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”膨脹する都市圏” 都市化の進展 アジアの巨大な人日墓盤は、現在都市人日の急激な膨脹という形で進んでいる。しかし、巨大都市の膨脹は経済の高度成長の持続にとってプラス・マイナス両面の働きをしている。 都市人日の膨脹に伴って都市圏の市場規模が急速に拡大している。広大な都市の市場では、経済成長に伴って大量に育ってきた都市中産階級(所得水準3000ドル近く)の新たな消費活動が活発になっており、まったく新しいタイプの高級製品やより高度なサービス・情報への消費二一ズが飛躍的に増大している。 都市市場は、人日の巨大な密集にともなって、家庭用製品などの大衆消贅財についてスーパーなどの大日取引が成立する。それが景産型の生産工程における設備投資の追加、生産性の向上を誘引し、新製品の新たな供給と製品価格の低下を誘引する。 マイクロ・エレクトロニクスの時代に入って、都市の人々の触れ合いが日常的に増大し、交換される消費情報が蓄積されると、デモンストレイション効果を通じてより高級・高機能の差別化された耐久消費財、家庭用製品への二一ズが生まれてくる。 さらに、増大し続ける都市のインフラ整備への二一ズは非常に大きく、大規模な資金投下による投資財需要が膨らんでくる。 都市インフラの整備にしたがって新しい消費二一ズや新しい産業分野が成長してくる。都市の情報通信網や交通流通綱などが発達すると、金融保険・情報通信・運輸・流通・教育・レジャー活動など様々なサービス産業で新しいタイプの二ーズが生まれ、都市活動のサービス化が急速に進んでくる。 特に情報化社会への展開の中で都市に集中した情報機能は、新しい産業活動を支える有力な原動力になっている。 こうして都市圏には、大量の顧客、企業が集中し、発展したインフラ設備に支えられて産業活動の効率化と専門化が進展する。 都市圏の集積の経済は、有能な人材や資本を集中させる強力な磁石になり、社会経済の近代化・融合化を促進させる。これが都市圏の待つ文化融合ダイナミズムである。 やがてこのダイナミズムの渦は、周辺の広い地域に拡延し、臨海都市圏を中核にして地域経済圏が生まれ育っていくのである。 アセアンの中で平均的な所得水準の低いインドネシアでも、すでに中国系を中心に2千万近い中産階級が育ってきているといわれており、近い将来ハイテク製品の有望な市場として注目されつつある。 また、アジアのモータリゼイションは、所得水準3千ドルに近付くと、都市を中心に急激に進むといわれており、メイド・イン・アジアの自動車市場が、巨大な都市人口に支えられてNIESからアセアンにかけて大きく拡がっている。 自動車は、都市の成長とともにアジアで生産し、アジアで消費する時代に入りつつある。 こうした新しい都市需要が十分大きく成長すれば、欧米市場向けの輸出志向型発展からアジア経済内部の都市需要志向型の発展へ構造転換するエネルギーが力強くなる。 国内市場の需要規模が拡大すると、アジアの工場の生産工程で大量生産に伴う規模の経済性を十分発挿することが可能になり、アジアの企業は生産性の上昇を挺子にした強い国際競争力を持つようになるからである。 差別化された多晶種製品を大景に効率的に生産するためには、国内市場だけでなく、域内諸国の市場向けの販売が必要になる。その結果、アジア諸国間で同じようなタイプの製品の水平分業が促進される。 都市需要主導型の発展は、アジアの有力な都市の経済交流をいっそう活発化させ、新しいタイプの企業内分業を誘導する。 日本企業もアジア各地の子会社ネットワークを形成して、こうした差別化された製品の域内取引きを進め、企業内分業によるシナジー効果を高めている。 都市生活の光と影 ー悪化する環境間題と社会的な適応力の限界 人日が密集する都市生活には、いろいろな新しい製品・サービスを享受することが可能になるが、その半面で混雑した都市生活の環境悪化が深刻な社会問題になっている。 国連の調査によると、都市への人日流入と高い出生率によって90年に10億入であったアジアの都市人日が、2020年には24億人に増加すると予想されている。 これだけ急激に都市が膨脹していくと、アジア社会の柔軟な環境適応の能力は深刻に傷付けられ、もはや弾力性、柔軟性をなくしてしまうかもしれない。 急激に都市に流入する人日は、労働市場のまだ未整備な国ではしばしぱインフォーマル部門に吸収されて都市の貧困層を形成している。 行政措置が追い付かないために経済発展に伴って増加した大量の都市ゴミの堆積は、極めて貧しい無職の人々を引き付けて周辺のスラム化の促進要因になっている。 また、社会資本の未整備なアジア請国では、都市人日の膨脹に伴って深刻な交通の渋滞、それに伴う公害間題を引き起こしている。 バンコク、マニラ、ポンベイなどアジア全域の都市において、二酸化硫黄や浮遊ゴミによる大気汚染のレベルは、米国の十数倍以上である。 さらに、河川へ流入する工場・生活廃水、ゴミ投棄によって水質汚染が進み、生活や遊びの場が奪われているだけでなく、アジア全域で一日約3万5千人の乳幼児死亡の原因にもなっていると、国連調査は報告している。 都市公害の拡大に伴って肺ガンや気管支炎などの病気の増加が心配されている。 巨大な人日基盤を持つ中国では、沿海都市が先に発展し、貧しい内陸部の農村地帯から人日の流入(盲流)を誘発している。 外国からの企業進出が徐々に内陸部に進んでいるが、そこにさらに奥地の貧しい農村地帯から職を求めて人々が移住している。こうした形で急激な文化の融合は、しばしば伝統的に健全な社会基盤を破壊し、アジアの文化には従来なかった新たな社会間題を引き起こすようになった。 自然に、あるいは行政主導のもとに着実に進められてきた柔軟な環境適応能力は、あまりに急激な変化に追い付けなくなっている。その大きなギャップがアジアの社会構造を非常に歪なものにする危険性が増している。 新たな文化融合空間の都市では、新しい企業に雇用される労働者だけでなく、一般市民も巻きこんで新たな環境への適応間題が提起されている。 都市の社会構造の柔軟性、環境適応能力を再び取り戻すには、都市経済の発展エネルギーのコントロールや着実な都市計画の実施など、総合的な都市環境政策、特に国際的な支援による環境保護政策の導入が今後非常に童要になってくる。 環境技術の国際的な移転こそ、アジアの成長の限界をさらに拡げることになり、アジアヘの新たな文化の浸透・融合の余地を大きく拡げることになる。 |