研究テーマ->メディアアート->オリジナル・プロジェクト->般若心経
ここでは、メディアアートの作品の1つとして般若心経をもとに制作した音楽を紹介します。  
プロジェクトの概要

 

般若心経をつかって、音楽を作ろうというのが趣旨です。般若心経のもつ言葉の響きやリズムと、テクノを組み合わせて曲を作成してみました。
経緯
何故、私が般若心経をつかって曲をつくろうと思い立ったかを説明したいと思います。事の発端は、私が滋賀(岐阜?)にあるルーブル美術館というところに行ったときに聞いたお経でした。(ルーブル美術館については、本題ではないので説明しませんが、行ってみる価値はあります。たぶん。)ルーブル美術館の横には、巨大観音が展示してある観光名所(お寺のような感じ)があるのですが、そこではなぜか、いたるところでテープから般若心経が流れておりました。その独特の響きに何故か心がひかれ、1500円でテープを売っていたので買ってかえろと思ったのですが、なぜか忘れてしまい、それはそれで終わってしまいました。

その後、四国の鳴門に行ったときに、お遍路さんの一番の寺に行ったのですが、そこで般若心経のテープを売っていたので買ってみました。(この寺には水琴窟もあります。)やはり、おもしろい響きとリズムで、そこから曲をつくってみようと思ったのです。ついでに、お経の文言が書いてある手帳のようなものも買いました。
般若心経の言葉とリズム
般若心経のテープを聞いてみてわかったことがあります。
(1)般若心経は同じ音程で読まれている。
例外も少しありますが、ほぼ、同じ音程で読まれています。グレゴリアンチャントなどは、しっかりとした音程があって音楽になっていますが、般若心経は、延々と同じ音程で読まれるようで、これはちょっとした発見でした。
(2)息をつぐための休みが無い
これは場合にもよると思いますが、テープの般若心経は途切れなく、最後まで一気に読まれています。もちろん、一人の人が息つぎをせずに最後まで読むのは不可能ですから、複数の人でお経を読んでいます。メインになる人がいて、その人が息をつぐところでは、サブの人の声だけが聞こえます。ちょっとした録音機材をつかえば、一人の人の声でテープを作成することができると思いますが、やっぱりそれは、邪道なのでしょう。
(3)リズムが規則正しい
おそらく4拍子になるのだと思いますが、1泊でお経の中の漢字1文字を読んでいきます。漢字の1文字は、ひらかなにすると1〜3文字くらいで変化します。この変化が、1泊の中で微妙なリズムをつくりだしています。また、漢字が何文字かで1つの文になっているのですが、4文字で区切れるものが多く、ちょっと強引ですが、(特にお経の前半は)4拍子にあてはめると文の区切れが小節の区切れと一致するところが多くあります。
下のは出だしの部分です。
薩。
かん じー ざい ぼー さつ。
※般若心経が何拍子であるかについて、ネットには様々な説が散見され、3拍子であるとか、5拍子であるとかの意見もあります。音楽的には「拍子は変則である」というのが当たっているように思います。
(4)同じ言葉の繰り返しが多い
私のイメージでは、お経は最初から最後までが1つのストーリーになっていて、同じ言葉は繰り返されないと思っていたのですが、同じような文が何回も繰り返して使われていることがわかりました。また、般若心経は、けっこう短いというのもわかりました。(お経のテープは2分30秒でした。)お経は長いというイメージがあったのですが。。。
(5)意味は分からないが、聞きなれた言葉がでてくる
昔懐かしいレインボーマンの「あーのくたーらーさんみゃくさんぼーだい」をはじめ、落語などでも聞いたことがあるような言葉がでてきます。なんとなく、般若心経に惹かれてしまうのは、このためかもしれません。
(6)イントロらしきものがある
出だしの「ぶっせつ・・・しんぎょう」は、他とは違ったリズムで読まれます。なんとなく、音楽のイントロのような感じです。
さらに、書籍で調べてみました。
(1)抑揚や言葉の区切り方は、宗派によって違うらしい。
(2)私の買った本には、各宗派の読み方が、声明の楽譜で掲載されていました。
(3)般若心経をインドの言葉から中国語に翻訳したのは、どうやら孫悟空で有名(?)な三蔵法師らしい。
(4)般若心経は、大般若心経という何万文字ものお経を数百文字に縮めたものらしい。(その割に重複した言葉がでてくるのは何故?)
完成作品(サウンド)
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完成作品(ビデオ)
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ボーカロイド版(サウンド)
初音ミク MP4 抑揚をつけずに、棒読みさせてみました。(音楽にはなっていません。)ボーカロイドの録音については、こちらをご覧ください。
鏡音レン MP4 抑揚をつけずに、棒読みさせてみました。(音楽にはなっていません。)ボーカロイドの録音については、こちらをご覧ください。
 
   
 
書籍とCDの紹介


異色の解説本、えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳 般若心経 (ヨシモトブックス)はいかかでしょうか?