ギリシャ→トルコ→ブルガリア


3月24日(土)

 イスタンブール行きの列車は、13時発なので、今日は久々にゆっくり寝ていられる。ブレツラフ以来、毎日朝早かったから、ちょうど良い休養になった。

 今回の旅行も、残りあと一週間になってきた。これから、トルコに2泊、プルがリアに2泊、ルーマニアに2泊すればよいだろう。

 昼前にホテルをチェックアウトし、昼食を食べに行く。アレクサンドロポリスは港町なので、新鮮な魚がいいだろうと思い、あるレストランに入った。でも、聞いてみると、魚料理はどれも目の玉が飛び出るほど高くて、今手持ちのドラクマでは到底足りないことが分かった。仕方なく、代わりにシシカバブを食べる。

 13時発の特急列車で、更に東に向かう。14:30、Pithion という小さな駅で降りる。トルコに行くには、ここで乗り換えである。

 この Pithion と言う駅は、本当に何もない田舎駅であった。ここで、一日1本だけの、トルコ行きの列車を待つ。私と同じ列車でやってきた、ステファンと言う名のドイツ人青年も、ここでトルコ行きの列車を待っていた。暇なので、列車を待つ間、ずっとステファンと駄弁っていた。ただ、このドイツ人は英語が下手で、なかなか言葉が通じない。中学英語程度の英語しか話せないのである。年配者ならともかく、若者なのにこういうヨーロッパ人もいることを初めて知った。

トルコに行く列車。一日1本のみ、しかも1両編成。

 駅の時刻表では、トルコ行きは15:30発となっていたが、トルコ行きの列車が来たのは16:30。何と、一両だけの編成である。ステファンと一緒に、それに乗り込む。車内は汚く、シートもぼろい。結局、本日ギリシャからトルコに行くのは、私とステファンと、それにトルコ人らしきおじさんの3人だけ

 列車は17:00発車。川を渡ると、トルコ領である。トルコ最初の駅は、Uzunkopru。時差が1時間ある。ここで、列車を増結。18:30発車。

ギリシャ(手前側)とトルコ(向こう側)の国境。

 発車するとすぐに、車掌がやってきて、チェンマネをしないかと持ちかけてきた。1000ドラクマ=150万リラだと言う。当然、レートは良くないはずである。ただ、トルコリラの正確なレートを知らないので、どの程度で折り合えばいいのか分からなかった。それで、適当に、1000ドラクマ=200万リラと言ってみた。車掌は次に、170万リラのレートを提示してきたので、さらにもう一発交渉しようと思っていたら、ステファンが横から、「OK!」と言ってしまった。

 私もステファンも5000ドラクマ両替したが、車掌は、大量の25万リラ札をよこしてきた。合意したレートならば、5000ドラクマは850万リラのはずで、それならば、25万リラ札34枚のはずである。しかし、札は32枚しかない。これでは、800万リラしかないではないか。私はおかしいと気付いたが、ステファンは、「OK, thank you.」などと言っている。こいつはどうも、金銭感覚が全くないらしい。

イスタンブール行きの車内にて。

 私はすぐに抗議したが、車掌は、「計算は間違っていない。なあ、君」とステファンの方を向いて言っている。ステファンも、「間違っていない」と言う。ステファンのもらった札を数えると、それも32枚しかなかった。それでも、ステファンはまだ足らないことに気付かず、「OK、OK」などと言っている。このステファンという男は、英語と数学は不合格だ。

 それでも、私は何度も抗議して、最後に、車掌に間違いを認めさせることに成功した。それで、車掌にあと50万リラ追加させた。後で知ったことだが、銀行レートでは、1ドル≒100万リラであり、1000ドラクマは約2.5ドルだから、本来、1000ドラクマ=250万トルコリラでなければならない。やっぱり我々は相当に足元を見られていたことになる。

トルコの駅にはホームがない。

 トルコの駅は、プラットホームがない場合が多い。途中の停車駅の多くが、プラットホームのない駅であった。夜になると、気温がぐんぐん下がる。ギリシャに比べ、かなり寒くなってきた。闇夜の中を列車はひた走り、午後11時、列車は終点のイスタンブールに到着した。

 駅を降りて、ステファンと一緒にホテル探し。トルコは、安ホテルがたくさんあるので助かる。駅を降りて左に行くと、腐るほどホテルがある。その中のひとつに行ってみる。フロントで聞くと、1泊800万リラと言うので、ステファンがまた「OK」と言う前に、私が先に値切った。結局、1泊600万リラと言うことになった。銀行レートなら約700円だが、さっき両替のときに相当に悪いレートで替えたので、そのレートで行くと1000円近くになってしまう。大分損した。

 夜遅かったが、外に出て行って夕食。40万リラ。

陽気なホテルマンたち。


3月25日(日)

 起きたら昼だった。ちょっとへばっている。トルコはイスラム国だから金曜日が休みかと思っていたら、どうしてどうして、やっぱり日曜休みのようである。ほとんどの店が閉まっている。銀行も両替商も休み。両替ができない。仕方なく、駅の両替所に行く。レートは悪いが仕方ない。

 両替をしたついでに、明日、ブルガリアまで行くのに、夜行列車の寝台券を買うことにした。普通の2等席で行ってももちろんいいが、聞いてみると、クシェットはわずか500万リラ(=5ドル)なので、そんなに安いのならば買おうかと思っただけのことである。ブルガリアのベリコ・タルノボ(Veliko Tarnovo)まで行くことにする。

ボスポラス海峡で釣りを楽しむ人々。釣れたのはアジアの魚?それともヨーロッパの魚?

