夕焼け




視界に広がるのは燃えるようなオレンジ色の空。
夕焼けは何処か寂しさを感じる。

公園で遊んでいた仲間が次々と母親に手を引かれて帰っていくのを
見守るだけの自分が居たからか。
それとも…。

夕焼けに向かってただ、両手を広げると瞳を閉じる。
瞳を閉じても瞼に優しい光を感じられた。
夕焼けは寂しさも感じるが同時に優しさも感じられるものだった。

夕日は沈んでいく間際に温かさを残していく。
青い空を赤く染め上げて…一時の温かさと寂しさを自分の中に残していく。
黄昏時は人の心に優しい温もりと温もりが消えた後のひんやりした寂しさを
覚えさせる。

いつからだろう、夕焼けが寂しいと感じるようになったのは。
いつからだろう、夕焼けに優しさを感じるようになったのは。

夜という闇を恐れるから、夕焼けが寂しいの?
夕焼けの後に広がるのは闇だから?
──きっと、そう。

でも夕焼けは優しい温もりもあると感じるのに寂しいの?
──温もりの後に何もない事に気づくから。

大丈夫だよ。
──どうして?

だって君は一人じゃない。
──一人じゃないって、どうして言い切れる?

ここに居るよ。
──お前が?

そう。
──一緒にいてくれるのか?

うん、だから寂しくないよ。
──俺、一人じゃないんだよな…本当に。

本当だよ。だって君とは相棒だから。
──相棒…。

さあ、時間だよ…。行こう?
──あ、お前…!

「…おい、滝川、そろそろいいか?」
頭に響く声に自分が覚醒していく。聞きなれた声が自分を呼んでいた…。
─────────────────────語りへ───


段々ミニSSというよりポエムになってきました。
今回はかなりポエム要素が高くて申し訳ないです(汗)

さて、お題夕焼けは滝川がパイロット時に見る
グリフ(昏睡境界面で見る映像)の事です。
正確には尽きぬ夕焼けですが、字数の関係上夕焼けとしました。
ちなみにデフォルトパイロットたちはそれぞれこのグリフが違いますよね。
(速水・舞は同じですが)士魂号によって違うのかな〜なんて思いながら、
今回のお題を考えてみました。

このミニSSの中で滝川と会話しているのは士魂号です(汗)
ノベルス版にもありましたよね、滝川が女の子と会話していたシーン。
あんな感じのつもりです(但し今の時点での記憶はかなりあやふや)
私の中では士魂号を人間にすると一番機は無骨だけど優しい男の人、
三番機は冷静で中性的な男の子。そして二番機は寂しがり屋で
一生懸命な女の子という感じなのです。

えーっとまた脱線してますね。滝川がパイロット時に言う
台詞の中でこんなものがありますよね?

「あいつ、どんどん俺のやりたいことを覚えているみたいだし、
俺の好み分かってるし、死ぬときは一緒みたいなもんだしな。
それに、なにか一生懸命って気がするんだ。
俺のためにさ」

これと夕焼けを結びつけてみました。夕焼けについては
ミニSS内で書いている通り
『温かく優しくも感じるけれど寂しい』というイメージです。

あまり書くと他のお題の分もここに書いてしまい
そうなので詳しくはここに書きませんが、
滝川と夕焼けという言葉から私は「母親」や「愛情」を想像します。