ロシア→モルドバ


2月16日(金)

 朝食はホテル代に含まれている。バイキング形式なので、腹いっぱい食べることができる。

ホテルの近くにて

 ここモスクワから先の切符は、このホテル内にあるインツーリスト(ロシアの旅行会社の名前)で受け取ることになっていた。午前9時、ホテル1階ロビーにあるインツーリストのオフィスが開いたので、切符をもらいに行った。

 切符はすぐに受け取れたが、そのとき、インツーリストの若い女性係員が言うには、

「佐納さん、今晩の飛行機でキシニョフまでですよね。空港までの送迎がありますから、17時にここに来てください」

そんなあほな話はない。私は送迎など頼んでいない

「トランスファーは頼んでいません。何かの間違いでしょう」

と言うと、女性係員は台帳を私に見せ、

「いえ、ここを見てください。ちゃんと空港までの送迎がついています」

と言うので、

「それは有料の送迎でしょう?」

と言うと、

「とんでもない。もちろん無料です。佐納さんが日本で支払われた旅行代金に入っています」

と言うので、

「それは変ですね。そんな代金を払った覚えはありません」

と言うと、インツーリストの女性係員は、

「佐納さんが日本で払ったかどうかは私は関知しません。とにかく、台帳に送迎付きと書いてあるから私は送迎があると言っているだけです。もし払ってないのに送迎がついたんならば、それはそれでラッキーじゃないですか。とにかく、追加料金になることはありませんから、安心してください。折角転がり込んできた幸運を放棄する手はないでしょう。それに、台帳に送迎付きと書かれているのに佐納さんが送迎を利用されないと、私の職務怠慢と見なされ兼ねません。私が困るんです。必ず17時にここに来てくださいね。」

と言う。

 私はそれでも不審に思ったが、成田からモスクワまでの切符の発券を忘れるくらいの旅行社だから、支払ってもいない空港までの送迎を間違ってつけてしまったのかな、とチラッと脳裏に浮かんだ。それで、とにかく女性係員の言うことに従うことにした。

モスクワの地下鉄

 さて、モスクワの市内観光開始。クレムリンの近くをあちこち歩く。でも、10年前にも来たから、改めて見るところもなかった。赤の広場近くを歩いていると、2人の警官に腕をつかまれ、職務質問。パスポートチェックを受ける。そのあと、モスクワ川の方に行ったり、いくつか店を見て回ったり、地下鉄に乗ったりした。地下鉄駅でも警官から職務質問。

 朝食をお腹いっぱい食べたせいで、夕方までお腹がすかなかった。午後4時、ビストロで食事。33ルーブル。

市内の様子

 ホテルに戻ってきたのは午後4時半。インツーリストオフィスに行く。例の女性係員がいて、もう車の手配は出来ているので、ドライバーが来るまで少し待てと言う。

 5分ほどして、キーを持ったドライバーが来た。その時である。女性係員が、

「あれ?佐納さん、今調べ直したら、やっぱり送迎はついていないようですね。すみませんが現金で払ってください」

と言い出した。このバカたれが!誰が払うものか

「いえ、払いません。今から自分で地下鉄とバスで空港まで行きます。」

と言うと、

「もうこんな時間です。今から地下鉄とバスで空港まで行ったら、間に合いませんよ。ここは車で行くのが正解ですね。大した額じゃないじゃないですか」

と言うので、

「いえ、自分で行きます」

と言い残して、オフィスを出ようとした。驚いたのはドライバーのほうである。「どうしたの?」と女性係員に聞いている。「自分で行くってさ」と女性係員が言うと、「お客1人損した」と言っている。やっぱりそうだったのだ。インツーリストの女性係員は、タクシードライバーとつるんでいたのだ。振り返りもせず、オフィスを出てきた。

このような露店はよく見かける

 キシニョフ行きは、19:50出発予定。早く行かないと時間がない。A旅行社からは、シェレメチェボ空港と聞いていたが、チケットを見ると、ブヌコボ空港と書かれている。モスクワにはいくつか空港があるのだ。

