アメリカ→ケイマン→アメリカ→日本


平成16年12月29日(水)

 今日は、午前10時半のデルタ航空DL267便でイギリス領ケイマン諸島の中心地、 グランドケイマン島に移動である。今回の旅程はアトランタを拠点にして 放射状に行ったり来たりしている。すなわち、成田→アトランタ→バミューダ →アトランタ→グランドケイマン→アトランタ→成田と、アトランタに3回も 立ち寄ることになっている。

 DL267便は定刻出発。2時間半のフライトタイムで、グランドケイマン島の オーエンロバート国際空港に到着。現地時間の午後1時。アトランタと時差なし。

 気温はおそらく25℃を超えているだろう。タラップを降りると、むっとする 真夏の空気に包まれる。ただ、曇っているのと風がかなり強いのとで、 暑くてたまらないというほどではなかった。

イギリス領ケイマン諸島の中心島、グランドケイマン島の オーエンロバート空港に到着。

 入国問題なし。税関も素通り。バミューダでのアメリカの入国審査官が、 ケイマンのホテルはほとんどが閉鎖したままだと言っていたのを思い出して、 観光案内所でホテルの状況を聞こうかとも思ったが、税関を抜けると直接 外に出てしまった。観光案内所らしきものなどない。タクシーが数台停まって いるが、それ以外は車も少なく、寂れていた。

 まあ、仕方ない。こうなったら、首都のジョージタウンまで歩くだけだ。 歩いて半時間ぐらいだろう。まだ30℃を超えていないから、この気温なら 充分歩けそうだ。

 道をてくてく歩き始めて少し行くと、「Airport Inn」の看板が目に入った。 ありゃ、こんなところにホテルがある。ケイマンもバミューダと同じく、 ホテル代が高いことで有名で、100ドル台なら御の字。見た感じ、割合に ボロそうなホテルだから、もしかすると100ドル以内かも知れない。

 行ってみると、材木やペンキの缶などが玄関前に積み上げられている。 ありゃありゃ、9月のハリケーンで破壊されて休業中か?でも中に入って 念のために聞いてみると、 やっていると言う。税別で一泊120ドル。税金を入れると150ドル近いであろう。 やっぱり高いなあ。でも、ケイマンにしては安い部類だろう。なにしろ、 うちの大学のある先生は、ケイマンに来たことがあって、その時は一泊 400ドルのホテルに泊まったと言っておられたぐらいだから(ただし、 その先生は私と違って高級志向の方ですけどね)。今回の旅行は世界で 最も宿泊費の高い国への旅行であったので、最悪、一泊200ドルも覚悟 して来たので、まあ、これぐらいなら許容範囲と せざるを得ない(本当は、したくないけどね)

 しかし、部屋は、とても150ドルには見えなかった。せいぜい50ドル、 物価の安い国なら25ドル相当の部屋であった。いかにも安っぽい木の机 とベッド、ドアも傷だらけの木のドア、壁は分厚くペンキで塗ってあって、 安っぽさをさらに演出している。カーペットは薄汚れてしかもボロボロ。 枕もとの電灯はスイッチの部分が壊れていて、電気が点かない。 シャワーの温水も出ない。一泊150ドルも払っていて、 いくら何でも、これはあんまりだなあ

 さて、無事泊まる所も確保したので、部屋に荷物を置いて、早速出かけて 行く。ジョージタウンまで歩いて半時間弱。てくてくと道を歩いて行ったが、 結構な田舎である。建物もあまりきれいではないし、その上、9月の ハリケーンで吹き飛ばされたと思われる屋根や看板などがそのまま放置して あり、余計にみすぼらしい様相を呈していた。

9月のハリケーンで屋根が吹き飛ばされたまま放置されている民家。

同じく、壊れてしまった店。

 さらに歩いて、ジョージタウンの市内に入ると、少しましな建物も出てきた。 特に、海岸沿いには免税品店やお土産ショップが立ち並び、そこそこきれいに 造られていた。基本的に田舎の島だが、観光客の来るところだけきれいに している。その点では、サイパンに良く似ていた。 同じイギリス領でも、 バミューダは全体にきれいで、また、全体にイギリス風であったが、ここ ケイマンは、観光客の来るところだけイギリス風かつきれいにしてあり、 そのほかの所はどちらかと言うとアメリカ風で、しかも寂れていた。

首都のジョージタウンの目抜き通り。

市内には、免税店が立ち並び、時計や貴金属類を売っている。

お土産屋の集まる一角。

 市内のお土産屋で絵葉書を数枚購入。3ドル。物の値段は米ドル表示 とケイマンドル表示とがある。ケイマンドルの場合でも、1ケイマンドル =1.25USドルの固定レートなので、両替の必要はまったくない。どこでも 米ドルを受け取ってくれる。郵便局で日本までの切手購入。ケイマンドルで 60セントであるが、米ドルの75セントでも支払い可。

