8月22日(日)朝から、遺跡を見て回る。パルミラはシリア最大の遺跡都市である。あっちこっち大分歩いた。寺院の入場料300ポンド(宿代よりも高い!)、博物館150ポンド。
パルミラ遺跡にて。
同上。 博物館を見終わったとき、日本人旅行者らしき若者が一人入ってきた。博物館を見るのかと思いきや、この日本人旅行者はおもむろに博物館の事務室に入っていき、
「水を下さい」
と行って水筒を差し出した。それを見て、全く恥ずかしい気持ちになった。水ぐらい、どこでも売っているのだから買えばいいではないか。大きなペットボトルのミネラルウォーターを買ってもわずか25ポンドである。博物館は展示物を参観するところであって、給水所ではない。何という、はしたない野郎だ。
すると、この日本人旅行者、水筒に水を入れ終わると私の所にやってきて、あいさつもせずにいきなり、
「いくらのホテルに泊まってるんですか?」
と聞いてきた。ぶしつけにこのような質問をする類の旅行者が時々いる。自分がどれだけ安いところに泊まっているのかを自慢したくて、他人の泊まっているホテルの値段を聞いて回るのだ。ところがこの男、私が
「200」
と答えると顔が引きつって絶句してしまった。どうやら私よりも高いところに泊まっているようだ。お気の毒さまでした!
昼からは、丘の上にあるアラブ城を見に行った。40度を超える炎天下、丘をよじ登るのは大変だった。入場料150ポンド。
今日は朝から晩まで歩き回ったのでへばった。
パルミラのアラブ城。
アラブ城の内部。
パルミラ市内にて。
8月23日(月)博物館(昨日のとは違う博物館)を見る。300ポンド。展示はしょうもない。
10時半のバスでダマスカスに戻る。来たときのバスと違い、これは国営のバスなので少し安い。100ポンド。切符を買い、バスに乗ろうとすると、昨日の博物館を給水所と勘違いしている日本人旅行者及びその連れらしい旅行者2人の計3人が来るのが見えた。彼らもダマスカスまで行くらしい。
砂漠の中のモスク。 このバスは、ダマスカスの郊外の小さなターミナルが終点だった。プルマンとは違うバスターミナルに着いた。例の3人組は「地球の歩き方」を取り出して、地図をじっと見ている。予期せぬ場所に着いて戸惑い、ここがどこだか確かめたいらしい。こっちは初めからガイドブックなど持っていないから、ここがどこでも構わない。とにかく、ダマスカスの近くに来たことは確かなのだから。
「地球の歩き方」を凝視している3人組はほっておいて、こっちはバスターミナルの前の通りでミニバスに乗った。アラビア文字は全く読めないが、それでも市内に行くバスは直感的に分かる。予感的中。ミニバスは市内の中心部に着いた。そこで昼食80ポンド。それから少しうろついて、ホテル探し。今日は少しいいホテルに泊まることにして、ダマスカス駅前の一つ星ホテル、オアシスホテルに泊まった(いままで星無しホテルばかり泊まっていたから)。一泊500ポンド、つまり約1200円。
午後、新市街を散策。
シリアの首都ダマスカス。
8月24日(火)午前、国立博物館を見に行ったが、火曜定休で入れなかった。それで、その辺をぶらつく。昼食シシカバブで110ポンド。
土産物屋はあちこちにある。
これで250円。 昼から、旧市街を見て歩く。例のように入り組んだ迷路のような路地がある。イエメンのサヌアの旧市街には及ばないが、それでも仲々面白いところである。
8月25日(水)お土産に、アラビア文字を刺繍したビロードの布を買う。一枚125ポンド。値切りに値切ったが、負けてくれなかった。5枚買う。
ダマスカスの商店街。 昼前、ホテルをチェックアウトしてバスターミナルまで行き、ベイルート行きを探す。ミニバスはすぐに見つかった。料金200ポンド。すぐに出発。
12時、国境に着いた。シリアを出国、レバノンに入国。私はあらかじめ日本でレバノンビザを用意して来ていたが、イミグレ内にもビザセクションはあった。どうやら、ここでもビザは取れるようである。イミグレ近くには両替屋がたくさんあったので、ここで手元に残っていた600シリアポンドをレバノンの通貨に替えて、17000LL(レバノンリーブル)。
レバノンに入った途端、道は更に悪くなった。それに、あちこちに兵士が立っている。検問も多い。イスラエルと緊張状態にあるからであろう。
それに、レバノンに入ってから緑が多くなってきた。シリアでは毎日雲一つない快晴ばかりであった。それが、ここでは、空を見上げると、雲もある。気温もダマスカスより低くなり、代わりに湿度が高くなってきた。日本の夏のような気候だ。
ベイルートのバスターミナルに午後2時半着。ここから市バスを2本乗り継いで、Hamra地区まで行った。その辺を歩き回るが、安そうなホテルはない。どれも、入り口にボーイが立っているような、敷居の高いホテルばかりだ。色々歩き回った挙げ句、数少ない安ホテルの一つ、Moonlight Hotelに泊まった。それでも、一泊20ドルもする。
夕方、近くを歩いてみたが、インターネットカフェは無し。メールがチェックできない。残念。
