9月7日(木)朝、カードでホテル代44ドルを払う。7時半にホテルを出発し、来たときと同じく渡し舟に乗って、8時前に空港に着いた。
持っていた航空券は、9時55分発のエミレーツ航空EK814便マレ発コロンボ行きであるが、空港に行ってみると、9時10分にスリランカ航空(旧名エアランカ)のUL102便があるではないか。カウンターで申し出て、その場でスリランカ航空に変更する。たまたま、マレ−コロンボ間はノーマルチケットを持っていたので、航空会社の変更ができた。
スリランカ航空の女性フライトアテンダントたちと共に。 空港税10ドル。スリランカ航空UL102便は、使用している機体は大きなA330であったが、乗客は20人ほどしか乗っていなかった。機内サービスはとても良かった。
モルジブはサンゴ礁の国。 9時出発、1時間余りのフライトで、コロンボに現地時刻の11時15分着。モルジブとスリランカとの間に、1時間の時差がある。
インドルピーが余っていたのであるが、マレの空港では替えてもらえず、ここで替えようとするが、やっぱりダメであった。仕方なく、ドルからスリランカルピーに両替。1ドル=77ルピーのレート。40ドル両替。
空港は、武装兵士が厳重に警備している。スリランカでは、多数派のシンハリ人と少数派のタミル人との対立が表面化し、一部のタミル人過激派が独立を主張してテロを繰り返しており、スリランカ北部では内戦状態になっている。そのため、スリランカには緊急事態令が発令されており、そのため、あちこちに軍人が出て、警備に当たっているのである。
空港の外に出るときも、武装兵士に呼び止められてボディーチェック。空港前からトゥクトゥクを拾う。ネゴンボビーチまで行くことにして、値段交渉。最初350ルピーと言うところを、値切りに値切ってやっと200ルピーまで負けさせた。それでも、多分ローカルプライスに比べれば高く払わされているのだろう。
空港から幹線道路に出るまでの間も、検問がいくつかあった。幹線道路に出て、ネゴンボに向かって走り出すと、ゴーッとか、キーンとか鼓膜をつんざかんばかりの爆音をあげながら、数分おきに頭の上を爆撃機が飛び交っている。私は腰を抜かしそうになったが、トゥクトゥクの運ちゃんは平気な顔をしてネゴンボ向けて運転している。聞くと、
「あれは、ジャフナ(スリランカの北部の町)のタミル人過激派の拠点を爆撃に行くために空港から離発着している空軍機じゃ。この辺には爆弾は落とさんから、大丈夫じゃ」
というのんきな返事であった。
30分ぐらいでネゴンボに到着。値切ったせいか、ビーチまで行かず、ネゴンボのバスターミナルで降ろされた。まあいいか。絵葉書15ルピーを5枚買う。近くの郵便局から投函。日本までの切手代は、14ルピー。郵便局の近くにホテルがあったので空き部屋を聞いてみたが、外国人は泊めないといわれた。多分、治安上の問題があるからであろう。
ネゴンボの市内。 そこで、近くの別のホテルに行く。運動場の近くにあるこのホテルは、イギリス統治時代に立てられた古い館をホテルとして使っているもので、歴史の重みは感じるが、お世辞にもきれいな建物ではなかった。
まず部屋を見せてもらった。部屋も広いだけで余りよくない。ホテルマンに値段を聞くと、
「わしは値段は知らん。後でマネージャーに聞いてくれ」
と言う答えだった。これでピンと来た。マネージャーが、客の顔を見て値段を決めているのだろう。設備も悪いし、ここは泊まるべきところではないと判断した。
とは言うものの、まあ、マネージェーが私の顔を見ていくらと言うか、一つ試してみたくなったので、マネージャーに会いに行った。マネージャー曰く、
「まずパスポートを見せろ。」
そうかそうか、日本人であることを確認して、ふっかけるつもりだろう。日本のパスポートを見せた。
「ここに何泊する予定だ?」
「明後日の夜の飛行機で帰るので、2泊半します」
「なるほど、それなら特別に安くしてあげよう。一泊900ルピーの特別プライスにしてあげよう」そら来た、やっぱりぼったくりだ。特別プライスというのは、特別に高いプライスということだ。
「900ルピー?とんでもない。他を探します」
と言って、ホテルを出ようとした。マネージャーは、
「君、何を言ってるんだね。このネゴンボのどこにたった900ルピーで泊まれるところがあると言うのだね。こんなお買い得価格は他にないよ。ここで出て行ったら、後悔するだけだよ、分かってるのかい、君?」