 町を歩いていて意外に感じたのは、黒人が多いこと である。イギリス領であり、白人中心の国かと予想して来たが、 町で会う人は黒人が多かった。黒人と白人の比率は、見た感じ、 3:1ぐらいか。あと、インディオ系と思われる 人がすこしだけ。加えて、移住してきたと思われる中国人が結構いる。 中国人経営の雑貨屋や衣服店、中華料理店などが所々にある。

ジョージタウンの教会。

ケイマンでは、ケイマン、イギリス、アメリカの3つの 国旗が掲げられている。

 このホテルはあまりにもぼろいが、部屋に冷房だけはある。冷房だけで はない。暖房もある(冷暖房兼用のエアコンになっている)。遊びで暖房に してみると、ちゃんと温風が出てくる。何でこんな熱帯 の国で暖房があるのか?温風などいらないから、シャワーの温水を出し なさい!

 今朝アトランタのホテルの無料の朝食の時に盗んできたりんごを、市内観光 に行く前に部屋で食べて捨てておいたら、帰ってきたときにはもう蟻が来ていた。 部屋は蚊とショウジョウバエのような小さなハエが飛んでいる。蚊ははたき 落としたが、ハエはすばしこくて捕まえられない。そのあと、 部屋でくつろいでいると、何やら腕が痒い。ダニか何かにやられたようだ。 夜、気持ちよく寝ていると、今度はガサガサ音がする。電気を点けると、ゴキブリ である。もう、このホテルは、要るものはなくて、要らないものばかり出てくる。 どうなっているんだ、このホテルは!150ドルは暖房代と 昆虫代なのか!


平成16年12月30日(木)

 今日も朝から観光。まず、近くの郵便局まで行って、昨日買った絵葉書を投函。 それから、昨日同様、てくてくと歩いてジョージタウンの市内まで。市内には 国立博物館があるはずであったが、行ってみると閉まっていた。

 仕方がないので、「ヘル(地獄)」と呼ばれる石灰岩地形を見に行くことにし、 2番の市バスに乗って、セブンマイルビーチの向こう側にある、ウエスト・ベイ地区 まで行った。バスに乗る時、「I want to go to Hell」と言ったら、 車内が爆笑の渦に包まれた!それゃ、普通に考えたらおかしいけど、 ヘルはここの地名なのだから、そんなにおかしいことでしょうかねぇ? バス代、USドルで2ドル50セント。

 ヘルは確かに石灰岩地形だが、何せ規模が小さく、ほんの少しだけしか なかった。もっと大きなものを予想していたので、少々がっかり。近くには お土産屋が数件あり、「I've been to Hell and back!」などと書かれた Tシャツを売ったりしている。ヘルの隣には、「地獄郵便局」もあった。

石灰岩地形の「Hell(地獄)」。大きい地形の一部のように 見えますが、実はこれで全て。

ヘル郵便局。あなたも地獄から手紙を出してみますか?

 ヘルがしょうもなかったので、少しばかり歩いて、タートル・ファーム (亀養殖場)を見に行った。入場料、USドルで6ドル。中はいくつか亀の 水槽が置いてあるだけ。ヘルもいい加減くだらなかったが、ここはさらに しょうもなかった。6ドルも払ったが、これなら1ドルで充分だ。

タートル・ファームは亀の養殖場。

 帰りも市バスでジョージタウンまで戻ってくる。昼食、カレーで10USドル。 これもなかなか高い。帰りにホテルの近くのスーパーで買い物少々。 物の値段は、日本の1.5倍から2倍近い。歯磨きが切れたので買ったが、 小さいチューブが一本2ケイマンドル(250円)。大きいチューブだと 4ケイマンドル(500円)から6ケイマンドル(750円)もする。 これでは、この国の人たちは生活が大変であろう。

 天気はかなり不安定で、今日一日だけでも、3回もにわか雨があった。 いつも傘を持ち歩いてるのに、今日だけホテルに置いてきた。 ちょうど歩いている時だったのでずぶ濡れ。

 ホテルに戻ると、部屋は掃除されていなかった。まあ、ええわい。 夜、部屋でこの旅行記を書いていると、ドアをノックする音。出ると、 ルームメードである。部屋を掃除しに来ました、と言っている。 いまさら掃除しても仕方ないので断る。このホテルは変なことばかりだ。 ただ、一つ良かったのは、昨日は出なかった温水が、ぬるいながらも 今日は出たことだ。これがこのホテルで唯一良かったことである。

 夜、ベッドに寝転んでいると、急に地鳴りのような音がして、ベッドが 揺れ始めた。揺れは1分間ほど続き、それから収まった。ケイマンに 地震があるかどうか知らないが、現象自体は日本で経験する地震に非常に 良く似ていた。もし地震だったとしたら、震度2弱相当だろう。

あちこちで、ハリケーンのために倒れた木を見る。

ホテルも一部修理しながらの営業。


平成16年12月31日(金)

 昨日までで見るところは大体終わったので、今日は、午前中、ホテルの部屋で 仕事関係の書き物をしていた。パソコンを持ってきているので、空き時間に 仕事ができるのがいい。

