ベネズエラ→(キュラソー)→(アルバ)


平成17年3月21日(月)

 本日は、ついに、南米はベネズエラのマルガリータ島に到着である。 朝食前に甲板に出てみたが、船は微速で前進しており、マルガリータ島 がもう目の前に見えている。意外に平らな島である。遠くの方に 山らしきものが二つほど見えているが、それ以外はまっ平らである。

早朝、ベネズエラのマルガリータ島に到着。 見事にまっ平らな島。

 船は午前7時過ぎにマルガリータ島のグアマチェ港に接岸した。 まず、船自体の入国手続き。8時半、乗客の上陸が許可された ので、デッキ2に降りて行く。

 本来、日本人は、ベネズエラに入国するためにツーリストカード (またはビザ)が必要である。通常は飛行機で入国するので、 航空会社がツーリストカードを用意してくれる。しかし、陸路入国 する場合は、あらかじめ自分でベネズエラ大使館に赴き、ツーリスト カードを入手しておかなければならない。

 船で到着する場合も、陸路入国に当たるので、理論上はツーリスト カードを自前で用意しておくことが必要である。しかし、出発前に 東京のベネズエラ大使館に確認したところでは、この ようなクルーズ船の場合は、船長が保証人になる形で、ビザも ツーリストカードも免除されるはずである、 とのことであった。念のためにデッキ5の インフォメーションで事情を話して確かめてもらったが、やはり ビザもツーリストカードも要らない、とのことであった。

 さて、港に降りて、クルーズ客相手のお土産屋が立ち並ぶ中を 歩いて行くと、駐車場に出た。バスやタクシーがもう来ていて、 オプショナルツアーに申し込んだ人たちを待っている。実は、 「市内までの単純往復送迎」なるツアーが19ドルとなっていた のだ。ということは、おそらく、市内はかなり遠いのではないか。

 しかし、私はそんなことは気にしない。往復 19ドルも出して市内まで行きたくない。ここは歩いてやる!

 着いたところは貨物ターミナルのようなところで、周りには 全く何もないところであった。一本の道が港から外に続いている。

貨物港のような所で降ろされた。

 その道をてくてくと歩き始める。焼け付くような暑さだが、まあ、 南米まで来たのだからこんなものだろうと思って、気にせず歩く。 道の両サイドは、湿地帯のようになっている。こんなに気温が高く、 空気もどちらかと言えば乾燥しているが、下から水が湧き出して いるのだろうか。

 貨物を積んだトラックがびゅんびゅん飛ばす道端をてくてくと 歩いて行くが、人家などない。まあええわい。さらにどんどん歩く。

 少し歩いて、バス停らしきものを見つけた。これでバスに乗れば、 多分、町まで行けるのだろう。グアマチェという町のはずである。

湿地帯の中の道を、性懲りもなくてくてく歩く。

 しばらく、バス停のところでバスを待っていたが、バスは一向に 来ない。仕方ないので、また歩き始めることにした。道の両側は サボテンの群生地だ。ずんずん歩いて、遠くのほうに建物らしき ものがいくつか見えてきた。期待しながらそこまで歩いて行ったが、 行ってみると、コンテナを置いておく倉庫らしき建物であった。

ここはまるでサボテン畑か?

 私も意地になってきて、絶対に人の住むところに出るまでは 戻らないと決めて、炎天下の中、さらに歩く。 もう2時間近く歩いている。多分、10kmは来ただろう。

 そのうちに、横道を見つけた。横道にしては、車の通行量 が多い。ピンと来た。きっと、この道の先に村か何かがあるに 違いない。

 予想は的中した。海辺に小さな村が見えてきた。 とにかく喉が渇いたので、近くの雑貨屋に入る。 愛想のよい女性が店番をしていて、「ヨ・ハポネス」 と言って、港から2時間かけて歩いて来たと言うと、 びっくりしていた。ジュース一本500ボリバル。 ボリバルはベネズエラの通貨であるが、そんなもの 持ってない。それで、米ドルで1ドル払う。どこでも 米ドルが通用するから、中南米はその意味では便利と 言えば便利だ。1ドル=2150ボリバルのレート(この 雑貨屋の人が勝手に決めたレート)で、1650ボリバルの おつりをもらう。

やっとたどり着いた人里。海辺の村のレストラン。

誰か知らないが、銅像の建つ小さな公園。

村の雑貨屋。のどかな村と、陽気で親切な人々。

 喉を癒して、村の中をぐるっと見て回る。民家が多いが、店も少しある。 あと、誰の銅像か知らないが、銅像の建った小さな公園。ビーチでは、 地元の子供たちが海で遊んでいる。平和でのどかなベネズエラの小村 である。