と高飛車な態度に出てきた。その手には乗りません〜だ!無視してホテルを出てきた。
すると、後からホテルマンが1人走って追いかけてきた。
「特別大バーゲン、500ルピー!」
と怒鳴っている。さらに無視して歩いていると、
「300ルピー!」
と泣きそうになって叫んでいる。哀れなホテルマンだ。値段だけ考えればこれくらいで妥協しても良かったが、値段だけでなく、設備や安全性、従業員の教育の良さなどを考慮すると、このホテルは失格。タダでも泊まりたくないので、無視していると諦めて帰って行った。
市内から905番のバスでビーチまで行き、再びホテル探しを始めた。ビーチには腐るほどのホテルがあった。100軒以上あったのではないだろうか。そのうちの一つに入って、値段を聞くと、何と1泊1000ルピー!値切っていると700ルピーまで下がったが、ここも従業員にどうも足元を見られているような気がしたのでやめ。
さらに別のホテルに行った。100軒もあると、気に入らない場合いくら断っても次に行くところがあるから、強気で交渉できる。このホテルは、部屋もなかなか良かった。1泊600ルピーだが、2泊半するのならば、2泊分に負けてくれると言う。これはありがたい。それに、ここの従業員はとてもフレンドリーであった。やっぱり、個人経営のホテルの場合は、値段と設備のみならず、人も見なければならない。
午後から、またネゴンボの市内を見に行く。夕食、チキンビリヤーニ90ルピー。ジュース20ルピー。デザート30ルピー。
ネゴンボの夕暮れ。
9月8日(金)ホテルの向かいはインターネットカフェになっている。1分当たり9ルピーは決して安くはないが、メールのチェックのために使った。何と、日本語のフォントも入っていて、日本語のメールも読める。ただし、日本語の入力システムがないので、読めても入力できない。20分使って、180ルピー。
市内に出て行って、10ドル追加両替。744ルピーになる。コーラ12ルピー。パパイヤ28ルピー。ヤシの実12ルピー。
昼から、ビーチに出て行った。泳ごうかと思ったが、波がかなり高く、しかも誰も泳いでいなかったので、泳ぐのはやめた。欧米人が何人か来ていたが、皆日光浴をしているだけであった。実際、泳ぐのは少し危険だと思われるくらい、波は高かった。
ネゴンボはビーチリゾート。 夕食に、キングフィッシュの料理412ルピー。鯛に似ているが、鯛ではない。帰ってきて辞書を見てみたが、Kingfishのところには、「大きな魚」としか書いてなかった。料理そのものは最高に美味。400ルピーも払っただけのことはあった。大満足。
キングフィッシュの料理。
9月9日(土)ネゴンボビーチに来てからは、全くバカンス気分である。毎日寝てばかり。昼から、市内に出て行く。運河や港の写真などを撮る。
ネゴンボの運河。
香辛料がずらっと並ぶ店先。 スリランカは教科書では仏教国ということになっているが、実際には、多数派のシンハリ人が仏教徒、少数派のタミル人はヒンズー教徒である。ところが、ここネゴンボ付近だけキリスト教である。町には、教会がいくつかあるほか、キリスト像や十字架もあちこちにある。何でも、大航海時代にポルトガル人がスリランカではここに初めて上陸したらしく、それでここだけキリスト教になったのだという。長崎みたいなものだ。さらにややこしいことに、町を歩いていると、イスラム教徒も少なからず見かけるのである。ベールで顔を覆った女性が時々歩いているのでそれと分かる。仏教、ヒンズー教、キリスト教、イスラム教が混在しているのである。これでは当然紛争も起こるだろう。
夕食にシーフードカレー。ゴージャスなカレーが出てきた。300ルピー。
ゴージャスなセイロン風シーフードカレー。 午後8時、ホテルを出発。トゥクトゥクで空港まで。空港が近づくにつれ、武装兵士による検問が多くなる。トゥクトゥクの運ちゃんは、
「10年前のスリランカは平和ないい国だった。それがどこでどう間違ったのか、今はこのざまだ...」
としょんぼりとして語った。
空港に午後8時30分着。シンガポール航空SQ401便は、午前1時20分発なので、まだ5時間もある。空港税500ルピー。
待合室で飛行機を待っていると、1人のスリランカ美女がするすると寄ってきて、私に話し掛けてきた。何だこれは?詐欺師か、それとも私は超もてるのか?
