屋が一泊85EC$、トイレ・シャワー付きの部屋が一泊110EC$。トイレ・シャワー付きにする。いかにも木賃宿と言う感じのホテルで、これで一泊千円以上したら暴利、という部類であった。トイレ・シャワー付きにしたのに、部屋にはトイレットペーパーもなければ、タオルも置いてない。布団は薄いシーツ一枚だけ。でも、110EC$だから、4400円もするのである。騙された訳ではない。レセプションの壁に料金表が貼ってあったから、確かにそういう値段なのだ。こんな木賃宿で4千円以上も取るとは、さらに、この国の印象が悪くなる。

泊まったゲストハウス。高いくせに、部屋はおんぼろ。


平成16年3月17日(水)

 本来は、今日午前中に、隣のネービス島を半日で見に行き、午後にはバセテール市内を見物するつもりであった。でも、こういう国は、予期しないことが色々起こりそうである。万一、ネービス島に行って、何らかの理由で帰ってこられなかった場合、明日午前中のセントマーチン行きの飛行機を逃すと大変である。滞在許可は、明日までしかない。だから、ネービス島に行くのはやめて、ここセントクリストファー島から移動しないことにする。その方がずっと安全だ。それに、首都のバセテールですらこんなにひどいのだから、ネービス島はもっとひどいところに違いない。行く情熱が冷めてしまったと言うことも、実は否定できない。

 午前中、市内をぶらぶら。教会を見たり、港の方に行ったり。ネービス島行きのフェリーが停まっている。曜日によって違うが、日に2〜3本はネービス行きのフェリーがあるようである。もし次回、この国に来る機会があれば、その時には行ってみてもいいだろう(でも、こんな国に再度来ることはあるだろうか?)。

バセテールの教会。

 市内の店で絵葉書数枚を買い、郵便局より投函。日本まで葉書一通が1.20EC$。その後、博物館にも行く。入場料2EC$。小さな展示室で、原住民の文化、砂糖の生産、独立運動、自然や動植物、貝などの展示があった。

 その後、さらに市内をぶらぶらして、中華料理店で焼飯を食べて、それからホテルに帰ってきた。今日、午前中に歩いてみた感じ、市内はそれほど怪しい雰囲気でもない。昨日はもう夕刻薄暗くなり始めた時であったし、店もほとんど閉まっていたから、不気味に見えたのかもしれない。昼間は人通りもあるし、店も開いていて、車もひっきりなしに通るから、歩いていてもそれほど違和感はない。昨日に比べ、少しだけこの国の印象が良くなった

 アンティグアでは、皆働いているか、どこかに行くために道を歩いている人々ばかりであった。それが、ここ、セントクリストファーでは、皆、道端でたむろしている。街の雰囲気が怪しく見える原因はそれだ。おそらく、失業率が高いのであろう。それは、国の経済状況を見ても、納得できる。それに、街角のあちこちに警官が立っている。昼間はどうもないが、暗くなってからは、少し用心した方が良さそうな感じである。

 今日一日、いくらか買い物をしたが、セントクリストファーはアンティグアに比べて、物価が2割から3割ぐらい高いような気がする。今日の昼食は、焼飯とスプライトで20EC$もした。800円である。日本より高いぐらいだ。一昨日アンティグアで食べた鳥の料理は、ご飯も付いて10EC$だったから、こちらの半額だ。コーラの2Lのペットボトルは、セントマーチンが2ドル(220円)、アンティグアが6.50EC$(260円)、セントクリストファーが7.50EC$(300円)である。一番遅れている国が、一番物価が高い。

 昨日はスコールがなかったが、今日は夜になってスコール。このホテルはやっぱりボロイ。天井からぽたぽたと雨漏りが始まった。ベッドのところには落ちて来ていないが、気になってあまり寝られない。

公園で出会った中学生の女の子たち。


平成16年3月18日(木)

 朝、ホテルをチェックアウト、空港までまたまた歩いて行く。ここの空港はアンティグアとは違って市内から遠くないので、歩いても30分程度で到着。

 飛行機はLIAT308便、10時55分発なので、時間はたっぷりあった。空港のすぐ近くに鉄道駅があり、観光用の列車が停まっていたので見に行く。今日は運行のない日で、たまたま、列車を整備しているところであった。もし今度来たら、この列車にも乗ってみたいものである。

セントクリストファーにも、観光用の鉄道が運行されている。

 LIATのチェックインがなかなか始まらないので、空港の入り口のところのベンチに腰掛けて、待っていた。私は良くあぐらをかいて座るので、ベンチの上にちょっとだけあぐらをかいて座っていたが、すぐに普通に座りなおした。すると、カウンターの奥にいた中年のおばさんが、ゆっくりと、それも、肩で風を切りながら、まるでやくざの親分が子分の前で歩くような歩き方でのしのしとこっちに向かってくる。最初は気にしていなかったが、どうも、私の方に向かってくるようだ。はっ、と気が付くと、そのおばさんがすぐ近くまで来ていた。そして両目を最大にひん剥いて私を睨み付け、私の顔と足を指差して、