海で泳いで遊ぶ地元の子供たち。後ろに見えるのは、 我々とは違う、また別のクルーズ船。

 さて、グアマチェの町ではなかったが、とにかく人の住むところ まで来たので、これで良しとして、船に戻ることにする。また 炎天下を2時間歩かなければならないが、まあ、仕方がない。 とぼとぼと歩き始めていくばくもしないうちに、何と、バスが来た。 ラッキー。これに乗るとグアマチェの市内まで行けるに違いない。 グアマチェまで行ってしまえば、タクシーぐらいあるだろうから、 少しばかり市内見物でもしてからタクシーで帰ってくればいい だろう。

 そう思って、バスを止め、いそいそと乗り込む。若いベネズエラ 人のにいちゃんが車掌。グアマチェに行くかどうか聞くが、スペイン 語なのでうまく通じない。まあ、何でもええわ。とにかく乗る。

 バスの中は満員で、田舎の小さな村から急に東洋人が乗り込んできた ので、乗客は皆、目を白黒していた。アジア人が よっぽど珍しいのか、全員から好奇の目でじろじろと見られた

何かよく分からないが、とにかく来たバスに飛び乗る。

 バスはグアマチェに向かうのかと思ったら、細い道をあちこち 通り、いくつかの村を順番に訪れる。何だ、太い道沿いには人は 住んでいないが、横道を入ればあちこちに集落があるではないか。 そのうちに、バスは、我々の船が見えるところを通過した。 ラッキー。この辺が最短距離だ。ここで降りないと、船に戻るのに またかなり歩かなければならない。バスを止め、道端に降ろして もらう。バス代500ボリバル。

 というわけで、結局、グアマチェの町まではたどり着けなかったが、 近くの村を見て船に戻ってきたのであった。まあまあ、面白かった と言えるであろう。

 港の中には、小さな浜辺があり、クルーズ客のためのプライベート ビーチとなっている。若いクルーズ客は皆そちらに行ってしまい、 船の中には老人ばかりが残っていた。私もビーチに行き、少し泳ぐ。 それから、ビーチの椅子でしばらく昼寝。

 明日は、オランダ領アンチル諸島のキュラソーに寄港の予定である。 マルガリータからは少し遠いので、今日は出港時刻がいつもよりも少し 早く、午後4時半の予定である。それでも、明日11時の到着予定と なっている。


平成17年3月22日(火)

 朝6時半、朝食に出かけたが、船はまだ大海原を航行していた。 見渡す限りの水平線を眺めながらの朝食もまたいいものである。 今日はキュラソーに寄港。午前11時の到着予定である。しかし、 食堂のパナマ人のウエイトレスによると、予定よりも早く 到着するだろうとのことであった。

 午前8時過ぎ、オランダ領アンチル諸島のキュラソー島に到着。 首都のウイレムスタッド市内が見える。大きな橋が架かっている のが特徴だ。

オランダ領アンチル諸島のキュラソーに到着。 大きな橋が象徴的な、ウイレムスタッドの市内が見える。

 一度船室に戻って、朝のシャワーを浴びて、下船準備をしている 間、ガツン、ガツンという今までにない衝撃を繰り返し感じた。 何だこりゃ?まさか、船が岸にぶつかって いるんじゃないでしょうね

 予想はその通りであった。さすがに、岸にぶち当たっているわけでは なかったが、強風のために接岸できないのであった。程なくして 船長より直々に、

時速20マイルの強風と高い波のため、本船、 港に接岸することが できません。大変恐れ入りますが、キュラソーは接岸をあきらめ、 直ちに次の目的地、アルバに向かいます。ご不便を深くお詫び申し 上げます

という放送が入った。あ〜あ、残念。キュラソーはスキップである。

 船は、航路を西に取り、同じオランダ領アンチル諸島のアルバ島 に向かった。私は部屋で、パソコンで書き物などをしていた。

 すると、何となく船内が騒がしい。それに、船室のシャワー室の 方から、水の流れる音や止まる音が繰り返し聞こえてくる。あれれ、 何だろう?

 午前11時過ぎになって、再び船長より直接の放送があり、

先ほど、デッキ8右舷前方の配管より 蒸気漏れが発生し、船内に霧が充満して、火災消火装置が誤作動 しました。そのため、現在、デッキ7以上の階の水道を 一時的に止めております。船内に漂っています霧は水蒸気です。 煙ではありません。火災は発生しておりませんし、航行装置にも 影響はありませんので、乗客の皆様方におかれましては、 どうぞご安心ください。デッキ8右舷前方はスプリンクラー からの放水で濡れております。クルーが現在清掃作業を 行っておりますので、どうぞ立ち入りはお控えください。
 なお、アルバには、午後2時頃の到着を予定いたして おりますが、アルバ島も波が高いとの報告を受けており、 接岸可能かどうかは分かりません。あらかじめご了承 ください」