8月26日(木)朝から、ベイルート市内をぶらぶらする。海辺の方に行ったり、ハムラ地区のありとあらゆる路地を歩いてみたり、新市街の方に行ったりした。ベイルートは中東戦争で完全に破壊されたので、全てが新たに作られたものばかりである。そんな訳で、見て面白いものも無い。それに、レバノンの物価はシリアに比べると相当高い。ホテルは高いし、食事も一食700円ぐらいかかる。今日、家に絵はがきを出したが、それも割合高かった。貧乏旅行者にとっては過ごしにくい国である。
レバノンの首都ベイルートは近代的な町。
8月27日(金)朝、ホテルでゆっくりして、それから10番の市バスで空港に向かった。午後1時すぎ到着。
実は、リコンファームをしていなかった(72時間前にはまだシリアにいたので出来なかった)のが少し気になっていたが、最近は各航空会社ともリコンファームについてうるさく言わなくなってきているし、リコンファーム不要の航空会社もあるから、まあいいだろうと思っていた。でも、マレーシア航空はリコンファームするようにと出発前に旅行会社から言われていた。
案の定、チェックインの時になって、係りの人に
「佐納さん、リコンファームしなかったでしょう。予約は落ちてしまってます」
と言われてしまった。まあ、予約が落ちておれば、次に取れるときに帰ればいいだけなので、それほど慌てるほどのことでもなかったが...係りの人は私のチケットを持ってどこかに行き、しばらくして帰ってきた。
「OK、席は取れました」
とのこと。ほっとする。
ドバイ経由でクアラルンプールまで。
8月28日(土)クアラルンプール早朝着。リムジンで市内まで行く。25リンギ。市内の適当な場所で降りて、そこから歩いてインビプラザまで行った。クアラルンプールに来ると、いつもインビプラザに行ってしまう。ここはクアラルンプールのコンピューターセンターである。海賊版のソフトが山のように売られている。早くもWINDOWS2000のベーター版までもが売られている。
そのあと、市内でインターネットカフェを見つけたので、1時間ばかりメールのチェック。英文のメールを何本か打つ。6リンギ。
アジアに帰ってくるとほっとする。食事も安くておいしいし、すべてが順調に運ぶ。移動も楽である。安ホテルもあちこちにある。
マレーシアに戻るとほっとする。 夕方、猛烈なスコールが来たので、2時間近く駅で雨宿り。そのあと、またリムジンバスで空港まで行った。
激しいスコールが来た。 帰りは福岡行きである。
8月29日(日)午前8時、定刻に福岡空港着。福岡から名古屋までは全日空のチケットを持っていたが、少し博多市内を見たかったので、飛行機を一本遅らせようと思い、国内線のカウンターまで行った。そこでチケットを見せて変更を申し出ると、カウンターの人は、
「少々お待ち下さい」
と言って、チケットを持って中に入ってしまった。数人で相談している。しばらくして戻ってきて、
「はい、変更できます。何時の便に致しましょう」
と言うので、
「今から市内を見に行って、何時頃になるか分からないので、また乗るときに予約します。今日は空席ありますよね」
と言うと、
「はい、本日の名古屋便は、いずれも充分空席がございます」
と言う答えであった。それで一旦市内まで行ったが、程なくして空港まで戻ってきてしまった。実は、今晩の関釜フェリーで韓国に行くかどうか迷っていたのだが、やっぱりやめることにしたのである。
全日空カウンターでチケットを見せて席を取ろうとして列に並ぶと、トランシーバーを持った係りの人が来て、
「お客様、ご搭乗手続きですか」
と言うのでチケットを見せて次の便を取りたいというと、
「このチケットは無効です。お買い直しください」
と言われたので驚いた。変更可と言うことは先程確かめたし、第一、券面に「RESERVATION MAY CHANGED」と明記されている。しかし、その係りの人は、
「いえ、このチケットは変更できません。料金区分がITとなっているチケットは、『変更可』と書いてあっても変更できません。ですから、お客様が朝の便にお乗りにならなかった時点で、このチケットは無効となっています」
と、分かったような分からないような説明をした。でも、今まで料金区分がITのチケットで何度も乗ったが、それで予約変更したこともいくらでもある(シンガポール航空、エミレーツ航空などなど。それに去年、バンコク→関空を全日空に乗ったときも変更できた)。
その事を持ち出して抗議しようとしたが、どうしたことか、この係りの人は私が口を開く前に、
「ですが、今日は空席も多いですから、今回に限り特別にお認めいたしましょう。でも次回からはだめですよ」
と自ら前言を翻した。まあ、こちらにとってはありがたいこととなった。
例のハイジャック事件があった直後なので、搭乗手続きの厳格なこと厳格なこと。国際線よりも国内線の方が遥かに厳しいセキュリティーチェックをするのである。結局、荷物を全て取り出して調べ出すありさま。
名古屋に着くと、行きと同じく、一宮行きのバスに乗った。一宮駅でカレーを食べる。400円。あ〜あ、また明日から日常の生活に戻らなければならない。
(おわり)
私の旅行記をご覧くださり、ありがとうございました。もしよろしければ、アンケートにご協力お願いします。