「その汚い足を椅子の上に上げるのは、よしなさいっ!!」

と怒鳴りつけて、私が座っていた隣の椅子を思いっきりバシンと叩き付けて、そして回れ右をして、また肩で風を切りながら、ゆうゆうと帰って行った。何であぐらをかいて座ったらあかんねん?それが日本人の伝統的座り方やがな!別に、靴のまま座ってるわけでもなし。それに、あぐらをかいたのはほんの少しだけで、言われる前にやめたのに、わざわざカウンターの奥から出てきて言う程のことでもないだろうが!それにしても、このおばさんの態度は、あぐらを注意すると言うよりは、東洋人を見下した態度がありありであった。さらに、この国の印象が悪くなった(ちなみに、このおばさんは、後で私が待合室で搭乗を待っている時にも、私があぐらをかいて座っていないかどうか、わざわざ見に来た。その時に胸の職員証を素早く見ると、空港警察の職員であることが分かった。道理で態度が横柄なはずである)。

 ここも空港税が高く、58EC$。2300円もするではないか。貧民街のような国のくせに、空港ターミナルの建物だけはやたら立派だが、こうして乗客からかき集めた資金で空港だけは最大限きれいにして見栄を張っているようだ。

 空港内には、意外な航空会社のカウンターがあった。アイスランド航空である。でも、アイスランドからセントクリストファー・ネービスに直行便を飛ばしても、利用する人などいるのだろうか??

 LIAT308便、アンティグア発、セントクリストファー、セントマーチン経由、セントクロイ行きは、定刻10時40分にアンティグアより到着、スケジュール通り15分止まって、10時55分出発、これもまた定刻通り、20分の飛行で、11時15分、セントマーチンのジュリアナ国際空港に到着した。

 セントマーチンで降りた乗客は8人しかいなかったので、さほど待つ事もなく、すぐに入国。明後日土曜日に、日帰りでセントユースタシウス島(別名、ステーシア島)に行きたいので、空港を出てすぐ右手にある、Windward航空(通称、Winair)の事務所まで行った。

 事務所に行くと、先客が一人いて、切符を買っていた。国籍は知らないが白人のおばさんで、やたら態度が横柄で、応対している黒人の女性職員を軽蔑しているとしか思えなかった。その女性職員の方は、ひたすらへつらっている。しばらくして、そのおばさんは切符を買って、帰って行った。それで、私の番になったのであるが、先ほどまでは白人おばさんにへつらっていた黒人の女性職員が、今度は、私には、手のひらを返したように、逆に横柄な態度で応対して来た。どうも、アジア人は見下されているように感じることが時々ある。さっきのセントクリストファーネービスの空港警察のおばさんを思い出してしまい、よけいにいやな感じになった。でも、ここでは、私は客である。どうしてこんな態度で応対されなければならないのか。釈然としなかったが、とくかく、土曜日のセントユースタシウス島までの、日帰りの切符を買う。往復で77ドル。始発便で行き、最終便で戻る便指定の切符だと51ドルだったが、朝7時に出て、夜7時半に戻ってくるので、朝が早すぎるのでやめ。便指定無しの日帰り割引航空券にしたので、少し高くなった。

 先週アメリカから着いた時は、フランス側のサンマルタンに泊まったので、今度はオランダ側のシントマルテンに泊まろうと思い、フィリップスブルグまでバスで行く。一階がスーパーマーケット、上階が客室になった変なゲストハウスに泊まる。スーパーマーケットのレジが、ホテルのフロントを兼ねている。部屋代50ドルと、税金6ドルの合計一泊56ドル。スーパーのレジでお金を払うと、鍵をくれる。これはまた変わったホテルだ!鍵をもらい、4階の客室へ。なかなか良い部屋である。

シントマルテン(セントマーチンのオランダ領の部分)の中心地、フィリップスブルグの市内。観光客相手のお土産屋が建ち並ぶ。

同上。

 明後日はセントユースタシウス島に行くとして、明日はどうするか考えた。その結果、サバ島に行くことにして、昼から、切符を買いに行った。空港近くのシンプソンベイのペリカンマリアナリゾートというところの中にある旅行会社で、明日のサバ行きの船の往復切符を買う。60ドル。結構高い。朝9時出発で、夕方5時に戻ってくるらしい。

シントマルテンのビーチ。皆、バカンス気分!?

 夕方、オランダ領とフランス領の境界を見に行った。一応、これもシントマルテンとサンマルタンの国境である。石碑が立っている。あと、両方の看板。写真を撮って帰ってくる。

セントマーチンのフランス領の境界を示す看板。

同じく、オランダ領の境界を示す看板。


  


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