ということであった!はにゃ〜。今回の旅行は順調だと思って いたら、今日になって、キュラソーをスキップ、船内で蒸気漏れ、 何やらいろいろ出てきたわい。これから先も、まださらに何か 出てくるのか。

ひょうきんな、ビュッフェレストランのジャマイカ人ウエイター。

 午後2時すぎ、船は確かにアルバ島の沖に到着した。しかし、 この頃から風はさらに強くなり、海面も白波が立ってきた。 波が尖ってきている。これなら、さっきのキュラソーの方が ましなぐらいだ。さっきのでだめなのだから、これでは とても接岸できないだろう。

 そう思っていると、船長よりアナウンスがあった。

「本船、すでにアルバの沖に到着しておりますが、依然として 強風が続いており、入港を見合わせております。通常、夕方 になると凪の状態を迎えますので、この位置で夕方まで 待機し、午後6時にアルバのオランヘスタッド港に入港 の予定です。それまで、しばらくお待ちください」

とのことであった。

 仕方ないので、甲板に出て、プール横の泡風呂に入ったり、 いすで日光浴をしたりしていた。船は程よく揺れている。 風は確かに強いが、日本の船なら、これぐらいなら入港する と思うのだがなあ。

船が接岸しないので、甲板は日光浴をする 人々でいっぱい。

私は甲板の泡風呂(Jacuzzi)。

 今晩の夕食は珍しくディナーにした。ビュッフェに行っても、 ディナーに行っても、どちらにせよ食事代は含まれているので無料 なのだが、貧乏性の私には、どうもディナーの雰囲気は苦手で、 足がすくんでしまうのである。そんなわけで、ついつい、セルフの ビュッフェの方に行ってしまうのである。こんな高級料理がただで 食べられるのだから、毎日ディナーに行けばいいのにねえ。

ディナーに参加。今日はフォーマルの日なので、スーツ姿。

 ディナーもたけなわの頃、急に、船長よりアナウンスがあった。

「ご乗客の皆様、強風と高波が続いており、本船はアルバに入港することが できておりません。今晩、この位置で待機し、明朝、再度アルバへの入港 を試みます。まことに申し訳ありません」

とのアナウンスが流れると、場内では一同、申し合わせた ような大きなため息。でも、この調子では、多分、明日まで待っても 接岸できるかどうかは分からないだろう。

胡椒のグラインダーをマイク代わりに歌う、ディナーのウエイターたち。


平成17年3月23日(水)

 朝、起きてみると、天気はさらに悪化していた。船の揺れも激しい。 こりゃアルバ入港は絶望的だろう。外に出てみるが、夜の間に 雨が降ったらしく、甲板は濡れていた。

今日は一転して好天、ではなかった、荒天。

 ビュッフェで朝食をとっていると、また、船長から船内放送が あった。

「本船、本日午前5時よりアルバ港への接岸を試みましたが、 時速40マイルの強風に阻まれ、岸への接近ができない状態です。 大変申し訳ございませんが、このままプエルトリコへ向かいます。 ご不便をおかけしますが、安全のためですので、どうぞご了承 ください」

というアナウンスが入った。まあ、この天気、この揺れでは仕方ない でしょうね。アルバ・キュラソーを目前にして退散。残念だが、 またいつか再トライである。船長の判断だから仕方ないが、 昨日のキュラソーはまだ接岸可能だったと思う。時速20マイルの 風と言うと、風速10mぐらいである。カリブ海はハリケーンを除いて 海は穏やかなのかも知れないが、日本なら、別に普通の風と波 だと思う。冬の日本海など、いつももっと荒れている。 何とかがんばって、昨日接岸してほしかった。今日のように 時速40マイル(風速20m)というと、台風並だからもうだめである。 アルバ・キュラソーともに来るには来たが上陸していないので、 飛行機で言うと空港でのトランジット相当と考えて、 残念だが訪問国には数えられない。 また来ないといけなくなってしまった。

私の部屋のルーム係、フィリス。トリニダード・トバゴ 出身。毎日丁寧に掃除してくれました。

 昼前、船長より再びアナウンスがあった。

「ご乗客の皆様、天候の関係でキュラソー島およびアルバ島 を訪問できなかったことに対して、深くお詫び申し上げます。 いかなる場合でも、最優先されるべきことは皆様の安全で ございます。何卒ご了承お願いします。代 わりに、本船は明朝、ドミニカ共和国のカサ・デ・カンポ港への 入港を予定いたしておりますことを申し添えます」

と言っているではないか!ラッキー!ドミニカ共和国に来られる とは思ってもみなかった。これはありがたい。アルバ・キュラソー はスキップする結果になったが、これで充分帳消し。大満足。

天候も回復し、一路ドミニカ共和国を目指して北上。

ディナーでの私の担当ウエイトレスのルイス。南アフリカ出身。


   


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