 ホテルでブヌコボ空港までの行き方を聞く。地下鉄のユーゴ・ザポトナ駅からバスがあるらしい。急いで地下鉄駅に向かう。

 ユーゴ・ザポトナ駅には割合早く着いた。駅構内の警察で、ブヌコボ空港行きバスの乗り場を聞く。バスはすぐに見つかった。15ルーブル。空港に18時過ぎ着。これなら余裕。

 ブヌコボ空港は、国内線が主だが、国際線も少しある。国際線ターミナルに行く。モニターの掲示を見ると、キシニョフ行きは、3番カウンターで手続きとなっている。

 モニターの掲示を見ていると、1人の男(男Aとする)が寄って来て、どこに行くのかしつこく聞いてくる。うっとうしいので、出国ゲートに入ろうとする(カウンターは出国ゲートの中にある)。すると、入り口にいた警官が、チケットを見せろと言うので見せると、キシニョフ行きはもう少し待てと言う。

 そのとき、すぐ横から別の男(男Bとする)が現れ、「キシニョフはまだか」と聞いた。警官は、「もう少し待て」と言った。男Bは、税関申告書を数枚取り、そのうちの1枚を私に渡しながら、

「私もキシニョフに行く予定だが、手続き開始はまだらしい。待っている間に税関申告書を書いておくといいだろう。その辺に一緒に座って、申告書でも書いてましょう。申告書はロシア語だが、私が書き方を教えてあげよう」

と言う。

 男Bは私の手を掴み、強引に近くの椅子に連れて行った。椅子には初めから2人の男(男Cと男Dとする)が座っていたが、男Bが何か言うと、男Cと男Dは席を譲った。私は椅子に座られた。

 椅子に座ると、男Bは、やたらに馴れ馴れしく話し掛けてくる。しばらくすると、男Bはまず自分の税関申告書を記入し、続いて、私の税関申告書を書いてやるから、パスポートを見せろと言ってきた。

 その時である。「やあ、こんなとこで会うとは、奇遇だね」と声がした。見ると、さっき私に行き先をしつこく聞いてきた男Aである。これで全部バレバレだ。こいつらは詐欺師だ

 私はすぐに席を立ち、出国ゲートの警官のところに戻った。やつらは追いかけては来なかった。しばらく待つが、まだキシニョフ行きの手続きは始まらない。

 そのうち、A旅行社からもらった資料の中に、「ロシアの空港では、外国人は一般ロシア人と違う待合室で待ち、そちらで搭乗手続きをする場合もあるので注意してください」と書かれていたのを思い出した。それで、念のために、外国人用待合室があるのかないのか、一度外に出てその辺を見て回った。

 時刻はもう18:30を過ぎ、あたりは真っ暗である。空港ターミナルの端のほうまで行ってみたが、外国人待合室らしきものはない。仕方ないので、引き返そうとしたその時である。暗闇の中から、男が5人ヌッと現れた。

 見ると、先ほどの男Aと男B、それに最初に椅子に座っていた男Cと男D、それに見たことのない男Eである。予想通り奴等は全員グルであったのだ。暗闇の中を、空港ターミナルの端まで私をつけて来たらしい。男Bがドルの札束らしきものをちらつかせ、こちらに近づいてきた。これは危ない。振り切って一目散に逃走。何とか事なきを得た。

 18:40、モルドバ航空のキシニョフ行きのチェックイン開始。待合室で1時間待って、19:40に搭乗開始。乗ってからも、なかなか動き出さない。定刻は19:50だったが、1時間以上遅れて21:05に出発。1時間30分のフライトで、モルドバのキシニョフに着いたのは21:35。ロシアとモルドバとで時差が1時間ある。

 空港ターミナル入ってすぐ右にビザセクションがある。ここで、モルドバのバウチャーを提示、ビザをもらう。料金無料、写真も不要であった。入国目的は観光と書くとまずいようで、係員のほうから、「ここはビジネスと書くように」との注意があった。

 銀行はすでに閉まっていたので、ドル払いでタクシーでホテルまで行く。ナショナルホテルまで5ドル。


  


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