話を聞いてみると、実はどちらでもなかった。スリランカは民族紛争勃発以来観光客が激減し、大切な観光収入が得られなくなってしまった。それに頭を痛める政府観光局が、空港でアンケートを取っているのであった。アンケートの内容は、「スリランカの民族紛争について、スリランカに来る前に知っていたか」「民族紛争を理由にスリランカ渡航をやめようとは思わなかったか」「滞在中、民族紛争に関連したトラブルや危険な目に遭わなかったか」などの質問が主であった。「過去3年間に行った主な国を教えてください」という質問では、ガンビア、サントメプリンシペ、赤道ギニアなど、わざとアフリカのマイナーな国ばかり答えてやったら、アンケートの女性は目を白黒させていた。でも、嘘を言っているわけでもない。アンケートに答えたので、最後に粗品をもらった。
9月10日(日)午前1時20分、SQ401便はシンガポールに向けて離陸した。シンガポールまでの飛行時間はわずかに3時間30分。そんなに短いのなら、昼間便にすればいいのに。夜行便で飛ぶには、近すぎる距離である(実際には、昼間便も週に3便ぐらいある。夜行便は毎日ある)。
シンガポールに、現地時間の午前7時到着。スリランカとシンガポールとで時差が2時間ある。36番バスで市内まで。今晩の夜行便で名古屋に戻るのだが、昼寝をしたかったのでホテルをデイユースで使おうと思い、いつも泊まる安ホテルに行くが、満室だった。
それで、別のホテルに行った。30S$。まあ安かったが、受付のねえちゃんは異様に愛想が悪かった。昼過ぎまで一眠り。
昼から、市内を歩いて両替商を探した。トリバンドラムで再両替を忘れたインドルピーが残っていたからだ。マレで断られ、コロンボで断られたが、シンガポールなら両替できそうな気がする。と言うのも、シンガポールはマレー人、中国人、インド人の多民族国家であり、両替商はほとんどインド人の経営だからだ。
City Hall の近くで両替商を発見。日曜だが開いていた。聞くと、インドルピーの両替は出来ると言う。レートはあまり良くなかったが仕方ない。1000インドルピーが32シンガポールドル。
午後8時、ホテルをチェックアウトして、屋台で腹ごしらえをしてから、バスで空港に向かった。屋台でゆっくり食べていたので、空港に着いたのは午後10時を回ってしまった。
シンガポールでは屋台がおいしい。 名古屋行きSQ982便は午前1時15分発なので、それまで空港内のインターネットカフェでメールのチェック。
昨日も夜行便だったのに、今日も夜行便なので疲れる。まだ時間があるので、椅子に座って待っていると、
「何々様から、搭乗券をなくされたとの届け出をいただいております。見つけられた方は、シンガポール航空カウンターまでご連絡ください」
とか、
「何々様御名義の日本のパスポートを拾得いたしております。お心当たりの方は、シンガポール航空カウンターまでお越しください」
とか、
「何々様から、航空券をなくされたとの届け出をいただいております。見つけられた方は、シンガポール航空カウンターまでご連絡ください」
とか、全部日本人の名前で放送が入った。何や、情けないなあ。日本人の恥やがな。
そんな恥ずかしい放送を聞きながら椅子に座って待っていると、ついうとうととして寝込んでしまった。気持ちよく寝ていた私だが、大声ではっと目を覚ました。気が付くと、後ろの椅子で、日本人の新婚夫婦か若いカップルか知らないが、大声で口喧嘩している。男性のほうがボロクソにののしり、女性のほうが、ついにわんわん泣き出してしまった。おいおい、こんなところでみっともない、やめてくれよ。さっきの放送に続いて、日本人の恥の上塗りやがな。でも、そのおかげで、私はあやうく寝過ごすところを助けられた。もうゲートに行かなければならない時間だったのである。
9月11日(月)名古屋空港に定刻通りの午前8時35分着。
(おわり)
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