 その後、市内をぶらぶら。昼食225万リラ。オレンジジュース50万リラ。昼からまたホテルで寝てしまう。日曜日はやっぱり安息日とするのがふさわしい。

 夕方、ホテルの部屋にいると、近くのモスクから祈りの声が聞こえてくる。


3月26日(月)

 今日も朝から市内観光。でも、さして見るものも無し。トルコは初めて来たが、正直言って期待はずれ。イスラム圏に初めて来たような人なら、この程度でも感激するのかもしれないが、シリア、オマーン、イエメン、UAEなどの国々に先に行ってしまった私の目には、トルコはむしろイスラム圏とは映らなかった。

 道を歩いていると、通りの反対側からこちらを見ている不審な男がいる。すると、男は通りを横切って私のところまで来、日本語で、「おはようございます」と言って来た。こんなのは無視。すると男は怒り、「君、挨拶ぐらいしなさい。それもできないの!!」と日本語で言いながら、どこかに行ってしまった。

 昼食、シシカバブで300万リラ。ちょっとボッタクリっぽい。昨日よりも量が少ないのに、昨日より高いのである(もちろん、昨日とは違う店だけれども)。

トルコでは、ピストルを売る店が至る所に!

 午後も街歩き。拳銃を並べて売っているのには参った。インターネット2ドル。

 午後11時、駅に行く。列車はもう入っていた。車掌は親切なルーマニア人。しかし、我々の車両は床下のパイプが破れ、暖房が効いてこない。駅員総出で修理しているが直らない


3月27日(火)

 結局、この車両は切り離すことになり、我々は車両を変わらされた。切り離し作業のため出発が30分遅れ、00:25出発。

 早朝5時、トルコ最後の駅、Kapikule に到着した。ここでは、自分で駅のポリスに行き、パスポートに出国スタンプをもらう。6:20出発。

 約30分で、ブルガリア最初の駅、Svilengrad に到着した。ブルガリアは夏時間で、トルコとは時差無し。入国も特に問題なし。7:30発車。発車後、すぐにまた寝てしまう。

 一眠りして起きたのは10時半ごろ。列車は、Stara Zagora というかなり大きな駅に停車中であった。ここから、列車は山の中の景色の良いところを通る。

ブルガリア縦貫鉄道は渓谷に沿って走る。

 ベリコ・タルノボには、13:30着。約一時間半遅れ。駅に降りると、一人の男が、「うちに泊まらないか?安くするよ」と声をかけてきたが、あまりに人相が悪かったので断る。

 駅前から市内に行くバスが出ているが、ブルガリアレフを持っていないので、歩くしかない。橋を渡り、高速道路に沿って歩いて、30分以上かかって市内まで来た。

ブルガリアの古都、ベリコ・タルノボ。

 最初に行ったホテルは、朝食無しで1泊15ドルだと言っていたが、係が席をはずしていて、1時間ほど待てと言われたのでやめ。そこで、Hotel Etar と言う、結構良さそうなホテルに値段だけ聞きに行った。結果は、1泊21ドル、しかも朝食つき。それなら、こちらのほうが良い。2泊することにする。部屋はすこぶる良い。

 ブルガリアも最近デノミをし、現在、ブルガリアレフは、ドイツマルクと1:1の固定レートで連動している。でも、その割には、ブルガリアの物価は高くない。市内で20ドル両替。43レフ。

ベリコ・タルノボの市場。

 午後から市内散策。何も考えずに来た町だが、割合気に入ってしまった。観光名所は主に郊外にあるが、今日は市内の散策のみにして、観光は明日の予定。今日は、市内をぶらついてみたり、市場を見たりしただけ。

 ブルガリアはロシア語に良く似ているので、看板などが見て大体分かるのが嬉しい。午後8:30、城が短時間ライトアップされたが、写真を撮り損なう。

これが正真正銘のブルガリアヨーグルト。美味!


3月28日(水)

 起きたら雨だった。今日は山の中を歩き回ろうと思っていたのに、残念。2階のレストランで朝食。誰もおらず、ウェートレスが暇そうにしていた。英語が通じないので、ロシア語で注文。

 朝食を終えて戻ってくると、雨は上がっていた。昨日の陽気がうそのように、寒い。

どこの国でも子供たちは元気。

 市内観光の開始。川の向こうのモニュメントを見、美術館にも行く。美術館は入場料2レフだが、たまたま10レフ札しかなかったら、お釣りがないらしい。それで、見終わってから払えばよいと言われ、とにかく先に見学することにした。展示は、キリスト教関係の絵画が多い。係の人が1人、丁寧に説明してくれる。最後に切符を買おうとしたが、やはりお釣りはないらしく、結局、お金は要らないと言われた。

昼食はトースト、1.50レフ也。

 その後、古い街並みを歩く。なかなかいい感じ。それから、昨日も食べに行ったスタンドに言って昼食。1時間ばかり話し込んでしまった。そのあと、城跡を見に行く。4レフ。まあまあか。最後に、博物館に行った。ここも、キリスト教関係の石版などの展示が多い。 夕方、インターネットカフェに行く。0.30レフ。

ベリコ・タルノボの城跡。


   


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