 昼、ホテルをチェックアウト。歩いて空港まで行く。と言っても、ホテルは 空港のすぐ近くだから、歩いて10分とかからない。 デルタ航空DL195便は午後2時半の出発予定が、予定時刻よりも早く 午後2時に出発。乗客数は余り多くなく、全員搭乗してしまったので、 早く出たのだろう。

 あのアイバン台風から3ヵ月、一部の人はまだケイマンに行くのは早い と言っていたが、行ってみると、ケイマン諸島はちゃんと復旧していた。 一部改修中のところもあるとは言え、店もホテルも一応開いているし、 人々の生活も正常である。やはり、実際の状況は来てみないと分からない ものである。

 アトランタには、これも予定より早く、午後5時に到着。今晩は、また別の ホテルを予約してある。これもまた無料のシャトルバスでホテルまで。設備は こっちのホテルの方がずっと良かった。インターネット接続もでき、しかも、 前のホテルよりもずっと高速である。暖房も良く効いている。これから アトランタに来るときは、ここに泊まるのが良さそうである。

 ホテルに着いて、しばらく近所を散策。しかし、本来郊外の何もないところである ことに加えて、今日は大晦日で店はほとんど閉まっていた。それで、すぐに部屋に戻って、 インターネットを見たりしていた。日本時間ではすでに元旦になっているので、 友人数名に年賀メールを送ったりする。


平成17年1月1日(土)

 朝、無料の朝食を食べて、最後にもう一度風呂に入って、それからホテルのシャトルで 空港まで。アトランタの空港は込み合うので早い目に行ったが、さすがに今日は元旦、 空港はがらんとして空いていた。早く行き過ぎて、かなり長い時間、待合室で 待つことになった。

 成田行きDL55便は、午前10時の出発。帰りは偏西風に逆らって飛ぶため、 成田まで13時間半のフライト。

上空から見たアトランタ、ハートフィールド国際空港。 右上にはアトランタの市街地が見える。


平成17年1月2日(日)

 成田空港に、日本時間の午後2時に到着。

 成田空港では、念のために、税関に相談に行った。事情を話し、私の手のひらから 麻薬反応が出ないか、調べてほしいと申し出た。ところが、日本の税関では、 係官が人間の手で荷物検査をして麻薬を発見するだけで、その補助に麻薬犬を 使ってはいるものの、バミューダのような化学分析機などは導入していないのだ そうだ。ハイテクの日本らしからぬことである。 そんなわけで、係官と話を しただけで、結局、検査はしてもらえなかった。係官曰く、麻薬犬や機械は 誤反応がありうるので、どの国でも最終は人間が荷物をすべて検査して麻薬を 発見するはずだから、物を所持していない限りは大丈夫のはずですよ、と いうことであった。本当にそうならばいいですけどもね。

 これで無事帰国。今晩は都内に泊まる予定にしているので、地下にある 京成電鉄の乗り場まで行く。実は、前から、東成田駅 から一度乗ってみたいと思っていたので、今回、行ってみることにする。 現在、空港の地下にあるのは成田空港駅と空港第2ビル駅であり、 京成電鉄とJRとが乗り入れている。しかし、空港第2ビル駅の近くに、 京成電鉄の東成田駅という駅があり、空港第2ビル駅の中から、 地下の専用通路でつながっているのである。この 東成田駅と言うのは、現在の(新)成田空港駅並びに空港第2ビル駅が 開業する前に、「(旧)成田空港駅」として使われていた駅であり、 両駅の開業後、東成田駅に名称変更したものである。

 まず、その連絡通路に行くためには、一度、空港第2ビル駅に入らなければ ならない。その場合は、入場券を買わなくても、改札で申し出れば、「出場券」 をくれる。これをもって一度入場し、それからすぐに出口の改札を出る。 改札を出てすぐに、東成田駅への地下連絡通路がある。これを歩くこと 約7〜8分、東成田駅に出た。この駅からだと上野まで930円。空港第2 ビル駅からより70円だけ安いことを発見してしまった!

空港第2ビル駅から、京成電鉄東成田駅に通じる、地下の専用通路。 空港第2ビル駅のどこから行くか分かりますか?

(おわり)


しがない一旅行者のぼやき

 今回のバミューダやケイマンなど、ともに金持ちアメリカ人向けの 高級リゾート地であり、訪れるのは楽勝と思って出発した。 しかし、行ってみると、バミューダでは、今まででも最大級の トラブルに遭遇した。程度の差はあっても、私の旅行は毎回毎回、 何がしかのトラブルばかりだ。これでは、「トラベル・ノート」でなくて、 まるで「トラブル・ノート」だ。こんな神経の磨り減るような旅行ばかり していたのでは、たまらない。私の知人の中には、私が旅行記を 面白くするために作り話をしているのではないか、と疑っている人も いるかも知れないが、私の旅行記はすべて実話である。その話をすると、 大学のある先生が、厳かな口調で、しかし、きっぱりと言われた。 「真実は小説よりも奇なり」と。


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